したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バキスタの戦い

1言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:16:53
西方六カ国の連合軍とハルバンデフ率いる草の民との戦い、【バキスタの戦い】のスレッドです。
戦いの前夜史、裏話、実際に戦った兵士や騎士、英雄達の話等、色々な話について語り合いましょう。

2言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:19:01
先生!
西方六カ国ってよく分かりません!
六カ国って言うくらいだから六個あるんですよね。

3言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:19:26
なんでも、バキスタというのは単なる地名というだけでなく、草の民にとっての「勝利」を意味する言葉らしいね。

4言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:19:46
そうしてトルトルモモは僅か三檄で敵将の戦斧を薔薇に変えたのである

5言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:20:07
逆に、西方六カ国の生き残りの間では
「バキスタ」は「敗北」を意味する言葉となった。

6言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:20:28
六つ以上あるんだってよ。
ハルバンデフと敵対した主要な国家が六カ国なだけで

7言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:23:42
あの平原には一箇所ものすごい足場の悪い湿原地帯があってな。
【トルーサのぬかるみ】と呼ばれたそうなんだが、折悪くそこで大雨が降った。
結果騎兵共は次々と落馬し、広く展開していた両軍の片翼は身動きがとれなくなったらしい。

8言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:25:25
世に【バキスタの戦い】と言われる戦いは、草の民の勢力圏と西方諸国との間に南北に広く横たわる土地、バキスタ地方のクフォルク平原にて西方六カ国による連合軍とハルバンデフ率いる草の民がぶつかった戦いとして知られている。
しかし、学術的にはハルバンデフが、昔から「互いにこの地方には兵を進めない」という不文律のあるバキスタ地方北東部に兵を進めてから、両軍が激突するまでの数ヶ月のことを指す。
この間、7つの都市が焼き払われ、【単眼神の群】とハルバンデフの率いる軍との間で幾つかの戦闘があり、またいくつもの謀略があった。

9言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:25:41
狂雄クーゲルト「ァヒヒァ、いろんな方法で奴等を屠殺してやる。
ァフ、毎晩毎晩アイデアが浮かんで浮かんでしょうがねぇんだ・・・
ィホ、モフティのネタにもできないような凄い目に遭わせてやろうか・・・」

10言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:28:18
ハルバンデフが最初に兵を進めたのは交易都市のゾルガだった。
ゾルガには治安維持の為に組織して私兵集団と、防衛の為に雇った傭兵部隊がいたが、かれらは戦わずして降伏した。
ゾルガ攻略後、ハルバンデフはこの都市を焼き払い、住人を虐殺した。

11言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:35:45
ゾルガ陥落の知らせを受け、【バキスタ卿】の代官はあわてて兵を集めて、ゾルガに一番近い都市フォルガに進軍した。
しかし、ハルバンデフが次に攻略したのはフォルガの後背の都市ボルスだった。
このため、慌てて代官はフォルガを出てボルスの救援に出るが、待ち伏せしていたハルバンデフの兵に不意打ちにあい、壊滅的な被害を受けてフォルガへと引き返すことになった。
この被害により、【バキスタ卿】であるゼダ家より援軍が来るまで、代官の軍はフォルガを動くことが出来なかったのである。

12言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:37:54
>>10
落ち延びた傭兵たちがバキスタの戦い終結後に盗賊と化してゾルガを脅かしたのはまた別の話。

13言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:42:53
>>11
何故フォルガに進駐していた軍はハルバンデフの率いる軍勢の動向を察知する事ができなかったのか?
そこで、ハルバンデフが巡らせた巧妙な作戦が生きてくる。
つまり、兵を分断した上で、ボルスへ向かわせた兵を「多く見せた」のである。
張りぼてや松明、旗などを多く用い、遠目に大量の軍が進んでいるように思わせたのだ。
そして本隊は伏兵として潜伏し、フォルガ均衡の河川などの要所で奇襲をかけたのである。

14言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:46:10
バキスタ地方に点在する都市群は多くがリクシャマー帝国から特許状を与えられた自治都市であり、限定されてはいるものの、他の自治都市との条約を締結することが認められていた。

15言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:47:47
ゾルガとボルスの陥落の報を受け、【バキスタ卿】であるゼダ家は、まず傭兵を集めてこれを援軍に向かわせたわけだが、その時の当主の命令は、「絶対にまともに戦おうとするな」だった。
まずは、ハルバンデフの強さを測ろうとしたのである。
フォルガの代官の部隊との合流を計る傭兵部隊は、ソミニアの平原地帯にてハルバンデフの軍と遭遇することになった。
傭兵部隊を率いるクルーガ・ガゥ・ドレンガは当主の命令を守りまともに戦おうとせず防御に徹したが、結局の所、ハルバンデフの戦術の前におびき出され、兵力の半分を失う手痛い被害を受けた。
傭兵部隊は、その後なんとか代官の部隊と合流したが、それから一週間もしないうちに始まった、ハルバンデフによるフォルガ攻略によって壊滅した。

この敗北を受け、ゼダ家は虎の子の【単眼神の群】をハルバンデフに対して出すことを決意するのである。

16言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:57:30
【単眼神の群】がバキスタ地方の戦場に辿りついた時、既にイゾルやトリスタといった周辺の都市も落とされていた。
そのため【単眼神の群】の軍団長、ルスタン・ヴュ・ダムーシュは、ハルバンデフの進行路にあるバレリア(ワレリアという説もある)とマグーシュの二都市を防衛ラインとしてハルバンデフの侵攻に対抗した。
ルスタンの【単眼神の群】はハルバンデフの攻撃をよくしのぎ、一時的であるがハルバンデフの侵攻を食い止めることに成功した。

17言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 01:58:44
>>15
しかしゼダ家は傭兵を集めるのに大分苦労したのだという。
というのも、瞬く間に二つの都市を陥落させたハルバンデフに傭兵たちが怖気づいたためである。
血族関係にある騎士団や国家の誇りを謡う宗教騎士団らは扇動でどうにかなったのだが、それ以上に重要な頭数を埋める為の在野の傭兵達が一向に集まらなかった。
結果、ゼダ家は報酬の他に勝利の暁には正式な騎士団として迎え入れ、安定した収入と生活を保障することで傭兵達を集めたのだった。

しかし当のゼダ家にはそんな余計な出費をし、加えてこれ以上の騎士団の維持費など賄える筈も無かった。
故に、指揮官は傭兵たちを前線に投入し、囮や盾にして数を減らすことを企んだのである。

18言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:06:18
【単眼神の群】の拠点防衛の報を聞き、ゼダ家は一つの疑問を抱くことになった。
すなわち、騎馬民族である彼らがなぜ拠点攻略に拘るか?である。
遊牧民である彼らは進軍に際して、家畜等は軍と共に連れて行く場合が多い。
一見すると、進軍速度が遅くなるように見えるこの行動は、実は拠点攻略に拘らなくても良い、自由な進軍を可能とするのである。
しかし、ハルバンデフの軍の動きは、自らその利点を捨てていた。

ある日、リクシャマー帝国の皇宮を訪れ、戦術練習所での調練を見た当主は、ハルバンデフの意図に気付き、慌てて皇帝に「この戦争は我々で解決するので、兵など出さないよう」に上申した。
彼は帝国の軍がもし参戦すれば負ける、と気付いてしまったのである。

19言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:18:44
ゼダ家の上申は、(普段対立していたとはいえ、この時は)帝国を考えての意見だったのだが、皇帝はその意見を却下した。
これは帝国の中央集権化(いままで地方領主によってバラバラに行われていた徴税や工事等の公共事業を中央政府の管轄化に置こうとした。また常備軍を持つという先進的な考えもあったようである)を狙う皇帝は、これを機にゼダ家の実権を奪おうとしたため、また皇帝が今回の戦争を自らの肝煎りで薦めていた戦術研究の実践の好期だと考えたためである。
皇帝は早速諸国に檄を飛ばし、兵を集めた。
最大の仮想敵である北方帝国に対してリクシャマー帝国の威光を見せようとしたのである。
しかし、諸国は蛮族制圧等の内政問題を抱えていたため、実際に兵を出したのは六カ国に留まった。
これを西方六カ国と言う。

20言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:25:03
そしてプリンが現れるまでは。

21言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:25:30
プリンとはいったい……

22言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:26:10
バキスタの戦いにおいて、プリンは重要な役割を果たした。
プリンがバキスタの戦いを制したと言っても過言ではない。

23言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:28:21
プリンといえば【妖蛆の秘密】の著者。
クトゥルーもの、とくにタイタス・クロウの話とかに出てくるね。

24言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:30:08
皇帝が兵を集めるのを見てゼダ家当主は、せめてハルバンデフの戦いを見知った【単眼神の群】を中核にするか皇帝の側に置くことを嘆願したが、皇帝はこれを却下した。
それどころか「余の帝国に老いたる臆病者はいらぬ」と、ゼダ家当主の隠居と、【バキスタ卿】の地位の返還を命ずる。
【バキスタ卿】は諸王の会議により決められる地位であり、ゼダ家の当主問題は「介入しない」という建国以来の約束(ただし口約束である)があったため、皇帝のこの行動は暴挙に他ならぬことであったが、敢えてこの二つをゼダ家当主は受け入れた。
今事を起こしても諸国より数万の兵を集めた皇帝に叶わぬことを知っていたし、また挽回の機会があることを知っていたからである。
皇帝はまた、「【単眼神の群】を今回の戦いに使わない」ことを宣言し、【単眼神の群】のバキスタ地方からの撤収を命じた。
ゼダ家は皇帝の命に従い、その日のうちに【単眼神の群】をバキスタより引き上げた。
このことにより、バレリアとマグーシュは程なくして陥落した。

25言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:40:33
西方六カ国には、本来リクシャマー帝国とは犬猿の仲であるロズゴール王国も名を連ねているが、これは【スタイラス条約】によるものである。
条約締結国および地域の危機に対しては大国である二国が積極的に行動する、という条約文があり、当時のロズゴール国王はこれを北方帝国による侵攻と解釈してこの条件を承認したのだが、実際には【草の民】というまったく予想外のものだったわけである。
しかも戦いに際して、皇帝がゼダ家から【バキスタ卿】の地位を取り上げたことは、非常にロズゴール王国にとって不満なことであった。
そして、この不満はハルバンデフに利用されることとなる。

26言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:40:35
ハルバンデフの侵攻

交易都市ゾルガ陥落、住民虐殺



都市ボルス陥落(都市フォルガを攻める振りをして騙まし討ち)



ソミニア平原で【バキスタ卿】の派遣した様子見の傭兵部隊と戦闘



都市フォルガ陥落

↓  バキスタ卿、【単眼神の群】の派遣を決意

周辺の都市を次々と攻め落とす(イゾル、トリスタなど)



バレリア、マグーシュ二都市の防衛ラインで【単眼神の群】と激突、侵攻を食い止められる

27言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:45:37
バレリア、マグーシュ二都市の攻略により北バキスタを制圧したハルバンデフは、南バキスタの制圧を目指して軍を進める。
これに対し、バキスタ入りした諸国の軍隊は南バキスタ中央のクフォルク平原を戦場と設定、ここにハルバンデフをおびき寄せるべく作戦を決行する。
そして、その策にかかったのか、それとも知った上での行動か、ハルバンデフの軍はクフォルク平原に現れ、そこに陣を構えた。

28言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:48:13
↓皇帝が号令、西方六カ国から兵を集める

プリンが現れる

↓皇帝の命により【バキスタ卿】は地位を返還、【単眼神の群】引き上げ

二都市防衛ライン陥落



南バキスタ侵略へ


南バキスタ中央、クフォルク平原に陣を構える

29言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 02:59:35
クフォル平原に現れたハルバンデフの軍は1万弱であったと伝えられる。
それに対して、西方諸国の軍勢は総勢3万であったとも、5〜6万であったとも言われる。
確かなことは、西方諸国軍は数の上ではハルバンデフの兵力を遙かに凌駕していたということである。

また、西方諸国軍は革新的な戦術を用意していた。

西方諸国の戦術、それは軍隊を三つに分けることで、そのうちハルバンデフと正面から対峙する一軍を重装騎士団および重装歩兵団によって構成させるということだった。
つまり人馬による城塞を作ろうというのだ。
この人馬の城塞により足止めを喰らっている間に、ウィリア騎士団を中核とした第二軍が後背を突き、遅れて到着した第三軍がハルバンデフの軍に止めを刺すというものである。

西方諸国軍はこの作戦の成功を誰もが信じて疑わなかった。そう、ただ一国を除いては……

30言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:00:51
その多段攻撃の作戦名を【プリン】と呼ぶ。

31言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:08:11
クフォル平原における戦い、世に言う【バキスタの戦い】は朝靄立ち込める早朝に始まったと言われている。
重装騎兵と重装歩兵により人馬の城壁を展開するリクシャマー帝国軍を中核とした第一軍に対し、ハルバンデフが行ったのは隠していた投石器をはじめとした攻城兵器による一斉攻撃だった。
そう、この「革新的な」戦術は既に研究段階でハルバンデフの軍に漏れており、ハルバンデフが拠点制圧、こと攻城戦に拘ったのは、兵たちを攻城兵器および攻城戦術に熟練させるためだったのである。

伝説によれば、第一軍が陣営を崩し、崩壊するまでに2時間を要さなかったという。
この戦闘でリクシャマー帝国皇帝以下、多くの要人が草の民の人質となった。

32言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:25:34
リクシャマー帝国を中核とした第一軍を倒した後、ハルバンデフは軍を反転して後背を狙うウィリア騎士団を中核とした第二軍と戦闘を行うわけである。
しかし軍勢の方向反転というのは少数の兵力でも非常に難しいものであり時間を要する。
一万を超える軍勢ならばなおさらである。
しかし、実際にはハルバンデフは急襲してくる第二軍とぶつかり、これを壊滅させている。
なぜ、そのようなことが可能であったかと言えば、ハルバンデフは第一軍の戦闘の間に、普通は最後まで投入しないであろう部隊(予備役や親衛隊)を反転させていたからである。

 ↑↑↑↑↑
↑↑↑↑
   ↓↓↓
↓↓
     ↓

軍全部が反転する前に、ハルバンデフは一部の部隊を反転させて第二軍にぶつけたのだ。
朝靄や当日の天候があまりよくなかったこともあり、クフォルへと向かうウィリア騎士団を中核とした第二陣は既に第一軍が崩壊したことを知らなかった。
そのため彼らはまだクフォル平原で戦闘が行われているものと信じて疑わなかった。
そして、そのような最中でハルバンデフの部隊と、第二軍との戦闘が行われたのだ。

33言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:38:46
朝霧の中から現れた草の民の軍勢という予想外の事態に、第二軍は慌てた。
そして、そのことがハルバンデフの下した命令の実行を容易にした。
ハルバンデフは、この先陣部隊に、敵の陣営中央を突破し、その際に馬上弓で百人長や十人長と言った前線指揮官を重点的に狙うように命じたのである。
事前の情報収集で、ハルバンデフはウィリア騎士団の地上戦における強さの秘密を、前線指揮官達の臨機応変さと見抜いていたのである。

馬上弓や馬上槍というのは実は非常に困難な技術であり、特に重い鎧を身に付けた場合これは不可能と言って良い。
実際、この時代の騎士達は馬を戦場までの機動力、あるいは中央突破や、敵陣を崩すための手段として用いており、実際には馬から下りて戦っていたのである。
しかし、軽装で産まれた時より馬上の生活になれた草の民はこれを容易にこなした。
そのため、彼らは、突入してすれ違いざまに敵の百人長や十人長を次々に討ち取っていった。

そして、その後に訪れた草の民の本陣の前に、ウィリア騎士団を中核とする第二軍は実力を発揮できないまま壊滅するのである。

34言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:42:22
第三軍はロズゴール王国軍を中核とした部隊であるが、この部隊は被害を殆ど受けなかった。
というのも、草の民との事前の密約により、ロズゴール王国は戦闘に参加しないことになっていたからである。
ロズゴール王国軍はクフォルでの第一軍、第二軍の壊滅を知ると、そのまま軍を引き上げ、そのまま自国へと帰ってしまった。

こうして世に言う【バキスタの戦い】は終わった……かに見えた

35言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:46:38
蟹見えた

36言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 03:58:32
戦闘の終了後、ハルバンデフが下した命令は「殺せ」だった。
戦闘で捕虜にしたものは身代金を要求し、身代金が支払われなかった場合には奴隷にして売り払うか、処刑(しかし、これはまずない)するのがこの時代の不文律のルールだったので、これは暴挙とも言える行動だったが、ハルバンデフはそれを相手が誰であろうと実行した。
その為、この戦いで各国の多くの要人が命を落とし、その後の長い混乱へと繋がることとなる。
リクシャマー帝国皇帝もこの際に処刑されかけたが、処刑の寸前に戦いが終わったとおもって安心しきっているハルバンデフの軍隊に突入してきたのは、皇帝が戦争への参加を拒んだはずの【単眼神の群】だった。
彼らは、戦いの最初から別の場所に待機してこの時を待っていたのである。
今度は、予想外の事態に草の民が慌てる番だった。
この混乱の最中、皇帝は一命を取りとめ、捕らわれていた要人の中の何名かも命を救われた。

37言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 04:03:44
命を救われた皇帝は、ハルバンデフのさらなる進軍に備えるべく、ありったけの残存兵力を集めて守りを固めたが、ハルバンデフの軍隊が来ることは無かった。
なぜなら、ハルバンデフは軍を草原地方に引き返したからである。
これには色々な説があるが、もともとのハルバンデフの目的は北方帝国や東のオアシス国家群、トゥルサであり、それらの侵攻の際に西方諸国が横槍を出してこないようにするためであったからというのが一番有力な説である。
また、西方諸国との貿易は草の民にとって多大な利益を生むので、ハルバンデフがもともとこれらを滅ぼす気はなかったのは想像に難くない。

かくして【バキスタの戦い】は終わりを告げた

38言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 09:22:55
【扉】とかは戦略上どういう風に利用されてたのかしらね。
並みの都市異常に重要な拠点になりそうだけど。

39言理の妖精語りて曰く、:2006/11/19(日) 13:20:27
>【扉】とかは戦略上どういう風に利用されてたのかしらね。

おそらくこの戦いにおいて、利用されなかったと思われる。
理由としては
・ハルバンデフは魔法が嫌い(あの人物に珍しく、「人は人の力のみで生きるべきである」というまっとうな言葉を残している)
・地理上【扉】職人が必要ではなかった(バキスタ地方は諸国からの投資のおかげで、街道施設が整っているため、当時まだ高価だった魔法を使うより、馬車等の通常手段を使った方が商売としては遙かに安上がりだったのである)ため、この地方には【扉】職人が殆どいなかった
・【扉】を作る、ということは逆に相手に本陣や重要軍事施設への最短ルートを提供することになってしまうため、草の民のような機動力のある敵に対して【扉】を使うのは自殺行為に等しいため。

40言理の妖精語りて曰く、:2006/11/20(月) 22:57:24
この戦いのもう一つの結果として、リクシャマー帝国の中央集権化の遅れがある。
【単眼神の群】の突入により、皇帝の命を救われた帝国はゼダ家に頭が上がらなくなってしまったのだ。

戦後、皇帝は引退させたゼダ家当主の【バキスタ卿】への再推薦(これは殆ど無傷に終わったロズゴール王国の後押しもありすんなりと決まった)および、当主への復帰の許可、そしてゼダ家内政への不介入の成文化を余儀なくされる。
もし、ゼダ家がこれらの展開まで読んだ上で皇帝の命に従ったのなら、一番の勝者はハルバンデフではなくゼダ家である。

41言理の妖精語りて曰く、:2006/12/17(日) 23:12:10
さて、何ゆえにリクシャマー帝国の戦術はハルバンデフに漏れてしまったのだろうか?
これには諸説あるが有力な所では以下の通りである。

・草の民を通した鉄鉱石や特殊鉱石の貿易量が増えていることに気付かれたから
 リクシャマー帝国の戦術が革新的かつ、リクシャマー帝国にしか行えないものであった理由は、この戦いがこの時代においては希少品であるプレートメールを大規模に使った戦術であることだ。
 全身を伸ばした特殊金属で覆うプレートメールは、既にこの時代にあったものの、戦場において総大将や将軍クラスの人間が身に付けるか、さもなければ儀礼的に使われた程度であった。
 それを戦術兵器として一般兵にまで配って使うというリクシャマー帝国の戦術はやはり奇抜であり、革新的だったのである。
 しかし、プレートメールを作るための鉄鉱石(代わりに砂鉄を使う場合もあったようである)や特殊金属はリクシャマー帝国内でも産出されてはいたものの、コストの問題から、もっぱら草の民を通して北方帝国から輸入していたのが現状であった。
 また、当時の技術では国内の鉱山から1万以上の兵士全員分のプレートメールを作るための特殊金属の原料となる鉄鉱石を産出するのは無理だったのである。
 その為、リクシャマー帝国は北方帝国から大量の鉄鉱石と特殊鉱石を買い付けたのだが、その運搬役は海上貿易による輸入ではなく草の民を通じた陸上輸入により行われた。
 その理由としては確実に鉄鉱石と特殊金属を入手したかった(この時代の海洋貿易技術では遭難という危険をはらんでいた)ためと、他国に知られないようにこれらを入手したかったという理由が考えられる。また、草の民相手の戦争をリクシャマー帝国が想定していなかったことや、ハルバンデフによる草の民の統一が予想以上の速さで行われたのも理由として挙げられるだろう。
 いずれにせよ、この説が本当であれば、鉄鉱石と特殊金属の貿易量からリクシャマー帝国の戦術を見抜いたハルバンデフの洞察力は通常ではなかったと言える。
・草の民の商人達から情報がもたらされた
 勘違いされがちだが、草の民は交易民族であり、また優れた商業民族でもあった。
 海洋貿易が盛んになっていく中、彼らも同じ民族同士で交易路の権益をめぐって戦っているだけでは無かったのである。
 草の民の商人達は消費国である西方諸国が欲しがるものをリサーチするために、バキスタ地方の交易市に行くだけではなく、各国の首都を訪れたり、また各国の商会と提携して何が売れるかについて情報網を張り巡らせていたのだ。
 その情報網にプレートメールの大量生産、あるいは戦術そのものがひっかかった可能性は捨てきれない。
 また、草の民を統一したハルバンデフは情報を重視し、商人達を集め彼らから諸国の情報を聞き出すことが度々であったと記録には残っている。
 そう考えると、草の民と接する機会の多いバキスタ卿であったゼダ家が帝国の参戦を止めようとした理由も明白である。

42言理の妖精語りて曰く、:2007/03/22(木) 18:41:24
>>35
【蟹見えた】とは、
西方の伝説における【キャンサー】が見えたことをあらわしている。
バキスタの戦いにおいてハルバンデフの軍の快進撃を見た敵兵たちは、その恐ろしさの余り幼い頃聞かされた恐ろしい怪物、キャンサーをハルバンデフの軍に見たのである。

西方諸国では、【蟹】とはハルバンデフを表わす隠語である。

43言理の妖精語りて曰く、:2007/07/09(月) 23:03:30
南方では【蟹】は「都合よく料理できる食材」だ。
・・・まさか【ハルバンデフ】を蟹の隠語として使ったりはしない・・と思うが。

44言理の妖精語りて曰く、:2008/04/12(土) 19:38:51
>>41
地理的に北方帝国はリクシャマー帝国と隣接してるので、鉄鉱石は亜大陸からの輸入だと思われる。

45言理の妖精語りて曰く、:2008/04/13(日) 14:21:09
>>44
当時は北方帝国は西方諸国からは国家として認められておらず、貿易も認められていなかったため国境こそ接していたが北方帝国と直接貿易を行うことは不可能だった。
そのため、西方諸国が北方帝国から商品を仕入れるためには一度草の民を通して(これならば草の民から商品を買ったことになり、北方帝国から商品を買ったことにならない)バキスタ地方で商品を受け取るか、海洋上において密貿易を行うかのどちらかの方法しかなかった。

ちなみに北方帝国が国家として認められ、西方諸国と直接貿易が行えるようになったのは『第二次建国戦争』に勝利して二度目の独立を勝ち取った以降である。

46言理の妖精語りて曰く、:2008/04/13(日) 14:53:36
もう一つリクシャマー帝国の戦術が草の民に漏れた理由として、パトゥーサが後ろで動いていたという説がある。
リクシャマー帝国が自分達を仮想敵としていることは公然の事実であり、北方帝国は常にリクシャマー帝国の動きに、とりわけ軍事的な動きに細心の注意を配っていた。
その中で行われた草の民を通じた鉄鉱石と特殊金属の大量買付けである。
パトゥーサおよび戦術研究部(パトゥーサにより創設された皇帝直属の研究機関)はこれを重装騎兵および重装歩兵を大量投入した戦術であると断定、ハルバンデフにそれを伝えたというものである。

パトゥーサはこの戦争に西方諸国が負けた場合、多額の戦費を払って自分達に草の民討伐を依頼してくることも読んでおり、また適当な所でこの戦争を引き上げ、わざと西方諸国が戦費の支払いを渋るのも読んでいたようで、最終的にはこれを口実に疲弊した西方諸国へ攻め込むことも考えていたようだ。

47<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

48<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>

49<<妖精は口を噤んだ>>:<<妖精は口を噤んだ>>
<<妖精は口を噤んだ>>


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板