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(@^ω^) ビート・イット!!のようです。
1
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:04:04 ID:eNrzMpqU0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。
第一話
2
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:05:25 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・赤コ-ナー控室
薄暗い控室でベンチに腰掛けて、静かにその時を待つ。
目を閉じると周りの騒音は嘘みたいに消え失せ、自分の鼓動が聞こえた。ドクンドクンと脈打つ音に閉まりの悪い蛇口から水滴が落ちる音が重なっていく。
――――まだ。
………まだだ。
………………今!!
俺が目を開けるのと同時に、ヴゥゥゥンと臓物の奥底に響き渡るような音がした。薄暗い控室に青白い光が差し込み瞬間的に明るくなり、観客席から万雷の拍手と歓声歓声が聞こえてきた。
( ^ω^) 「さあ!…ぶちかましてやろうぜ」
相棒は寡黙な質だ。俺の言葉にいちいち答えることはしない。だが今回は珍しいことに少し気合が入った羽音で応えてきた。
3
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:06:51 ID:eNrzMpqU0
マーマレードみてえな橙色の上翅にはデカデカと相棒の名前が書かれている。通常は飼い主が名前を付けるもんだが、こいつは自分で名前を付けさせてくれと俺に頼んだ。三日三晩悩んでゼリーも口にしなかった相棒は、ついに名前を決めるとフラつきながら塗装屋に出向きおっさんに頼んだらしい。
『ノイジー・ビート』金色の縁取りがなされた赤塗りの文字はこいつの控えめな感じの性格とは真逆でちょっと笑える。
まあ、相棒はこの名前を気に入ってるらしいから、俺も野暮なことは言わないが…。
あの日、突如失踪した相棒を心配して町中を探し回った俺の元に、晴れ晴れとした表情で帰って来た相棒の姿は今でも鮮明に思い出せる。
おっと、昔話をしてて相棒の紹介が遅れたな。
こいつは中南VIPの方の1500メートル以上のでかい山の竹林に生息している。
竹から染み出るカクテルが好きらしい。もうここまで聞けば虫フリークの皆はわかるよな?
4
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:07:58 ID:eNrzMpqU0
そう!ご名答!!
こいつはノコギリタテヅノカブト。胸角が縦に伸び、のこぎりみてえな突起があるんだ。
リーチの長い前脚による打撃で距離を取りながら、機動力を生かして一気に懐に飛び込んで、相手の装甲をぶち抜く必殺の一撃をぶちかますヒット&アウェイが俺たちのスタイル。
………だったんだがな。
その日の相手はちょっと妙だったんだ。
5
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:10:05 ID:eNrzMpqU0
ミセ*゚―゚)リ 「さあ!今日も始まりました!ビートルの時間です!!…今日5年2組の現『蟲帝<むしみかど>』ノイジー&ブーンの試合が見られるとあって、会場は満員御礼!!異様なまでの熱気に包まれています!!実況は私、5年3組のミセリ!そして解説は…」
(゚、゚トソン 「どうも5年3組のトソンです。」
ミセ*゚―゚)リ 「早速ですが今日の試合、両者のコンディションなども踏まえて、トソンさんはどう見ますか?」
(゚、゚トソン 「そうですね…今日のノイジー&ブーンはやや緊張が見られるような気がしますがそれでも現『蟲帝』として流石の堂々たる佇まいですね…それにしても今日はノイジーもやけに調子が良さそうです。……ですが何でしょう?相手の『狂犬』のっこ&ジョルジョはランキング53位と中堅所なんですが、あの不敵な表情………何か秘策でもあるのでしょうか?今回の試合ただならぬ何かを感じますね。」
ミセ*゚―゚)リ 「なるほど……何か一波乱起こりそうな雰囲気ですね。今回の勝負のポイントはどの辺りになりそうですか?」
(゚、゚トソン 「そうですね…ノイジーの一撃必殺が炸裂するのか、それとものっこの秘策がノイジーの心臓を食い破るのか…どちらにしても勝負は長くは続かないのではないかと思われます」
ミセ*゚―゚)リ 「そうですね!お互い速攻型ですからね。…さあ!それではお待ちかね!!両選手の入場です!!」
ミセ *>∀<)リ 「そいじゃあタカラくん!!よっろしくぅう!!!」
(゚、゚*トソン 「なんでも、審判のタカラ君は今日のために相当仕上げてきたらしいですからね!彼のナイスバルクにも注目です!」
( ,,^Д^)bグッ 「お任せあれ!!!!」
6
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:11:32 ID:eNrzMpqU0
( ,,^Д^) 「Lady’s&Gentlemen!!さあ!!両選手の入場だあ!!!!」
( ,,^Д^) 「まずは青コーナー…!!何回負けてもnever give up standup 地獄の底から舞い戻った!!何度も噛みつくその八重歯 何でも切り裂くそう三枚刃ぁ!!果たして『狂犬』はケルベロスと成りえたのか!!?その牙は『蟲帝』に届くのかぁ!!挑戦者『狂犬』ジョルジョの入場だぁぁぁぁあああああ!!!!」
( ,,^Д^) 「続いて赤コーナー…!!もはや説明は不要!!公式戦無敗…その数多くの熱戦は、今なお我々の記憶に焼き付いています!数多の強敵を下し、頂点に君臨し続けるLiving・Legend!!果たして今日はどんな伝説を残してくれるのかぁ!!?現『蟲帝』ブーンの入場だああぁぁぁああああ!!!!」
ギイィと鉄と鉄が擦れて悲鳴を挙げた。
控室の扉が開くと同時に聞えてきた歓声とその異様なまでの熱気が俺の面を引っ叩く。
風に巻き上げられた砂ぼこりに目を細めながら、一歩一歩静かに木組みのおんぼろの特設闘技場の入場門へと歩を進める。
ここまで来て怖気づいているというのか?…それとも大会の雰囲気に飲まれて緊張しているのか俺にもわからない。手にジワリと滲んだ汗をジーパンで拭った。
( ^ω^) 「今日の相手はお前か?『狂犬』ジョルジュ…」
_
( ゚∀゚) 「………おう『蟲帝』。てめえとノイジーをバラバラにするために地獄から舞い戻ったぜ…!!」
( ^ω^) 「この『蟲帝』相手にさえずりやがる……格の違いってのを教えてやるよ…ワ・ン・ちゃん♪」
闘技場のど真ん中で短く言葉を交わす。得体の知れない不安を感じ、思わず強い言葉を吐いた。
ジョルジョの野郎が連れてる黒光りするノコギリクワガタはかなりでかい。…以前戦った時は全く問題なく勝てた相手だったがこの妙な胸騒ぎは一体………。
7
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:14:59 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・観客席
('A`) 「…ブーン君……なんだかいつもと雰囲気が違うね」
(´・ω・`) 「どうしたんだろブーンの奴…やけに表情が険しいな」
('A`) 「ブーン君とノイジーだもん……絶対勝てるよね!?ショボン君!!」
(´・ω・`) 「わからない。……ただ、この雰囲気……何か起こるよ」
(;'A`)そ 「そ、そんな!…頑張れぇ!!ブーン君!!」
歓声に混ざって友の声援が聞こえた。……大丈夫だ。やれる。そう思いながら軽く手を挙げてそれに答えた。
8
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:15:25 ID:eNrzMpqU0
( ,,^Д^) 「では、ルールを説明いたします」
( ,,^Д^) 「ルールは一つ。武器の使用は不可。己の肉体とその個性を持って、正々堂々とその強さを存分に証明してください」
( ,,^Д^) 「それではお二人とも、ギアをセットしてください。……準備はよろしいですか?」
(@^ω^) 「……ああ」
_
(@゚∀゚) 「いつでもいいぜ」
耳に手を当てると、青い光が走りヘッドフォンのようなものが出現した。
ジョルジュと俺の間を砂ぼこりが小さく渦を巻いて通り過ぎていく。
9
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:16:36 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・来賓席
/ ,’ 3 「ギアというのはいつ見てもすごいのう…わしが子どもの頃にはあんなもの無かった。うらやましぃのう」
( ,’3 ) 「ほんとにすごい技術ですね校長。なんでもあのギアいつでも出したり閉まったりできるだけではないそうですぞ?」
/ ,’ 3 「知っとるとも。あれで虫や動植物の声なき声を聴くことができるようになるんじゃろ?だがあれは聞くところによると、虫と子供たちの五感なんかをリンクさせることで会話を可能にしているそうじゃ……触覚、聴覚だけでなく痛覚なんかもな。わしは子ども達が命の尊さを知るいい機会になるとは思うが……」
( ,’3 ) 「う〜む…たしかに心配なところではありますな」
/ ,’ 3 「ま、実際にけがをするわけではないからいいがのぅ」
( ,,^Д^) 「…試合を開始します。ますは互いに礼!」
_
(@゚∀゚) 「地獄ってえのを見せてやるぜ」
(@^ω^) 「言ってろ。…二度と無駄口を叩けねえようにしてやる」
( ,,^Д^) 「それでは両者!リングの外へ!!それぞれ位置についてください」
審判のタカラの声を聞き、俺とジョルジュはそれぞれの相棒を残してリングの外に出た。
後は俺達にできることは、相棒の無事を神に祈りながらギア越しに指示をすることだけだ。
10
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:17:36 ID:eNrzMpqU0
俺達が外に出たのを確認すると、中央に巨大な半透明の木が生えた。そしてリングの周りに張り巡らされている青い電流の壁が高くなり、ほぼ透明に近い半円状のドームを作っていく。
虫の中には生まれながらに持つ毒の他、ギアの影響などによって変質し、特殊な能力を得た個体がいる。それらの攻撃から観客を守るための装置がこのドームだ。
ちなみに特殊能力……まあ『個性』について言うと、俺の相棒は羽から出す超音波を頭角へと伝え、なんでも豆腐みたいにスパスパ切っちまう。そんなおっかねえ虫がその辺をうろうろしていると気が気でないが、その辺は大丈夫。安心してほしい。基本的に人と契約することで虫たちは能力を得る。そしてギアによって制限がされ人にダメージを与えられないようになっているからだ。
さて、前置きが長くなっちまったな。すまん。悪い癖だ。
11
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:18:48 ID:eNrzMpqU0
( ,,^Д^) 「それでは皆さんお待たせしました。……ビー!!!!…ファイト!!!!」
(@^ω^) 「さあ、いくぜ!相棒!!」
_
( ゚∀゚) 「のっこ!!生まれ変わったお前の力を見せてやりな!!」
互いにスピードを生かした戦闘が得意なだけあって、どうやら考えることは同じらしい。
(〇I〇) 「…フッ!!!!」
L+dmb+ノ 「シェアアアァァァ!!!!!」
ミセ*゚Д゚)リ 「さあついに始まりました!!ノイジー&ブーン対のっこ&ジョルジュ!!両者最初っから全開!!様子見なんて全く無しだああ!!鋭い羽音を響かせて真っ向からのぶつかり合いぃ!!!!」
(゚、゚トソン 「以前の試合では、のっこの飛行能力はノイジーに大きく劣っており、そこが敗因になりましたからね。どうやら徹底的に鍛えこんできたみたいですよ!まるで別人…いや、別虫のような飛行速度と旋回力です」
12
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:20:11 ID:eNrzMpqU0
(@^ω^) 「いけるか?相棒」
(〇I〇) 「…まだ羽が温まってない。…少し時間をくれ」
(@^ω^) 「わかった。相手はなかなか速い。このままじゃ埒が明かねえ!向こうの得意分野ではあるが…叩き落として地上戦での接近戦に持ち込むぞ!」
(〇I〇) 「わかった」
ミセ*゚ー゚)リ 「両者互いに一歩も譲らず!!激しい空中戦を繰り広げています!!のっこ&ジョルジュ絶好調!!以前とは段違いの手数と攻撃力だあああああ!!!!ですがそこは流石のノイジー&ブーン攻撃を的確にいなして反撃しています!!!!これが『蟲帝』の実力だああああ!!!!」
(゚、゚トソン 「のっこ&ジョルジュはここまでかなり良い線いってますね。それこそ虫が変わったかのような猛攻撃ですが、果たしてこれでスタミナが持つんでしょうか?鍛えていないということは無さそうですが……後半辛い展開になるかもしれませんね」
_
(@゚∀゚) (……ほほう?どうやら地上戦がお望みらしいな…なら!!)
13
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:22:25 ID:eNrzMpqU0
_
(@゚∀゚) 「そこだ!!ぶち落とせ!!」
L+dmb+ノ 「らああぁぁ!!!!」
(〇I〇)そ 「なにっ!?」
(@^ω^)そ 「相棒!!?前胸背板で受けろ!!」
ミセ*゚Д゚)リ 「ああっとぉ!!?ここでノイジーがのっこの強烈な一撃を喰らったあああ!!ノイジーそのまま落下ぁ!!!!地上に激突する前に何とか羽を開き、闘技場中央の木に縋り付いて体制を立て直しました!!!!」
(゚、゚トソン 「まさにクリーンヒット。連撃の隙間を縫って鮮やかな一撃でしたね。さて、ここから地上戦に移るようですね。以前からのっこが得意としていた地上戦に持ち込まれるとは、苦しい状況になりそうですが…ノイジー&ブーン…何か策があるのでしょうか?」
14
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:23:23 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・観客席
ξ゚⊿゚)ξ 「あーあ、あんな温い攻撃貰っちゃって…油断してるからそうなるのよ」
((○I○)) 「ツンちゃんったらんもぉう!手厳しいんだからぁ!」
ξ#‐⊿‐)ξ 「…うるさいわよアトラ」
((○I○)) 「あらぁん…もうちょっと素直になってもいいのに」
ξ゚⊿゚)ξ 「いいから行くわよ。…こんな試合見なくても結果がわかるわ」
((○I○)) 「どうせ…ブーンちゃんが勝つって言うんでしょ?」
ξ゚⊿゚)ξ 「……持たざる者が皇帝を討つわ」
((○I○)) 「ま!…意外な予想ねぇ!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「ほら!もう!置いてくわよ!!?」
((○I○)) 「あらあら、いけずなんだからあ!!」
15
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:26:28 ID:eNrzMpqU0
ミセ*゚―゚)リ 「おっとぉぉ!?木に着地すると同時にのっこが猛ダッシュでノイジーに迫るう!!まさに疾風迅雷と言ったところでしょうか!??ノイジーはこれに前脚を振るって応戦!!!!」
(゚、゚トソン 「………なんでしょう?地上戦に持ち込んでからというもの、ノイジーの動きが悪いですね。まるで、何か迷っているかのような……」
ミセ*゚―゚)リ 「まさかのっこ&ジョルジュがここまで『蟲帝』に喰らいつく………それどころか圧倒しているとは!!一体誰が予想したでしょうか!!!!???ランク53位の『狂犬』はなんとも凶悪な地獄の門番へと成長していたぁぁあああ!!」
―――――特設闘技場・観客席
(;'A`)「ショボン君!!のっことジョルジュの奴なんだかおかしいよ!!」
(;´・ω・`) 「ああ、たしかに以前とは段違いだ。…たしかに二人は相当な鍛錬を積んでいたようだったが、この短期間であんなに実力が伸びることなどあるはずがない」
(;'A`)そ 「まさか!!?ドーピングなんじゃ!!?」
(;´・ω・`) 「いや、たしかに一時期ドーピング昆虫ゼリーが流行ったことがあったが、その時もジョルジュはドーピングだけはしようとしなかった。いつも布団で一緒に眠る位に彼はのっこを大切に思っている。……そんなジョルジュがドーピングなんてするはずがないんだ!!」
(;'A`) 「じゃあどうして!?」
(;´・ω・`)ゴクリ… 「まだわからない…とにかく試合を見よう。何かつかめるかもしれない」
16
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:27:49 ID:eNrzMpqU0
L+dmb+ノ 「シャッ!!ギッ!!」
(〇I〇) (…くっ、なんという猛攻か……!だが、何なんだ!!この、彼女から伝わってくる悲しみのようなものは!?)
ミセ*゚―゚)リ 「どうしたのでしょうか?ノイジー&ブーンいつものようなキレがありません!!地上戦に入ってからは防戦一方です!!!!スイカやキュウリの与え過ぎでお腹を壊したかああ!?」
(゚、゚トソン 「いえ、それは無いでしょう。ブリーダーはいつも相棒とともにあり、その体調など細かな点まで把握しています。『蟲帝』ともあろう者がそのような初歩の初歩でのミスを犯すとは考え難いです」
ミセ*゚∀゚)リ 「あっ、そっかぁ!!…それはそうだよね!さっすがトソンちゃん!!あったま良い!!」
(-、-*トソン 「……こ、こら…!…もう!ミセリ、試合中ですよ」
ミセ*゚―゚)リ 「攻める!攻める!!のっこの強烈な一撃は確実にノイジーにダメージを与えつつあります!!!!流石の『蟲帝』にも若干の焦りが見て取れます!!このまま決まってしまうのかあ!!??」
17
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:28:33 ID:eNrzMpqU0
(;〇I〇) 「マスター!彼女何やら妙だ!!」
(@;^ω^) 「たしかにこの短期間でこんなに戦闘レベルが上がるなんて考えられねえ!!」
(;〇I〇) 「マスター違う!!それだけじゃない!以前の彼女であれば戦闘中に話しかけてくるくらいに社交的だったはずだ!!それになんだ!?この大あごを通して伝わってくる悲しみは!!?」
(@;^ω^)。оО( Ldmbノ 「さあ!!行くわよ!ジョルジュ!!」)
(@;‐ω‐) 「………確かにそうだったが…」
(@;^ω^) 「けど、悲しみ?ますますわからん!……相棒!!まずは切り替えていくぞ!!」
(@^ω^) 「相手がどうあれ何であれ、いつでも全力で勝負に臨むのが俺達のやり方だったろ!?」
(〇I〇) (オレとしたことが……!)
(〇I〇) 「…そうだな!マスター!!そうと決まれば反撃だ!!」
18
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:29:41 ID:eNrzMpqU0
_
( ゚∀゚) (なんだあ?…いつものキレが嘘みてえだな……まさか気づいてるってのか?)
_
( ゚∀゚) (…ふむ……顔つきから察するにその可能性は無さそうだが、嫌な予感がするぜ)
_
( ゚∀゚) 「のっこ!!下がれ!!」
L+dmb+ノそ 「ぎいぃ!?」
(〇I〇) 「せやああああぁぁぁ!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「ああっとぉ!?ここでいったあ!!ノイジーがいったああ!!!!長い前脚と頭角、胸角を振り回して猛反撃だああああああ!!!!!!乱打!!痛打!!コンビネーションの雨霰ぇぇ!!!!これは効いているぞおお!!」
(゚、゚トソン 「流石の駆け引きの上手さですね。ジョルジュの後退指示を完全に読んでいたかのようなタイミングでした。」
ミセ#゚Д゚)リ 「そしてそのままのっこの下に角を差し込みぃ…!!………ん投げたぁぁぁああああ!!!!」
(゚、゚トソン 「高い木の上から真っ逆さまです。…これはかなり効くでしょう」
ミセ#゚Д゚)リ 「ああっと!!大丈夫かあああぁぁぁ!!のっこ!!真っ逆さまに落ち………あああぁぁぁぁぁあああ!!?のっこギリギリで体勢を入れ替え…羽ばたいああぁぁぁああ!!」
(゚、゚;トソン 「な……あの高さから、あの勢いで落ちて受け身が間に合うわけが!?」
ミセ*゚Д゚)リ 「そこに追撃を仕掛けんとノイジーが突っ込んでいくうぅぅぅぅ!!!!」
(‐、‐トソン 「これは………悪手だったかも知れませんね」
19
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:30:33 ID:eNrzMpqU0
(@゜ω゜) 「いっけえぇぇええ!!相棒!!『超震甲虫刃』だあぁぁぁ!!!!」
(#〇I〇) 「ああぁぁぁああ!!」
_
( #゚Д゚) 「のっこぉぉぉおお!!!!今だぁぁぁあああああ!!!!」
L#+dmb+ノ 「シェアアアァァァ!!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「出ったぁぁぁああああ!!!!ノイジー&ブーンのフェイバリットォォオオオ!!『超震甲虫刃』だあぁぁぁぁああああ!!」
(゚、゚トソン 「その素早さを活かして一気に懐に飛び込んで、羽で発生させた超振動を頭角に伝え、相手を叩き切る。―――数々の強敵を葬り去ってきた一撃必殺の技です。」
ミセ;゚A゚)リ 「な、なんとぉぉおおお!!?のっこ!避けない!!避けないっ!!?それどころかノイジーを正面に見据えて構えたぁぁぁああああ!!…なんだ!!?なんだこれはあああ!!??」
(゚、゚;トソン 「なっ!!?ま、まさか!!?まさか真っ向勝負で挑むつもりだというのですか!!!?」
20
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:31:16 ID:eNrzMpqU0
(@;゜ω゜) 「……な!!?なあああ!?ノイジー!!頭角を前に出すおお!!」
(#〇I〇) 「ぬうぅぅうううああ!!!!」
_
(*゚∀゚) 「ひゃっはははあああ!!!!やれえぇえぇぇえ!!のっこぉぉぉぉおおお!!」
L#+dmb+ノ 「しぃぃぃぃぃいいいいい!!!!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「いったあああ!!!!のっこ&ジョルジュの秘策は!!狙いは!!これだったのかあああああ!!??ものすごい勢いでノイジーとの距離を詰めていくうぅぅ!!両者、全身全霊のぶつかりあぃぃぃいいいい!!!」
(゚、゚;トソン 「ここでっ!!この一撃で!勝負が決まりますよ!!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「空気を切り裂き突き進むノイジー!!!!それに対して余りにも悠然と構……!!!!」
21
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:33:09 ID:eNrzMpqU0
ミセ;゚Д゚)リ 「………な……な、なんと!!?のっこの大あごの根本から火花が散っているううぅぅぅぅ!!!!大あごが一際大きく開いたぁ!!!!…あれは命を断つ刃ああぁぁぁ!!まさにギロチン!!!!迫るノイジーに今まさに命を断たんと死神の鎌が迫るううぅぅぅううう!!!!」
(゚、゚;トソン 「どうして……どうしてこの土壇場で笑っていられるんですか!!?ジョルジュは!!?」
ミセ#゚Д゚)リ 「両者激突うううううう!!!!ドームの中が砂ぼこりで全く見えません!!一体どうなってしまったんだああぁぁぁああ!!!?」
―――――特設闘技場・来賓席
/ ;,’ 3 「ヌッ!?ぬおおおお!!……バリア越しだというのになんじゃこの衝撃は!!?」
(;,’3 ) 「く…くぅ!!」
―――――特設闘技場・観客席
(´・ω・`) 「…まずいな」
(;'A`) 「ブーン君、負けないよね!?大丈夫なんだよね!?」
(;´・ω・`) 「いや、二人のリーチの差を考えてみてくれ。」
(;'A`) 「…そんなのノイジーの方がリーチは長いんだから、先に攻撃が当たるんじゃないの!?」
(;´・ω・`) 「それがそうとも限らないんだ…あっ砂が晴れてきたぞ!!」
22
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:34:11 ID:eNrzMpqU0
ミセ*゚―゚)リ 「さ、さあ砂が晴れてきました!砂の中に薄っすらと両者の影が見えます…どうなっているのでしょうか!!?」
(゚、゚;トソン 「………こ、これは!!!?」
ミセ;゚Д゚)リ 「な、あ…なな、なんとぉ!!?『超震甲虫刃』空振りぃぃぃいいい!!??そしてのっこの牙が完全にノイジーの首を捉えています!!」
(@;゜ω゜) 「…が…がっ……ぐぅ」
(;〇I〇) 「が……があぁ」
_
(*゚∀゚) 「ひゃあっはははっははははぁぁぁあああ!!!!かますぞのっこぉぉぉおおおお!!!!喰らい切り裂け!!『死神之鎌』だああぁぁぁぁぁああああ!!!」
L#+dmb+ノ 「じゃぁぁぁぁああああああ!!!!!!」
23
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:34:53 ID:eNrzMpqU0
ミセⅢ゚A゚)リ 「な……な、え?…な」
⊂(‐、‐トソン 「ミセリ、見ちゃだめです」
(@;。ω゜) 「あ、相ぼ……あぴっ!!」
(●I●)
首にぐっと何かがめり込むような感覚があった。ミシリと骨が軋むような感覚がした後、プツッと皮膚が避けて冷たい何かが広がっていく。――――直後、急激に灼熱が僕を焼いた。
あまりの痛みと熱さに何度も叩き起こされ、意識を手放すことができない。
灼熱の業火による拷問は永劫に続くかのように思われたが、しばらくすると足元から数万匹の蟻が這い上がってくるような感覚の後、股間の辺りからジワリと熱が広がっていった。視界が急激に暗転して俺の意思とは無関係に膝が折れていった。
………俺が覚えているのはここまでだ。
ここから先は聞きかじった話になるんだが、調子にノッていた『蟲帝』をどんな方法でも倒したということでのっこ&ジョルジュは一躍時の人となったらしい。
24
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:35:44 ID:eNrzMpqU0
( ;,,^Д^) 「試合終了!!!!!!」
( ;,,^Д^) 「おい!!救護班!!担架だ!担架!!泡吹いちまってる!!!」
ミセ*;― )リ 「うっ、うぅぅ…っ……っ」
(゚、゚;トソン 「な、なんということでしょうか。決着は一瞬でした。モニターをご覧ください。」
(゚、゚トソン 「ノイジーの『超震甲虫刃』に対して、恐ろしいまでの速さで突っ込んでいったのっこ。フワリと上体を持ち上げて、急激に速度を落とした後急激に減速し、体の薄さを活かしノイジーの真下に潜りこみ、がら空きの首を完全に捕らえました……。後の展開は我々が目にした通りです。」
(゚、゚;トソン 「ファイトスタイルの残虐性については、とても褒められたものではありません。………ですが、のっこ&ジョルジュはその実力を持って『蟲帝』ブーンを破りました。ブーン選手は今回、敗北したことで『蟲帝』の称号が剥奪され、ランキングは100位からの再スタートとなります。そして勝利したのっこ&ジョルジュには新たに『蟲帝』の称号が授与されます。」
(゚、゚トソン 「今日のビートルはここまでです。皆さん気を付けてお帰りください!!」
(゚、゚トソン 「今度の大会は二ヵ月後の8月になります!!皆さんも振るってご参加下さい。それでは、ごきげんよう!!」
(゚、゚;トソン 「…さっ、ミセリ行きますよ?」
ミセ*;A;)リ 「………うん。…ひっ……ひっk」
25
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:37:14 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・観客席
(;'A`) 「そ、sそんな」
(;´・ω・`) 「……な、なんだあの動きは!?ただのノコギリクワガタにあんな動きが可能だって言うのか!!?」
(#'Д`)「………嘘だ…嘘だよブーン君が負けるなんて!!……嘘だあぁぁ!!」
(;´・ω・`)そ 「ドクオ!?どこに行くんだ!!」
(;´・ω・`) 「なんだっていうんだ……。とにかく今は保健室に急がなきゃ!!」
26
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:41:34 ID:eNrzMpqU0
―――――創作小学校・保健室
目を覚ました俺の目に見覚えのない天井が映り込む。ちらりと体に目をやるといつの間にか体操服に着替えていた。その時ずきりと体に痛みが走った。どうやらジョルジュの技を受けた時、痛みをこらえようと全身に異常なまでに力が入っていたらしい…。
( ^ω^) (……チッ…全身が痛え…俺は…一体…?……試合はどうなtt)
そこまで考えた時、保健室のドアがガラりと開いて、誰かが飛び込んできた。
耳を澄ますが試合の興奮とダメージもあってかよく聞き取れない。しばらくするとカーテンが少し開いて、しょぼくれた眉毛が見えた。
(;´・ω・`) 「ブーン!!ケガは!??大丈夫かい!!?」
( ^ω^) 「ケガはねえ…身体も心配ねえよ………それよりショボン、試合はどうなった!?俺は…いや、それよりも相棒は無事なのか!!!」
(´‐ω‐`) 「結果はもうわかってると思う……けど、僕の口から語るのはちょっと…」
(´・ω・`) 「それよりもブーン……歩けるかい?」
( ^ω^) 「もちろんだ」
(´・ω・`) 「わかった。…ついてきてくれ」
27
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:42:14 ID:eNrzMpqU0
一人でも立てると強がったんだが、情けねえことにベットから体を持ち上げるだけで精一杯だった。ショボンに肩を借りてやっとのことで歩き始めた。
保健室の先生にお礼を言って、俺たちは闘技場内のとある施設へと向かった。
――――――おい、おい…おい!ショボン…どこに向かってやがる!?
そこは、その曲がり角の先にあるのは………。
28
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:43:06 ID:eNrzMpqU0
―――――特設闘技場・地下一階・医務室内霊安室前
少し薄暗い廊下を抜けて、ぴったりと締め切られた扉の前で立ち止った。
鉄でできた重厚な扉は、この世とあの世、生と死を別つかのよう異様なまでの迫力があった。
( ^ω^) 「……おいおい、ショボン。冗談にしちゃあ達が悪いぜ」
(#^ω^) 「てめえ!!冗談でもやっていいことと悪ぃことがあんだろうがぁ!!!」
ショボンの手を振りほどいて、胸倉を掴んで壁に叩きつける。全身の痛みなんかフッ飛んじまうほど俺は頭に来ていた。
(´‐ω‐`)=3フゥ 「……僕に当たって、解決するんなら君の好きにするといい…」
(´・ω・`) 「…それでも君は見なくちゃいけない。君の油断が、驕ったその心が引き起こしたその結果を。冗談だって?とんでもない……」
(#゜ω゜) 「…ああ?うるせえ!!……誰が驕ってたって!?ランク10位『雷光』のショボンさんよぉお!!?俺の後ろに引っ付いてた糞虫が!!!!いつからそんなに偉くなったんだ!!?あぁ!!?」
(#´゜ω゜`)つ 「…君こそいい加減に現実を見ろ!!いつまで下に見てんだ!!?…今の君は所詮、元『蟲帝』だ!!ランキング最下位!!100位なんだ!!ふざけるのもいい加減にしろよ!!!!」
(;゜ω゜) 「な…なんだと?」
ほっぺたが熱い。よろけて尻餅をついた。
起き上がろうとして、体に力が入らずに床に這いつくばったままで友達だったはずの男を見上げる。大きく開いたランクの差が、すっかり逆転した勢いが、夏の空に浮かんだ入道雲みてえに異様なまでにショボンをでかく見せていた。
29
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:43:52 ID:eNrzMpqU0
(´・ω・`) 「前の君は強かった。ちょっと口は悪かったけどそれでも筋が通ってた。どんな時でも頂点を目指して一生懸命に努力していたね。……上級生の名だたる強敵達を前にしても怯まずに立ち向かっていくその姿に僕らは憧れすら覚えていたよ。」
(´・ω・`) 「けど今の君はどうだい?…僕やドクオだけじゃなく周りの人間を見下してる。……君はもうこの学校のキングじゃあないんだ。『蟲帝』なんて称号に浮かれて、自分を見失って、虚栄心と慢心でブクブクに太って君の心は変わってしまった。……今の君は中身のないただの薄っぺらいちっぽけな男さ。」
(´・ω・`) 「……僕は今の君と一緒に遊びたいと思えないよ。…堪忍袋の緒が切れたってやつだよ。ブーン絶交だ」
(;゜ω゜) 「な、ななぁ…ほ、ほんとなのか?…なぁ、なあ!?」
縋り付くかのようにショボンに問いかける。勝負の結果も相棒がどうなったのかも、ショボンが言った言葉の意味もわからない。上手く呑み込めなかった。たくさんの言葉と情報、思考のノイズの濁流は容易く俺を飲み込んでいった。
(´・ω・`) 「もう話すことは無いよ。ブーン。じゃあね」
(・` ) 「8月の大会で会おう。…もし君がその時まで足を止めてなければね」
つかつかと歩き去るショボンの背中を見送った俺は、しばらく考え込んで無理やりに状況を飲み込もうとした。何をしたらいいのかわからない。頭の芯がチカチカして思考がまとまらなかった。
30
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:44:30 ID:eNrzMpqU0
――――まずはここに来た目的を果たさなくちゃいけない。
重い扉を開けて、霊安室の中に入ると先生が話しかけてきた。
(´・_ゝ・`) 「ブーン君、待ってたよ。…今回は本当に残念だったね」
( ω ) 「…先生、相棒はどうなったんだ?」
やっとのことで絞り出した声は、どうしようもないほど弱々しく震えていて、ショボンがさっき言っていた『ちっぽけな男』ってフレーズがストンと胸に落ちたような気がした。
(´・_ゝ・`) 「…ノイジーがどうなったか、実際に君の目で確かめたいかい?」
( ω ) 「………ああ、頼む」
先生の背後にちらりとマーマレードみてえな橙色の上翅が見えた。
(´・_ゝ・`) 「…今回のことは本当に残念だよ。ノイジー&ブーン…良いコンビだったからね………。そうそう、これはノイジーが首を切り離された後に手足を動かして書いた君への手紙だ。渡しておくよ」
(´・_ゝ・`) 「さあ、こっちに来てくれ。」
( ω ) 「………ああ」
先生の言葉を聞く度に、そして相棒と俺がいるこの部屋がどこなのかを考える度に、相棒の死をヒシヒシと感じた。心臓の辺りを鷲掴みにされたように苦しくて、負けた現実を受け入れたくなくてなかなか一歩前に踏み出すことができなかった。
31
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/19(土) 02:45:22 ID:eNrzMpqU0
そんな俺の様子を見て、先生は何か言いたげな様子だったがそっとしておいてくれた。
ぐっと目を瞑り、大きく息を吐く。手足は力が入らず情けなくふらふらとする。相棒が横たわる台に近づくと先生が相棒を覆っていた白い布をゆっくりと静かにとった。
中から現れたのは見るも無残な相棒の亡骸だった。
のっこの短い顎で何度も噛み切られたのであろうその切断面は、ひどくボロボロで頭と身体が完全に切り離されていた。
( ω ) 「…………相棒」
もう限界だった。頭の中では負けた瞬間やこれまでの相棒との思い出、首を断ち切られた時の痛みがごちゃごちゃに混ざり合ってグルグルと回り始める。それらの記憶が俺に向かって言うのだ。相棒が死んだのはお前のせいだと、お前が殺したも同然だと。
( ゜ω゜) 「こ…kひゅ……こひゅぅぅ…こひゅっ」
息が苦しい。目の奥がチカチカしてどうしようもなく痛い。いろいろな思いが、記憶が浮かんでは消えていく。
(´・_ゝ・`) 「…ブーンくん!大丈夫かい?」
視界が徐々に黒に塗りつぶされて行き、やがて完全に暗転した。
この日、俺は友も相棒も地位も名誉も…………すべてを失った。
32
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 03:24:25 ID:m49wHCOQ0
これは面白い
33
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 10:44:06 ID:GcP2eQ9M0
めっちゃ面白い
続きはよ
34
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 12:46:08 ID:N2xcPmeA0
期待を込めて乙
35
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 18:49:16 ID:C7DUKLOM0
めっちゃ面白いな、期待
36
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:15:29 ID:Vo7YzuTk0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。
第2話
37
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:18:58 ID:Vo7YzuTk0
―――――創作小学校・5年1組教室
次の日から、教室に俺の居場所はなかった。これまで調子にノっていたツケが回ったのだろう。誰も俺と口を聞こうとしなかった。―――― 一部を除いて。
( ^ν^) 「よう!おもらし野郎元気かあwwww!!?」
(# ω ) 「…うるせえ」
(’e’) 「おぉwwこわやこわやwwww元『蟲帝』様がお怒りだぁwwww」
( ^ν^) 「散々調子にノってたのになあwwww今じゃこの学校でおめえよりランクが下の奴なんかノービスの下級生以外にゃ誰もいねえんだぜ!!」
(’e’) 「やーい!!おもらし野郎!!」
( ^ν^)’e’) 「「お〜もらしっ!お〜もらしっ!」」
いじめは酷いもんだった。『おもらし帝』なんて不名誉なあだ名をつけられたのはまだ序の口で、それこそ靴に画鋲を仕込んだりするようなテンプレートなものから、クラスの全員が俺を無視したり、給食にゴミを入れられたりとどんどん過激になっていた。
初めの内は我慢していた。自分がしてきたことへの報いだと思った。俺が我慢して学校に行っていれば、相棒への贖罪になるような気がしていた。
王様だけじゃない。権力者が調子にノって失脚することなんて、歴史上ままあることだ。次の大会に出て皆を見返してやればいい。そうすればまた元通りだ。前みたいに皆が俺に憧れて、皆が俺に話しかけてくれる。羨望の目で俺を見て、今みたいなのとは違う温かい笑顔を向けてくれる。………そう思っていた。
38
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:19:37 ID:Vo7YzuTk0
どうやら長年調子にノり続けた俺の心はすっかり贅肉が付いてしまっていたらしい。今の自分が間違っているなんて微塵も思っていなかった。そうして栄光の日々、実際には調子にノってやらかしていた時期に戻ることを夢想しながら、現実逃避をして日々を過ごした。………相棒はいつか生き返ってひょっこり俺の元に帰ってくるなんてありえもしないことを考えたりもした。
だが、ある日机の中に首のもがれたカブトムシが入っているのを見つけた時に、俺は現実と再び対面することになった。掌に乗った小さなオスのカブトムシ。その死骸に相棒が重なった。逃げに逃げて目を逸らし続けてきた現実は、雲に届くくらい大きな化け物になっていて、俺にはもう甘い夢も逃げ道も残されていないことを知った。
掌に乗っているかつて動いていたそれ見て感じたのは、この死骸の無念や小さな命に対して残酷なことをした同級生への怒りではなかった。ただただ、自責の念だけだった。お前が相棒を殺したのだ。お前が調子にノったから俺は殺されてお前の掌にいるのだ。掌の上の死骸がそう言っているように感じた時、俺は再び過呼吸を起こした。騒ぎを聞きつけて見かねたツンが保健室に運んでくれたが、誰一人として手を貸そうとするやつはいなかったらしい。
それ以来、昆虫を見る度に首がもがれた相棒の姿が目に浮かび、過呼吸を起こすようになった俺は、やがて学校に行かなくなった。
39
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:20:17 ID:Vo7YzuTk0
とにかく一人になりたかった。相棒が俺のせいで死んだという事実を突きつけられる度に苦しくなって、どうしようもなくなった。
一日中暗い部屋に篭って、膝を抱えていた。両親が扉を叩いても決して開けずに座り続けた。
相棒を失ったという事実だけが、ただただ頭の中にこびりついて離れない。
( ω ) 「……相棒」
そう呼びかけても一人きりの暗い部屋に返事を返す者は誰もいない。
静寂がより寂しさを、虚無感を喪失感を募らせた。
母が扉の前にこっそりと置いてくれる食事も全くのどを通らなかった。登校の時間になると幼馴染のツンが部屋の前に来て声をかけていった。
ξ゚⊿゚)ξ 「…今日も出てこないのね。待ってるから」
ξ゚⊿゚)ξ 「あんたが来ないとビートルも張り合いがないじゃない」
そんな風にして毎日は過ぎていった。
40
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:21:09 ID:Vo7YzuTk0
引き篭もって一週間ほど経過したある日、細く窓から差し込む光の中に相棒の姿が見えた。
( ω゜) 「…あ!相棒!!」
声をかけても相棒は静かに首を振るだけだった。
慌てて近づこうとすると、バランスを崩してベットから転がり落ちた。顔から無様に着地する。痛みに呻きながら、起き上がろうと手を着くと何かが手に触れた。
( ω ) 「……これは?」
虫網だった。酷くボロボロなそれは僕が幼かった頃、誕生日にロマ爺ちゃんがくれた物だった。虫網に触れた途端にジワリと視界が滲んで漫画みたいな量の涙が溢れてきた。止めようとしても止まらなくて、俺は自分でもどうしていいかわからなくなってわんわん泣いた。
しばらくそうして泣いていると階段を上がってくる足音が聞こえた。足音は扉の前でぴたりと止まった。
―――――カチャカチャと何かをいじっているような音がする。
扉の外の人間はそうとう短気なようで、なかなか上手くいかずイラついているのか工具を床に投げつけたような金属音の後、ドアを拳で殴っているような音が聞こえてきた。
41
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:22:02 ID:Vo7YzuTk0
ξ#゚⊿゚)ξつ 「…おっらあぁ!!!!」
扉をピッキング…もといぶち破って入ってきたのはツンだった。
( ;ω;) 「……ツンかお?…僕のことはほっといてくれお」
ξ#゚⊿゚)ξ 「うるさい!!いつまでもメソメソしてんじゃないわよ!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「思い出したように語尾に『お』なんてつけやがって!!!!」
( ;ω;) 「…なんだってんだお!?こんな時に来て喚き散らして………一体僕にどうしろって言うんだお!!?」
( ;ω;) 「……僕は…僕は地位も……名誉も友達も………相棒も!!全て!!!!……全てを失ったんだお!!!?」
( ;ω;) 「これ以上何をしろって言うんだお!!?これ以上どうしろって言うんだお!!?」
ξ#゚⊿゚)ξつ)#;ω;) 「うるさあぁぁぁぁあああい!!!!」
42
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:22:47 ID:Vo7YzuTk0
ξ゚⊿゚)ξ 「…いい?ブーン、黙って聞きなさい」
(;;%ω ) 「…………お…」
ξ゚⊿゚)ξ 「君が自分を信じられなくなった時、くじけそうになった時…僕を見るお!!……今、僕は君よりもランキングはかなり下だけど、必ず強くなるから。絶対に絶対に強くなるから、才能が無いと言われた僕が頂点を取るから!!いずれ頂点を取る僕に君は勝ったんだから!!自信持ってその無い胸を張っとけお!!……って言ったわよね?」
ξ゚⊿゚)ξ 「……あんたが私の背中を押したのよ?わっけわかんない自信と暑苦しくて安っぽいセリフで!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「そのあんたが!!…いつまでメソメソしてんのよ!!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ドクオやショボン、皆に言ったことも嘘だったの?テキトーだったの?あんなこと言って、強くなった自分に酔って、腹の中では必死こいて頑張ってるあたし達を馬鹿にしてたっての!?…あんたの言ったことってそんなもんだったの?」
ξ#゚⊿゚)ξ 「……ふっざけんじゃないわよ!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「悔しかったら!!ジョルジュの奴なんかぶっ飛ばして見せなさいよ!!!!」
43
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:23:31 ID:Vo7YzuTk0
(#;ω;) 「もう……!!もう相棒は…!……ノイジーはいないんだお!!!?」
(#;Д;) 「……ノイジーは死んだんだおぉぉおおお!!!!」
(#;ω;) 「相棒もいないってのに僕にどうしろって言うんだお!!!?」
ξ‐⊿‐)ξ 「…………あんたが手に持ってるそれは何?……赤ん坊じゃないんだからそれ位自分で考えなさい」
ξ゚⊿゚)ξ 「とにかく、大会まで後1か月ちょっとよ。……私はあんたを待ってるわ」
ξξ ゚) 「そういえば、『雷光』が『蟲帝』に挑んだわ……結果は言わずもがなよ」
ξξ ゚) 「友達なんでしょう?お見舞いくらい言ってあげたら?………じゃあね」
部屋に残された俺はぶち破られた扉を見つめて呆然としていた。
どれぐらいそうしていたのだろう。やがて部屋には暗闇が広がり、僕の身体と部屋の空間の境を曖昧にしていった。時間は溶け落ちていくアイスクリームようにゆっくりと過ぎていく。……僕は………僕は…!!
44
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:24:30 ID:Vo7YzuTk0
………ツンはなんて言った!?…ショボンがジョルジュに挑んだだと……どうして…?
虫網で何をするのか考えろって!?…そんなの決まってる。俺は誰で何をしているんだっけ?敵を討とうったって相棒はいないんだ…どうしたら………。目を閉じて闇に身を任せていると様々な考えが浮かんでは消えていった。
二度目の太陽が上がった時、僕は立ち上がった。僕にはやらなきゃいけないことが山ほどあった。陽の光が顔を照らしていく。目を瞑ったまま頭に浮かんでくる思考は嫌になるほどクリアだった。
僕はもう『蟲帝』のブーンじゃない。気取る必要もなければ、勝ち続けるごとに重さを増していく凄まじい重圧を抱えて一人悩む必要もない。
そうだ!そうだったはずだ!!昔、勝ち負けや位に関係なくビートルにただただ楽しんでいたあの時みたいに、死に物狂いで相棒と一緒に目の前の強敵に挑んでいたあの時みたいに!!仲間達と相棒の笑顔に囲まれていたあの時みたいに!!僕にできるのはただ、ただ真っ直ぐひたすらにぶつかっていくことだけなんだ。他は知らない。他にはいらない。ただそれだけなんだ。
相棒は死んだ。僕の油断と不甲斐なさのせいで惨たらしく殺された。殿堂入りという至上至極の栄誉を夢に見ながら後一歩のところで破れたのだ。
45
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:25:13 ID:Vo7YzuTk0
目を開けた。朝陽が眩しかったが、グッと目を喰いしばって真っ直ぐに太陽を見据える。
( ^ω^) 「…そうだお。ノイジービートは…相棒は……僕の中にいる。」
( ω ) 「…僕が忘れない限り!この胸に!この瞼の裏側に!相棒はいるお!!」
( ^ω^) 「ツンやっとわかったお。僕が何者で何をすべきなのか…!」
(#゜Д゜) 「おおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!」
吠えた。なんでか自分でもわからないけどただ、そうしたかった。
着ていた服を脱ぎ捨て、短パンを履くと白いランニングシャツに袖を通した。相棒の手紙をポケットにねじ込むと窓の近くにある机に近づいて、埃をかぶった麦わら帽子を掴む。『蟲帝』には似合わないと家に置いていたそれ。かつて誕生日に親友達から貰ったそれを埃を払って被った。
虫篭とおんぼろの虫網を手に駆け出す。
⊂(#゜Д゜)⊃ 「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」
どんどん地面を蹴って、風になる。久々に動かした筋肉は悲鳴を挙げて、肺が酸素を求める。でも、そんなの関係ない。風を切るように大きく手を広げた。ひたすらに苦痛に耐え、がむしゃらに脚を動かす。意識が体中に広がっていき、体と空気を隔てる皮膚を突き抜けて溢れ出していく。ピンと神経が張るような感覚。心臓がぐんぐんと全身に血を送る度、四肢に力が漲っていく。もっと…もっと!……もっとだ!!
46
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:25:49 ID:Vo7YzuTk0
壁|゚⊿゚)ξ 「……もう!心配させないでよね…」
((○I○)) 「大好きな勇者様が元気になってよかったわねぇ…」
壁|゚⊿゚)ξ 「……帰ったら地獄の特訓メニューね?私達も負けてられないわよ!!」
((○I○)) 「ええぇ…」
((○I○)) (ノイジー…あんたの育てたマスターは、まだまだ青いひよっこだけど間違いなく本物よ……きっとやってくれるわ)
((○I○)) 「…新しい相棒…少し妬けちゃうわね」
ξ゚⊿゚)ξ 「なんか言った?…早く行くわよ!」
((○I○)) 「はいはぁい♪」
47
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:28:11 ID:Vo7YzuTk0
走っている内にいつの間にか山に入っていた。獣道や道なき道をひたすらに走り続けた。顔や手足に枝が当たり、血が出た。それでも走り続けた。野を越え、山を越え、走り続けた。
しばらくするとついに肉体が悲鳴を挙げた。僕は派手にすっ転んでそのまま谷へと木々に体を打ち付けながら落ちていった。
パチパチと火の粉が焼ける音で目を覚ました。どれくらい気を失っていたのだろうか。慌てて周囲を見回すと、衝撃で足に激しい痛みが走った。
誰かが鼻歌交じりに火にかけた鍋をかき回している。お礼を言おうと声をかけた。
( ^ω^) 「……助けてくれてありがとうございましたお。貴方は…」
そこまで言った時、鍋の影から誰かがひょっこりと姿を現した。
48
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:29:06 ID:Vo7YzuTk0
【○I○】 「おぉ!?気が付いたか!!…流石のオレも人間の手当てはしたことがなくってよぅ!!……ぃやあ!!よかったよかった!!」
【○I○】つ 「ほれ!!これでも食って元気だしな!!」
カブトムシがスプーンを差し出して来る。あれ?ギアを使ってないのに声が聞こえる…そんなことを思いながら、スプーンを持つカブトムシの体には不釣り合いなサイズの手を見て僕は驚きのあまり気を失った。
再びパチパチと跳ねる火の粉の音で目を覚ますと、カブトムシが心配そうに顔をのぞき込んでいた。
【○I○】 「……おぉ!さっきは悪かったなあ!!初めて見たからびっくりしたろ?」
(;゜ω゜) 「おっ!…おまっ!!?その手」
【○I○】つ 「あぁ、こいつは人の手に見えるが、本物じゃあねえんだよ。……見てな」
【○I○】⏌ 「…ほっと、まあこの通り」
カブトムシが気を込めると手が砂や落ち葉になって崩れ落ちた。
49
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:29:45 ID:Vo7YzuTk0
(;^ω^) 「なる……それが君の『個性』ってわけなんだおね?」
(;^ω^) 「しかもギアなしで使えるってことは、ツンのアトラの『炎鬼』と同じで先天性の能力かお?」
【○I○】 「そうそう『えすぱー』?なんて言われることもあるn………ちょっと待ってくれ!!あんたアトラの姉御の…!アトラの姉御の知り合いなのか!?」
(;^ω^) 「そうだお。アトラのマスターのツンとは幼馴染なんだお」
【○I○】 「幼馴染ってことは………あんたがノイジーの…ノイジービートのマスターだな?そうなんだな?」
( ω ) 「そうだお……。ノイジービートは僕の相棒だったお」
【○I○】 「そうか…あんたのことだったんだな…。ノイジーやアトラの姉御からの手紙に書いてた殿堂入りに最も近いマスターってのは」
( ω ) 「殿堂入りには近かったかも知れないけど、もう今は違うんだお…」
【○I○】 「………どういうことだ?詳しく聞かせてくれるかい?」
50
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:30:22 ID:Vo7YzuTk0
( ^ω^) 「………わかったお」
僕はそのカブトムシにこれまでのことを話した。カブトムシはうんうんと頷きながら、時に質問を挟んだりすることもあったが、真剣に聞いてくれた。
【○I○】 「そうか……ノイジーは死んだのか」
【○I○】 「あんたも相当に辛かったろうに…よく話してくれた」
( ω ) 「相棒は最後まで精いっぱい戦ってくれたお。……最後は僕の判断ミs」
【○I○】 「いや、あんたはたしかに調子にノってたし、油断もしてたんだろう。……だがその判断を間違ってたなんて言われちゃあ、その指示に従って必死こいて戦ってたノイジーが浮かばれねえだろうが、あんたのせいじゃねえ。…あんたのせいじゃねえよ」
( ω ) 「お。………ごめんお。ノイジーは君の幼馴染で友達だったんだお?それなのに……」
【○I○】 「いいんだ。…あいつは死ぬのも覚悟して、あんたと戦場に立っていたんだからな………。元々クワガタナカセで死にかけるくらいに体が弱くて、先が短かったあいつが全力で命を燃やして、全てを賭けて戦えたのはあんたのおかげなんだからな」
【○I○】 「礼を言わせてくれ。……ありがとうよ」
51
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:30:58 ID:Vo7YzuTk0
( ;ω;) 「おっ……」
【;I;】 「ばっか!泣くんじゃねえよ。…そんなんじゃあノイジーが浮かばれねえだろうが」
( ;ω;) 「……君だってそうだお」
【;I;】 「泣いてねえ!……セミの奴が小便ひっかけてきやがったんだよ」
二人でおんおんと声をあげて泣いた。泣けば泣くほどに相棒との思い出が蘇ってきて、胸がきゅうっと締め付けられるようで、余計に涙が溢れた。しばらくしてようやく涙が枯れてくるとカブトムシが声をかけてきた。
【○I○】 「っ…。そういやあ自己紹介がまだだったな。オレの名前はカブト丸ってんだ。あんたは?」
( つω^) 「…僕はブーンだお。」
【○I○】 「そうか……ブーン、オレを連れてけ。探してたんだろ?そのジョルジュってやつに勝てる奴をよ。」
( ^ω^) 「………いいのかお?」
【○I○】 「ああ、ちょうどオレも腕試しがしたくて、マスターを探してたとこだしな。」
52
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:31:32 ID:Vo7YzuTk0
【○I○】 「んで、そののっこ&ジョルジュとはいつ、どこに行けば戦えるんだ?」
( ^ω^) 「お、一か月後に創作小学校の特設闘技場である大会で勝ち上がれば戦えるお。」
( ^ω^) 「『蟲帝』は僕みたいに自分から申し出ない限りは、基本的に決勝のシードになってるから、トーナメントの優勝者と対戦することになるんだお」
( ^ω^) 「…僕は都落ちの制度が適応されて、今はランキングが最下位の100位なんだけど、ノービスではないから大会への参加は可能なんだお」
【○I○】 「要は大会に出て勝ち上がりゃあいいってわけだな!?」
【○I○】 「よし!そうと決まりゃあ、さっそく大会に向けて武者修行といこうぜ」
( ^ω^) 「わかったお!!」
新たな相棒と契約をかわそうと立ち上がったその時、僕のズボンのポケットから何かがかさりと地面に落ちた。
53
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:32:05 ID:Vo7YzuTk0
【○I○】 「ん!?………ブーン!その手紙はなんだ?」
( ^ω^) 「………こ、これは」
相棒が死ぬ前に書き残したという手紙だった。
慌てて拾い上げて、便箋を開けてそれを読んだ。
( ω ) 「私は間もなく死ぬ マスターの、ブーンのせい ……そんな」
横から手紙を覗き込んでいたカブト丸が、不意に僕の手から手紙を奪っていった。
( ;ω;) 「なにするんだお!?……それは、それはノイジーn…!!」
【○I○】 「なあに落ち着けよ。あいつはたしかにねちっこい所もあったが、死んでまであんたを罵ろうとするような奴じゃないさ」
54
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:32:43 ID:Vo7YzuTk0
そう言うとカブト丸は念力で作った手に、手紙を持ち替え焚き火の上でヒラヒラとそれを躍らせた。フッと紙が焦げるような匂いがして、表面に文字が浮き上がって来た。
【○I○】 「ほらな?炙り出しだ。あいつが好きそうな手だぜ……もう一回読んでみな?」
手渡された手紙にはうっすらと焦げ茶色の文字が浮き出ていた。
再びその手紙をカブト丸と読む。緊張して手に力が入っていたのだろう。ぐにゃりと紙が歪み端がずれ、さらにもう一枚の紙が出てきた。
【○I○】 「今回の手紙はやけに手が込んでいやがる…。あいつ何かを悟って事前に用意していたみてえだな」
( ^ω^) 「私は間もなく死ぬだろう。マスターの、ブーンのせいではない。元々先が短いこの命、その火が消えるまでマスターとともに過ごせて、私は嬉しかった。ありがとうマスター。」
( ^ω^) 「というわけだ。我が生涯における最大の強敵にして、最高の友であるカブト丸。お前にマスターを、オレの夢を託したい。森の長達の元を訪ねろ。きっとお前達に正しい力を授けてくれるだろう。よろしく頼む」
55
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:33:14 ID:Vo7YzuTk0
【 I 】 「勝手なこと言いやがるぜ」
( ω ) 「ほんとに最後まであいつらしいお…」
【○I○】 「相棒からの頼みとあっちゃあ元から、はい以外の選択肢はなかったなww」
【○I○】 「さあ、ブーン。長のもとを訪ねるなら時間がねえ。早速契約といこうぜ」
(@^ω^) 「わかったお。」
契約をするのなんて、相棒と契約を交わして以来ずいぶん久しい。初めて出会った日、森で風呂敷を背負って歩いていた相棒の姿を思い出し、懐かしい気分になった。
ギアを装着し、ギアから照射された紋様を木の枝でなぞっていく。しばらくすると二つのサークルとそれを結ぶ印が出来上がった。僕とカブト丸はそれぞれのサークルに入り、契約の儀を始める。
(@^ω^) 「太古より脈々と受け継がれし、森の勇者の血族よ。我が剣となり、盾となりその力を貸したまえ。曇り無き眼で真実を見据え、己を偽ることなく我は進まん。」
【○I○】 「よかろう!!汝の覚悟、たしかに聞き届けた。今この時より、この身体、この心、汝が剣に、盾にならん。その身を守り、敵を打ち砕き、勝利と栄冠をもたらさん!!」
足元のサークルからブワッと青白い光が出て、僕達に絡みついていく。手の甲に浮き出た印が消えていき、変わりに新しい印が浮かび上がってくる。
( ^ω^) 「またな……相棒」
そう呟いたその時だった。
56
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:34:33 ID:Vo7YzuTk0
(○I○)
より輝きを増していく、光の中にノイジービートの姿が見えた。
相棒は微笑むだけで何も話そうとしない。僕が声をかけようとしたその時、頭の中に声が響いた
(○I○) (……あんなに格好つけていたのに、まったく…いつまでメソメソしているのかと心配したぞ?マスター)
( ゜ω゜)そ 「…お、おまっ!!?相棒!!?」
(○I○) (…我が友カブト丸と契約したようだな。あれは強いが不安定だ。…師もなく、両親もなく一人で修行を重ねるうちに強くなった。好敵手と決めつけた俺とぶつかり合い闘う中で、さらに力を増したが肝心な時に心が弱い。マスターあんたが相棒として、家族として支えてやってくれ)
( ^ω^) 「ノイジー………わかったお」
(○I○) (これから森の長達の元を訪ねて回るのだろう?厳しい修行になるが、決して諦めずに頑張ってくれ。)
( ^ω^) 「お!…ノイジー……一つだけいいかお?」
(○I○) (ああ)
( ^ω^) 「ずっと訊けずにいたんだけど、皆からのスカウトを断って、追い返し続けてついには『創作山の餓狼』の異名まで取ったお前が、どうしてあの日僕のスカウトを受けてくれたんだお?」
(○I○) (たしかに、ずっと言っていなかったな……マスターが訊いてこないから俺も話さなかったんだが………)
57
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:36:09 ID:Vo7YzuTk0
(○I○) (あの日、しつこくスカウトをしてきた人間をやっとのことで追い返して、オレが木の上で休んでいた時にマスターが話しかけてきたんだ)
(○I○) (はじめはただのヒョロッとした子どもだと思った。いつもみたいにちょっと脅かせば逃げ帰るだろうとな……。だが、マスターは違ったしかもマスターはオレの攻撃を全て避け切って見せた。あんまりすばしっこくてついにスタミナを切らしたオレに、マスターは友達になろうなんて言ったんだ。)
(○I○) (それを聞いてオレもなんでか笑いそうになってなあ……。でも、オレにも意地があった。だから最後に俺の一撃を受けてみろって言ったんだ。)
(○I○) (全力で加速して、殺す気で放った『超震甲虫刃』をマスターは目を逸らさずに、両手を広げて本当に受けようとしたんだよ)
(○I○) (馬鹿か!?死にたがりなのか!?それとも本気で当てる訳がないと高を括っているのか?…そう思った。でも、その時見えたマスターの目の奥にオレはたしかな覚悟と………龍を見た)
(○I○) (その時思ったんだ。こいつとなら上に行ける。……こいつならオレの短い生涯の全てを燃やし尽くしてでも、賭ける価値があるってな)
( ^ω^) 「…………相棒」
58
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:37:13 ID:Vo7YzuTk0
(○I○) (初めて言ったんだが……恥ずかしいもんだな)
( つω;) 「……よかったのかお?……僕は弱くて、情けなくって……いっつも君に迷惑をかけたお!!!!もし、もし…あそこで僕が!」
( I ) (…………マスター)
(#○I○)つ (……いや、ブーン!!!!…歯ぁ喰いしばれえええ!!!!)
(#○I○)つ#)゜ω。)
( ;;%ω゜) 「がっ!…がぐぅぁ」
(#○I○) (もしとかたらとかればとか!!!!そんなものに惑わされるな!!)
(#○I○) (ツンに言ったのだろう?…僕を見ろと!!僕を信じろと!!だったらマスターが自分を信じて見せろ!!!!……こんなところでウジウジするな!!それともあの日オレがあんたを信じたことは……オレの目は!!間違ってたって言いたいのか!!!?)
59
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:38:00 ID:Vo7YzuTk0
( ω ) 「そんなこと……そんなこと………」
(#゜ω゜) 「そんなことないおぉぉぉぉおおおおお!!!!」
(#゜ω゜)つ#)○I○)
つ#)○I○) (…それでこそ!それでこそオレが信じたマスターだ!!)
( ω ) 「はあぁ…はぁ!!」
(○I○) (さあて、伝えたいことも全部伝えた。ここいらでお別れだ)
(○I○) (またな!!マスター!!)
60
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/20(日) 23:40:19 ID:Vo7YzuTk0
( ^ω^) 「相棒!僕は……僕は君と闘った日々を忘れないお!!僕が道を踏み外した時にも一緒にいてくれたお前を忘れないお!!」
( ^ω^) 「だから………だから!!またなじゃない!!…『一緒』だろうがお?」
(○I○) (………ああ!!)
(○I○) (…ったく……世話の焼けるマスターだ。)
(○I○) (あとは頼んだぞ…?カブト丸!!)
相棒の姿が薄れるとともに光は次第に弱まり、サークルに吸い込まれていった。
不思議と涙は出なかった。
( ^ω^) 「さあ、行くお!!相棒!!」
【○I○】 「おう!!早速いこうぜ!!」
大会まで後一か月。僕らは森の長達の元を訪ねるという、厳しい修行に出ることになった。
61
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 00:10:52 ID:mZhqihmM0
あんた、グレンラガン好きだろw
62
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 00:42:26 ID:YAd7i0O.0
展開的には好きだけども、ほんとにもろグレンラガンでワロタww
乙
63
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 09:48:55 ID:cM8vch5I0
二話来てたか
64
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 18:15:06 ID:Om0426rs0
乙
65
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 23:34:39 ID:5u5dDdQM0
朝アニメみてえだわ
好き
66
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:28:52 ID:5U/JeUi20
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。
第3話
67
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:30:16 ID:5U/JeUi20
―――――そして一ヵ月が過ぎた。
ミセ*゚―゚)リ 「さあ!今日も始まりました!ビートルの時間です!!マスター達にとって一年の計は、今日にありと言っても過言ではない一大イベント!!!!『G-1 創作杯』が開催されるというだけあって、特設闘技場内を異様なまでの緊張感と熱気が支配しています!!」
ミセ*゚―゚)リ 「昨年はランク外にいた『ルーキー』が、『鬼神』や『金色夜叉』、『魔王』といった上位ランカー達を抑え優勝するという快挙を成し遂げました。果たして今回はどんなドラマが生まれるのでしょうか!!!?実況は私、5年3組のミセリ!そして解説は…」
(゚、゚トソン 「どうも5年3組のトソンです。」
ミセ*゚―゚)リ 「今大会の壮絶な予選を通過し、本戦へと出場する8名の選手の皆さん。まずは本戦出場おめでとうございます!!」
(゚、゚トソン 「今大会は参加者が過去最多で、ノービスの方々も含めて、120名を超えました。その中で厳しい予選を勝ち残り、本戦に出場できたのは、揃いも揃って猛者ばかり。まさに創作小学校ドリームマッチと言えますね」
ミセ*゚―゚)リ 「今大会は一般的なトーナメント……ではなく、荒巻校長が大会を盛り上げるべく、先生方と……お天気祭り?をしながら三日三晩考え抜いて考案したという『くじ引きトーナメント』を採用しています」
68
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:31:22 ID:5U/JeUi20
(゚、゚トソン 「……お天気祭りと言えば聞こえはいいですが、ただの酒盛りです。私とミセリがそれぞれくじを引いて、出た番号のエントリー№を持つ二人が対戦することになります。勝った選手は次の試合を決めるくじへと進むことができるというわけです。………まあ、要するに対戦相手がランダムなトーナメントになりますね」
ミセ*゚―゚)リ 「……猛者達を蹴散らし『蟲帝』ジョルジュ選手と対戦するのは果たして誰なのでしょうか!!?そして栄光を勝ち得るのは!!?……それでは早速、選手達を紹介していきましょう!!」
ミセ *>∀<)リ 「そいじゃあタカラくん!!よっろしくぅう!!!」
(゚、゚*トソン 「審判のタカラ君は今日のために二ヵ月間、山に籠って想像を絶する修行をしていたそうです。その結果、彼の背中に浮き出た鬼の貌も緊張からか、なんだか哭きそうです!」
d( ,,^Д^)bグッ 「お任せあれ!!!!」
( ,,^Д^) 「Lady’s&Gentlemen!!さっそく選手達を紹介していくぜ!!!!」
69
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:31:59 ID:5U/JeUi20
( ,,^Д^) 「まずはこいつらだぁ!!野良試合では百戦錬磨!!なぜか当日になるとインフルエンザや感染性胃腸炎といった病魔に苦しめられ、これまで大会には一切出場したことがありません!!!!生徒たちの間では創作小学校最強とも呼び声高いコンビがついに悲願の本戦初出場だぁぁぁああああ!!!!エントリー№1『無冠の帝王』ぐるんぱ&ヒッキー」
ミセ*゚―゚)リ 「ついに特設闘技場内で、ぐるんぱ&ヒッキーを見られる日が来ましたね!!」
(゚、゚トソン 「ぐるんぱはエレファスゾウカブトという種類です。大きくずんぐりとした体形が特徴で体重と体全体のサイズであればかのヘラクレスオオカブトにも勝ると言われています。彼は力持ちで、優しく穏やかな性格をしていて、ヒッキー君とも非常に仲良しです。……マスターとの強い絆が窺い知れますね。ぐるんぱという名前はヒッキー君が大好きだった絵本に出てくる象からとっているんだとか。…今日はマスターも調子がよさそうです。試合内容が楽しみなコンビですね!」
( ,,^Д^) 「お次はこいつらだあ!!その輝きはまさに太陽の如し、マスターは本校1のイケメン!!ですがその実力は決してマスターの顔の良さだけが理由ではありません!!…その騎士道精神に基づいた華麗なるファイトスタイルは見るものを魅了します!!!!……悔しいことに老若男女問わずにファンが多いぞ!!エントリー№2『聖騎士』ジャック&モララーだああああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「今回も来ました!!ジャック&モララー!!場内には割れんばかりの黄色い声援が響いています!!」
(゚、゚トソン 「ジャックはオウゴンオニクワガタという種類です。黄金色に輝く体と他種のオスに比べ手短いアゴが特徴です。元々は挟む力が弱いのですが、彼らはその攻撃面での弱さを卓越した防御テクニックを活かしたカウンター中心の戦い方をすることで補っています。その堅実なファイトスタイルは年々磨きがかかり、今期は絶好調です。今日に合わせてかなり仕上げてきていますね」
70
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:35:32 ID:5U/JeUi20
( ,,^Д^) 「その圧倒的な実力とタフネスで常に真っ正面から殴り合う漢らしいファイトスタイルは数々のドラマを生み出してきました!!避けぬ!下がらぬ!背は向けぬ!!その底知れぬ体力と規格外のサイズ、そして圧倒的な攻撃力からこの異名がつけられました!!エントリー№3『片角の魔王』くわやん&ロマネスクぅぅぅううう!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「……なんという威圧感でしょうか!?他の選手達より一回りも二回りも大きく見えますね!!」
(゚、゚トソン 「くわやんはエフラスミヤマクワガタという種類です。彼は同種の中でもかなり赤味が強い個体で、その赤い体色の正体は敵の返り血とも噂されていますが、兄貴肌の気のいい人で子ども達にも人気です。先日はミセリの『やっぱり体が赤いってことは他のクワガタの三倍速いんですか!!?』というアホな質問に『いや、俺はライデンの方だからよ!』と笑顔で優しく返していました。ちなみにロマネスク君は無類の甘党で、自室はかわいいぬいぐるみが並んでいるとの情報です」
( ,,^Д^) 「次はこの二人ぃ!!可憐で可愛らしい外見ですが侮ることなかれ!!胸に秘めしは地獄の業火!!!!何度倒れても立ち上がり喰らいつく超攻撃型のファイトスタイルもあって人気急上昇中!!メラメラと燃え滾るその闘志は、果たして帝に届くのか!!!?エントリー№4『炎鬼』アトラ&ツンデレだあああぁぁぁ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「今期一番の注目株の登場です!!実は私もツンちゃんファンクラブに入っていたりしますが、実況はしっかりフェアにやっていきたいと思います!!」
( 、 #)トソン 「…ミセリには私がいるじゃないですか……」
ミセ*゚―゚)リ 「…え?なんて…?」
(-、‐トソン 「ふぅ……アトラはアトラスオオカブトという種類です。非常に気性が荒く、攻撃的な性格をした個体が多かったりするのですが、彼…いえ、彼女自身は乙女心にも理解があり、非常に繊細な心遣いのできる方です。そんな彼女がツンさんにパソコンを借りて、運営している手芸と詩のブログは非常に人気があります。ツンさん自身もかなり器用で、多趣味なことから、実はツンさんがアトラ名義でやってるんじゃ…という噂もあります。そんな不器用なところも彼女の魅力の一つなんだとか………誰ですか?私が書いた放送原稿とコレを入れ替えたりしたのは!?出てきなさい!!」
ミセ;゚―゚)リ 「…わ、わたしじゃないよ…?」
(^、^#トソン 「……別に怒ってませんよ?ただし…この件は後で追及させてもらいますからね?」
ミセ;゚―゚)リ 「……ひ、ひえぇぇ」
71
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:36:44 ID:5U/JeUi20
( ,,;^Д^) (………ミセリちゃん…ごめん!)
( ,,^Д^) 「意外性で言うならこの男を忘れちゃあいけない!!ノービスに落ちるかどうかの瀬戸際で鬩ぎ合っていた遅咲きの才能は、見事にその才能を開花させました!!!!勝利を重ねそのランクは一気に9位まで上昇!!非常に素早く地上、空中においても速さで右の出る者はいません!!!!スロー再生でも追いきれぬその速さは、まさに幻の如く!!対戦相手に影すら踏ませずノックダウンした試合動画は今なお再生回数が伸び続け、そのコンボ数が議論されています。視認不可能の不可避の連撃が相手を砕く!!!!エントリー№5『無影』ポチ&ドクオだああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「この一ヵ月足らずで、なんとランク97位から9位という驚異的なまでの急成長を見せましたこのコンビ!!今大会の注目のダークホースです!!」
(゚、゚トソン 「ポチは角的にカブトムシっぽいとの情報なのですが、映像はその素早さ故に移らず、写真はブレッブレという状態で、現在はカメラマン達の間で彼を綺麗に取ることができれば、カメラマンとして大成するという都市伝説にまでなっています。非常に謎の多い選手ですね。……今大会ではその秘密のベールを暴く者は現れるのでしょうか?」
( ,,^Д^) 「その甘いルックスと紳士的で物腰柔らかな態度からは想像もつかぬ、残虐で芸術性が高いファイトスタイルは一部で熱狂的なファンがいます!!前大会で披露したその『個性』は非常に強力!!その後は棄権者が続出し、なかなか試合でお目にかかることはできませんでした!!そのため彼が出る試合のチケットの価格が高騰し、ファンの女性た
ちによる『オサム狩り』というチケットを強奪する行為が校内で問題になりました!!今日もその力をもって闘技場を真っ赤に染め上げるのか!!?エントリー№6『真祖』ヴラド&オサムだあああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「なかなかお目にかかれないコンビが登場しました!!ファンの皆さん!!この機会をお見逃しなく!!……でも無理やり最前列の席を取ったりするようなマナー違反はしないようにお願いしますね!!」
( 、 *トソン 「ktkr!!!!はぁぁぁ………オサム様ぁぁ…!……ムリ!…ムリムリムリムリムリ!!…やばいやばいやばいやばい!!!!…あぁぁ……尊い…!!」
ミセ ゚―゚)リ 「……むぅ〜…」
Σ(゚、゚トソン 「…ミッ、ミセリ!?……違いますよ!?違うんですよ!!?……こ、これには訳があって!!!!」
ミセ#゚ー゚)リ 「…もういいもん!!…トソンちゃんなんかしらないもん!!」
(゚、゚;トソン 「…そ、そんなあ…!!」
ミセ#゚―゚)リ 「…早く解説したら?」
(゚、゚;トソン 「……え、えぇ〜、と…です…ね。ヴラドはギラファノコギリクワガタという種類です。…あ、あの、あ…っと、え〜……長くて大きいアゴが特徴です。その『個性』はまさに吸血鬼そのものです。っと、です…ねグロテスクなものが苦手な方はご注意ください………あの、ミセリ?…すみませんでした…私が悪かったです………。」
ミセ*゚―゚)リ 「…わかればよろしい」
(゚、゚*トソン 「…ミ、ミセリ!!」
72
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:38:35 ID:5U/JeUi20
( ,,*^Д^) (…はぁ〜……ムリ…尊い)
( ,,^Д^) 「ついに時は来た!!!!私達は君を待っていた!!前々回大会から忽然と姿を消していた元チャンピオン!!その実力は歴代の『蟲帝』達の中でも随一と言われています!!……そう言えば………私が山籠もりしていた…しろ〜……なんだったっけな?山の一番奥の洞窟の中で見かけたような?その美しく輝く白銀の頭髪と陶器のような白い肌が印象的な彼は、その悪魔的なまでの美しさと圧倒的すぎる戦闘力から『白い悪魔』と呼ばれているぞ!!ギアなしでどんな虫とも心を通わせてしまうという伝説のチャンピオンが闘技場に殴り込みだああああ!!!!エントリー№7『白い悪魔』ゼロ&ハイン!!!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「ついに彼が来ましたか!!創作小学校と言えばこの選手です!!この選手無くしてビートルを語ることはできません!!!!」
(゚、゚トソン 「…ついに闘技場で再び、彼を見ることができますね!…果たしてどこまで成長しているのか……全く予想が付きませんね。ゼロはグラントシロカブトという種類です。その『個性』は氷と雪を操るという、まさに虫たちにとって脅威と言えるものです。………果たして彼を打ち破る者は現れるのでしょうか!!??」
( ,,^Д^) 「前回の公式試合にて、まさかの敗戦。学校から姿を消していたあの男が返ってきました。伝説となった相棒の『ノイジービート』を喪い、それでもなお足を止めなかったのは自身のプライド故か…それとも今は亡き相棒に勇姿を見せるためなのか………全身の傷がこの二ヵ月間の修行の激しさを物語っています。一度全てを失った男は果たして再び、栄光を掴むことができるのか!!?…………おいおい?本当にこれ読めってのか?」
( ∵)о=ニニフミセ;;゚―゚)リ(゚、゚;トソン 「ちょ!ちょっと!!?なんなんですか!!!?あなた!!!?」
( *^ν^)’e’) 「「おいおいww早くしろよーwwwwww」」
( ,,;^Д^) 「…チッ!小物が……好き勝手しやがって………ランキング100位のびりっけつエントリー№8『おもらし帝』カブト丸&ブーン!!!!」
ミセ;゚―゚)リ 「な、な、なんだったんでしょうか……」
(-、-;トソン 「すみませんお騒がせいたしました。えー…カブト丸は創作原産のカブトムシになります。新たな相棒と共に闘技場に舞い戻った元『蟲帝』は一体どのようなファイトを見せるのか………期待ですね」
73
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:40:10 ID:5U/JeUi20
――――――特設闘技場・控室
( ^ω^) (不思議と緊張はないお)
【○I○】 (お?マジかブーン!流石試合慣れしてやがるぜ!)
( ^ω^) 「頭の中の独り言に、勝手に割り込んで来るのは君の悪い癖だと思うお?」
【○I○】 「いいじゃねえか〜…お前試合前になった途端に全然話さないから、オレも暇なんだよ〜」
【○I○】 「さっきっから目ぇ瞑って何してんのさ?」
( ^ω^) 「場内にバリアが張られるその瞬間まで、鼓動とあそこにある蛇口の水滴の音を数えるっていうか…自分とリンクさせていくっていうか……」
( ^ω^) 「まあ、とにかくノイジーがいたころからのルーティーンなんだお」
【○I○】 「なるほど、精神統一してたってわけか…邪魔して悪かったよ」
( ^ω^) 「いや、いいお。逆に良い感じに緊張も解れた感じがするし」
74
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:41:00 ID:5U/JeUi20
( ^ω^) 「さ、そんじゃ僕らもウォーミングアップといきますかお?」
【*○I○】 「おっ!型でもやっとくか!?」
( ^ω^) 「お!…ついでに長の教えの復習とルールの確認もしながらやるお!」
【○I○】 「へっへっへwwルールなら、もうバッチリここに入ってるぜ?」
( ^ω^) 「おっおっおっwwほんとかどうか確かめてやるお!」
バッ( ^ω^)つ三Σ【○I○;】
【;○I○】 「お、おい!不意打ちはダメだろ!!?」
( ^ω^) 「何のためのテレパシーだお!今の君なら僕の動作を瞬時にトレースする位寝ててもできるってことくらい知ってるお?」
【;○I○】 「うぉっ!!はっ!?とっ!!」
(;^ω^) 「はっ!!?おまっ!!?普通は生身の人間相手に念力の手とか使わねえお!?」
【#○I○】 「仕返しだぁ!!せいぜい避けなマスター!!」
ブーン達が控え室でアップを始めた頃、闘技場の方では第一回戦の抽選が行われていた。
75
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/24(木) 00:42:12 ID:5U/JeUi20
今日はここまで。少し短めです。
76
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 01:02:31 ID:Wankz8nk0
ライデンはチャロンか
77
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 01:24:18 ID:p58yzIsM0
ジョニー・ライデンの方でねえかな
78
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 03:41:17 ID:3DxkzWzA0
先が気になる!
79
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 09:15:53 ID:l4LBPKws0
タカラ君のキャラが濃すぎぃ!
80
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 14:21:20 ID:HQ1lSATI0
楽しみすぎる
81
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 20:40:52 ID:Usah1vP20
燃え上がってきた
82
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:53:29 ID:60uNXEnI0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。
第四話
83
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:54:36 ID:60uNXEnI0
ミセ*゚―゚)リ 「さて、それではさっそく、くじ引きといきましょう!!……私が引いたのは〜」
(゚、゚トソン 「ヴァララララララララララララ………」
ミセ*゚―゚)リそ 「おおっ!?えっ!!?ドラムロールはボイパなの!?」
(゚、゚*トソン> 「ダンッ!!!!………趣味でして」
ミセ*゚―゚)リ 「ほえ〜…すごいなあ……あっ!!番号は8です!!」
(゚、゚トソン 「それでは私も」
ミセ*゚―゚)リ 「でれれれれれれれれれれれ」
(゚、゚トソン 「おっ!…なかなか上手ですね。」
ミセ*>∀<)リ 「…でん♪」
(゚、゚トソン 「……番号は…6です」
ミセ*゚―゚)リ 「さあ!!残りもジャンジャン引いてくよ!!2!!」
(゚、゚トソン 「私の勝ちですね。」
ミセ ゚A゚)リ 「…そ、そんな……5……だと?」
ミセ*>∀<)リ 「次は1!!」
ミセ;゚A゚)リ 「………1!!?」
(゚、゚トソン 「よーし……3。…これで2対1ですね」
84
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:55:10 ID:60uNXEnI0
ミセ#゚Д゚)リ 「負っけるかあああ!!!!……っしゃあ!!7!!」
(゚、゚トソン 「……4…だと?…結局2対2でしたか」
ミセ*゚―゚)リ 「なんか無駄に熱くなって、一杯引きすぎちゃったね……」
(゚、゚トソン 「……本当は、一試合終えるごとに引くはずだったんですけどね……」
ミセ*゚―゚)リ 「……反省します」
(゚、゚トソン 「………さっ、対戦カードを発表しましょうか?」
ミセ*゚―゚)リ 「…そうだね。タカラ君よろしく!!」
( ,,^Д^) (即興で4試合分の前口上を考えろと……?)
85
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:55:41 ID:60uNXEnI0
( ,,^Д^)bグッ 「…お任せあれ!!」
( ,,^Д^) 「それじゃあいくぜ!!1回戦の対戦カードの発表だぁ!!!!」
( ,,^Д^) 「第1試合『おもらし帝』カブト丸&ブーンVS『真祖』ヴラド&オサム!!」
ミセ*゚―゚)リ 「いきなり実力者同士の対決ですね!相棒が変わっていたりと環境の変化が大きいブーンサイドがやや不利でしょうか」
(゚、゚トソン 「…これは面白い組み合わせですね。元『蟲帝』ブーンが見事な復活を見せるのか、カルト的な人気を誇るコンビがその首を掻っ切るのか……初戦から目が離せませんよ」
( ,,^Д^) 「第2試合『聖騎士』ジャック&モララーVS『無影』ポチ&ドクオ!!」
ミセ*゚―゚)リ 「『聖騎士』はその輝きをもって『無影』の正体を暴くことができるのか!!?」
(゚、゚トソン 「『聖騎士』も速さは並み以上のものを持っていますが、相手はなんと言ってもあの『無影』です。……果たしてカウンターを取らせてもらえるのかどうか……。」
86
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:56:08 ID:60uNXEnI0
( ,,^Д^) 「第3試合『無冠の帝王』ぐるんぱ&ヒッキーVS『片角の魔王』くわやん
&ロマネスク!!」
ミセ*゚―゚)リ 「まさに剛対剛!!力と力のぶつかり合いそんな熱い試合が見られそうです!!」
(゚、゚トソン 「…まさかこのカードが、私が学校にいる内に実現するとは…!どちらも正真正銘、生粋のパワータイプで、近距離ファイターですからね。バッチバチの至近距離でのド突き合いが見られそうです。……果たしてどちらが勝つのか…。解説として情けない限りなのですが、まったく勝敗の予想が付きません!」
( ,,^Д^) 「第4試合『白い悪魔』ゼロ&ハインVS『炎鬼』アトラ&ツンデレ!!」
ミセ*゚―゚)リ 「……ここもでもまさかの対戦カードです!!第1回戦からこんなに豪華でいいんでしょうか!!?生徒達のビートル最強議論でも話題になることが多い、相反する『個性』同士の戦いです!!」
(゚、゚トソン 「………なんということでしょう…。正直、手が震えています。これまで生徒達の間で語られてきた最大級の矛盾が、ここで白黒ハッキリするのですから…。アトラ&ツンデレの炎とゼロ&ハインの氷雪……どちらが勝つのでしょうか?」
87
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:57:03 ID:60uNXEnI0
―――――特設闘技場・控室
固い金属製の扉をノックする音がした。
( ^ω^)○I○】 「「はーい」」
(‘_L’) 「お二人とも、準備はできましたか?」
( ^ω^) 「もちろんだお」
(‘_L’) 「それでは控え室を出て、右手のエレベーターで入場してください」
( ^ω^) 「ありがとうだお」
控室のドアを開け、廊下に出ようとした時に、そのスタッフが声をかけてきた。
88
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:57:44 ID:60uNXEnI0
(‘_L’) 「ブーンさん!」
( ^ω^) 「お?」
(‘_L’) 「…こうして話していると、初めてここで話した時のことを思い出します」
( ^ω^) 「……おっおっww…たしかに、懐かしいおね。…フィレさんもまだ若かったお」
(‘_L’) 「はじめは緊張してガッチガチのひよっこマスターだったあなたが、栄光と挫折を味わい、今、ここにいる……。」
( ^ω^) 「…僕は何にも変わってないお?…調子にノって、それすらも失って0に戻っただけだお」
(‘_L’) 「そんなことはありません。あなたは強くなられた。……あの頃とは比べ物にならないほどに……。…ジョルジュの奴に聞かれるとまずいのです、私は…私はあなたを応援していますよ」
89
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:58:22 ID:60uNXEnI0
( ^ω^) 「……フィレさん…。ありがとう」
( ^ω)b 「勝ってくるお!」
(‘_L’) 「はい!ブーンさん、ご武運を!!」
……試合の直前、最後の最後でダジャレか…。あの人らしいと言えばあの人らしいな。廊下を歩きながら、そんなことを思った。
緊張していない。不安など一切ない。そうやって虚勢を張りながら入場するようになったのはいつの頃からだっただろうか……。
自分には才能があると己惚れたこともあった。自分と相棒だけで戦っていると思っていたこともあった。……闘技場に入れば、僕らは二人ぼっちだ。でも、そうじゃない。僕はいつも色々な人に支えられている。ダウンした時に立ち上がれるのは、ツンやショボンやドクオ、フィレさん、母ちゃん、相棒………そして会ったことは無いけど父ちゃん。それだけじゃなく、もっともっと沢山の人が僕の手を引っ張り、肩を貸し、支えてくれていた。
90
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:58:53 ID:60uNXEnI0
見えなくなっていた。そんなものは弱い者にだけあればいいと思っていた。でもそれは違った………。馬鹿で未熟な僕だから、簡単に見失ってしまう僕だから。
【○I○】 「なーに難しい顔してんだよ!…まだ緊張してんのか?」
( ^ω^) 「んなわけあるかおww」
――――こいつと一緒に一歩、一歩進んで行こう。
( ^ω^) 「さあ!!行くお!!」
【○I○】 「おうよ!!」
僕が拳を前に突き出すと相棒は念力で手を作り、それに応えた。
コツンと拳をぶつけただけで、心の隅っこで毛埃程度に残っていた不安はかき消えた。
( ^ω^) 「ぶちかましてやろうぜ!!」
【○I○】 「脚ぃ引っ張るんじゃねえぞ!?」
91
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/25(金) 23:59:26 ID:60uNXEnI0
―――――特設闘技場
( ,,^Д^) 「それじゃあ行くぜ!!選手の入場だああぁぁぁ!!!!」
( ,,^Д^) 「一度はすべてを失ったこの男……。だがその目は決して死んじゃいない!!瞳の奥に燃え上がる闘志をもって『真祖』を退けることはできるのかぁぁぁあ!!?今ここから、新たな相棒と共に伝説が幕を開けていく!!そんな予感がします!!!!『おもらし帝』はもう一度、華麗に舞い上がり『不死鳥』となることはできるのか!!!?ランキング100位『おもらし帝』カブト丸&ブーンだああぁぁぁぁあああ!!!!!!」
入場門からゆっくりと歩いて闘技場の中央を目指す。
罵声だけでなく、空き瓶やら靴やらが飛んできた。その内いくつかは体に当たり、一つは米神の辺りに当たったが決して、正面にいる敵から目を逸らさない。
ミセ;゚Д゚)リ 「皆さん!!空き瓶などの危険物は闘技場内に投げ込まないでください!!!!……何してんの!!?ケガするじゃん!!!!」
(-、-;トソン 「……ミセリ!…気持ちはわかりますが冷静に」
92
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:01:26 ID:QvuwVXvI0
( ,,^Д^) 「対するは何度でも蘇る伝説の不死者…。その甘いマスクは多くの女性を虜にし、暴動すら起こさせるきっかけとなりました。闘技場に舞い降りた傾国の美男子が!!今一度返り咲かんとする元『蟲帝』の前に立ち塞がるぅぅぅぅうううう!!!!『真祖』ヴラド&オサムぅぅぅぅう!!!!」
闘技場内が一瞬暗くなったかと思うと、空中に突如として真っ紅なバラが咲き乱れた。
その中から、マントを翻してオサムと漆黒のクワガタが現れた。
ゆっくりと地上に降り立ち、恭しく一礼する。
【+ 】ゞ゚) 「…これは、これは……。ブーン君…でしたか?」
( ^ω^) 「お。そういう君はオサムだおね?」
【+ 】ゞ゚) 「……先日の試合、拝見させていただきましたよ?…残念な結果でしたねえ」
( ^ω^) 「ま、そんなこともあるお」
93
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:02:25 ID:QvuwVXvI0
【+ 】ゞ゚*) 「……首を小さなアゴでじょぎりじょぎりと切断されている時の君の表情……!!凄まじい苦痛に耐えていたことで、極限まで力の込められた喉から漏れ出るまるで断末魔のような声………そして失禁…!!」
【+ 】ゞ゚*) 「本っっっ当に……!!自分を抑えるのに精一杯でしたよ!!」
【+ 】ゞ゚*) 「おかげで僕の下着の中も精、一杯……なぁんてね!?」
ミセ*⋂―⋂)リ 「オサムくん何てこと言ってるの…///」
(⋂、⋂トソン 「わかりません…オサム様のこういうところだけはわかりません」
(゚、゚トソン 「…胸元のマイクで音拾ってるんですからね?」
【;○I○】 「なあ、相棒…こいつイかれてんのか?」
( ^ω^) 「さあ?……まあ…変態ではあると思うお」
【+ 】ゞ゚#) 「変態……!!?こ…この……この僕のぉ…純粋なぁ……愛情がぁ!??」
【+ 】ゞ゚#) 「どこが変態的だって言うんだ!!?」
94
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:03:02 ID:QvuwVXvI0
( ^ω^) 「ごちゃごちゃうるさいお…。そんなに僕が欲しいならビートルで勝つことだお」
【+ 】ゞ゚*) 「…あぁ!!……いい!!実にいい…最っっっ高だぁ……!!!!」
【+ 】ゞ゚*) 「ビートルで勝って、その挑戦的な瞳をなんとしても僕だけのものにして見せる…!!!!」
( ,,^Д^) (……世の中、色んな人がいるんだなぁ)
( ,,^Д^) 「ゴホン!……それでは、ルールを説明いたします」
( ,,^Д^) 「ルールは一つ。武器の使用は不可。己の肉体とその個性を持って、正々堂々とその強さを存分に証明してください」
( ,,^Д^) 「それではお二人とも、ギアをセットしてください。……準備はよろしいですか?」
(@^ω^) 「……もちろんだお」
【+ @】ゞ゚) 「……ええ」
( ,,^Д^) 「…試合を開始します。ますは互いに礼!」
95
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:03:30 ID:QvuwVXvI0
【+ 】ゞ゚) 「…ブーン君、君を…!…君を僕のものにして見せる!!」
(@^ω^) 「そろそろ集中しとかないと…痛い目見るお?」
( ,,^Д^) 「それでは両者!リングの外へ!!それぞれ位置についてください」
審判のタカラの声を聞き、僕とオサムはそれぞれの相棒を残してリングの外に出た。
( ,,^Д^) 「それでは皆さんお待たせしました。……ビー!!!!…ファイト!!!!」
【+ @】ゞ゚) 「行けえぇぇ!!ヴラドぉぉぉ!!!!」
【dmb】 「ぎしゃあああぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
(@^ω^) (相棒……ここで一発ぶちかましとくお)
【;○I○】 「っかぁ〜!…虫使いの荒いマスターってのはこれだから…っとぉ!!?」
ミセ*゚Д゚)リ 「さあ!!始まりました第1試合!!!!まずはヴラドが速攻を仕掛けていくぅぅぅうう!!!!…しかしそれをカブト丸は寸でのところで回避しました!!」
96
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 00:04:37 ID:zwGmESr.0
【+ @】ゞ゚) 「……ええ」
棺桶に装着だと…
97
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:05:28 ID:QvuwVXvI0
(゚、゚;トソン 「……いえ!よく見てください!…ミセリ、あれは……相手の動きを完全に見切っています!!寸でのところで回避しているのではなく、敢えて相手の攻撃を紙一重のタイミングと間合いで回避して見せているんです!!」
ミセ;゚Д゚)リ 「…ほ、ほんとだ!!……すごい!!凄まじいレベルの技術と体さばきです!!!!ヴラドの動きを完全に見切り!!蝶の様に!!マタドールの様に!!躱しているぅ!!!!その姿はさながらひらりひらりと舞い遊ぶ蝶のようだああぁぁぁああ!!!」
ミセ;゚Д゚)リ 「今!!闘技場内に褐色の蝶が現れたああぁぁぁぁぁああ!!!!」
(゚、゚;トソン 「オサム選手だって伊達に上位ランカーではありません。以前はもっと苦戦していたはず…!男児三日会わざれば…とは言いますが、なんという……なんという成長速度でしょうか!?」
98
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:05:55 ID:QvuwVXvI0
(@‐ω‐) (……自然に身を任せ、感じとること)
【-I-】 (……常に意識するのは、自分でも相手でもない…)
(@‐ω‐) (影が光を形作るように…)
【-I-】 (周囲の形を見れば、答えは自ずと見えて来るもの…)
(@‐ω‐)-I-】 ((自然を感じとること、これ戦闘の極意なり…!))
ミセ;゚A゚)リ 「…な、なんということでしょうか……どういうことなんだ!!…どういうことなんだ!!!!カブト丸&ブーン!!!!なんと…!!なんと目を瞑ったままヴラド&オサムの攻撃を全て回避しきっています!!!!」
(゚、゚;トソン 「ヴラドはまだ『個性』を使っていませんが……それでもこんなことあり得ませんよ!?」
99
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:06:20 ID:QvuwVXvI0
―――――特設闘技場・観客席
从*゚∀从 「はへぇ〜…!すっごい奴が出てきたなあ!」
从*゚∀从 「これはオレもうかうかしてらんないぞ」
(〇i〇) 「……セリフの割にずいぶんと嬉しそうじゃないか…マスター?」
从*゚∀从 「あったりまえだろ!?…こんなに強い奴らと闘えるってんだから!」
从* ∀从 「…ワクワクしてきたぜ!」
(;〇i〇) (…戦うのはオレなんだがな……?)
((*○I○)) 「よかったわねぇ!マスター!勇者様がパワーアップして復活を遂げたわよ!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「……ほんと…あんなに楽しそうにビートルしてるブーンなんて久々に見たわ……」
((○I○)) 「…あら?…あらあらぁ?…妬いてるの?」
ξ゚⊿゚)ξ 「…ぶん殴るわよ?」
((○I○)) 「あらあら、おっかないったらないわww」
((○I○)) (そりゃそうよね。…あんなに心配してたんだもの……気持ちもわかるわ)
((○I○)) (マスターの分も一発入れてやるために、私も頑張って勝たないとね…!)
((○I○)) (………頑張んなさいよ?カブト丸)
100
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:07:02 ID:QvuwVXvI0
―――――特設闘技場
ミセ#゚Д゚)リ 「ヴラドの猛攻は依然として続いていますが、その攻撃が標的を捉えることはありません!!!!むしろ攻撃している側が追い込まれているという状況です!!」
(゚、゚トソン 「むっ?…ヴラドの羽が光始めました。これは……ついに奥の手を使うようですね」
こんなはずではなかった。サクサクっと簡単に撃破して、失意にうなだれるブーン君を連れ帰り、今頃は美味しくいただいている予定だった。―――――なぜ?
【+ @】ゞ゚;) 「……ヴラド!!『個性』を開放しますよ!!」
【:dmb】 「は!」
ヴラドの羽に暗赤色の光が集まっていく。
光はやがて全身へと広がっていき、ヴラドを包み込む。
――――そんな大きな隙を見逃すブーンではなかった。
101
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:07:40 ID:QvuwVXvI0
ミセ*゚―゚)リ 「!?………目を瞑ったまま、長らく回避に専念していたカブト丸&ブーンにようやく動きがありました!!!!……何やらブーン選手が上空を指さしています!!!!…こ、これは一体!!?」
(゚、゚;トソン 「まさか!!!?………あの、あのオサム選手相手に『一撃KO予告』ですって!?…彼だって、知らない訳ではないはずです!!」
(゚、゚;トソン 「だってヴラド&オサムのその『個性』は、吸血鬼伝説のそれプラス血液操作なんですよ!?何をどうするつもりなんですか!!?」
ミセ;゚―゚)リそ 「ヴラド選手の周りの禍々しい何かがどんどん濃くなっていきます!!!!……あれは!!彼との試合を棄権するマスターが続出するきっかけにもなった技です!!」
(゚、゚;トソン 「…な!!?あれは回避も防御もしようがないですよ!!?」
【+ 】ゞ゚*) 「さぁ!!……ヴラド!!お前の本気を見せてやりなさい!!!!」
【#dmb】 「おおぉぉぉおおお!!!!!!」
カブト丸の周囲を球状に赤黒い何かが囲んでいく。
【+ 】ゞ゚)【#dmb】 「「『穿て貫け死の千本』!!!!!!」」
102
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:08:37 ID:QvuwVXvI0
赤黒い何かから超高速の刺突が繰り出され、体に当たる直前に、カブト丸はヴラドの上空へと瞬間移動。
勝利を確信し、ニヤリと顔を歪めたオサムだったが、敵をたしかに捕らえたはずの赤黒い虫篭の中には何もいない。
ミセ;゚Д゚)リ 「た、たしかに技を受けたはずのカブト丸の姿が、どこにもありません!!!!」
(゚、゚;トソン 「そ、そんな!!?いったいどこに!!!!?」
( ,,;^Д^)そ (……『空』だ!!)
完全に姿を見失った観客達よりも一足先に、タカラがカブト丸を見つけた。
その反応を見て、会場中の視線がドームのど真ん中、上限一杯の所に集まる。
103
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:09:02 ID:QvuwVXvI0
(#^ω^) 「いっくおぉぉぉおおお!!!!!!カブト丸ぅ!!!!」
【#○I○】 「おうよぉぉ!!!!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「な、なんと!!!!カブト丸上空のバリアを蹴って真下に飛行!!!!まさに弾丸のような速度でヴラドへと迫るうぅぅぅぅ!!!!」
(゚、゚;トソン 「それだけじゃありませんよ!!?超高速で落下しながら、スピン凄まじい勢いで前方に回転しています!……これは!!!!ノイジーが過去に一度だけ使用したことがある技と同じムーヴです!!!!」
ミセ;゚Д゚)リ 「超高速落下中に精密に体と恐怖に負けそうになる心をコントロールする必要があり、角に多大なる負担がかかために一度しか使われなかったというあの……!!!??………おおっとぉ!?通常のヴラドが上空を睨んでいますが……!?…反応がおかしいぞぉお!!!!」
(゚、゚;トソン 「今!太陽があるのはカブト丸の真後ろです!!……暗所での生活を好むヴラド&オサムの目は相当眩んでいることでしょう!」
ミセ#゚Д゚)リ 「ヴラドに音速の弾丸が突っ込むうぅぅぅううう!!!!」
104
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:10:06 ID:QvuwVXvI0
(#゜ωI○#】 「「『蝋翼の愚者の鉄槌』!!!!!!」」
ミセ;゚Д゚)リ 「砂ぼこりが凄まじく、我々の席からも何一つ見えません!!!!一体どうなってしまったんだああぁぁぁ!!!!?」
―――――特設闘技場・観客席
((○I○))そ 「あら!懐かしい技を使うじゃないの!!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「……あの技…知っているの!?」
((○I○)) 「あったりまえよん♪…だってあの技、あいつが暴走した私を倒すために編み出した技だし?」
ξ゚⊿゚)ξそ 「えっ!?……ノイジーの技じゃなかったの!?」
((○I○)) 「ノイジーのじゃないわよ。完全にあいつのオリジナル。……第一ノイジーとあいつのじゃあ、筋力も重量も違うし、角の質も違うから別物。まあ悪く言うなら劣化版ってとこね」
ξ゚⊿゚)ξ (………ブーンの奴、あんなに強くなって…。私も負けてられないわね)
105
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:10:41 ID:QvuwVXvI0
―――――特設闘技場
ミセ#゚Д゚)リ 「さあ!!砂ぼこりが晴れてきました!!果たしてどうなっているのかああ!!!?」
Σ(゚、゚;トソン 「あっ!!…あれは!!!!」
ミセ;゚Д゚)リ 「…………なんと!!?大きなクレーターの横で、ヴラドが失神しています!!!!……一体何が起こったのでしょうかあ!!!!」
(゚、゚トソン 「ビデオの映像が届きました!!………こ、これは!!」
ミセ;゚A゚)リ 「なんと……カブト丸『蝋翼の愚者の鉄槌』が決まる寸前で、強引に体勢を変え、ヴラドに攻撃を当てませんでした!!!!……ですが、攻撃は直接当たらなかったものの、その凄まじい衝撃波によって吹き飛ばされ、ヴラドは失神した模様です!!!!」
(-、-トソン 「情けをかけた訳ですか……完敗ですね。」
ミセ*゚―゚)リ 「とにかく勝敗は決しました!!第一試合、勝者は!!!!カブト丸&ブーンです!!!!」
会場にオサムファンの悲痛な叫びが響き渡った。
106
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:11:18 ID:QvuwVXvI0
【*○I○】 「やったな相棒!!!!」
( ^ω^)b 「ナイスだったお!!……あの場面でイカロスぶっ込むとは思わなくて、ちょっとびっくりしたけど」
【;○I○】 「お前が勝手に『一撃KO予告』とかするからだろ!!?」
(;^ω^) 「……そ、それは……目を瞑って回避してたら、なんか…なんかこう……盛り上がっちゃって」
【○I○】 「あいつの『個性』は知ってたからな。心を折らせてもらおうと思って、本気でぶちかましたぜ」
( ^ω^) 「惚れ惚れとするような一撃だったお!」
( ^ω^) 「この調子で二回戦も頑張るお!!」
【○I○】 「おう!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「いやぁ…。意外な展開になりましたね!!」
(゚、゚トソン 「…次の試合も楽しみですね」
ミセ*゚―゚)リ 「それでは第2試合に行きましょう!!!!」
107
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 00:12:49 ID:QvuwVXvI0
今日はここまでです。
明日でなんとかします。
108
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 00:16:22 ID:zwGmESr.0
乙乙
109
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 02:12:57 ID:Ixa9OyoI0
乙!
110
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 15:15:28 ID:vJYt67uw0
乙
111
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:06:16 ID:QvuwVXvI0
1回戦・第2試合
(@‘A`) 「ポチ!!ギアを上げるぞ!!」
〈●ヽIノ●〉 「了解!!」
ミセ*゚Д゚)リ 「まさに疾風迅雷!!電光石火ぁぁぁああ!!!!ポチ&ドクオ爆発うううう!!!!!!」
(゚、゚;トソン 「私達はVIP製の『ゆっくり見えーるくん』をかけているので、本当に何とか目で追えていますが、肉眼でこれを捉えられる者はほぼいないでしょう。……先程から、ポチが動き終えた後に風を切る音が聞こえていますからね。」
(@;・∀・) 「ちっ!…早すぎて指示を出す間もくれやしない」
<dmb> 「マスター!!…訓練を思い出してくれ!!早い相手なら散々やってきているはずだ!」
112
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:06:51 ID:QvuwVXvI0
(@-∀-) 「そうだったな…!」
(@・∀・)そ 「……ジャック今だ!!その甘えたタックルを後悔させてやれ!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「…ここでジャック&モララーがポチの前脚を取ったああぁぁぁぁ!!!!そのまま強烈な足払いいぃぃい!!!!起死回生の一撃となるか!!!?動きに制限の無い空中で、ポチに打撃を加え、浮かせ続けることで回転速度を速めていくううぅぅぅ!!」
(゚、゚;トソン 「こ、この回転速度で叩きつけたら、一発逆転だってあり得ますよ!!!?」
ミセ;゚A゚)リそ 「な、な!!?ポチの体形が変化していくぅぅ!!!!あの艶やかな漆黒のボディはいったい!!?」
(゚、゚*トソン 「…虫ではありますが……いい筋肉してますね!」
ミセ#゚Д゚)リ 「なんと、筋肉質なフォルムに変化したポチが地面に足をついたあぁぁぁああ!!!?回転の勢いはそのままにジャックを掴み、地面に……っ叩きつけたあああああ!!!!!!」
113
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:07:28 ID:QvuwVXvI0
(゚、゚;トソン 「あ、あの回転速度から相手を掴んだまま、片足で無理矢理、自身の体の回転にブレーキをかけることで相手に回転速度をそのまま返すとは……速さだけじゃありません!!…彼は……彼は本物ですよ!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「一回戦・第2試合!!勝者は『無影』ポチ&ドクオだああぁぁぁぁぁ!!!!」
(;・∀-) 「……いてててて………ジャック??」
<dmb> 「…マスター……すまない」
( ・∀・) 「いいんだよ…また鍛えなおそうぜ?…オレも君も」
<dmb> 「……ああ」
( ・∀・) (…にしても、ほんと強かったなあ……)
( ・∀・) (……これは流石の君でも、足元を掬われるかもしれないぜ?ブーン)
114
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:08:14 ID:QvuwVXvI0
(‘A`) 「……大丈夫?ケガはない?」
〈●ヽIノ●〉 「まあな…手ごわい相手だったけどよ」
(‘A`) 「本当にね…。次も……気を引き締めていこう」
〈●ヽIノ●〉 「ああ……!…あっ、すまん。接着剤くれ」
(‘A`) 「…たまに使うけど、何に使ってるの?」
〈●ヽIノ●〉 「ケガの治療と気持ちいいことさ…!……マスター
はあっちに行ってな」
(‘A`) 「…はーいはい」
〈;●ヽIノ●〉 (まだ、大丈夫…まだ大丈夫だ!!)
115
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:08:51 ID:QvuwVXvI0
( ФωФ) 「噂通り強いな。…速いが……軽いと言うのであれば問題はなかったのだがなぁ」
{ dmb› 「あの変化能力は厄介だな」
( ФωФ) 「まあ、あの程度の速さなら、全開であっても目で捉えられる。」
{ dmb› 「まあな…。見てから反撃で間に合うと思うぜ」
( ФωФ) 「その前に、まずは初戦を勝たねばなww」
{ dmb› 「ああ、がんばろうぜ」
ξ゚⊿゚)ξ 「あれがあの誰よりもビビりで、でも優しかったドクオだとはとても思えないわね」
((○I○)) 「あの速さ……とんでもない脅威よ」
ξ゚⊿゚)ξ 「あのパワー重視の形態もね。……ま、それでも私の敵じゃないわ」
((○I○)) (………それにしても…あのポチって子なんて種類なのかしら?)
116
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:09:51 ID:QvuwVXvI0
1回戦・第3試合
ミセ;゚Д゚)リ 「な、なんという壮絶な殴り合いでしょう…!!!!…私、興奮のあまり手が震えが止まりません!!」
(゚、゚;トソン 「防御も回避も一切なしの肉と肉を削り合うような死闘が続いていますね」
(;ФωФ) 「ぐぅ…!……くわやんの後胸腹板を貫くこの威力!重さ!!……これほどの漢が今まで大会に出ていないかったとは…!」
{#dmb› 「おおおっっらああぁぁぁああ!!!!!!」
【<#○I○>】 「…なんて一撃なんだ。踏み込みの思い切りの良さも魂をへし折りに来るようなこの馬鹿げた威力…。……一体どんな修羅場をくぐって来たって言うんだ!!?」
( ;Д;) 「もういい!!……もういいよ!!帰ろう!ぐるんぱぁ!!!!」
117
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:10:32 ID:QvuwVXvI0
【<○I○>】 「ヒッキー……。…ごめん!!」
( ;_;) 「これ以上殴り合ってたら死んじゃうよ!!!?……もうやめよう!!」
【<○I○>】 「おれはそれでも!!……たとえ死んでも!!…マスターを一番にしてえ!」
【<○I○>】 「そして、ここは……ここでだけは背を向ける訳にはいかねえ…!!……ここで逃げ出せば!!………おれは死んでも死にきれねえ!!!!!!」
【<#○I○>】 「…これはおれの……!!最初で最後のわがままだから!!」
( _ ) 「……ぐるんぱ」
【<#○I○>】 「せりゃあああああ!!!!」
{#dmb› 「……おごぉっ!!!?」
( #ФДФ) 「くわやん!!!?…くわやん、しっかりしろ!!!!!!」
118
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:11:01 ID:QvuwVXvI0
( つ_ ) 「わかった…!!……君は戦闘の時も…いつも体が弱い僕を気遣ってくれていたもんね?」
( #゜∀゜) 「…わかった!!思いっきりいこう!!!!ぐるんぱ!!!!!!」
【<#○I○>】 「……ヒッキー……恩に着る!!」
【<#○I○>】 「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「ああっとぉ!!!?ヒッキー選手がGOサインを出したあぁぁ!!!!先程の強烈な一撃でたたらを踏んでいるくわやん!!!!そこにぐるんぱが迫るうぅぅぅうう!!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「負けじとくわやん一歩を踏み出したああっっっ!!!!」
(゚、゚トソン 「このタイミングで下がらずに距離を詰めるとは!!?…これでは距離が近過ぎてまともなパンチなんて打てませんよ!!!?…完全にぐるんぱの間合いを潰しました!!」
119
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:11:37 ID:QvuwVXvI0
ミセ#゚Д゚)リ 「ほぼ零距離と言っていいでしょう!!……この距離で、くわやん!!ぐるんぱの後胸腹板のぺとりと拳を押し付けたあああああ!!!!」
Σ(゚、゚;トソン 「あ、あれは……ワンインチパンチ!?寸勁です!!」
ミセ#゚Д゚)リ 「くわやんの寸勁が完全に!!…完全にぐるんぱを捉えましたぁぁ!!!!!」
( _゜)そ 「……ぐふっ!?」
ミセ;゚A゚)リ 「な、なんn!!?…ここでヒッキー選手が吐血したあぁぁぁ!!!」
120
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:12:08 ID:QvuwVXvI0
【<;○I○>】 「…マ、マスター!!!?」
( #゜_゜) 「いけっっっ!!!!ぐるんぱ!!!!…勝つんだろ!!?」
【<#○I○>】 「…あぁ!!!!行っっっくぜえええぇぇぇえ!!!!!!」
( #ФωФ) 「こい!!!!……受けて立ああぁぁぁああああつ!!!!!!」
{#dmb› 「行くぜ!!行くぜ行くぜ!行っくぜぇぇえええ!!!!!!」
ミセ#゚―゚)リ 「くわやんの拳とぐるんぱの拳が交差するううぅぅぅぅ!!!!!!」
121
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:12:35 ID:QvuwVXvI0
(゚、゚;トソン 「…あれは!!?クロスカウンター!!!?」
(;-ωФ) 「この場面でも貴様は折れぬか………なんという漢よ」
ミセ#゚Д゚)リ 「ぐるんぱの拳がくわやんをとらえたあああぁぁぁぁ!!!!……ついに!!ついにくわやんが膝を折りましたああぁぁぁあああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「1回戦・第3試合……!勝者は『無冠の帝王』ぐるんぱ&ヒッキーだああぁぁぁああああ!!!!」
122
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:12:57 ID:QvuwVXvI0
ちょっと休憩
123
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:44:28 ID:QvuwVXvI0
1回戦・第4試合
ξ#゚⊿゚)ξ 「まっだまだああぁぁぁぁ!!!!アトラ行くわよ!!?」
((;○I○)) 「けど…けどあんたこれ以上は…!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「…あのぐるんぱとヒッキーだって根性見せたのよ?……なのに…」
ξ#゚⊿゚)ξ 「あたしがこんな所で引き下がるわけにはいかないでしょうが!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「あたしはいいから!!アトラ!全開でやんなさい!!!!」
((#○I○)) 「……あぁ!!もう!!わかったわよ!!!……全開であいつをぶった推してやろうじゃないの!!!?」
从*゚∀从 「いいねいいねぇ!!!?……やっぱビートルはそうでなくっちゃ!!!!」
从 ゚∀从 「行くよ!!…ゼロ!!『地を這え真紅の霜柱』!!!!」
(#〇i〇) 「フッ!!!!」
124
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 21:45:04 ID:QvuwVXvI0
ξ#゚⊿゚)ξ 「舐めんじゃないわよ!!…アトラァ!!!!足元一体を溶岩にしてやんな!!!!」
((#○I○))そ 「無茶言うんじゃないわよ!!!!……せいっ!!!!」
ミセ;゚A゚)リ 「理解不能です!!…なんなんだこの試合はあああ!!!?これは、本当に我々の知るビートルのなのでしょうか!!!?目を疑うような大技の応酬!!!!まるでファンタジーの世界に迷い込んだかのようです!!!!!!」
(゚、゚トソン 「……これが互いに創作小学校、最強候補と言われる者達の戦い…!」
ミセ#゚Д゚)リ 「ああっと!!?ここでハイン選手が動きました!!」
从#゚∀从 「行け!!ゼロ!!『氷龍の怒り』」
ξ#゚⊿゚)ξ 「アトラ!!最っ高の技をぶつけてやるわよ!!?」
((;○I○)) 「まったく負けず嫌いなんだから……。私もだけど!!」
ξ#゚⊿゚)ξ((#○I○)) 「「『火炎の巨人』!!!!!!」」
ミセ#゚Д゚)リ 「絶対零度の覇龍と灼熱の巨人が激突ぅぅぅうううう!!!!」
125
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 22:16:31 ID:QvuwVXvI0
Σ(゚、゚;トソン 「…わずかですが『火炎の巨人』が押しています!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「もらったあぁぁぁぁああああ!!!!!」
从 ゚∀从 「チッ!…やるなあ!!」
从 ゚∀从 「ゼロ!!変わり身だ!!」
(;〇i〇) 「おう!!」
ξ゚⊿゚)ξ (あの威力を防いだですって!?)
ξ゚⊿゚)ξ (…でも、どうやら力を使い過ぎたみたいね)
126
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 22:17:05 ID:QvuwVXvI0
从 ∀从 「……ゼロ、おれもそろそろ限界が近いや………やるぞ!!!」
(#〇i〇) 「わかった…!……魔力を供給しろ!!決めるぞ!!マスター!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「な、何が起こっているのでしょう!!?バリアの内部だけでなく闘技場内に雪が降り始めました!!!!」
(゚、゚トソン 「……これは過去にノイジー&ブーン戦で使用したあの技が来ます!!!!」
从 -∀从 「えぇっと…ツンちゃんだっけか?」
ξ#゚⊿゚)ξそ 「なによ!!?…気安くちゃん付けとかしてるとぶっ飛ばすわよ!!?」
从 ゚∀从 「…おっかないなあ……。まあいい、僕らの部族はね、自然を神として崇めてきたんだ。」
从 ゚∀从 「人を生かすも殺すも全ては自然の意思…。すなわち神の意思だってね。」
从 ゚∀从 「そんな自然を人々は崇め、恐れ、そして時にそれらに挑みながら繁栄してきた」
ξ゚⊿゚)ξ 「……何が言いたいわけ?…命乞いなら地獄で受付を済ませてからにしてちょうだい」
127
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 22:18:19 ID:QvuwVXvI0
从 ゚∀从 「……次がオレ達の正真正銘、最後の一撃だ。…受けてみな!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ 「舐めんじゃないわよ!!?真正面からぶっ潰してやるわ!!!!」
从#゚∀从〇i〇) 「「『全て飲み込め大雪崩』!!!!!!」」
ミセ#゚Д゚)リ 「超巨大な雪崩がツン選手を巻き込まんと、その牙をむいたああぁぁぁあああ!!!!」
Σ(゚、゚トソン 「…アトラの手に炎が集まっていきます!!あれは!!?」
ξ#゚⊿゚)ξ 「行くわよ!!アトラ!!」
((#○I○))「ええ!!!!決めるわよ!!」
ξ#゚⊿゚)ξ○I○)) 「「『太古の業火剣』!!!!!!」」
128
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 22:18:39 ID:QvuwVXvI0
ミセ;゚A゚)リ 「………切っちゃった。斬っちゃった斬っちゃいました!!!!!!アトラ&ツン見事ゼロ&ハインの技を迎え撃ちましたああぁぁぁぁ!!!!!!」
ξ‐⊿‐)ξ 「………やって……やった…わ……よ」
从;‐∀从 「も……ムリ」
ミセ;゚A゚)リ 「……な、なんと両者倒れたあああ!!!!???」
Σ(゚、゚トソン 「まずいですよ!!?大きな力ほどマスターの脳にかかる負担は大きいんですから!!!!」
( ,,;^Д^) 「救護班急げえ!!!!すぐに保健室に運ぶぞ!!」
129
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 22:32:04 ID:QvuwVXvI0
そこからはもうてんやわんやの大騒ぎだった。
実況のミセリから二人とも命に別状は無いとの放送があった。
そして、もう一つ重大なことが彼女の口から告げられた。
ミセ*゚―゚)リ 「これより、2回戦の組み合わせを発表いたします!!」
ミセ*゚―゚)リ 「第3試合の勝者ぐるんぱ&ヒッキー選手がケガにより、ドクターストップがかかり、続けて試合を行うことができなくなりました。また、第4試合の2名もこれ以上の戦闘行為は、脳への負担がかかりすぎるということで、この後の試合続行が不可能となりました」
ミセ*゚―゚)リ 「よって、次の2回戦『復活者』カブト丸&ブーンVS『無影』ポチ&ドクオ選手の試合が決勝戦となります!!」
130
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 22:36:21 ID:Ixa9OyoI0
しえ
131
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 23:04:31 ID:L8DQrCVE0
なんと
132
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:09:15 ID:QvuwVXvI0
ミセ*゚―゚)リ 「まさかの事態となりましたね……」
(゚、゚トソン 「ドクターストップでは仕方がありませんよ…」
ミセ*゚―゚)リ 「それでは決勝戦です。」
ミセ*>∀<)リ 「タカラ君!!よっろしくぅぅぅうううう!!!!」
( ,,^Д^)bグッ 「お任せあれ!!!!」
( ,,^Д^) 「Lady’s&Gentlemen!!さあ!!両選手の入場だあ!!!!」
( ,,^Д^) 「まずは先程の試合で圧倒的な実力を見せつけたこのコンビ!!!!『無影』ポチ&ドクオの入場だぁぁぁぁあああああ!!!!」
( ,,^Д^) 「続いて赤コーナー…!!もはや説明は不要!!今日ここに蘇ったこのコンビ!!『復活者』カブト丸&ブーンの入場だああぁぁぁああああ!!!!」
133
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:09:43 ID:QvuwVXvI0
ギイィと鉄と鉄が擦れて悲鳴を挙げた。
控室の扉が開くと同時に聞えてきた歓声とその異様なまでの熱気が俺の面を引っ叩く。
風に巻き上げられた砂ぼこりに目を細めながら、一歩一歩静かに以前よりも格段に立派になった闘技場の真ん中へと歩を進める。
( ,,^Д^) 「では、ルールを説明いたします」
( ,,^Д^) 「ルールは一つ。武器の使用は不可。己の肉体とその個性を持って、正々堂々とその強さを存分に証明してください」
( ,,^Д^) 「それではお二人とも、ギアをセットしてください。……準備はよろしいですか?」
(@^ω^) 「……ああ」
(@‘A`) 「いつでもいいぜ」
耳に手を当てると、青い光が走りヘッドフォンのようなものが出現する。
134
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:10:25 ID:QvuwVXvI0
(@^ω^) 「ドクオ……久しぶりだお」
(@‘A`) 「………おう。久しぶりだな」
(@‘A`) 「あの日の試合を見てから、オレは死に物狂いで特訓してきたんだ」
(@#‘A`) 「……オレが憧れたお前を!!お前のビートルを!!!!…否定するためにな!!」
(@^ω^) 「…そうかお………」
あの頃の優しかったドクオは歪んでしまった。僕のせいで、僕があの日醜態をさらしたせいで……。グッと唇を噛み締める。
( ,,^Д^) 「それでは両者!リングの外へ!!それぞれ位置についてください」
審判のタカラの声を聞き、僕とドクオはそれぞれの相棒を残してリングの外に出た。
135
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:10:58 ID:QvuwVXvI0
( ,,^Д^) 「それでは皆さんお待たせしました。……ビー!!!!…ファイト!!!!」
(@#‘A`) 「行くぞ!!ポチ!!!!……全速全開だぁあぁぁぁぁあああ!!!!」
〈●ヽIノ●〉 「おおおう!!!!!!」
(@^ω^) 「カブト丸!!迎え撃つお!!!!」
【#○I○】 「了解!!マスター!!」
ミセ*゚―゚)リ 「さあ!!始まりました決勝戦!!!!両者やはり様子見一切なしだあああ!!!!なんという速度の攻防でしょうか!!!?」
(゚、゚トソン 「すごいですね。あのポチの神速にカブト丸は気配を読んで、動きを予測することで互角に渡り合っています」
ミセ*゚―゚)リ 「先程のオサム戦で見せたあの動きに近いでしょうか。ポチの攻撃をいなし、躱していくうううぅぅぅうう!!!!」
136
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 23:14:14 ID:gzf9mr5Q0
>>129
ブーン組の二つ名が変わった!
137
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:32:48 ID:QvuwVXvI0
その時、頭の中に声が響いた。
(???) 「もはやこの世界には少しも時間が残されていません」
(@;^ω^)そ 「だれだお!?……あんた一体何者なんだお!!?」
(???) 「私が何者か…それは……」
o川*゚ー゚)o 「てってれー♪……キューちゃんだよ!!」
( ^ω^) 「キュー……ちゃん?」
( ^ω^) 「チョコボ○ルのマスコットかお?」
o川#゚ー゚)o 「誰がハシビロコウを元にしとんねん!!?アホか!!」
( ^ω^) 「あー…緑色で細長い表面がぶつぶつしたあの…!」
o川#゚ー゚)o 「それはキューカンバー!!誰が味噌マヨで美味しく頂かれるか!!」
( ^ω^) 「それで、今いいとこだったのに何の用だお?」
138
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:36:16 ID:QvuwVXvI0
o川*゚ー゚)o 「さっきも言ったけど、この世界にはもう時間がないの」
( ^ω^) 「ほーん。そんで?」
o川*゚ー゚)o 「だから、私達は敵が攻めてくる前に何とかこの世界を、あなた達を逃がすことにしたの!!」
( ^ω^) 「逃げるって………。」
( ゜ω゜) 「まさか!!?……それはだめだお!!ここまでの頑張りが全部意味がなくなるお!!?」
o川*゚ー゚)o 「でも、仕方ないことなの…。だから、ごめんね……皆」
139
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:37:45 ID:QvuwVXvI0
ヽ`
´
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´
( ゜ω゜)そ 「なにもこんな形でタイトルの伏線回収しなくてもーーーーー!!!!!!!!!!」
140
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/26(土) 23:41:20 ID:QvuwVXvI0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。は結果発表が終わってから、ここファイナル板で続きが読めるぞ!!
※ビート・イット!!すなわち「beat it」とは逃げろ!やずらかれ!的なニュアンスのスラングです。
141
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 23:44:34 ID:S/4GGR.k0
爆破オチなんてサイテーヨ!!!
142
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 23:57:59 ID:L8DQrCVE0
絶対ゆるさんからなお前
俺のときめきを返せ
143
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 00:01:45 ID:19RAys4U0
時間切れ故に致し方なし
144
:
◆f7fJEvGVN6
:2017/08/27(日) 00:02:39 ID:s7uNrMv.0
本当に申し訳ありませんでした。
続編の方で、今回は端折っていた試合などもガッツリ描写しますので、よりときめくことができるかと思われます。
145
:
◆TflJu3mvXc
:2017/08/27(日) 00:43:18 ID:dF1yZd0E0
【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
このレス以降に続きを書いた場合
◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)
となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)
詳細は、こちら
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
】
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295
】
146
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 01:20:37 ID:l1RwCBv60
楽しみに待ってる
147
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 01:40:26 ID:qU105NzM0
爆発オチワロタ
待ってるぞ
148
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 01:41:12 ID:qU105NzM0
すまぬageてしまった…
149
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 02:10:50 ID:s0hxY5Ik0
続編でときめかせてもらうでござる
150
:
名無しさん
:2017/08/27(日) 14:21:57 ID:YmqS80bg0
つづき待ってるから……!
熱い戦いを待ってるからな……!
151
:
名無しさん
:2017/08/29(火) 23:32:09 ID:8EfDBlnQ0
乙
この華麗までな流れの代わりで爆笑してしまった
熱い展開が最高だ!待ってるぞ!!
152
:
名無しさん
:2017/08/30(水) 19:13:01 ID:gvmf.ouA0
仕切り直しって訳か……
153
:
名無しさん
:2017/09/13(水) 15:40:00 ID:fSYhSdos0
大人のホビー漫画って感じで熱かった
投票期間は終わったから、また続きを読ませてくれよ
154
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:03:41 ID:9uqGeTK60
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第1話
155
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:06:38 ID:9uqGeTK60
―――――k…t……おkて………。
―――――おk…t……きて………。
――――ブーn………-n!!
156
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:07:34 ID:9uqGeTK60
( ;ω;)ガバッ
( つω;) 「………なんだったんだお?」
最近、目を覚ますと泣いていることがある。
酷く懐かしい夢を見ていたような気がするんだけど、夢の内容は酷く曖昧ですぐに思い出せなくなる。
一体どんな夢を見ていたんだろう……。
ノートに書いてみようとしても何一つ思い出すことができず、鉛筆はぷらぷらと空中に不規則な円を描くだけだった。
今日も真っ白なノートに向かってはみたものの、夢に関する記憶は既に無く……。
ガサガサと葉っぱの暖簾をくぐる音がして、誰かが洞に入って来た。
157
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:08:31 ID:9uqGeTK60
【○I○】 「おう!ま〜た例の夢のことか?」
( ^ω^) 「そうだお。……これが全っ然思い出せなくて………。」
【○I○】 「……なあブーン?覚えてねえってことはよ〜…。意外とどうでもいいことなのかもしれねえぜ?」
( ^ω^) 「それは一理あるかもしれんね。」
毎日見ているってとこが引っかかるんだけども………。
どれだけ考えても答えは出ないので、ノートをしまい、朝食を摂ることにした。
158
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:09:09 ID:9uqGeTK60
【*○I○】 「さ!…そんなことよりも!早く飯にしようぜ!?」
( *^ω^) 「今日の日替わりは何だろうおね!?」
【*○I○】 「昨日はうどん?ってのだったからな……。今日は肉がいいなあ!!」
(;^ω^) 「おまっ……。雑食だったのかお?」
【○I○】 「もう忘れちまったのか?…初めて会った時に,シチュー作ってたの誰だったか思い出してみ?」
( ^ω^) 「……ああ、理解。」
そんなことを話しながら町を抜けていくと、食堂に着いた。
今日の日替わりはどうやら、ジビエが中心のメニューらしい。
159
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:09:53 ID:9uqGeTK60
( ^ω^) 「………あれ〜?ふっつうにそこらの虫も肉食ってるお?」
【○I○】 「ギアと契約するとゼリーしか受け付けなくなったりする奴もいるらしいけど……まあ基本はキャラ作りっつうか…な?」
( ^ω^) 「…うーん。知りたくなかったな〜……。」
【○I○】 「まあまあ……。互いを知ることも強さへの一歩じゃ!!…って長老も言ってたろ?」
( ^ω^) 「初日からカルチャーショック受けまくりですよぉ」
【*○I○】 「いいじゃねえか!!こんな貴重な体験してる奴,同級生にいないぜ!?…帰ったら自慢できるぞ〜?」
160
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:10:44 ID:9uqGeTK60
( ‐ω‐) 「………ぃ…も」
【*○I○】 「……あ?……芋がどうしたって?」
( #゚Д゚) 「学校行っても!!!僕の席ねえからああぁあぁ!!!???」
(#゚ω゚) 「さっ!!朝の修行に行くおー!!!!」
朝から嫌なことを思い出してしまった。机に代金を叩きつけると店を飛び出した。
強い語気と怒ったフリで、泣きそうになる自分を誤魔化しながら通りを歩いていく。
161
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:12:26 ID:9uqGeTK60
僕らが修行に出てから、かれこれもう二ヵ月になる。
あれ?もう大会の日来てね?って思ったそこの虫フリークの皆。
君達の気持ちはよーくわかる。僕自身も不思議でならない。
だからその辺はぐっとこらえて、話しを聴いて欲しい。話せばわかる。
あれから僕らは、二週間かけて森の長達の元を回った。
それぞれの教えを受けながら、各地を回った。
そして最後の長の言いつけに従って、創作山の頂上にある大木へと向かった。
するとそこには既に森の長達が集結していた。
長達は僕らを労いながら、大木の根本へと連れて行った。
( ^ω^) 「なんだお?……これ」
大木の根本にポッカリと開いたその穴は暗く、底がまったく見えなかった。
ただ、不思議なことに時折、ビュウウウウと音を響かせながら、穴の中から風が吹いてくる。
162
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:13:15 ID:9uqGeTK60
僕らが穴を覗き込んでいると長達が急に僕らの背中を押した。
落ちながら、咄嗟に振り返った時の長達の表情はとてもいい笑顔で………。
(;゚ω゚) 「っっっあぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!???」
【;○I○】 「っっっおぉぉぉおぉおおおおおおお!!!!???」
まあ、死にはしないのかな?なんて変な安堵感を覚えたのもつかの間。
僕とカブト丸はお互いにガンガンぶつかりながら、暗くて狭い木のトンネルを転げ落ちていった。
(;゚ω゚);○I○】 「ああああぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」
163
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:14:46 ID:9uqGeTK60
木のトンネルの中は驚くほどにすっべすべで、擦り剥いたりすることは無かった。
その中を猛スピードで転げ落ちながら、カブト丸と何度も衝突するうちに、僕は気を失っていた。
しばらくして目を覚ますとカブト丸が僕の上で気を失っていた。
(;^ω^) 「ちょっ……重っ!!?どいてくれお。」
【;‐I‐】 「…う〜ん」
何とか、かぶと丸をどかす。
( ^ω^) (……あれ?こいつこんなに重かったかお?)
( ^ω^) (それにいつもよりなんかでっかいような……?)
164
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:15:32 ID:9uqGeTK60
しかし実際は違った。
しばらく僕が首をかしげていると、ようやくカブト丸が目を覚ました。
【;‐I‐】 「…う〜ん。いちちちち……。」
【;○I○】 「何だってんだあ?じいさん達もひでえことしやがる……って。」
そう言って、腰を摩りながら振り返って、カブト丸が固まった。
【○I○】 「……頭でも打ったのか?…今日はマスターがやけに小さく見えやがる……。」
その言葉を聞いて僕はようやく何が起こったのかを理解した。
僕らは顔や体を何度もペタペタと触り、そして顔を見合わせた。
165
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:16:06 ID:9uqGeTK60
(;^ω^) 「もしかして……僕…。」
【;○I○】 「おいおいマジかよ…。」
(;゚ω゚);○I○】 「小さくなってるぅぅぅぅぅううううう!!!!???」
叫んだ僕らの声に驚いて、木々から鳥達が一斉に飛び立つ。
小さい飛行機くらいのサイズ感の鳥達が一斉に羽ばたくその光景。
それは僕らにある思いを抱かせた。
(;゚ω゚);○I○】 (喰われる………!!!!)
異様なまでに濃厚な死の気配がべったりと纏わりついてくる。
いつもはなんとなく眺めていた光景にここまで命の危険を感じたことは無かった。
(;゚ω゚);○I○】 (あああああああああああああああああああああああああ!!!!!)
166
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:16:35 ID:9uqGeTK60
決して声は出さない。……いや、出せない。
出せば鳥達はこちらに気が付き、あっという間に追いついて、僕らを食べるだろう。
学校帰りに街灯の下で、よく見かけた頭だけが残された昆虫を思い出した。
僕らも一瞬でああなってしまうだろう。
僕らは走った。
それはもう死に物狂いで走った。
たまに疲れて、近くの川で休憩した。
(;‐ω‐) 「……っはあ!!はぁはぁ……。」
手で水を掬って一口飲む。
なんだか生き返ったような心地だった。
167
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:17:43 ID:9uqGeTK60
だぱーーーーーん!!と豪快に水を跳ね上げて、魚が僕に躍りかかった。
(#゚Д゚) 「ああああああああ!!!???」
皆は近くで魚の口の中をよく見たことがあるだろうか?
今度、釣りとかしたらよく見てみてほしい。
一度、獲物を捕らえたら絶対に離さんという、気概を感じるあの野性味溢れる歯列を。
もう終わったと思ったその直後、今度は視界が一瞬にして赤く染まる。
ザリガニだった。ザリガニは鋭い鋏で魚を挟んでそのまま、豪快に食べだした。
僕とカブト丸は全身に魚の返り血をびしゃびしゃと浴びながら、その光景を見ていた。
ベルリンの赤い雨ってこんな感じかなぁ?とか母ちゃんよく魚捌くよなあ…とかそんなことを考えてた。
168
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:18:21 ID:9uqGeTK60
しばらくして、魚を食べ終えたザリガニがこちらを振り返った。
次は僕らの番か……と覚悟を決めていると、ザリガニがちょいちょいと鋏で耳を指した。
そこでようやくギアの存在を思い出した僕は、急いでスイッチを入れた。
cr炎ro 「おぅ!!あんたやっぱりマスターだったのか!!?」
(@;^ω^) 「はっはい!そうですお!!」
cr炎ro 「せっかくあるんだからギアは使わないとな!話せねえと思われたら食われちまうぜ?」
(@^ω^) 「…あなたはよく気が付きましたおね?」
169
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:18:57 ID:9uqGeTK60
cr炎ro 「まあな!前にもこの辺に白い髪の人間が来たからな。そいつから聞いたのよ!」
(@^ω^) (……白い髪?…まさか。)
(@^ω^) 「その人ってもしかして…僕ぐらいの大きさで、白いカブトムシと一緒じゃ…」
cr炎roそ 「なんだ!!?知ってるのか!?ハインって言うんだよ!!」
(@;^ω^) (行方不明になってたあの人がどうしてこんな所に?)
170
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:19:31 ID:9uqGeTK60
(@^ω^) 「去年のビートルの大会の決勝で戦ったんですお…。」
(@^ω^) 「めちゃめちゃ強くて、僕らもギリギリだったんですお……。」
(@^ω^) 「でも、なんでか途中で棄権しちゃって……。」
cr炎roそ 「おぉ!!?その話ならあいつから聞いたぜ!!」
cr炎ro 「なんでも…面白い奴が出てきたって嬉しそうに言ってたっけなあ。」
cr炎ro 「あんたのことだったのかあ……。」
cr炎ro 「そっから三十分間くらいずっとあんたが如何にすっげえのかを語っててよぉ…。」
cr炎ro 「オレが鋏で脅しても全っ然止まらねえんだから……笑っちまうよなWWWWW」
171
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:20:36 ID:9uqGeTK60
【○I○】 (……お前さん、結構注目されてたのな)
(@^ω^) (…昔のことだお)
【○I○】 (……そりゃあ、ノイジーの奴が認める訳だ)
(@*^ω^) 「そんなに褒められてたなんて……照れるおww」
cr炎ro 「おう!あんなに弱い昆虫で、あそこまで戦えるんだからすっげえよなぁ!!って言ってたっけかな」
(@^`ω^) 「あ``?」
172
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:21:07 ID:9uqGeTK60
cr炎ro 「だから、あんなに弱い昆虫でよく戦えるなって…!」
(@^ω^)
【○I○】 (……なあブーン、やっちまうか?)
(@^ω^) (いや、こいつに悪気はないお……。)
(@゚ω゚)(ただ、ハイン……てめえだけはぶっ飛ばす。)
;cr炎ro 「ど、どうしたんだ?……なんか怖えぇ顔してるぜ?」
(@^ω^) 「何でもないお。君は悪くないし。」
173
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:22:03 ID:9uqGeTK60
(@^ω^) 「ただ、他人の言葉とはいえこれ以上、僕らの親友を『ノイジービート』を侮辱するならって言うなら……。」
(@^`ω^) 「…そのかっこいい鋏……どっちももぐお。」
cr炎ro (…ああ、な〜るなる。村の奴らが言ってた『来客』ってのもこいつなのか……。)
cr炎ro (……そんなら、ちょっくら腕試しさせてもらうかねえ。)
cr炎ro 「……あぁ?オレの鋏をどうするって?」
cr炎ro 「……もういっぺん言ってみろ。」
cr炎ro (村の門番ってのも案外暇なんでねえ…。たまには思いっきり暴れさせてもらうぜ!?)
174
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:22:46 ID:9uqGeTK60
【;○I○】 (……おいコラ!!ブーン!!……挑発してどうすんだ!?)
(@^ω^) (……ごめん。…でも、ここだけは譲れねえんだお…!)
cr炎ro 「……黙ってねえで言ってみろ!!!!」
cr炎ro 「…それともお友達と一緒で、てめえらも角無しだってのか!!?」
【#○I○】 「上等だあ!!てめえのその面真っ青にしてやっかんな!!!!」
(@#^ω^) 「いくお!!カブト丸ぅぅぅうう!!!!」
175
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:23:31 ID:9uqGeTK60
言うが早いかカブト丸は凄まじい速度で、ザリガニの懐に潜り込む。
潜り込みながら、六つの脚に力を込め、頭角で思いっきりザリガニを跳ね上げようとした。
【#○I○】 「らああぁぁぁああ!!!!!!」
cr炎ro 「……おっと、なかなか早えな」
だが、その一撃は空振りに終わる。
ザリガニは川底を尾で、猛烈なバックステップでそれを躱した。
跳ね上げられた水と土砂が、カブト丸とブーンの視界を奪う。
(@;^ω^) 「なっ!!??」
【;○I○】 「チッ!!…せこい真似しやがって!!」
176
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:24:23 ID:9uqGeTK60
迫る水の壁に、必死に目を凝らすと微かに揺らめく真紅の影が見えた。
その形から相手の動きを瞬時に読み取り、ブーンは指示を出す。
(@^ω^) 「カブト丸!!頭を下げて突っ込むお!!」
【#○I○】 「がってん!!!!」
その瞬間、水の壁を引き裂いて、真紅の鋏が姿を現した。
鋏は、ボクシングのフックような軌道で、カブト丸の胸角すれすれを通り過ぎていく。
cr炎roそ 「おっ!?こいつを躱すか!!!!」
大振りな一撃を放ったことにより、ザリガニは前方に荷重。
よろけたような体勢になった所を狙って、カブト丸は再び頭角を振り上げた。
【#○I○】 「せりゃあああ!!!!」
177
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:25:41 ID:9uqGeTK60
だが、カブト丸のこの攻撃はあくまでもブラフ。
再び、尾を打ち付け後方に飛ぼうとしたザリガニの腹部に、鋭い衝撃が走った。
cr炎roそ 「……なっ!!?」
カブト丸が放った一撃は、単純なもの。
頭角を跳ね上げると同時に、川底の砂利で角を形成し、打突したのだった。
(@^ω^) 「あんたのご自慢のバックステップなんて、こちとら何回も見てんだお。」
(@^ω^) 「僕に同じ手が二回通じると思ってる時点で……。」
(@^ω^) 「…あんた、まだまだだお。」
178
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:26:10 ID:9uqGeTK60
cr炎ro (思った以上にやりやがるな……。)
cr炎ro 「ふふっwwこいつは失礼した!」
cr炎ro 「お前らの今の一撃しびれたぜ?」
cr炎ro 「だから……」
cr炎ro 「こっからは、オレも大本気だあ!!!!」
ザリガニがそう叫ぶと水面が大きく波打った。
179
:
◆HJSTJA2nos
:2017/10/03(火) 00:27:44 ID:9uqGeTK60
今日はここまでになります。
祭りの後、色々ありまして投下が遅くなってしまいました。
マイペースでちょくちょく投下していきますので、よろしくお願いします。
180
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 01:15:10 ID:xiObcwgc0
ついに続編が
期待
181
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 01:22:52 ID:NBPVPobM0
ビート・イット待ってた!
めちゃくちゃ好きだよ、続きも待ってるよ
182
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 02:00:10 ID:QF/8BHNE0
おつ
つづき待機
183
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 15:42:33 ID:LB6FrcMw0
続ききてた!!!!!
見間違えじゃなかった!!!!!!!
184
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 20:32:45 ID:5eqgGq4o0
wktk
185
:
名無しさん
:2017/10/03(火) 22:35:20 ID:y7C07BhM0
待ってた
186
:
名無しさん
:2017/10/05(木) 12:42:51 ID:HuDwCTw.0
乙
修行編からスタートなんだな
続きも楽しみ
187
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:02:34 ID:p35O5wqU0
あけましておめでとうございます!!
本年もどうぞよろしくお願いいたします!!
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第2話
188
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:04:39 ID:p35O5wqU0
あれ?トリ変わってる?
189
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:09:04 ID:p35O5wqU0
【;○I○】 「こりゃあ、やばい気配がするな」
(@^ω^) (……なーる。そういうことかお)
波打つ水面を見て、ブーンは ザリガニの意図を察する。
(@#゚ω゚) 「カブト丸!!!水面に思いっきり攻撃するお!!!!」
#cr炎ro 「もう遅え!!!!」
#cr炎ro 「…いつまでも甘え野郎だ!!てめえの罪を数えな!!『水檻』!!」
ザリガニが鋏を振り上げると三人の周囲をぐるりと囲むように、極太の水柱が吹き上がる。
それらが頂点で結びつき、巨大な鳥籠を作り上げた。
190
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:11:02 ID:p35O5wqU0
【;○I○】 「この規模の能力が使えるザリガニを……オレは一匹しか知らねえ!!」
【;○I○】 「……あんたまさか……まさか…生きてたってのか!!?」
カブト丸の顔に僅かに浮かんだ同様の色を見逃さず、ザリガニが鋏を振り下ろす。
突如としてカブト丸の頭上に渦が出現した。
(@;゚ω゚) 「カブト丸!?上から来るお!!」
ブーンの声を聴き、我に返ったカブト丸は即座に能力を使おうとしたが間に合わない。
その小さな身体は瞬く間に濁流へと飲み込まれた。
【;○I○】 「がああぁぁぁ……!!!」
小石や枝などが含まれた圧倒的な破壊力を誇るそれは、カブト丸のみならずブーンまでも飲み込む。
ブーンは咄嗟に頭を庇いながら横に跳び、ダメージを最小限に抑える。
グッと歯を食いしばり、ギア越しに伝わるカブト丸が受けたダメージに耐えながら、視線だけは逸らさない。
191
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:14:11 ID:p35O5wqU0
ギアの光が青からオレンジへと変わり、小さく警告音が鳴り始める。
キンコーン キンコーン
(@゚ω;) (…チッ!!砂が目に入ったお!!)
(@^ω ) (それに警告が鳴りだしたってことは、カブト丸がまずいお)
キンコーン キンコーン
(@^ω^) 「カブト丸!!…大丈夫かお!!?」
【;##I○】 「……ああ、まあな!!……っっと!?」
【;##I○】 「すまねえ……勝負に私情を挟んだ挙句、マスターに迷惑かけちまった……」
192
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:16:24 ID:p35O5wqU0
(@^ω^) 「全っ然平気に決まってんだお?……まあ気になるなら、後で飯でも奢ってくれお」
キンコーン キンコーン
(@^ω^) (あの高威力に馬鹿げた攻撃範囲の広さ………今まで戦ってきた奴ら以上のバケモンだお)
(@゚ω゚)カッ (…さあて、いくかお)
ブーン達が体勢を立て直す間に、ザリガニは更に水の柱を増やしていく。
cr炎ro (……ほーん…今のを喰らってまだ立ち上がるたあねえ…元『蟲帝』ってのは伊達じゃねえみてえだな)
cr炎ro (マスターの方も眼つきが変わりやがった…何を狙ってくるのやら……)
193
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:17:19 ID:p35O5wqU0
cr炎ro 「おいおい!今は戦闘中だ!ごちゃごちゃ喋ってる暇はねえぜ?」
(@゚ω゚) 「待たせて悪かったおね……」
(@゚ω゚) 「さあいくお!!カブト丸!!」
【#○I○】 「おう!!!」
#cr炎ro 「来やがれ!!!!『八岐大蛇』!!!!」
弾丸のように突っ込んで行くカブト丸に対して、激しい水飛沫を飛ばしながら八匹の水龍がその身を引き裂かんと襲い掛かる。
その隙間を縫うようにして、カブト丸は突き進む。
194
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:18:43 ID:p35O5wqU0
#cr炎ro 「おらおらどうしたぁ!!?逃げてばっかじゃオレにゃあ勝てねえぞ!!」
(@ ω ) 「カブト丸!!右!!…左下と右上から挟撃!!…大きく旋回して回り込むお!!」
キンコーン キンコーン
(@ ω ) 「減速して左に攻撃!!…すぐに後ろから来るお!!」
キンコーン キンコーン
(@ ω ) 「…それを避けたら、次は右に二匹!!更にその後ろから時間差で一匹!!」
195
:
◆HJSTJA2nos
:2018/01/01(月) 00:19:30 ID:p35O5wqU0
cr炎ro (……なんて速さで指示してやがる。……しかもオレの攻撃よりのワンテンポ早え)
;cr炎ro (………まさか、こいつオレの動きを全て読んでやがるってのか!!?)
キンコーン キンコーン
cr炎ro (………だが、念力の連続使用でアイツにゃあ力がほとんど残ってねえはずだ!!)
cr炎ro (…その証拠にさっきっから聞こえる警告音が、この距離でも聞こえやがる)
その時、ザリガニの触覚に小さな振動。
人の呼吸ほどの微かな音をたしかに感知した。
(@ ω ) 「上に攻撃して潰したら、次は上下左右同時!!その次は左!左!上下と右!!!!」
196
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:20:24 ID:p35O5wqU0
―――――だが、なぜ?
たしかにあいつはそこにいるはずなのに。
cr炎ro (……どうなってやがる?)
cr炎ro (……今、『水檻』の中にはこいつしかいねえはず…!!)
水龍の連撃の隙間を縫って、カブト丸がザリガニの左側面から攻撃を仕掛ける。
ザリガニは甲殻を固くすることでこれを防いだ。
――――――はずだった。
197
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:21:05 ID:p35O5wqU0
(#゚ω゚) 「よっしゃあああああ!!!!!」
ザリガニの背後から飛び出したブーンがその甲殻を駆け上がる。
;cr炎ro 「…な、なんだと!!!!!?」
慌てて鋏を振るうが、ブーンはそれを姿勢を低くして躱す。
その時、ザリガニは自身の左側面に付けられた階段のようなものに気が付いた。
;cr炎ro (これは……あいつに攻撃を喰らった場所!!?)
激しく揺れるザリガニの背をブーンは駆け上り、目のすぐ後ろに跨って体を固定した。
198
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:22:30 ID:p35O5wqU0
(#゚ω゚) 「……もらったああああああ!!!!!!!」
ブーンが両手をザリガニに向かって両手を振り下ろしたのと同時に、水龍がザリガニごとブーンを飲み込んだ。
( #ω##) 「………やって……やって、やってやったぉ」
##r炎;;o 「……やってくれたぜぇ…。あの攻撃を見てもビビらずに突っ込んで来やがったのは…虫も込みでテメエが始めてだよ」
水龍をまともに喰らったブーンはザリガニの前にふらりと落ちた。
その後ろに、小さく丸くなっているカブト丸の姿があった。
##r炎;;o 「さっきまで飛んでたカブトムシは石ころかなんかか……?」
##r炎;;o 「…んでもって、さっきまでそこにいたのがマスターの姿を真似たお前か……」
199
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:23:57 ID:p35O5wqU0
##r炎;;o 「石ころのカブトムシが攻撃を回避している様に見せながら、隙間を縫ってマスターが走り込んでオレに接近…」
##r炎;;o 「…飛んでた石を甲殻にぶっ刺して、足掛かりにしマスターがオレの目を狙う」
##r炎;;o 「…まあ、失敗したみてえだけどなあ?」
そう言いながら、ザリガニは脱皮する。
すると中から一切傷の無い甲殻が現れた。
( #ω##) 「……やってやったって…言ったお?」
cr炎ro 「…さあ、てめえらの冒険もここまでだ……っっっ!!?」
弱ったカブト丸にとどめを刺さんと一歩踏み出した途端、ザリガニの視界が揺れた。
;cr炎ro (!!?……な、なんだこりゃあ!?)
;cr炎ro (脱皮した時にゃあ平衡器の中までは脱皮してねえはず……なのになぜ!!?)
200
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:25:37 ID:p35O5wqU0
虫フリークの皆は当然ご存知だと思われるが、敢えて解説させてもらうとザリガニの耳は目のやや後ろにある。
ザリガニには人間のような三半規管がない。そのため目の後ろにある小さな窪みに砂を入れ、平衡感覚を得ている。
目を狙ったように見せかけた一撃は、実はこの耳の中にある砂を狙ったものだったのだ。
飼育係として、クラスのザリガニの水替えや餌やりをしながら、毎日その生態を観察していたブーンだからこそ知っていた弱点である。
;cr炎ro (……なるほど!目はブラフ!!本命はこっちだったって訳か!!!?)
;cr炎ro (だが…!!なんで、なんでこいつらはギアなしで連携がとれてんだ!!?)
( ω ) (…ここまで、きたのになぁ……。くっそ打つ手なしかお…。)
( ω ) (……カブト丸……ごめんぉ)
手元がおぼつかず砂が拾えないザリガニは、咄嗟に自身の前脚を耳に突っ込みその先を折ることで、砂の代わりにした。
201
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:26:31 ID:p35O5wqU0
cr炎ro 「あー………ちっくしょうが…。やってくれたなあ」
そう言いながら、ザリガニは再びカブト丸にとどめを刺さんと歩み寄る。
cr炎ro 「……わりいが…これで終わりだ!!」
ザリガニが鋏を振り下ろしたその瞬間、カブト丸とザリガニの間にブーンが割って入った。
cr炎ro 「てぇめえ……死にてえのか?」
( #ω##) 「……やらせねえお」
cr炎ro 「…そのボロッボロの身体で何ができんだ……どk…!!?」
202
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:46:47 ID:p35O5wqU0
( ゚ω##) 「………やらせねえって…言ってんだお!!」
;cr炎ro ゾクッ (……こいつ、なんて目をしやがる…!!)
目の前にいるのは、自分よりも遥かに体の小さなボロボロの少年である。
だが、その目に思わず逃げ出したくなるほどのただならぬ何かをザリガニは感じ取っていた。
cr炎ro 「……お前、名前は?」
( ゚ω##) 「……ブーン」
( ゚ω##) 「だ……ぉ」
そう言いながら、ブーンは白目を剥いてどさりと倒れる。
その名前を聞いたザリガニは驚きを隠せずにいた。
203
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:51:09 ID:p35O5wqU0
cr炎ro 「………なるほど、こいつは面白れえ」
cr炎ro 「…恩人の息子だ。俺がきっちり育ててやるさ」
cr炎ro 「ひっさびさの戦いがこれとはなwwww……あんたの息子は大したもんだぜ」
cr炎ro 「なあ…バーンよぉ」
そう言って、ザリガニはククッと笑った。
204
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 00:53:12 ID:p35O5wqU0
マイペースに投下とか言っておきながら、仕事が多忙を極め、投下期間が開きすぎてしました。
今年はもう少し頻度が上がる予定でいますので、よろしくお願いいたします。
205
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 01:08:36 ID:23m/i/og0
おつ
待ってた
206
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 09:45:31 ID:uAbZMtCM0
おつ
ようやく来たか!待ってた!
207
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 11:19:29 ID:r70YjzEw0
おつ!
208
:
名無しさん
:2018/01/01(月) 21:49:14 ID:916yBLRw0
乙う
209
:
名無しさん
:2018/01/03(水) 08:47:31 ID:6ipChH/E0
オッツ
210
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:08:18 ID:Y8A4QRk60
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第?話 おまけ
211
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:08:45 ID:Y8A4QRk60
海の底に沈んでいるかのように体が重くて力が入らなかった。
視界はぼんやりとして、はっきりと見えない。
( -ω-) (……ここはどこだお?)
( -ω-) (…気持ちいい…このまま眠っていたいくらいだお)
o川* ー )o 「……はーあ…相変わらず寝坊助なんだから」
( -ω-) (…誰か……誰かいるのかお?)
212
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:09:22 ID:Y8A4QRk60
o川* ー )o 「おーい!起きて〜!!」
不意に聞こえた懐かしい声に、意識が急速に覚醒していく。
(;^ω^)ガバッ 「……!!?」
慌てて飛び起きると目の前に濡れ羽色の髪をした女の子が立っていた。
腰に手を当てて、ほっぺをこれでもかと膨らませている。
o川*゚ー゚)o 「…もう!!まったくお寝坊さんにも程があるよね!!」
o川*゚ー゚)o 「こんなにきゃんわいい女の子が起こしてあげてるってのにさあ!!」
213
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:09:56 ID:Y8A4QRk60
(;^ω^) (……誰〜〜〜〜〜???)
(;^ω^) (いや……この声どっかd)
ブーンが何かを思い出そうとしたその時、思考を遮るかのように女の子が話し始めた。
o川*゚ー゚)o 「おっと!!もうこんな時間!!……まったくまs君ってば全然起きないんだもんね!!」
o川*゚ー゚)o 「おかげでキューちゃんの出番だいぶ尺がやばいよ?ケツカッチンってやつだよ!!」
( ^ω^) 「………キューちゃん??」
キューちゃんと名乗った女の子の顔がパッと明るくなった。
214
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:10:19 ID:ZGyVJnAQ0
再始動きたか…!!
215
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:10:49 ID:Y8A4QRk60
o川*゚ー゚)o 「さっ!時間ないからね!!巻きで話していくよ」
( ^ω^) 「えっ、あっ…は、はい」
o川*゚ー゚)o 「これからね。君はとんでもない化け物と闘わなきゃいけないの」
(;^ω^)ゴクリ 「化け物?…なんの話だお?」
o川*゚ー゚)o 「もし負けると……世界がやばい感じになるの」
(:^ω^) 「やばい……感じに?」
o川*゚ー゚)oコクリ 「そう…やばい感じに」
216
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:12:50 ID:Y8A4QRk60
目の前の少女は真剣な表情で頷く。
語彙力が圧倒的に足りないが故に説得力に欠ける。…だがその表情を見るに嘘ではないのだろう。
( ^ω^) 「それで…?僕はどうしたらいいんだお?」
o川*゚ー゚)o 「とにかく強くなって」
o川*゚ー゚)o 「……今の君たちのまんまじゃ絶対に、あれには勝てない」
( ^ω^) 「まるで僕らを知ってるような口ぶりだおね?」
o川* ー )o 「まあね♪」
( ^ω^) 「……なるほど。なんだか訳ありみたいだおね」
217
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:14:46 ID:LQQDW/k20
!?
218
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:25:45 ID:Y8A4QRk60
o川*゚ー゚)o 「察しが良くて助かるなあ」
o川*゚ー゚)o 「まぁ…とにかく修行、頑張ってね!応援してるよ!!」
少女がそう言うと視界がぼんやりと滲み始めた。
視界が徐々に白く塗りつぶされていく。
この機会を逃せば二度と会えないような気がして、咄嗟に叫ぶ。
(; ω ) 「待って!!キューちゃん!!…君の!!……君の名前は!!?」
o川*゚ー゚)o 「んー……仕方ないなあ」
o川*゚ー゚)o 「……私の今の名前はキュート!」
219
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 22:26:12 ID:Y8A4QRk60
(;^ω^) 「キュート!!…キュートだおね!!?」
(;^ω^) 「また!!また絶対に会いに来るお!!」
そう言った途端、視界が一気に白く染まった。
今の言葉が届いたのかすらわからない。
o川* ー )o 「……ばーか…忘れちゃう癖に」
視界が完全に白く染まる前の彼女は、たぶん笑っていたような気がする。
―――――また、会えるのだろうか?
220
:
◆xSQyS0mXVI
:2018/02/08(木) 22:28:07 ID:Y8A4QRk60
今日はここまでです。
投下し終わってから、トリをつけ忘れたのに気が付いたっていう……。
ほんとなんかすみません。
ではまた。
221
:
◆HJSTJA2nos
:2018/02/08(木) 22:31:38 ID:Y8A4QRk60
あれ?トリ違う?
……何してるんだ…。
質問などがありましたら、お気軽にレスしてください。
現在公開できる範囲でお答えさせていただきます。
必殺技の読み方に関しては、内緒です。
222
:
名無しさん
:2018/02/08(木) 23:12:55 ID:LQQDW/k20
待ってた待ってた
乙
223
:
名無しさん
:2018/02/09(金) 05:38:28 ID:3fUhdlx.0
きてたか乙
224
:
名無しさん
:2018/02/10(土) 02:44:07 ID:lVOszdps0
おお待ってたましたぞ
乙
225
:
名無しさん
:2018/02/11(日) 21:22:41 ID:VGwHm7n60
ウッチキリになった時にも出てたなキューちゃん
226
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:25:52 ID:cm8n.gFg0
お久しぶりです!!
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第3話
227
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:27:09 ID:cm8n.gFg0
闇の底にいた意識が覚醒し、視界が白く染まっていく。
さっきまで見ていた夢はなんだったっけ?まあ、大事なことならいずれ思い出すだろう。
そんなことを思いながら、微睡んでいると聞き慣れない声が鼓膜を打った。
cr炎ro 「よう、気が付いたか?」
この声は…?……この声は!!?
まだ寝ていたいと駄々をこねる体を無理矢理に覚醒させ、ベットから飛び退く。
(;;゚ω゚)ガバッ 「お前は!!?」
そして、即座に戦闘態勢に入る―――――はずだった。
228
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:27:41 ID:cm8n.gFg0
(;^ω^)ガクッ 「…あぐっっっ!!?」
脇腹と脚に激痛が走り、思わず力が抜けた。
このままじゃ、顔を床に打ち付ける。そう思った瞬間に、視界が赤で埋め尽くされる。
;cr炎ro 「…おいおい。怪我人が無茶すんじゃねえよ」
ザリガニは倒れかけた僕を鋏で受け止めて、そのままひょいとベッドに降ろした。
(;^ω^) 「……敵………じゃないのかお?」
cr炎ro 「……まあな」
(;^ω^) 「じゃあ、なん……いでででで」
痛みに顔をしかめる僕を見て、ザリガニはなんだかばつの悪そうな顔をする。
229
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:28:35 ID:cm8n.gFg0
;cr炎ro 「だ、大丈夫か?……いや、元々殺すつもりでやれ、とは言われてたんだが……」
;cr炎ro 「……久々の戦闘とお前らの強さでつい、血が騒いじまってな……すまん」
そう言いながら、ザリガニは鋏で頭を掻くような仕草をする。
こういう所は虫も人も一緒なんだな、なんてことを考えていると隣のベッドの布団が吹っ飛んだ。
……いや、ダジャレとかじゃなく。
【;○I○】 「なあ!!……あんた、アトラの姉御の…炎鬼討伐令が出た時に、一緒に戦った……あの」
【;○I○】 「…ジョーの兄貴……だよな?」
そう問いかけるカブト丸に笑顔を見せてザリガニが答える。
cr炎ro 「……よく覚えてたな」
230
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:29:06 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「そうだ。カブト丸、久しぶりだな」
【;I;】 「……そうか…そうか。…おらあてっきり…あの時、あんたが死んじまったのかと……」
【;I;】 「よかった………よかった」
そう言って涙を浮かべるカブト丸の頭を撫でながら、ジョーはブーンに問いかける。
cr炎ro 「俺達がどんな関係か気になるって感じか?」
cr炎ro 「まあ、なんだ…話せば長くなるんだが……聞いとくか?」
( ^ω^)コクリ 「頼むお」
cr炎ro 「おう……わかった」
231
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:29:32 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「今から七年前になるか……炎鬼…まあ、アトラの『個性』が暴走したことがあった」
cr炎ro 「先天的に『個性』がある奴らがいるのは知ってるな?」
( ^ω^) 「……ああ、アトラとノイジーからなんとなく聞いてはいたお」
cr炎ro 「先天的に『個性』を持ってる奴らは、その『個性』にもよるが基本的には神聖なもんと考えられていた」
cr炎ro 「………だがな、炎の力を持って生まれた奴は森に滅びをもたらす者だとされていたんだ」
cr炎ro 「まあ……そんな中、炎の力を持つアトラが産まれたんだから、なんとなく想像がつくだろ?」
( ^ω^) 「………まあ、迫害されるだろうおね」
232
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:30:22 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「その通りだ。特に森の人気者だった母親を焼き殺して生まれたアトラへの迫害は、並大抵のもんじゃなかった」
cr炎ro 「それでもアトラはずっと笑ってやがんだ……。あいつ強え奴だったよ」
cr炎ro 「……確かに皆、迫害してたんだが、それでもある一線だけは引いていたんだ」
( ^ω^) 「母親の死因についてかお?」
cr炎ro 「…その通りだ。だが、ある日その禁忌を破っちまった一匹のオスがいた」
cr炎ro 「……アトラが泣いてるところを見たのはあれが初めてだったよ」
233
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:30:45 ID:cm8n.gFg0
【○I○】 「姉御はそれでも、我慢して笑おうとしてたんだ…でも、できなかった」
【○I○】「だんだん周りの景色が熱で歪んで行ってよ……」
【-I-】 「姉御の周りがパッと光ったと思った瞬間には、炎がそのオスを食い殺してた」
cr炎ro 「炎はどんどん燃え広がってな……」
cr炎ro 「それまで殺すのには反対していた長達もついに過激派の奴らを抑えられなくなった」
( ^ω^) 「……それで、討伐命令が出たのかお?」
cr炎ro 「…そういうことだ」
234
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:31:40 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「相手が炎の力を持ってるってんで、水の能力を持ってるオレも戦闘に参加することになったんだ」
【○I○】 「当時、うちの森には兄貴以上の水の『個性』を持ってるのがいなかったからな」
cr炎ro 「まあ、暴走したアトラ相手には時間稼ぎしかできなかった訳なんだけどな」
(;^ω^) 「あの攻撃規模と能力で……!?時間稼ぎにしかならなかったってのかお?」
cr炎ro 「どんな攻撃しても、一瞬で水が蒸発させられちまったからな…打つ手なしだった」
cr炎ro 「おまけに体を炎が覆ってるもんだから、接近戦にも持ち込めなかった」
cr炎ro 「終いにゃ、手前が攻撃に使った水で煮られて、自慢の青い甲殻が赤くなっちまったのよ」
235
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:32:46 ID:cm8n.gFg0
(;^ω^) 「でも……それじゃあ、どうやって炎鬼を止めたんだお!?」
(;^ω^) 「あの水量を一瞬にして蒸発させる相手なんて………」
cr炎ro 「暴走したアトラを止めたのは、他でも無いノイジーとカブト丸だ」
cr炎ro 「自分達が止めるから、姉御の命だけは勘弁してくれってな」
cr炎ro 「過激派の連中も森が滅ぶことだけは避けたかったらしい。二人に任せることになったんだ」
【○I○】 「あいつが、地震を起こして姉御の動きを止めた一瞬の隙をついてよ」
【○I○】 「蝋翼の愚者の鉄槌をぶちかましたんだ」
(;^ω^) 「あれって落下による加速に回転を加えることで、斬撃の威力を高めるもんじゃないのかお!!?」
(;;^ω^) 「しかも角にすごく負担がかかるんだお!!……あれでどうやって!!?」
236
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:33:23 ID:cm8n.gFg0
【○I○】 「まあ、おれとノイジーじゃあ角の形状がまるっきり違うからな」
【○I○】 「あいつのは細いから斬撃型。俺のは幅が広いから打撃型って感じだな」
【○I○】 「落下しながら、回転して起こした風をおれの『個性』で増幅したってわけよ!!」
( ^ω^)フム 「…………なる。そんな使い方もできたのかお」
cr炎ro 「まあ、それでな。暴風で掻き消され、脳天を角で思いっきり叩かれたアトラは意識を失った」
cr炎ro 「ようやく『個性』の暴走が止まったはいいが、森の半分以上が焼けちまってな」
【;○I○】 「復旧すんのも一苦労だったぜ…。」
cr炎ro 「その後アトラとノイジーとカブト丸は責任を取る形で森を追放されたんだ」
( ^ω^) (……それでノイジーはあんなとこにいたのかお)
237
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:34:45 ID:cm8n.gFg0
【○I○】 「旅先で姉御はツンに、ノイジーはブーンにそれぞれ出会ったって訳だ」
( ^ω^) 「そうだったのかお。」
( ^ω^) 「お?……カブト丸は?」
【○I○】 「オレはピンと来るマスターがいなくてよお」
【○I○】 「修行しながら、一人で旅をしてたんだ」
cr炎ro 「俺はやけどの奥に残った火が消えなくってな……。そのまま消えるまで創作湖の方にいたんだ」
cr炎ro 「火が消えた後は、戦闘力を買われてここ『雨象之里』で門番をしてたって感じだな」
238
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:35:18 ID:cm8n.gFg0
【○I○】 「……あの日から全然姿も見ねえし、誰に聞いても知らねえって言うからよぉ……」
【○I○】 「………ほんっと生きててよかったぜぇ!!」
cr炎ro 「『不死身のジョー』たあ俺のことよ!そう簡単にくたばるかっての!!」
*cr炎ro 「まあ、あとちょっとで美味しい茹でザリガニになるとこだったんだけどな!!」
【*○I○】 「オレも焼きカブトになるとこだったしな!!」
*cr炎ro*○I○】 「だーはっはっはっはっはwwww」
先程までの雰囲気はどこへやら、人でいう肩や背中をバシバシと叩き合いながら大笑いする二匹。
久しぶりの再会を喜ぶ二匹を見ながら、ブーンはある疑問を抱いていた。
239
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:37:56 ID:cm8n.gFg0
( ^ω^) (さっきの会話の中で、二人はノイジーが地震を起こしたって言ってたお)
( ^ω^) (でも、僕と一緒に戦ってた時のノイジーはそんな能力無かったお?)
( ^ω^) 「………一つ聞いてもいいかお?」
cr炎ro 「おう!なんだ!?」
( ^ω^) 「さっきの会話の中で二人はノイジーが地震を起こしたって言ったおね?」
cr炎ro 「ん?……ああ、言ったな」
【○I○】 「それがどうかしたのか?」
( ^ω^) 「……いや、その………僕と一緒に戦ってた時のノイジーにそんな能力は無かったんだお」
【;○I○】 「っはあ!!?あいつが地震を使えなかっただあ!!??」
240
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:38:34 ID:cm8n.gFg0
(;^ω^) 「ノイジーは超音波みたいな高速の振動しか使えなかったんだお!」
;cr炎ro 「っあ〜………。それについてなんだが」
cr炎ro 「ブーン。お前さん『個性』をどうやって発動するか知ってるか?」
(;^ω^) 「『個性』は虫が本来持つ能力をギアが制御して、マスターが指示を出すことで使えるものなはずだお?」
cr炎ro 「あ〜……今はそう教わってんのね」
(;^ω^) 「え!??ち、違うのかお」
cr炎ro 「いいか?『個性』ってのはマスターから分け与えられたエネルギーがギアを通じて虫に伝わることで発動する」
cr炎ro 「制御してんのはギアじゃねえ。マスターの方だ」
cr炎ro 「虫がより大きな力を使うには、マスターからのエネルギー供給が不可欠なんだ」
241
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:39:11 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「虫がどんなに強力な『個性』を持っていたとしても、マスターの器が小さければ本領を発揮できねえんだよ」
(;;^ω^) 「……な、な…てことは」
cr炎ro 「逆に虫の『個性』が弱くても、マスターの器次第では強力な力になる場合もあるしな」
(;; ω ) 「僕は……僕は…!!ノイジーの力を出し切れてなかったってことかお!!?」
cr炎ro 「……そうなるな。理解が速くて助かるぜ」
(;; ω ) 「そんな!?……そんな!!」
242
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:39:44 ID:cm8n.gFg0
cr炎ro 「…ブーン。お前は確かにマスターとしての器が小せえ」
cr炎ro 「だがそれを覆すぐれえの力を持ってる」
cr炎ro 「瞬時に戦況や相手の力量を見抜く目、咄嗟の時に最適解を出せる頭の回転」
cr炎ro 「それになにより、土壇場で身の危険を顧みずに突っ込む度胸もある」
(;; ω ) 「……ッ僕の!!……僕のせいでノイジーは!!」
cr炎ro 「………ノイジーのことを忘れろとは言わねえ」
cr炎ro 「だが、大事な人を守るために、これ以上傷つけさせないために……お前は前を向かなきゃいけねえ」
cr炎ro 「立って歩くか朽ちるか選べよ。ブーン」
cr炎ro 「まだ立って歩く気があるってなら、俺が一から鍛えてやる」
そう言って、ジョーは鋏を突き出す。
243
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:40:17 ID:cm8n.gFg0
(;; ω ) 「でも……でも!」
僕にできるのか!?ノイジーを殺した僕に!!
そんな思いが頭の中を埋め尽くしていく。
もう少しで全てが黒に飲まれそうになった時、背中を硬いフ節が叩いた。
【○I○】 「………」
カブト丸は何も言わずに僕を見つめている。
たったそれだけのことだったのに、テレパシーだって使ってないのに、伝わってくるものがあった。
cr炎ro 「……どうする?」
( ω ) 「僕は……」
244
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:41:44 ID:cm8n.gFg0
静かにこちらを見つめるジョーの目を見つめ返す。
覚悟はもう決まった。
ノイジー、きっと君ならこう言うんだろう?
( ^ωI○) 「「……ここで逃げたら男が廃るお」」
(##゚ω゚) 「……僕は…僕は強くなりたい!!!」
【○I○】 「……ジョーの兄貴!!よろしくお願いします!!」
ジョーの鋏をしっかりと握る
cr炎ro 「……お前ら二人、俺が責任持って鍛えてやるよ」
cr炎ro 「……まあ、死なねえようにな」
245
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/10(火) 21:44:11 ID:cm8n.gFg0
今日はここまでです。
皆さん新生活、色々あるかと思いますが頑張っていきましょうね!!
僕も書くんで!!
246
:
名無しさん
:2018/04/10(火) 23:27:05 ID:77lPoN160
(;つ��⊂)ゴシゴシ
( ̄・ω・ ̄)
キタ━━ヽ(´ω`)ノ゙━━!!
おかえり!!!
247
:
名無しさん
:2018/04/11(水) 02:44:36 ID:fTUMq5mo0
おつ
そしておかえり!
楽しみにしてた!!
248
:
名無しさん
:2018/04/12(木) 19:36:07 ID:mtumNXoM0
>背中を硬いフ節が叩いた。
ここ好き
249
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:42:17 ID:P8E/ocfI0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第4話
250
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:43:07 ID:P8E/ocfI0
cr炎ro 「さて、そんじゃまあ修行を始めっか!」
cr炎ro 「ブーンの器……謂わば力の限界、容量って感じだな」
cr炎ro 「こいつをでかくする方法はいくつかあるんだが、何せお前らには時間がねえ」
cr炎ro 「だから最短距離で一番険しい山を登ってもらうぜ?」
( ^ω^) 「………覚悟はできてるお」
【○I○】 「ああ、オレもだ」
cr炎ro 「…よし、いい目だ。ついて来な!!」
そう言って、ジョーは歩き出す。
これまで門の外と医務室の中しか見ていなかったのでわからなかったが、雨象之里はかなり広い。
まあ、僕の体が小さくなっているのもあるんだけど……。
251
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:43:44 ID:P8E/ocfI0
里のメインストリートだという、飲食店やら何やらが軒を連ねる通りを過ぎ、里の中央へと向かっていく。
なかなかに人通り……いや、虫通りも多い。時折、その中に人がいた。
以前は虫だけが暮らしていたのだが、ここ数年で人の移住も受け入れるようになったそうだ。
もちろん里のことを口外しないという条件付きだが。
cr炎ro 「うし、着いたぜ。」
cr炎roクイッ 「おうブーン!あれを見てみな!!」
(;; ゚ω゚) 「………な…なんだお?あれ!?」
【○I○】 「こりゃあ懐かしい!!長の家じゃねえか!!」
(;;^ω^) 「…家なの!!?」
(;^ω^) 「家がある所にしちゃあ、ずいぶんぼこぼこで崩れそうだお」
252
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:44:17 ID:P8E/ocfI0
僕らの目の前にそびえ立っている巨大な岩だった。
よく目を凝らして上を見れば、確かに天辺にちょこんと家が乗っかっているのが見える。
まるで花札の松のカスのような、その異様な形状も然る事ながら、僕の目を引いたのはその中腹に開いた大きな穴だった。
(;;^ω^) 「……あれは…なんだお?」
cr炎ro 「あれってのは、あのでっけえ穴のことか?」
cr炎ro 「ありゃあ、十年前にこの里で修行をしていた人間と虫が一撃でぶち開けたもんだ」
cr炎ro 「洪水で里が飲まれるんじゃねえかって時に、あの岩をぶち抜いて水を外に流したって訳よ!!」
cr炎ro 「今じゃ里で修行した人間は、あの大岩に自分の技をぶつけて修行の成果を試すのが習わしになってる」
*cr炎ro 「まあ、岩を完全にぶち抜けた奴は二人しかいねえんだけどなwwww」
( ゚ω゚)そ 「二人しかいないのかお!!?」
253
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:46:38 ID:P8E/ocfI0
【○I○】 「ちなみにその内の一人はお前も知ってるぜ」
( ゚ω゚) 「まじかお!!??」
【○I○】 「……ゼロ&ハインだ」
(;^ω^)ゴクリ 「あいつらが……これを」
そう言ってカブト丸が指した2番目に大きいその穴は、中がツルりと滑らかで真っ直ぐに大岩を貫通している。
( ^ω^) 「…………」
【○I○】 「…………」
見れば見るほどその圧倒的なまでの技量と破壊力が身に染みて伝わってくる。
やはり、あの試合の時の彼らは手を抜いていた。
もし彼らが本気を出していれば、ノイジーも僕も全く歯が立たなかっただろう。
本来であれば余裕で勝てる実力を持ちながら、彼らは途中で棄権したのだ。
それなのに僕らは、最高の動きをして互角に戦えていたつもりになっていた。
―――――遊ばれていたのだ。
悔しさから思わず、拳を握りしめる
254
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:47:27 ID:P8E/ocfI0
( ^ω^) 「ジョー……。」
cr炎ro 「ん?どうした?」
( ^ω^) 「僕、この中で一番でっかい穴を開けて見せるお」
cr炎ro 「はっはっはっはwwww最初は皆そう言うんだ!!」
cr炎ro 「……まあでも、お前らにゃちーっと期待してるぜ?」
そう言って、また歩き始めたジョーの足音を聞きながら、僕は大岩から目を離せずにいた。
ライバル達の顔が浮かんでは消えていく。絶対に……絶対にあいつらを越えて見せる。
ハインだけじゃない、ジョルジュもロマネスクもショボンも……ツンだって。
255
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:48:14 ID:P8E/ocfI0
通称都落ち(チャンピオンが負けた場合、強制的に最下位になる制度)によって僕は今、創作小学校の中で一番ランクが低い。
……絶対に勝ちあがって見せる。
( ^ω^) 「カブト丸………ぶちかましてやろうお」
【○I○】 「……ああ!!」
【○I○】 「やってやろうぜ」
そう言って大岩を見上げていると、上から声がした。
#cr炎ro 「おう!!ちゃんとついて来いっての!!」
【;○I○】 「やっべ…急ぐぞ!!乗れ!!」
(;^ω^) 「すまんお!!」
256
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:48:51 ID:P8E/ocfI0
そして、過酷な修行が始まった。
#cr炎roブォン 「おらあ!!」
(;^ω^ノリ ハラリ 「あっぶねえ!?」
見てくれ。あのザリガニ野郎本気なんだ。
小学生を相手に本気で鋏を振るってやがるんだ。
今の攻撃で僕の前髪が何本か持っていかれた。
たしかに、プロリーグでは人間も試合に加わることが多い。
だが、創作小学校などで行われる試合では基本的に人間は一緒に戦わない。
小学生の身体能力ではむしろ、虫の脚を引っ張ることになってしまうからだ。
前脚、中脚、後脚どれを引っ張ることになるのかは虫フリークの皆の想像にお任せする。
257
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:49:37 ID:P8E/ocfI0
戦闘時に邪魔になるのでギアの設定を変え、イヤホンのような形状の物にした。
僕はヘッドフォン型が一番好きだったのだが、好み云々を言っている場合ではない。
死にたくなければ、ひたすら避けるしかないのだから。
#cr炎ro 「余所見とはずいぶん余裕があるじゃねえか!!」
(;^ω^) 「やっべ!!?」
大振りな右鋏の攻撃を掻い潜り、続け様に放たれた左アッパーに飛び乗って距離を取る。
思ったよりも高く飛び上がったため着地するまでに時間がかかってしまった。
cr炎ro 「おら!!!」
( ゚ω゚) 「見切った!!!!」
着地直後の隙を狙って、鋏が足元を薙ぐように振るわれる。
着地してしゃがんだ体勢から即座に側中をしてこれを回避。
そのまま懐に走り込んで、ジョーの腹部にある水瓶を取ろうとしたが……。
258
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:50:38 ID:P8E/ocfI0
;cr炎roバヒュッ 「うおぉっっと!!?」
得意のバックスステップで避けられてしまった。
今の所、こっちの攻撃は全部空振りに終わっている。
ジョーの攻撃は致命打にはなっていないものの、こちらはじわじわとダメージが蓄積してきている。
腕とか脚とか痣だらけでめっちゃ痛い。
cr炎ro 「今のは惜しかったな」
cr炎ro 「さっ、十分間休憩したらまた攻撃するからなー」
そう言って、水を浴びに歩いていく。
背中から奇襲をかけようかとも思ったが、体力回復に専念することにした。
259
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:51:47 ID:P8E/ocfI0
この修行のルールはいたって簡単である。
ジョーが腹部に付けた水瓶を取ればいい。ただ、それだけだ。
水瓶には秘伝の霊薬が入っていて、それを飲むとマスターの力を高めることができるそうだ。
『個性』を使わないと聞いて、正直楽勝だと思っていたが、そんなことはなかった。
いついかなる時でも仕掛けていい代わりに、僕が仕掛けるか時間が来るととジョーは攻撃してくる。
これが意外と厄介で、まともに喰らえば動けなくなる攻撃は躱すだけでも一苦労である。
カブト丸はカブト丸で、長達に扱かれているらしい。
毎日、宿に帰る頃には僕と同様、ぼろ雑巾の様になっている。
【;-I-】 「ぅぅう……。キュウリは勘弁……!!」
先日はこんな感じで魘されていた。
修行の中身と関係あるのだろうか、ちょっと気になるところではある。
朝はこんな感じで水瓶奪取と座学に精を出している。
夕方にかけて少し眠って、夜からはもっと過酷な修行が始まる。
260
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:52:25 ID:P8E/ocfI0
(;^ω^)ガバッ 「またかお!!?」
【;○I○】 「寝るなよブーン!!迎え撃つぞ!!」
長達が過去に戦った強敵達が襲い掛かってくるのだ。
これは七つの森の長が協力して、影のような幻影を作り出しているらしい。
幻影とは言ったが、実体はあるので攻撃を喰らえば、もちろんダメージを喰らう。
長達が強敵と認めた相手だけあって、一体一体の歯応えも物凄い。
正直に言うと、一対一での実力は僕らより上だと思う。
そんな相手が一晩中、しかも何体も襲い掛かってくるのだからたまったもんじゃない。
( ^ω^)そ 「囲まれた!!?」
【#○I○】 「あらよっとぉ!!」
(;^ω^) 「ごめん!助かったお!!」
【○I○】 「おう!!いいってことよ!!」
261
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:53:47 ID:P8E/ocfI0
雨象之里の夜は明かり一つ無く、真っ暗になる。
そのため、人間の僕には暗くて、敵の位置や動きが非常に見えにくい。
だが、相手は虫である。暗闇はお手の物。おまけに空も飛ぶ。
常に気を張り巡らせて、自分の周囲を警戒していないといけないのだ。
自分がこれまでいかに甘えた環境で戦っていたのかを痛感させられた。
(;;#゚ω。)○I##】ボロッ ((……ちっくしょう!!))
毎日毎日ボロボロになりながらも、どうにか生き残り、強くなる術を模索する日々。
徐々に僕らは肉体的にも精神的にも追い込まれ、喧嘩が増えていった。
262
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/13(金) 04:57:41 ID:P8E/ocfI0
今回はここまでになります。
意識しないようにとは思っているのですが、レスがあるとやっぱり嬉しいものですね。
ありがとうございます!!
263
:
名無しさん
:2018/04/13(金) 07:16:33 ID:xGeBlHVg0
乙です
264
:
名無しさん
:2018/04/14(土) 00:17:47 ID:RkW3On4I0
乙
265
:
名無しさん
:2018/04/18(水) 16:07:51 ID:QcUXjpTY0
更新きてた嬉しい
おつ
266
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:11:52 ID:bbO.SczU0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第五話
267
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:13:04 ID:bbO.SczU0
ジョーの尾で弾き飛ばされ、受け身も取れずに地面に叩きつけられた。
(;; ω ) 「うお!!?」
cr炎ro 「どうしたどうしたぁ!?……最初の威勢はどこに行っちまったんだ!!?」
cr炎ro 「そんなにフラフラしてんのに、休まずかかって来る意地と根性は認めてやらあ……」
#cr炎ro 「だが!!そんな状態で俺に勝てると思ったか!!?……舐めんじゃねえよ!!」
鋭く振られた鋏を避けることができず、もろに喰らった。
大型トラックにでも轢かれたみたいな衝撃に、僕は意識を手放した。
それから三日ほど意識を失っていたらしい。
再び目が覚めた時は夕方だった。隣から静かに寝息が聞こえる。
カブト丸はいつも以上にズタボロになっていた。この三日間きっと一人で戦っていたのだろう。
268
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:13:56 ID:bbO.SczU0
傷ついた上翅をそっと撫でる。
僕が不甲斐ないせいで、カブト丸にも負担をかけてしまった。
( ^ω^) (……ごめんお。カブト丸。でも、僕もどうしていいのか…わからないんだお)
( ^ω^) (諦めそうなぐらいなんだお……。本当にギリッギリで。)
( ^ω^) (この前も君に酷いことをしたし……。本当にごめんお)
( ^ω^) (明日こそ……!きっとジョーから水瓶、とって見せるから)
そんなことを思いながら上翅を撫でている内に、いつの間にか眠ってしまっていた。
269
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:14:33 ID:bbO.SczU0
【○I○】 (………ブーン)
【○I○】 (……オレも、酷え態度とっちまったからな)
【-I-】 (…まずは体力を回復しねえと)
ここ一週間、僕とカブト丸は、お互いに一切口を聞いていなかった。
事の発端は些細なすれ違いだった。
――――― 一週間前
修行が終わった後、その日の戦闘内容やお互いの動きなどについて話す。
これが僕らの日課になっていた。
その日はお互いの過去なんかについて話していたんだ。
270
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:15:21 ID:bbO.SczU0
( ^ω^) 「そう言えば、カブト丸はなんでノイジーとアトラと一緒にいたんだお?」
僕がその質問をするとカブト丸は、少し暗い表情になる。
いつも忙しなく動いている触角も、なんだか元気がなくなったように見える。
【-I-】 (はあ……やっぱ気になるよなぁ)
【○I○】 (…まあ、他ならぬブーンだしな。話してもいいか)
少し迷っているような表情をした後、カブト丸は話し出した。
【○I○】 「………まあ、簡単に言うとオレ達は、三匹とも……迫害を受けてたんだよ」
(;^ω^) 「なっ!!?」
【-I-】 「まあ、それぞれ産まれ方が色々あったからな」
そう言うと、カブト丸はフッと息を一つ吐いた。
あまり話したくない話題なのだろう。
だが、この話を聴かなくては、本当の意味で相棒になれないような……。
そんな気がして、僕はカブト丸が口を開くのを待った。
271
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:16:03 ID:bbO.SczU0
【○I○】 「姉御が母親を焼き殺して生まれたのは、この前聞いただろ?」
( ^ω^) 「ああ……言ってたおね」
【○I○】 「ノイジーのは、聞いたことあるか?」
( ^ω^) 「……いや、聞いたことなかったお」
( ^ω^) (そういや僕……相棒のこと、知ってるようで知らないんだな)
( ´ω`) (いや、よく考えたらツンやショボン、ドクオのことも何にもわかってないお…)
【○I○】 「あいつは、能力がコントロールできてなかったからな」
【○I○】 「産まれた直後に物凄え規模の地震が起こったんだ」
【○I○】 「あいつが泣く度に、里が崩壊するレベルの地震が起こってよ…」
【○I○】 「だから捨てられたらしい」
272
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:16:53 ID:bbO.SczU0
【○I○】 「『個性』を封印する輪を角に付けられてな」
( ^ω^) 「…そうだったのかお」
【○I○】 「んでもって……オレは…」
そう言いかけて、カブト丸は一瞬、口ごもる。
【-I-】 「オレは…産まれた時、人間の腕が生えてたんだ」
【-I-】 「かつてそんな産まれ方をしたのは一匹しかいねえ」
【○I○】 「親はオレを森のご神木の前に捨てに行ったらしい」
【○I○】 「そこを拾って育ててくれたのが姉御なんだ」
273
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:18:01 ID:bbO.SczU0
( ^ω^) 「人間の………腕が?」
( ^ω^) 「…そうだったのかお」
僕らが初めて会った時、カブト丸は人の腕を作り出して操作していた。
僕がそれを見て気絶した時、もしかしてかなり傷ついたんじゃないだろうか。
( ^ω^)「カブト丸……もう一つ聞いていいかお?」
【○I○】 「……なんだ?」
( ^ω^) 「君は何で……人の手をよく具現化するんだお?」
( ^ω^) 「…その……君が迫害される理由になったものなのに……」
274
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:19:05 ID:bbO.SczU0
【○I○】 「………ああ…それはな」
【○I○】 「いつか……いつか人間になるのがオレの夢だからだよ」
そう言うカブト丸を見て、僕は笑ってしまった。
それは決して、悪い意味ではなかったけど、とにかくタイミングが悪すぎた。
【○I○】 「………」
【-I-】 「そうか…………お前も笑うのかよ…」
そう言ってカブト丸は部屋を飛び出していった。
その悲しげな声を聴いて、僕は全てを理解した。
謝罪しようにも、もう遅い。カブト丸は僕と口を聞いてくれなくなった。
今日もカブト丸は僕を避ける。まるで視界に誰もいないかの様に振る舞う。
修行中もカブト丸のことが気になって、なかなか集中できなかった。
275
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:20:06 ID:bbO.SczU0
cr炎ro 「なんだあ?お前ら、話さねえの?」
cr炎ro 「……ったくよぉ。とにかく早いうちに仲直りしろよ?」
ジョーにも物凄く心配された。
そんなこんなで今に至る。
頭上でビョウと風を切る鋭い音が聞こえる。
この後に来るとすれば……右のアッパーか、バックナックルだろう。
(;^ω^) 「グッ!?」
cr炎ro 「おら!!!!避けねえと死ぬぞ!!?」
(;-ω^) (……ちっくしょう!!)
すぐさま起き上がり、ジョーを見る。
次の攻撃は……次のパターンはどれだ!?
脇腹がビリビリと焼けるように痛み、思考を鈍らせる。
276
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:20:55 ID:bbO.SczU0
(;-ω゚) (……右の振り下ろし!!?こんなんパターンに無かったお!??)
疲れと痛みで鉛の様に重くなった身体を、どうにか動かし攻撃を避ける。
脚が縺れたがその倒れこむ力を利用して、さらにもう一撃を避けじわじわと懐に潜り込む。
狭くなった視界の中で、その眼前に迫る赤い閃光に気づいていなかった。
ぞんと肉を貫く音が聞こえたような気がした。
(;;-ω-) (ちくしょう!!またダメだった!!)
この修行が始まって、もう三か月になる。
僕は未だに、水瓶に触れることすらできずにいた。
どさりとその場で膝をつく。このダメージを回復するのに少し時間が欲しい。
277
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:21:27 ID:bbO.SczU0
(;; ω ) (何がダメだった?……力み過ぎて動きに無駄が多いのか?)
(;; ω ) (なんで力むんだ?……あの鋏が怖いからか?痛いからか?)
(;;-ω-) (それだ。鋏は確かに怖い……だが、力を抜け、力を抜け!!)
(;;-ω-) (パターンは忘れろ!その場その場での動きを瞬時に考えるんだ!!)
(;; ω ) (…今日こそ水瓶を取る……取ってカブト丸に謝らないと…!!)
(;;-ω-) (動き方のイメージは、決して触れられない何か……)
( -ω-)フゥー (集中しろ!!……思い描く理想の動きは………煙!!!!)
脇腹の痛みに耐えながら、体力を回復させていく。
僕のスタミナも考えれば、思いっきり攻められるのは後一度だろう。
278
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:22:06 ID:bbO.SczU0
cr炎ro (……そろそろ、限界か?)
cr炎ro 「よし、一旦休憩にするか」
(;; ω ) 「……まだだお」
(;;#゚ω゚) 「まだ!!終わってねえお!!」
地を蹴って、加速。そして、そのまま体を捻り、側中。
迫る真紅を躱したら、姿勢を低くして次の横薙ぎを回避。
水瓶に触ると見せかけて、ジョーの第二胸脚を掴んで飛び上がる。
;cr炎ro (さっきので相当なダメージがあったはずなのに、まだ喰らいつくのかよ!?)
;cr炎ro (それに攻撃を受けた後だってのに、鋏を見てビビる素振りもねえ)
;cr炎ro (なんて胆力してやがんだ。……頭のねじがぶっ飛んでやがる)
279
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:22:56 ID:bbO.SczU0
飛び上がって、背中を駆け上がりながら上着を脱ぐ。
全身をものすごい勢いで捻り、回ることで僕を振り落としながら攻撃しようというのだろう。
―――――その手はもう読んでいる。
(;;#゚ω゚) (……今!!)
僕が攻撃を読んだことを悟られないよう、揺れを察知したかのようにグッと踏ん張る。
ジョーが回転し始めた瞬間に合わせて、膝を抜き、小さく飛ぶ。
(;;#゚ω゚) (僕が落ちたと思ったろ!!?…甘いのはお前だお!!)
ジョーが横に振るった両の鋏を、ととんと蹴って飛び上がる。
そしてその視界を遮るように上着を投げた。
;cr炎ro 「おっと!!?」
バサりと眼前に広がった上着に、戸惑ったお前がとる行動は……!!
―――――得意のバックステップ!!
280
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:23:45 ID:bbO.SczU0
;cr炎ro 「チッ!!」
;cr炎roググッ (!!?…!!!?なんだこりゃあ!!?)
その上着は両袖が結んである。お前の目に引っかかるようにだ!!
バックステップによってグンと身体が引かれる。
チャンスは一度きり。何があろうとこの手は離さない。
(;;#゚ω゚)ボクッ 「ぐうぅぅぅぅぅ!!!!」
物凄い力と速さで急激に引っ張られたことで、左腕の肩が外れた。
それでも必死で上着を掴む。
cr炎ro (なにがどうなってやがる…!!?)
(;;#゚ω゚) (いっけえええええ!!!!)
281
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:24:18 ID:bbO.SczU0
バックステップの力を利用して、パチンコの様に前に飛ぶ。
着地を少し失敗し、脚を挫いたが、そのままの勢いで跳んで手を伸ばす。
;cr炎ro (しまった…!!)
;cr炎ro 「させるかよぉ!!」
もう一度バックステップをしようとするジョー。
……だがもう遅い!水瓶をしっかりと抱え込んで、衝撃に備える。
( ω ) 「とったぁあああ!!!!!!」
;cr炎ro 「クソ……!!」
衝撃で水瓶を結んでいた紐が切れる。
282
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:25:02 ID:bbO.SczU0
cr炎ro 「かぁ〜〜〜!!!!取られちまったか!!」
cr炎ro 「よくもまあこの短期間で、水瓶を取れたもんだぜ」
cr炎ro 「ハイン達もお前らより一ヵ月は多くかかったのにな!!」
( ^ω^)
( ω )バタリ
そのまま僕は再び医務室に運び込まれた。
疲れ過ぎて倒れたらしい。
早く、早く相棒に謝らないと。
それだけを考えていた。
283
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/27(金) 02:26:23 ID:bbO.SczU0
今日はここまでになります。
もうちょっとで試合パートに入れる……。
284
:
名無しさん
:2018/04/27(金) 22:52:58 ID:apeKQ1Tk0
乙
裏でやってる設定は公開されるのかな?
285
:
◆HJSTJA2nos
:2018/04/28(土) 00:42:26 ID:ts3zr2oM0
裏設定の公開については、どこまでやろうか迷ってました。
あんまりやると話がごちゃごちゃして、話の芯が曇ってしまいそうだったので…。
ここが知りたいと指定してくだされば、可能な範囲でお答えさせていただきます。
286
:
名無しさん
:2018/04/29(日) 21:58:04 ID:7s7.zKCI0
乙
287
:
名無しさん
:2018/04/30(月) 20:43:17 ID:bAJROvtI0
燃えますねアクション!!
288
:
名無しさん
:2018/05/03(木) 00:56:04 ID:OUfKSor20
スレタイだけ見てバンド物だと思ってたがこんな熱いバトル物だったとは
乙、ゆっくり続き待ってるぜ
289
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:43:27 ID:lzFumgJ60
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第6話
290
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:44:18 ID:lzFumgJ60
雨象の里では、毎夜のように大きな月が輝く。
今日は珍しく、厚い雲が月を覆い隠している。
里を全体を見下ろせる小高い丘の上で、一匹のカブト虫が雲の切れ間を待っていた。
【-I-】 「………」
【○I○】 (……来たか)
背後の闇に、誰かの気配を感じたのだろう。
カブト丸は振り返らずに声をかける。
【○I○】 「なあブーン……いるんだろ?」
膝どころか自分の頭よりも高い、草の根を踏みつけてかき分けながら、前に進む。
しばらく草と格闘しながら進むと、岩の上にちょこんと座った丸い上翅が見えた。
ゆっくりと歩いてカブト丸の隣に立つ。
( ^ω^) 「……隣いいかお?」
【○I○】 「……おう」
291
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:45:02 ID:lzFumgJ60
普段の威勢がいい荒々しさとは少し違う、穏やか雰囲気に、少し戸惑う。
こんな時どう話したらよかったんだっけ?喉の奥に声が詰まって出てこない。
僕は今まで、誰かと本気で向き合ったことがあっただろうか?
相棒のことも友達のことも、ろくに知らなかった僕が、しっかりと話せるだろうか。
この思いを上手く言葉にして、伝えることができるのだろうか?
そんなことを考えているとカブト丸が先に口を開いた
【○I○】 「なあ、ブーン」
( ^ω^) 「……なんだお?」
声がやや上擦ったような気がする。ドクドクと鼓動が早まっていく。
僕は今、上手く喋れたのか?しっかりと返事ができていただろうか?
不自然jなk
【○I○】 「ブーン。聞こえてるか?」
カブト丸の声にはっと我に返る。
雨上がりの湿った腐葉土の様に落ち着いたその声は、僕の中の不安の芽を
根こそぎ摘み取っていった。
( ^ω^) 「聞えてるお」
292
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:45:41 ID:lzFumgJ60
( ^ω^) 「………カブト丸…僕は君に幾つか言わなきゃないことがあるお」
【○I○】 「おお……なら先に聞かせてくれ」
ゴクりと乾いた唾を飲む。
( ω ) 「この前は……君の夢……笑って悪かったお」
【-I-】 「……いいんだ。慣れてる」
【○I○】 「だから、今日はお前とお別r」
( ^ω^) 「……最後まで聞いてくれお!!」
カブト丸は僕の表情をまじまじと見て、静かに頷いた。
( -ω-) 「僕があの時、君の話を聴いて笑ったのは……」
そこまで言って、小さく息を吐く。
こんなに緊張したのはいつぶりだろう。普段は大会でも緊張しなかったのに。
293
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:46:13 ID:lzFumgJ60
( ^ω^) 「君の夢が……僕の夢と似ていたからなんだお!!」
【○I○】 「…………!?」
カブト丸の目に疑問と動揺の色が広がっていく。
ここまで、慎重に言葉を選ぶのは産まれて初めてな気がする。
さて、どこから話そうか……。
( ^ω^) 「……まずは僕のことから話したいと思うけどいいかお?」
【○I○】 「……お、おう」
( ^ω^) 「それともいきなり理由だけ聞きたいかお?」
【○I○】 「お前の話したいように話せよ」
【-I-】 「……最後かもしれないしな」
294
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:46:46 ID:lzFumgJ60
最後かもしれない、その言葉に小さく息を呑んだ。
カブト丸の覚悟が痛いほど伝わってきたからだ。
彼のその思いに、覚悟に報いることはできるだろうか。
そう思いながら、慎重に言葉を選ぶ。
( ^ω^) 「僕が産まれた時の話をしたことあったかお?」
【○I○】 「いや………聞いたことねえな。誕生日だけは知ってるが」
( ^ω^) 「僕は普通に皆がイメージする通りの感じで産まれたんだけど……」
( ^ω^) 「……ちょっと変なところがあったんだお」
【○I○】 「変な所………?」
( ^ω^) 「僕のおでこのちょっと上の辺り、触ってみてくれお」
【;○I○】 「あ、ああ」
295
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:47:20 ID:lzFumgJ60
動揺しながらも手を伸ばすカブト丸。
ああ、どんな反応するんだろう。
ふざけてるのかなんて怒るだろうか?
……まあ、大丈夫か。
僕は被っていた麦わら帽子を外した。
【○I○】そ 「……こ、これは!!?」
( ω ) 「わかったかお?」
【;○I○】 「……な、なんで角が?」
( -ω-) 「僕には産まれた頃から、カブト虫の角が生えていたんだお」
( ^ω^) 「それで………いじめられていたんだお」
【○I○】 「……とったりできなかったのか?」
( ^ω^) 「引っこ抜こうとしたりもしたけどこの角は絶対に折れなかったんだお」
( ^ω^) 「手術は不可能らしいし、成長には全く影響がないってことで隠してるんだお」
【○I○】 「お前……だからいっつも帽子を被ってたのか?」
296
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:47:50 ID:lzFumgJ60
( ^ω^) 「そういうことだお」
( ^ω^) 「ツン達が麦わら帽子を僕にくれたのは、この角を隠すためなんだお」
( ^ω^) 「まっ!今じゃ角のおかげでギアがずれなくて楽なんだけどねwwww」
それを聞いて、呆れたように笑うカブト丸。
久しぶりに笑っているカブト丸を見て、少し緊張が解れた。
【○I○】 「それが………お前の夢と何の関係があるってんだ?」
( ^ω^) 「……僕は、カブト虫になりたかったんだお」
( ^ω^) 「君が人になりたかったように、僕はカブト虫になりたかったんだお」
【○I○】 「お前………」
【-I-】 (嘘を言ってるって目じゃねえな)
【-I-】 (そうか……そうだったのか)
297
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:48:29 ID:lzFumgJ60
【○I○】 「すまねえ……ブーン。」
【-I-】 「あいつの代わりにお前の剣に…盾になるって……あの日誓ったのにな」
そう言って目を閉じるカブト丸。
( ^ω^) 「こっちこそごめんお……あの日、己を偽ることなくって………」
( -ω-) 「………僕は言ったのに」
あの日、森の中でカブト丸と契約した時のことは、今でも鮮明に覚えている。
僕はこの数か月、あの言葉に恥じないマスターとしてやってこれただろうか?
ノイジーに笑われないような男であれただろうか?――――――答えは否だ。
( ^ω^) 「相棒、僕ともう一度……一緒に歩いてくれるかお?」
【○I○】 「ああ!!こっちこそよろしく頼むぜ!!相棒!!」
298
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:52:54 ID:lzFumgJ60
かつてはいつもに口にしていたこの言葉をカブト丸に言うのは久しぶりだった。
なんだか照れ臭いような気もする。
不意にいつかのノイジーの言葉を思い出した。
あれは強いが不安定だ。…師もなく、両親もなく。一人で修行を重ねるうちに強くなった。
好敵手と決めつけた俺とぶつかり合い闘う中で、さらに力を増したが…肝心な時に心が弱い。
マスター、あんたが相棒として、家族として支えてやってくれ。
( ^ω^) (………そういえばそんなことも言ってたお)
( ^ω^) 「さてっと……」
帯に結んでいた紐を解いて、水瓶を手に取る。
これ、本当はマスターが飲むもんらしいんだけど………。
きゅっと蓋を開けて、持ってきた水筒に注いでいく。
299
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:53:57 ID:lzFumgJ60
【○I○】そ 「それ!?ジョーの兄貴が持ってた水瓶か!!?」
( ^ω^) 「そうだお。飲んだモノの力を引き出すってやつ」
【○I○】 「……ついに取ったのか!!」
そう言って、小さくガッツポーズしているカブト丸に水筒を手渡す。
一瞬、戸惑ったのかカブト丸の動きが止まった。
【○I○】そ 「待て!!これ虫にしろ人にしろ、一本飲まねえと効果がねえんだろ!!?」
( ^ω^) 「いいんだお。これは僕一人で取ったもんじゃないし」
300
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:54:28 ID:lzFumgJ60
( ^ω^) 「それに不思議な水で力を得ても僕は嬉しくないお」
( ^ω^) 「だから、相棒と半分に分けるって最初っから決めてたんだお」
【○I○】 「………お前……わかったよ」
カブト丸のフ節が器用に水筒を持っていく。
【○I-】 「にしても杯を交わすってのに…水筒とは風情がないねえ」
( ^ω^) 「まあ、僕ららしくていいと思うお?」
そんなことを思いながら、スッと水を口に含む。
いっせーのなんて合図はいらなかった。
301
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:56:52 ID:lzFumgJ60
ふわりと柔らかな光が一人と一匹を包み込む。
身体にぐっと力が漲るような不思議な感覚があった。
( ^ω^) 「これは……?」
思わず、自身の手を見つめ、何度か開閉してみる。
その時、頭上で激しく鋭い羽音がした。
風を粉々に切り裂かんばかりのその音に、僕は心当たりがあった。
――――――長達もなかなか性格が悪いお。
( ^ω^) 「……相棒」
【○I○】 「……おう」
( ^ω^) 「今の僕らの力、見せてやろうお!!」
【#○I○】 「おう!!」
302
:
◆HJSTJA2nos
:2018/06/11(月) 00:57:55 ID:lzFumgJ60
短いですが今日はここまで。
長かった修行回ももうちょいで終わりです。
303
:
名無しさん
:2018/06/11(月) 08:46:58 ID:htyR6ogw0
乙!
304
:
名無しさん
:2018/06/11(月) 18:03:43 ID:wUvuZkyY0
乙
こういうことだったか…ギアがずれなくて楽wwww
305
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:37:56 ID:kaLQ2u3A0
激しく大気を揺さぶる羽音とその威圧感は、僕が知る彼とは違っていた。
月にきらりと光るマーマレード色の上翅が静かに閉じ、僕らの目の前に降り立つ。
( ^ω^) 「やっぱり最後は、君が来るような気がしてたんだお」
( ^ω^) 「久しぶり。ノイジー」
(○I○) 「………」
( ^ω^) 「君が幻影なのは知ってるお」
( ^ω^) 「だからって手を抜くなんてことはしないお」
( ^ω^) 「元相棒として、親友として……全身全霊で行かせてもらうお!!」
(@#^ω^)シュゥ 「いくお!!!!カブト丸」
【#○I○】 「おうよ!!!!」
ヘッドフォン型のギアを具現化したのは、なんとなくだ。特に理由なんてない。
ノイジーから目を離さずに、一手目の攻めを考える。
306
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:38:54 ID:kaLQ2u3A0
(@^ω^) (ノイジーは速攻型だったお……てことは)
【○I○】 (……いや、待てブーン。あの目にあの角を低く突き出す構え……)
【○I○】 (たぶんお前と会う前の、能力に制限がなかった頃のノイジーだ)
【○I○】 (お前の記憶とは全然違うファイトスタイルなはずだ。気をつけろ)
(@^ω^) (おk)
(@^ω^) (上翅のペイントが無いってことは、その通りみたいだおね)
ノイジーが脚に力を込め、飛んだ。
低く構えていた角を鋭く突き出しながら、高速でこちらに迫ってくる。
いつもの様に指示を出そうとしたその時、物凄い衝撃が僕を襲った。
(@#-ω゚) 「ぐがッッッ!!!!!?」
【#○I○】 「大丈夫か!!?相棒!!」
307
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:39:44 ID:kaLQ2u3A0
地面を二、三度転がりながら、なんとか体勢を立て直す。
なんだ今の衝撃は。巨人に全身を引っ叩かれたかのような衝撃は。
ビリビリと全身に残る痛みと痺れに、戸惑いながらも指示を出す。
(@#-ω゚) 「大丈夫だお!!相棒、角で叩き落せ!!」
【#○I○】 「おう!!」
(#○I○) 「じぇええああああ!!!!」
鋭く振られた角をカブト丸は叩き落とす。
地面に叩きつけられる直前に、ノイジーは角を捻って拘束を解き、横に薙ぐ。
【#○I○】 「甘ぇ!!」
横薙ぎが来る前に、カブト丸は一瞬羽ばたき、身体を捻ることでそれを回避。
そのまま空中で、一回転しながら縦に角を振るう。
回避が困難と思われたその一撃に、ノイジーは軽く飛びながら、角をぶつける。
そのままカブト丸が角を振る勢いを利用して後方に飛び、距離をとった。
308
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:40:17 ID:kaLQ2u3A0
(@^ω^) (これが……全盛期のノイジービートだっていうのかお?)
(@^ω^) (ちっくしょう。……言ってほしかったなあ)
【 ○I○】 (……感傷に浸ってる暇はねえ!!来るぞ!!)
(@^ω^) 「今度はこっちの番だお!!」
【#○I○】 「いくぞ!!」
カブト丸は真っ直ぐに飛びながら、ノイジーに接近。
そのまま体を錐もみ回転させることで、軌道をずらし、ノイジーの側面に着地する。
【##○I○】 「っしゃあ!!」
掛け声とともに突き上げた角を、ノイジーは後方に飛んで躱す。
その着地地点を狙って、カブトが念力の拳を三度振るう。
不可視の攻撃をノイジーは、全て頭角で弾きながら後退。
着地後、即座に前方に飛び出して、攻勢に転ずる。
309
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:41:03 ID:kaLQ2u3A0
その時、小さな音が聞こえた。
僕がこれまで、聞いたことがない程に鋭いこの音は……!?
(@;^ω^) 「相棒!!まずいお!!角の正面に触っちゃだめだお!!」
【#○I○】 「わかったあ!!」
(#○I○)シィィィ 「しぇいらああああ!!!!」
カブト丸は、ノイジーの攻撃を側面から叩くようにしていなしていく。
二匹の角と角がぶつかる度に、甲高い音が響いた。
ノイジーの角から静かに響く、鋭い音はまさしく超震甲虫刃の音だ。
だが、音が一つではなく複数ある……。まさか!!
(@;^ω^) 「相棒!!ノイジーの爪にも触れちゃダメだお!!!!」
【;○I○】 「お、おう!!」
(##○I○)シィィィ 「はあああああ!!!!!!」
310
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:41:52 ID:kaLQ2u3A0
角だけでなく両のフ節も超高速で振動させている。
三か所同時に振動を送る。単純なようでいて難しい技だ。
かつての僕らはこの技を成功させることができなかった。
その原因はどうやら僕にあったらしい。
………どれだけ彼に歯痒い思いをさせていたのだろうか。
彼一人の時にはできていた技が使えなくなったのに、彼は文句一つ言わなかった。
一体どんな思いで、彼は戦っていたのだろう。
(@^ω^) (……どんな思いで僕の傍にいたんだお?)
目の前では二匹による打ち合いが、その激しさを増していく。
ノイジーの角とフ節による、激しいラッシュをカブト丸は角と念力で弾く。
通常の甲虫の三倍の手数を捌き切れているのは、長達との修行の成果だろうか。
(#○I○) 「しぇいらああああ!!!!」
頭角とフ節による三方向同時攻撃。
一見、回避が困難にも見えるその技に対して、カブト丸は頭角を低く構える。
そして素早く前進すると頭角を突き上げた。
体勢を崩したノイジーのガラ空きになった腹に、カブト丸の念力の拳が突き刺さった。
311
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:42:30 ID:kaLQ2u3A0
(;○I○) 「げああああ!!?」
地面を跳ねながら、転がっていくノイジー。
カブト丸は、すぐに地面を蹴って肉薄し、追撃を試みる。
【#○I○】 「らああぁぁぁぁぁああああ!!!!」
角と念力の拳による息つく間もない連撃。
ノイジーは最初の数発をまともに受けたが、空中で羽ばたき、すぐに体勢を立て直した。
念力の拳を幾つか、受け流すものの、カブト丸の連撃は止まない。
(##○I○) 「だっっっっ!!!!」
連撃に耐えながら力を溜め、一気に解放する。
自身の周囲、全てに衝撃波を発生させ、カブト丸を吹き飛ばす。
【;○I○】 「ちっ!!決めきれなかったか」
(@^ω^) 「カブト丸!!来るお!!」
312
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:43:10 ID:kaLQ2u3A0
再び、飛んでくるノイジーに微かな違和感があった。
(@^ω^) (……いくら何でも馬鹿正直に突っ込み過ぎだお?)
(@^ω^) (何か…ある!?)
次の瞬間、ノイジーが二匹に増えた。
二匹とも超震甲虫刃を発動したまま、猛烈な勢いで突っ込んで来る。
(@;^ω^)ゾク
ヤバいのはわかってる。
でも自然と込み上げて来る笑みを抑えることができなかった。
(@^ω^) (相棒………読んで合わせてくれお)
【;○I○】 (おう!……死ぬなよ)
迫る二匹の間に走り込む。
そして飛び上がると見せかけて、倒れ込む。
体勢を低くすることで、フ節を躱して背後をとる。
体勢を低くした時に拾った石を、水切りの様なフォームで両手を使って投げつける。
それぞれの石は曲がって、二匹のノイジーに向かうが、当たる直前で砕かれる。
313
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:44:48 ID:kaLQ2u3A0
(@;^ω^) (これでいい。まずは僕に戦う意思があることを見せる)
(@;^ω^) (……二匹に増えたからくりは恐らく、超高速の振動によるもの)
(@;^ω^) (………だから、分身との距離が近いんだお!!)
(@;^ω^) (一匹ずつ、いや…同時に!かつ確実に消す)
(@^ω^) (その為に、敵の気を引いて、隙を作る)
(@;^ω^)「相棒!!二匹に同時に攻撃するお!!」
【#○I○】 「おう!!」
(@^ω^) (……僕が攻撃を引き付けるお!!)
【 ○I○】 (……死ぬなよ)
カブト丸が飛び出したのに合わせて、ノイジーに向かって全速力で走る。
走りながら、手近な枝を折ってしっかりと握り込む。
314
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:45:20 ID:kaLQ2u3A0
(@^ω^) (木の棒で叩いて効くかはわからんけども……!!)
左右から飛び掛かって来るノイジー。
左に石を投げ、即座に右のノイジーに木の棒を振り下ろす。
(@#゚ω゚) 「らああぁぁぁぁぁああああ!!!!」
背中を向けた僕に迫るもう一匹のノイジーをカブト丸が角で弾き飛ばす。
分身は木に当たった途端に姿を消した。
僕が振り下ろした木の棒を受け止めようと、角を構えるノイジー。
その角を巻き取るように木の棒を動かして、左に払う。
体勢を崩したノイジーに、カブト丸が念力で攻撃し、弾き飛ばす。
ノイジーが木に叩きつけられる瞬間に合わせて、走り込んで跳躍。
前胸腹板と中胸腹板の間を狙って、木の棒を構える。
(@#゚ω゚) 「もらったああああああああ!!!!」
315
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:45:52 ID:kaLQ2u3A0
木の棒を突き立てようとしたその時、ノイジーがこちらを睨んだ。
次の瞬間、僕の体は弾き飛ばされて、地面に激しく打ち付けられる。
(@;;゚ω゚) 「ぐうっっっ!!!!」
受け身がギリギリ間に合ったが、ダメージがかなり大きい。
仰向けに寝転がった瞬間に、景色が揺らぐのが見えた気がした。
慌てて、横に転がって回避する。転がる僕の真横で、続けて三回、地面が爆ぜた。
横から不可視の衝撃。直感を頼りに、体を跳ねさせて躱すと、そのまま立ち上がる。
【;○I○】 「大丈夫か相棒!!?」
(@⊃ω^)ゴシゴシ 「……なんとかね」
口の横から、つぅと流れた血を拳で拭って、ノイジーを見る。
(@^ω^) (あの振動…。ノイジーを中心に発生させるだけじゃないのかお?)
(@^ω^) (どの距離・方向からも打てるとか…厄介にもほどがあるお)
(@^ω^) (………どうすっかねえ)
316
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:47:30 ID:kaLQ2u3A0
【#○I○】 (お前が死んだら、どうにもならねえんだ)
【#○I○】 (あんまり無茶してくれんなよ!?)
(@;^ω^) (……むっずかしいことをおっしゃる)
その時、視界が激しく揺れた。
足元から何万匹もの蟻が這い上がってくる様な感じがした。
(@;;゚ω゚)ガクッ 「…なる………ほどね」
自然と脚から力が抜け、膝が折れていく。
完全に油断していた。どこにでもあの震動が起こせるってことは。
(@´ω`) 「脳も…狙える…って……わけかお……」
【;○I○】 「相棒!?しっかりしろ!!!!」
倒れて気を失う前に、何とかギアの接続だけは切断できた。
カブト丸への影響はないだろう。
317
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:48:35 ID:kaLQ2u3A0
(#○III○)ブゥゥン 「じゃあああああ!!!!!!」
なるほど、分身は能力の効率が悪いってのに気が付いたらしい。
前脚が六本、頭角が三本に増えたノイジーが飛び掛かってくる。
【;○I○】 「ちぃ!!……くらくらしやがる」
【#○I○】 「仕方ねえ!……お昼寝分の時間位は稼いでやらあ!!!!」
ギアによって、能力に制限が加わってるのは痛いが、何とかするしかない。
派手な角の虫と闘ったことがないわけじゃないが、やっぱりやりにくい。
ましてや相手はノイジービート。相手の頭角に触れれば、こっちの角が切れちまう。
【#○I○】 (なんて手数してやがる……!)
【#○I○】 (情けねえが………防ぐので一杯一杯だ)
318
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:49:09 ID:kaLQ2u3A0
(#○III○)ブゥゥゥン 「シャッ!!シャッ!!」
頭角もフ節も、直接触れて防ぐことができない。
そのため、自らの頭角の周りに、薄っすらと念力を纏わせ、ひたすら猛攻をいなす。
(#○III○)ブゥゥゥン 「ッジャアアアアアアアアア!!!!」
ノイジーの攻撃は回数を重ねるごとに、そのキレと威力を増していく。
防戦一方で、反撃すらままならない。頭角に纏った念力がどんどん削られていく。
何度も弾き飛ばされて、上翅はすっかり傷だらけだ。
【 ○I○】 (ちくしょう……おれはこんなに弱かったかよ)
【 ○I○】 (相棒がいねえと何にもできねえってのか)
319
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:49:48 ID:kaLQ2u3A0
ノイジーの猛攻は凄まじく、無尽蔵のスタミナから繰り出される連撃はなおも止まらない。
頭角の数を増やしたり、減らしたりしながら細かくフェイントをかけて来る。
この駆け引きの上手さは、流石ノイジービートだ。
能力を制限されながらも、蟲帝まで上り詰めただけのことはある。
【 -I-】 (改めて、とんでもねえ野郎だぜ)
【#○I○】 「けど!!負けてらんねえんだよ!!」
攻撃を正面から受けるフリをして、羽を広げて素早く舞い上がる。
そのまま、横に頭を捻って回転。攻撃を空振りして体勢を崩したノイジーの背後をとる。
【#○I○】 「しゃああああ!」
上翅に頭角を思いっきり叩きつけた。
320
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:50:39 ID:kaLQ2u3A0
【;○I○】 (……なんだ!?この手応えは!!?)
地面に埋め込ませるぐらいの気合で、思いっきり打った一撃。
それを喰らってもなお、平然としているノイジー。
何が起こったのかわからないまま、無茶苦茶に攻撃する。
【#○I○】 「ああああああああ!!!!」
(○I○) 「………」
並みの甲虫ならば、すでにこと切れているような猛攻に対し、全く微動だにしないノイジー。
なんだこれは……!何が起こってやがる!!?
無我夢中で攻め続けていると、不意に相棒の声が聞こえた。
( ω ) 「カブ……ト…丸……!!」
【 ○I○】そ 「起きたのか!!?相棒!!」
321
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:51:30 ID:kaLQ2u3A0
咄嗟にノイジーから、視線を逸らしたその隙を突かれた。
念力で防いで、切り裂かれるのは避けられたが、思いっきり投げられる。
ノイジーの奴、斬れねえとわかった途端に、すぐさま投げに移行したらしい。
激しく視界が回転して、受け身を取れないまま、相棒の横に転がった。
【##○I○】 「……くっそ」
体中が痛くて、言うことを聞かねえ。
相棒の方に目をやると、どうやらまだ目を覚ましていないらしかった。
【 ○I○】 (……じゃあ、さっきのは一体)
くそ……。わからねえことばっかりだ。
おれの攻撃が効かねえわ。気絶してるはずの相棒の声が聞こえるわ。
【;○I○】 (……くそ!!何だってんだ)
とどめを刺そうと近づいてくるノイジーに、念力で攻撃しながら、時間を稼ぐ。
かつて、おれの攻撃を受けた時には、まともにダメージを喰らってたもんだが……。
322
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:55:57 ID:kaLQ2u3A0
【;○I○】 (これがお前の真の強さって訳か………)
ちくしょう。やっぱり勝てねえのか。
こいつが旅に出るまで、結局おれはこいつに一勝もできなかった。
おれは………あの頃と一緒で弱いまんまなのか。
【;-I-】 (……情けねえ)
【 I 】 (ちくしょう……)
かつての敗戦を思い出し、手足が動かなくなる。
すっかり、萎縮して力がこれっぽっちも入りゃしない。
【 I 】 (これで……終わりなのかよ)
323
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:56:36 ID:kaLQ2u3A0
諦めかけたその時、上翅にコツンと小さな衝撃があった。
ギアがリンクした時のあの感覚。
(@^ω^) 「……まだ、負けてねえお」
【;○I○】 「相棒!!!?」
(@^ω^) 「お待たせ。……さあ、反撃開始だお!!」
小さなその手から、確かに伝わる熱がおれの不安をぶっ飛ばしてった。
個性の連続使用で、疲れ切っていた体に、また力が漲る。
【 ○I○】 「遅ぇぞ……馬鹿野郎!!」
フ節をグッと握り締め、気合を入れ直す。
そうだ。勝負を捨てるにゃ、まだ早え。
念力でノイジーを弾き飛ばし、相棒を抱えて木の後ろに隠れる。
324
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:57:21 ID:kaLQ2u3A0
【○I○】 (ほらよっと。記憶を流し込むぞ)
言うが早いか、カブト丸の記憶が流れ込んできた。
打撃の無効化に……これは!!?……僕の声?
どうやら、カブト丸の攻撃に対して、体の表面を振動させた衝撃をぶつけているらしい。
どれだけの衝撃を作り出したのか、カブト丸の攻撃を相殺している。
僕の声は………恐らく、戦う中で声の振動を覚えて、コピーしたのだろう。
(@^ω^) (な〜る………かなりやっかいだおね)
からくりがわかったら、後は攻略法だ。
……何か……何か。
(@^ω^) (あっ!……テンポずらして、二段攻撃だお)
【;○I○】 (お、おう!)
(@^ω^) (んで、ギアからの指示は聴いちゃダメ。全部無視するお。)
【○I○】 (んじゃあ、読みながらって感じだな。)
325
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:57:55 ID:kaLQ2u3A0
【○I○】 (……よろしく頼むぜ!)
(@#゚ω゚) (……いくお!!!!)
呼吸を合わせて、同時に木の後ろから飛び出す。
突然、目の前の景色が揺らいだ気がして、咄嗟に横っ飛びに回避する。
直後、先程まで僕がいた辺りの地面が爆ぜた。
(@^ω^) (不可視の遠距離攻撃に、近距離では斬れる角…挙句の果てに分身?)
(@^ω^) (更には、打撃の無効化に、音声のコピー)
(@;^ω^) (どんだけ個性の使い道あるんだお……)
攻略法を考えながらも、決して脚は止めない。
木の間を潜り抜けながら、ノイジーに向かって走る。
次の一手をカブト丸に伝えようとしたその時、地鳴りのような音が聞こえた。
326
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/17(火) 23:59:49 ID:kaLQ2u3A0
【;;○I○】 (ちぃい!!!!)
何かを察したカブト丸が、即座に僕の方に向かって飛んで来る。
直後、大きな揺れが僕らを襲った。
(@;^ω^) 「なんだお!!?地震!!!?」
(##○I○) 「じゃあああああ!!!!!!」
こちらに飛んでくるカブト丸の背後で、大きく角を振るうノイジーが見えた。
なるほど、衝撃による全力の攻撃で、僕らを同時に倒すつもりらしい。
揺れのせいで思うように足が動かないが、このままでは致命傷を受けるのがわかった。
無理矢理に足を動かして、カブト丸を庇うように前に出る。
そして、カブト丸を思いっきり突き飛ばした。
【;○I○】 「馬鹿野郎!!!?」
恐らく、ジョーの攻撃よりも威力がある。僕がまともに喰らったら、死ぬかもしれない。
そんなことはわかっていた。でも体が動いちゃったんだから仕方ない。
ギアはもう切ってる。距離も……まあ、十分だろう。
これでカブト丸がダメージを受けることは無いだろう。
327
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/18(水) 00:00:26 ID:aHa09c4M0
( ^ω^) (あ〜……カブト丸ごめん。僕死ぬかもしれんお)
( -ω-) (……反撃開始だお!!とか言ったのになあ)
ノイジーが頭角を振り下ろすのが、スローモーションの様に見えた。
カブト丸が何か叫びながら、こちらに向かって来るが、よく聞こえない。
( ^ω^) (………ここで……ここでなにもかも終わりなのかお)
( ω ) (ちくしょう………負けたくないなあ)
328
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/18(水) 00:02:06 ID:aHa09c4M0
何話か書くのを忘れてました。
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第7話
今日はここまで
329
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/18(水) 00:03:20 ID:aHa09c4M0
一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。
330
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 01:54:26 ID:Du.h8Tpg0
おつ
熱いバトルで面白い
331
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 10:20:20 ID:N/J32MOk0
乙
夏に読むのに相応しい熱い展開大好き
332
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 14:45:17 ID:zeno083k0
追い付いた!日本列島よりあついな
333
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 18:10:42 ID:m98XstP20
乙
334
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/21(土) 23:59:28 ID:7BTYfeyY0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第8話
335
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:00:17 ID:8QyRAMCU0
衝撃に備えて、グッと目を瞑り、一応防御の体勢をとる。
……意味があるかはわからないけど。とりあえずだ。
生きてたら、速攻で最高の一撃をぶち込んでやる。
覚えてろよ……。マジで覚えてろよ。
ん?
あれ?
(@-ω-)? 「あれ?」
(@^ω^) (あれ?衝撃が来ないお?)
336
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:00:58 ID:8QyRAMCU0
(@^ω^) 「………一面、真っ白でなんも無いお?」
そっと目を開けると目の前には、ただ何も無い真っ白な空間が広がっていた。
周囲をぐるりと見渡すけれど、高さも広さもわからない。
だだっ広い白の中に僕は立っていた。
(@^ω^) (前にドクオが言ってた潮の湖もこんな感じなのかお?)
(@^ω^)シーン (……………)
(@^ω^) (………なんもねえお)
(@^ω^) (……………)
(@;^ω^) (え?ほんとに何も無えお!!?)
337
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:01:42 ID:8QyRAMCU0
(@;^ω^) (え?……え?え?………何待ち!!!?)
(@^ω^) (……あっ、これよく考えたらギア必要ないお)
( ^ω^)シュゥ (え〜これ……やっぱ死んでるのかお?)
( ^ω^)ハッ (たしか、荒巻校長が餅の早食い大会に出た時……!!)
/ ,' 3 (餅が詰まって死にかけた時、なんもない真っ白な世界が見えた)
( ^ω^) (………とか言ってたお)
( ^ω^) (やっぱ……死んでるのかお)
生きてるにしろ、死んでいるにしろ、ここでボーっとしていても仕方がない。
とりあえず歩き回ってみることにした。
338
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:02:27 ID:8QyRAMCU0
(@^ω^) (やっぱ、どこまで歩いても真っ白けだお)
(@^ω^) (……相棒も…どこに行っちゃったんだお)
そんなことを思いながら、しばらく歩いていると突然、視界が真っ黒に染まった。
ちょっと目の辺りが痛い。ちょっと何か目に入った。
o川* ー )o 「…だ〜〜〜れだ♪」
( ⊃ω⊂) 「あの……ごめん。ちょっと痛いお」
o川*;゚ー゚)oアタフタ 「あっ!えっ?……ごめんね!?」
( ⊃ω-) 「あ〜………うん。大丈夫、大丈夫だお」
o川*゚ -゚)oシュン 「………ご、ごめんね」
( ^ω-) 「いや…ほんとに大丈夫」
339
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 00:02:55 ID:QaZ/rmM60
しえんんんんん
340
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:03:15 ID:8QyRAMCU0
( ^ω^) 「いやぁ……びっくりしたお」
( ^ω^) 「……えっと、君は」
o川*゚-゚)o 「うぅ……やっぱそっかぁ」
o川* ー )o 「だよねぇ…」
o川*゚ー゚)o 「私はキュ…!」
( ^ω^) 「キュー……ちゃん?」
( ^ω^) 「あれ?……キューちゃんなのかお?」
え?……あれ?…なんだ?………これ。
なんでこんなに……なんでこんなに泣きそうなんだ。
341
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:03:45 ID:8QyRAMCU0
( ⊃ω^) 「あれ……なんで?」
o川*゚ー゚)o 「やっと……思い出して…くれた?」
( ⊃ω;) 「なんで……?キューちゃん?どうして?」
o川* ー )o 「……あ〜そっかあ」
o川*゚ー゚)o 「………混乱しちゃったみたいだね」
o川*゚ー゚)o 「……思い出してくれた訳じゃないのか〜」
o川*゚ー゚)o 「ねえ?ブーン?……大丈夫。大丈夫だよ」
342
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:04:36 ID:8QyRAMCU0
( ⊃ω⊂) 「………ごめん。ごめんお」
( ;ω;) 「こんなに……こんなに…色んな記憶が出てくるのに」
( ;ω;) 「僕は……僕は君を知らないんだお」
o川*゚ー゚)o 「うん………うん」
( ;ω;) 「……なんだお?なんなんだおこれ」
色んな記憶が、押し寄せるように浮かんでいく。
なんで……。どうして…なんで!!?
砂が手から零れ落ちていくかの様に、その全てが消えていく
343
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 00:05:24 ID:M8M/GXIA0
リアルタイム支援!
344
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:05:30 ID:8QyRAMCU0
( ;ω;) 「ごめん……ごめんお………なんで」
o川*゚ー゚)o 「いいんだよ!……いつかきっと答えにたどり着くから」
o川*゚ー゚)o 「それにね?今は時間が無いの」
o川*゚ー゚)o 「私が、この世界を維持できるのも…後少しなんだ」
( ⊃ω;) 「…そう……なのかお?」
o川*゚ー゚)o 「今回は……君を見つけるのに手間取っちゃった♪」
o川*゚ー゚)o 「そ♪だから落ち着いて、話しをよく聞いて欲しいの」
345
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:07:17 ID:8QyRAMCU0
( ⊃ω⊂)ゴシゴシ 「ごめん…………ちょっと待って」
( -ω-)フゥゥ 「………」
( ^ω^)
( ^ω^) 「ごめん………落ち着いたお」
o川*゚ー゚)o 「それにしても君達ってすんごいよね!!」
o川*゚ー゚)o 「この戦いで、ノイジービートの本気を引き出せたのって、君達ぐらいだよ?」
( ^ω^) 「どう……いうこと…なんだお?」
( ^ω^) 「僕ら意外にも、ノイジーと闘った奴がいるってのかお?」
o川*゚ー゚)o 「まあね!一杯いるよ?」
346
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:07:50 ID:8QyRAMCU0
( ^ω^) 「………一杯?」
o川*゚ー゚)o 「うん!いーっぱい」
o川*゚ー゚)o 「今の君には見れないけれど、いつかきっと会えるよ」
( ^ω^) (……今は会えない?どういうことなんだお?)
( ^ω^) (ハインの後に、ここに来たのって僕らだけって聞いてたけど)
( ^ω^) 「……一ついいかお?」
o川*゚ー゚)o 「ん?なになになに!?…質問どうぞ!」
( ^ω^) 「そういえば相棒がいないけど、僕は今死んでるのかお?」
347
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:08:29 ID:8QyRAMCU0
o川*゚ー゚)o 「ん〜〜〜………、その辺は解釈次第なんだよねえ」
o川*゚ー゚)o 「まあ、生きてるとも死んでるとも言えるよ」
o川*゚ー゚)o 「この後の戦いの結末次第って感じ」
( ^ω^) 「そっか…さっきまでの流れだとばっちり死にそうなんだけど」
o川*゚ー゚)o 「まあ、アタシが来たってことは確変入ったってことだよね!」
348
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:09:09 ID:8QyRAMCU0
o川*゚ー゚)o 「おっと…!?やべっ!もう時間がないや!!」
o川*゚ー゚)o 「時間無いから、ヒントね!!……繋がる絆が君の力だよ!」
( ^ω^)そ 「え!!!?何それ!!?」
o川*゚ー゚)o 「新しい力を使いこなして、ばっちり決めて見せてよね!!」
(;^ω^) 「お、おう!見とけお!!」
o川*゚ー゚)o 「おっけー!!いい子だ!!」
o川*゚ー゚)o 「May the cute be with you!!」
o川*^ー^)o 「頑張ってね!!ブーン!!」
( ^ω^)bグッ 「おう!!」
349
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:09:42 ID:8QyRAMCU0
意識が徐々に遠のいていく。
( ^ω^) (キュート、キュート、キュート)
忘れないように何度も心の中で、彼女の名前を唱える。
何度も、何度も自分の中に、染み込ませていくかのように。
( ^ω^) (kyt…きゅー……kと…ッと)
( ^ω^) (あれ?………僕は、何を?)
350
:
◆HJSTJA2nos
:2018/07/22(日) 00:13:55 ID:8QyRAMCU0
今日はここまで!
今回は短いですが、皆さんのコメントや支援を力に変えて、
次回を早く投下できるように頑張りますね!!
暑い日が続いているので、体調にはくれぐれもお気をつけください。
351
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 00:15:30 ID:QaZ/rmM60
乙!
楽しみにしてるぞ!
352
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 00:15:44 ID:M8M/GXIA0
乙!
353
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 01:24:22 ID:M6Na8FeE0
荒巻校長は自殺願望でもあんのかwwww
354
:
名無しさん
:2018/07/22(日) 07:44:44 ID:9UcdZi5A0
まだ忘れてしまうか…
355
:
名無しさん
:2018/08/07(火) 22:36:39 ID:WXd1eqbU0
乙!
356
:
名無しさん
:2018/08/28(火) 12:43:13 ID:mXSk9Uvk0
支援絵
https://i.imgur.com/UQxe9nq.png
続きはよ!!!!
357
:
◆.0rDrvqaU.
:2018/08/30(木) 01:39:03 ID:N0G3Es0k0
>>356
うおお!?ありがとうございます!
少し投下に間が開いてしまいましたが、少しずつ書き溜めていきます。
もうちょっとでノイジー戦は終わりますので、お楽しみにしていて下さいな!!
358
:
◆HJSTJA2nos
:2018/08/30(木) 01:44:03 ID:N0G3Es0k0
トリ間違えてて草。
申し訳ありませんでした。
もうちょっと頑張りますよ!
359
:
名無しさん
:2018/08/30(木) 06:53:24 ID:XXK9J68I0
支援絵追加ワッショイ!
https://i.imgur.com/VyGxpXt.png
全裸待機しとるぞ!
360
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:25:37 ID:Y.4OjexQ0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第9話
361
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:26:18 ID:Y.4OjexQ0
( ω ) (……負けたくないなあ)
( ω ) (………負けたくない!!)
そう思った時、僕は思わず拳を握りしめていた。
身を守るための構えを解き、大きく一歩を踏み出す。
そして拳を思いっきり振りかぶった。
( #゚ω゚) 「うぅぅぅぁぁぁぁあああああああ!!!!」
人間の、それも小学生の腕力で、ノイジーの個性に、威力で勝てないことくらいはわかってる。
でも、それでも勝ちたい。こいつに…ノイジービートに僕は勝ちたい。
362
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:26:56 ID:Y.4OjexQ0
( # ω ) 「こい!!」
( #゚ω゚) 「こいっ!!カブト丸!!!!」
いくぞ!!ノイジービート!!
歯ぁ喰いしばれえ!!!!
背中から何かが飛び込んできたみたいな衝撃があった。
全身に力が漲ってくる。熱い、身体中が熱い。血も皮膚も燃えてるみたいだ。
やれる。今ならきっと、やれる。何が何だかわからないけど……。
こいつに勝てる!!!!!!
ノイジーが頭角を振るうのに合わせて、振りかぶった拳を全力で振るう。
(##○I○) 「ジャアアアアアアアアア!!!!!!」
( #゚ω゚) 「いっけええええええ!!!!!!」
363
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:27:39 ID:Y.4OjexQ0
もしかしたら、死ぬかも知れないのに、不思議と恐怖感は無かった。
ただ、今できる限りの最高の一撃を。それだけを思って拳を振るった。
全身全霊を込めた振動と拳が激突し、激しい衝撃波が生じる。
(##○I○) 「ぐがああ!!!!!!」
吹き飛んだのは僕ではなく、ノイジーの方だった。
ノイジーは木々を薙ぎ倒しながら飛び、地面に激しく体を打ち付けた。
拳を振るい終えたままの体勢で、僕は呆然と立ち尽くす。
……今、何が起こった。なんで、なんで僕は生きてるんだ。
364
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:28:18 ID:Y.4OjexQ0
( ;; ゚ω゚) (い、今何が………?)
思わず拳を見る。
そこにあったのは、焦げ茶色の甲冑のようなものを身にまとった自分の拳。
( ;; ゚ω゚) (これはなんだお!?……カブト丸は?)
慌てて、周囲を見回すが、カブト丸は何処にもいない。
大声で呼ぼうとしたその時、頭の中で声が聞こえた。
(…おいおい、さっきからここだって言ってんのに、聞こえてねえのか?)
( ;; ゚ω゚) (どこにいるんだお!!?)
(お前の両手についてる籠手みたいのが……オレだ)
( ;; ゚ω゚) (な、なんで?……どうなってるんだお!?)
(……混乱するのはわかるが、構えろ!!来るぞ!!!!)
( ;;゚ω゚) (え、あ…わかったお!!!!)
365
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:29:00 ID:Y.4OjexQ0
(##○I○) 「がああああああああああ!!!!!」
砂埃を巻き上げながら、突き進んで来るノイジービート。
混乱しながらも、その軌道と飛び方から、相手の攻め手と狙いを弾き出す。
( ゚ω゚) 「ここだお!!!!!!」
放ったのは一発の下段突き。更にブーンの拳から、カブト丸の個性である不可視の拳が重ねて放たれる。
その一撃は飛来したノイジービートの転節を打ち抜く。
(;;○I○) 「ぐうぅぅうぅ!!!!」
衝撃を相殺せんとするノイジーだったが、念力の拳とブーンの拳が同時にぶつかり、それを許さない。
転節を打ち抜かれ、ヨロヨロと後退したノイジーに対して、さらに接近し、もう一度転節に掌底を叩き込む。
366
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:29:35 ID:Y.4OjexQ0
(#○I○) 「ジェエエアア!!!!」
よろけながら頭角を振るった甘い攻撃を、ブーンは鋭くいなす。
地面に頭角を叩きつけたノイジーの胸角をめがけて、踵落とし。
( #゚ω゚) 「おおおおおお!!!!」
すぐさま、地面から念力による一撃を入れる。
身体が浮き上がったノイジーだったが、跳ね上げられた瞬間に羽ばたかずに、反撃の体勢を整える。
落下に合わせてブーンが放った後ろ回し蹴りを、ノイジーは身体を捻って回避し、そのまま頭角で切りかかる。
( #゚ω゚) 「それぐらい…読んでんだお!!」
ブーンはその頭角を白刃取りにし、回転。
十二分に勢いをつけ、地面に叩きつけた。
さらに、叩きつけた直後に持ち上げ、浮いた身体に全身全霊を込めた、両手での掌底。
367
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:30:04 ID:Y.4OjexQ0
(…おお!やるじゃねえの!?)
( ;;゚ω゚) (僕が思い描いた動きを……君が読んで、動かしてくれているからだお)
(まあ、長いこと組手もしてたしな。お前の動きの癖ぐらい覚えたさ)
(………相棒、だしな!)
(;;^ω^) (……お!!)
(……さて、そろそろ決めねえとな)
(;;^ω^) (だおね。…この状態、体力の消耗が尋常じゃないお)
本来、小学生の筋力では出せるはずがない威力を、念力で無理矢理にブーストすることによって叩き出す。
その行為による肉体への負担は凄まじい。
ブーンが感じていた体力の消耗は、当然の帰結と言えた。
368
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:30:56 ID:Y.4OjexQ0
その時、頭角を激しく振るいながら、ノイジーがその姿を見せた。
(##○I○) 「ジャッ!!!!ジャラアア!!!!」
(;;-ω-) 「ぐっ………!!」
猛烈な勢いで飛びながら、ノイジーは頭角を地面に叩きつける。
跳ね上げられた砂が目に入らないよう、目を細めて腕で庇う。
突然、視界が急に暗くなった。激しい痛みに涙が溢れ、目を開けることができない。
痛みに耐えながら意識を集中させ、羽ばたく音を頼りに、なんとか横っ飛びで回避する。
(;; ω ) (目が!……目が痛い!!)
(;; ω ) (………砂はブラフ!?振動で目を打ち抜かれた!!)
369
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:32:18 ID:Y.4OjexQ0
(;;-ω-) (くそ……どうしたら!!)
(すまねえ……!今、オレもお前とリンクしてるから、全く周囲の状態が見えねえんだ)
(;;-ω-)(念力で周囲の様子を読み取ったりはできないのかお!?)
(駄目だ!そいつは脳への負担がやべえ!!…ちっ!!来るぞ!!)
思考をまとめる隙を与えまいと、隙のない連撃を仕掛けるノイジー。
その攻撃を予測と感覚のみで、捌き続ける。
しかし、目の見えない相手に攻撃を当てるのなど容易いこと。
ノイジーはブーンの捌き方の癖を読み始める。次第に、攻撃が掠るようになり始めた。
370
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:32:53 ID:Y.4OjexQ0
(;;-ω-) (くそ、ジョーといい、ノイジーといい。また目を狙われるって………対策すべきだった)
(;; ω ) (同じことで躓くってほんと……っ!!?)
ぐじゅりと肉が抉れるような音が頭に響き、右の脹脛に鋭い痛みが走った。
戦闘の要である機動力を奪われ、痛みと絶望に思わず膝をつきそうになる。
(おいっ!!…おい!!!!大丈夫か相棒!!!?)
(;;-ω;) (うっ……!!ううぅ!!!!)
歯を食い縛って、痛みに耐える。
痛みに見開いた目に、ぼんやりとノイジーの姿が見えた。
371
:
名無しさん
:2018/10/01(月) 00:33:03 ID:4wdziNyA0
支援
372
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:33:29 ID:Y.4OjexQ0
(##○I○) 「ッジャアアアアアアアアア!!!!」
左腕に冷たい何かが侵入し、一瞬の間を置いて熱が広がっていく。
(;# ゚ω;) 「ああ!!あああああああああああ!!!!」
更に続けて右の大腿を貫かれる。
(相棒……!!!?ちくしょう…やべえ!!)
カブト丸が体を強引に操作し、右手で地面を強く叩いた。
地面を殴った反動で体を動かし、ノイジーが放った止めの刺突を回避する。
(;# ゚ω;) 「ぐううぅぅぅ………ううぅぅぅ」
激痛と血を失い過ぎたことで、意識が飛びそうになる。
右腕意外の感覚が全くない。相棒の声も聞こえない。
373
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:34:14 ID:Y.4OjexQ0
(;# ゚ω;)そ
その時、地面を滑るように、再び飛来するノイジーが見えた。
最後の力を振り絞り、膝立ちになる。腹筋にぐっと力を込め、無理矢理に震えを抑える。
頭の中をクリアにしようと叫ぶ。
(##;ω゚) 「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
(##○I○) 「ゼアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
右腕の籠手が急激に、眩い光を放つ。
その手で自らの角に触れた。
374
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:34:47 ID:Y.4OjexQ0
(##;ω゚) 「うううぅぅぅううううああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
角に集まったエネルギーのせいか、頭が熱い。
痛い。
苦しい。
泣きたい。
終わりにしたい。
でも、それよりも……何よりも……勝ちたい!!!!
375
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:36:06 ID:Y.4OjexQ0
(##;ω゚) (この一撃で……最後だお)
(##;ω゚) (ここに…今、この時に…!!……僕の!!!…僕らの!!!!ありったけを!!!!!!)
(##;ω゚) 「らあああああああああああ!!!!!!!!!!」
角から、天を貫かんばかりの光が伸びるのが見える。
それをノイジーに向け、ありったけの力を込めて振り下ろした。
どさりと地面に崩れ落ちる。
全身にこれっぽっちも力が入らない。
何も聞えない。何も感じない。
376
:
名無しさん
:2018/10/01(月) 00:39:27 ID:KVkv1loI0
しえ
377
:
◆HJSTJA2nos
:2018/10/01(月) 00:40:41 ID:Y.4OjexQ0
今日はここまでになります。
>>356
、
>>359
支援絵とても嬉しかったです。
逃げそうになった時、すごく励みになりました。
長い長い夏休みをいただいて、めっちゃリフレッシュできたので、ぼちぼち投下していきます。
378
:
名無しさん
:2018/10/01(月) 01:00:59 ID:4wdziNyA0
乙
379
:
名無しさん
:2018/10/01(月) 01:07:09 ID:7fSrPPsE0
激アツかよ……最高
乙!
380
:
名無しさん
:2018/10/05(金) 21:30:50 ID:/r6hfTIE0
乙乙
381
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:35:15 ID:iwKSCnME0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第10話
.
382
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:36:07 ID:iwKSCnME0
(/##/ω^) (今度は………知ってる天井だお)
(/##/ω^)ガバッ
身体が痛みに悲鳴を挙げている。
(/##/ω゚)そ 「あだだだだだ!!!!?」
(/##/;ω゚) (……いったあ)
383
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:36:41 ID:iwKSCnME0
上体を少し起こして、辺りを見回す。
日を浴びて白く輝くカーテンに、薄っすらと人…いや、虫影が見えた。
こっくりこっくりと船を漕いでいる。恐らく相棒だろう。
(/##/ω^) (僕が生きてるってことは……)
(/##/ω^) (ノイジーには…勝てたのかお?)
頭に巻かれた包帯をずらし、恐る恐る右目を開けてみる。
何度か瞬きをすると少しぼやけていた視界が、段々クリアになった。
( ^ω^) (トイレに行きたいお)
( ^ω^) (……あ、でも外の様子も気になるお)
(;^ω^) (いでででで)
384
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:38:34 ID:iwKSCnME0
相棒を起こさないよう、そっと静かにベッドを降りる。
(;×ω×)ゴン 「あだっ!!?」
足が滑った。
尻餅をつくと同時に、後頭部をベッドに強か打ち付ける。
その音に相棒が目を覚ました。
【-I○】 「おう、ようやく起きたのか」
( ^ω^) 「相棒、ちょっと外に行かないかお?」
【○I○】 「…おう、いいぜ」
相棒がニヤリと笑ったように見えた。
あの時の勝敗が気になるが、今は少し体を動かしたい気分だ。
散歩がてら、丘の上まで行ってそこで聞くことにした。
( ^ω^) 「よし、行くお」
靴ひもを締めなおして相棒に声をかける。
【○I○】 「ああ、いいぜ」
暖簾の様になっている大きな葉っぱを押して、外に出た。
385
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:39:00 ID:iwKSCnME0
(;-ω-) 「うわっ!?…眩し!」
【;○I○】 「うおっ!?ほんとだ」
眩しい日差しに、一瞬視界が奪われる。
目が段々に慣れるにつれて、雨象の里の風景が見えてきた。
( ^ω^) 「……あれ?」
( ^ω^) 「………誰も…いない」
【○I○】 「………」
(;^ω^) 「…いない!?なんでだお?」
386
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:42:37 ID:iwKSCnME0
(;^ω^) (もしかして……敵襲でもあったのかお?)
小さな虫の大群が背骨に沿って、這い上がってくるような感覚。
耳を澄ませながら、ぐるりと周囲を見回す。
( ^ω^) (この里の虫達をこれだけ静かに倒すって、相当な手練れだお)
( ^ω^)ゴクリ
(;^ω^) 「…一体、どんな敵が」
なんだか嫌な予感がした。
387
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:46:28 ID:iwKSCnME0
(;;^ω^) 「…どこにいるんだお?」
何故だろう。周囲の景色に違和感を覚えた。
先程からやけに神妙な面持ちの相棒が口を開く。
【*○I○】 「なあ、ブーン…周りをよく見てみろ」
周囲に敵が潜んでいるかも知れないというのに、なぜか可笑しくてたまらないという表情のカブト丸。
( ^ω^) (……どういうことなんだお?)
( ;; ゚ω゚)ゾワァ (まさか!…敵の『個性』なのかお!!?)
敵の『個性』ははっきりとは分からないが、恐らくカブト丸の様子から察するに、洗脳系や操作系だろうか。
かつて戦った上級生のーちゃんのコクワガタ。その『個性』は敵を操り人形にしてしまうものだった。
ノイジーと組む前だった僕は『個性』のカラクリを見破るまでに時間がかかり、随分と苦戦したのを覚えている。
388
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:48:57 ID:iwKSCnME0
( @ ゚ω゚)ヴゥン
ギアを具現化して、左足を半歩引く。
( ;; ゚ω゚) (……どこから攻めて来るんだお?)
だが里の全員を操作することは、現実的に可能なのだろうか。
彼女は操作対象と有効範囲を絞ることによって、その能力をより強力なものにしていた。
『個性』の出力とその規模を考えると、脳への負担が大きすぎる。
ということは細かな部分までの指示はできない可能性が高い。
389
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:54:40 ID:iwKSCnME0
【*○I○】 「なあ、相棒。周りをよく見てみろって」
【*○I○】 「何か変わってるだろ?」
ヘラヘラと笑うカブト丸。
テレパシーにも返答がない所から、恐らく洗脳を受けているに違いない。
『個性』によって精神攻撃に耐性があるはずのカブト丸を洗脳できること察するに、相当強力な『個性』なのだろう。
(@;^ω^)?
何が起こるかわからない。
すっかり疑心暗鬼になりながら、周囲をもう一度見まわす。
(@^ω^) 「あれ?なんか物足りないような」
【*○I○】 「だろ?」
(@^ω^) 「ん?」
390
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 22:58:21 ID:iwKSCnME0
あれ?会話が成立してる…。
カブト丸の表情がなんとなくボクのことを馬鹿にしているようにも思える。
(@^ω^)ジー
雨象の里の象徴とも言える、大岩が無くなっていた。
(@; ゚Д゚)そ 「あっれえ!!?長の家もねえお!!?」
【*○I○】 「はーーー!!気づくの遅えよ!!」
【*○I○】クックックッ 「笑いをこらえるのも大変だったぜ」
なるほど、大岩は分かった。
なら、里の皆はどこへ……?
391
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:00:49 ID:iwKSCnME0
急いで大岩の方へ向かうと、答えはすぐにわかった。
(@;^ω^) (………あっ)
里の皆で崩れた大岩の片づけをしていた。
cr炎ro 「お!?ようやく起きやがったのかあ!!!!」
鋏をぶんぶんと振りながら、ジョーが近づいて来る。
*cr炎ro 「お前ら!!!!やったなあ!!!!」
(@;^ω^) 「わ!?えっ!!?」
【*○I○】 「やったぜ兄貴!!!!」
*cr炎ro 「ああ!!!!本当によくやってくれた!!!!!!」
*cr炎ro 「師匠としても鼻が高えぜ!!!」
392
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:08:24 ID:iwKSCnME0
ジョーとカブト丸はなぜこんなに喜んでいるんだろう。
色んな事が起こり過ぎて、脳の処理が追い付いていない。
体格差がある相手に組みつかれたら、こうなるのか……。
対策しておく必要があるかもしれない……なんて余計なことを考えていた。
cr炎ro 「だが、本当によくやったな」
cr炎ro 「かつて、大岩を貫通させた奴は数人いた」
cr炎ro 「けど真っ二つにぶった切った奴なんて、一人もいなかったぜ!!?」
ジョーは今、何と言ったのだろう。
(@^ω^) (大岩をぶった切った………。)
(@^ω^)マジデ?
393
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:09:44 ID:iwKSCnME0
(@^ω^) 「え?誰が切ったんだお?」
【*○I○】 「オレ達に決まってんだろ!!?」
(@;゚ω゚)そ 「マジで!!!?」
cr炎ro 「ああ、お前の額の辺りから、でっけえ角みてえなのが出てよ」
cr炎ro 「それでノイジーの幻影ごと大岩をぶった切ったんだ!」
(@;^ω^) 「そんなことが……」
(@^ω^) 「てか、なんで知ってるんだお?」
あの幻影は、周囲に被害が無さそうな場所に、長がテキトーなタイミングで出現させている。
どこで戦うことになるのか、誰も知らないはずなのに。
394
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:10:49 ID:iwKSCnME0
cr炎ro 「ああ……それはな」
cr炎ro 「実は、お前らの戦いの一部始終、里中の皆が見てたんだよ」
(@;^ω^) 「え?」
cr炎ro 「長達が『個性』で皆の頭の中に、映像を送ってたんだよ」
cr炎ro 「小さな里の唯一の娯楽みたいなもんだ」
(@^ω^) (人間……いや、虫不信になりそうだお)
【○I○】 (……ちょっとわかるわ)
(@^ω^) 「そっか」
cr炎ro 「……いや、伝統なんだよ」
(@^ω^) 「うん、仕方ないお」
cr炎ro 「ごめんて」
(@^ω^) 「…済んだことはもういいお」
cr炎ro 「…おう、ほんとごめんな」
395
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:11:15 ID:iwKSCnME0
cr炎ro 「とりあえず、これで長達からの課題は全部クリアだ」
cr炎ro 「後の期間は、お前らなりのやり方で技を磨きな」
(@^ω^) 「割とぶん投げる感じだお」
【○I○】 「マジかよ」
cr炎ro 「オレも修行に付き合ってやりてえのは山々なんだがよぅ……」
;cr炎ro 「里がこんな状況なんでな」
【;○I○】 「……まずは復興が優先だよなあ」
396
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:13:52 ID:iwKSCnME0
cr炎ro 「それにお前らが飲んだ秘薬は、効果が人それぞれ過ぎてよ」
cr炎ro 「その効果に関しちゃあ、オレも専門外なんだ」
【○I○】 「あれ?……兄貴の家の近所にいた姉ちゃんがたしか専門家だったよな?」
cr炎ro 「あいつは人里に降りた後、キュウリで腹を下して死んじまったよ」
cr炎ro 「資料も7年前の大火で焼失しちまったしな」
(@^ω^) 「…長達も知らないのかお?」
cr炎ro 「長達は知らねえはずだ。スタンドアローンにしてたからこそ、これまで秘密にできてたわけだしな」
(@^ω^) 「しかたないお」
【○I○】 「後は色々やってみるか」
cr炎ro 「頑張れよ!お前らならきっとあの力をモノにできるぜ」
―――――大会の日まで、再び激しい修行が始まった。
397
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/03(水) 23:17:06 ID:iwKSCnME0
久しぶり過ぎて、色々忘れていました。
以前よりも、更に拙い文章になっているかもしれません。
ただ、ばっちり完結させます。
398
:
名無しさん
:2020/06/04(木) 02:44:12 ID:MBx4Rn460
え゛っ待ち望んでた・・・・・・乙
399
:
名無しさん
:2020/06/04(木) 13:55:58 ID:ft5Kn7vQ0
ビートイットだー!!
400
:
名無しさん
:2020/06/04(木) 22:05:52 ID:mTU.vj1k0
いやいやいやいやいや待ってたぞ乙!乙!!!!!
401
:
名無しさん
:2020/06/06(土) 14:30:41 ID:eeh3H1CA0
エッ!?!?更新してる!!!!!!ありがとう!!!!!!!!!
402
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:29:06 ID:GGk7J/rg0
―――――そして一ヵ月が過ぎた。
.
403
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:30:33 ID:GGk7J/rg0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第11話
404
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:31:27 ID:GGk7J/rg0
ミセ*゚ー゚)リ 「さあ!今日もやってきました!ビートルの時間です!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「マスター達にとって一年の計は、今日にありと言っても過言ではない一大イベント!!!!」
ミセ*>Д<)リ 「『G-1 創作杯』が開催されるとあって、特設闘技場内は異様なまでの緊張感と熱気に包まれています!!」
ミセ*゚―゚)リ 「昨年はランク外にいた『ルーキー』が、『鬼神』や『金色夜叉』、『白い悪魔』といった上位ランカー達を抑え優勝するという快挙を成し遂げました」
ミセ*>Д<)リ 「…果たして今大会では、どんなドラマが生まれるのでしょうか!!!?」
ミセ*>Д<)リ 「実況は私、5年3組のミセリ!!!そして解説は〜…!」
(゚、゚トソン 「どうも5年3組のトソンです」
(-、-トソン ペコリ
ミセ*゚―゚)リ 「今大会の壮絶な予選を通過し、本戦へと出場する16名の選手の皆さん。まずは本戦出場おめでとうございます!!」
(゚、゚トソン 「今大会は参加者が過去最多で、ノービスの方々も含めて、120名を超えました」
(゚、゚トソン 「その中で厳しい予選を勝ち残り、本戦に出場できたのは、揃いも揃って猛者ばかり」
(゚、゚トソン 「まさに創作小学校ドリームマッチと言えますね」
405
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:31:57 ID:GGk7J/rg0
ミセ*゚―゚)リ 「今大会は一般的なトーナメント……ではなく、荒巻校長が今大会を盛り上げるべく、先生方と……お天気祭り?をしながら考案したという『くじ引きトーナメント』を採用しています」
(-、-トソン 「……お天気祭りと言えば聞こえはいいですが、ただの酒盛りです」
ミセ;*゚ー゚)リ 「まあまあ、トソンちゃん。先生達だって頑張ってるんだから、お酒を飲むくらい……」
(゚、゚トソン 「………がん…ばってる?」
ミセ;*゚ー゚)リ 「ト、トソンちゃん?」
( 、 トソン 「私、知ってるんですよ」
ミセ;*゚ー゚)リ 「…え?」
(゚、゚トソン 「私達が鬼のように熱い暑い教室で、頑張ってる時に……」
(゚、゚トソン 「校長先生がクーラーの効いた部屋で、アイs…!!」
ミセ*>ー<)リ 「はい!!ストップストップ!!」
(゚、゚トソン モ、モガァ
( 、 ;トソン 「わかりました。やめます」
406
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:33:47 ID:GGk7J/rg0
―――――特設闘技場・来賓席
/ ,' 3 「…野郎、タブー中のタブーに触れやがった」
( ,'3 ) 「校長…口が悪いですよ」
/ ,' 3 「む、たしかに」
( ,'3 ) 「まあ、生徒達が熱い中頑張っているのに、校長室だけエアコンを解禁して、涼んでいるのはどうかと思いますがね」
/ ,' 3そギクッ
/;,' 3 「わし…トイレ行ってくる」
( ,'3 )そ
/;,' 3 ソソクサ
( ,'3 ) 「……まったくもう」
407
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:34:26 ID:GGk7J/rg0
(゚、゚トソン 「それでは気を取り直して」
(゚、゚トソン 「私とミセリがそれぞれくじを引いて、出た番号のエントリー№を持つ選手同士が対戦することになります」
ミセ*゚ー゚)リ 「…まあ、対戦相手がランダムなトーナメントだよね?」
(゚、゚トソン 「そうそう」
ミセ*゚―゚)リ 「……猛者達を蹴散らし『蟲帝』ジョルジュ選手と対戦するのは果たして誰なのでしょうか!!?」
ミセ*゚ー゚)リ 「そして栄光を勝ち得るのは!!?……それでは早速、選手達を紹介していきましょう!!」
(゚、゚*トソン 「審判のタカラ君は今日のために二ヵ月間、山に籠って想像を絶する修行をしていたそうです。」
(゚、゚トソン 「その結果、彼の背中に浮き出た鬼の貌も緊張からか、なんだか哭きそうです!」
ミセ *>∀<)リ 「そいじゃあタカラくん!!よっろしくぅう!!!」
d( ,,^Д^)bグッ 「お任せあれ!!!!」
( ,,^Д^) 「パワー!!!!」
につ
( ;;^∀^) ハッ
につ
( ,,^Д^) 「Lady’s&Gentlemen!!さっそく選手達を紹介していくぜ!!!!」
408
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:34:54 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「まずはこいつらだぁ!!野良試合では百戦錬磨!!当日になるとなぜかインフルエンザや感染性胃腸炎といった病魔に苦しめられ、これまで大会には一切出場したことがありません!!!!」
( ,,^Д^) 「生徒の間では創作小学校最強とも呼び声高いコンビがついに悲願の本戦初出場だぁぁぁああああ!!!!エントリー№1『無冠の帝王』ぐるんぱ&ヒッキー!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「ついに特設闘技場内で、ぐるんぱ&ヒッキーを見られる日が来ましたね!!」
(゚、゚トソン 「ぐるんぱは、エレファスゾウカブトという種類です。大きくずんぐりとした体形が特徴で体重と体全体のサイズであれば、かのヘラクレスオオカブトにも勝ると言われています」
(゚、゚トソン「彼は力持ちで、優しく穏やかな性格をしていて、ヒッキー君とも非常に仲良しです。……マスターとの強い絆が窺い知れますね」
(゚、゚トソン「ぐるんぱという名前はヒッキー選手が大好きだった絵本に出てくる象の名前が由来なんだとか」
ミセ*゚∀゚)リ 「あっ!!私もその絵本大好きだよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「今日はヒッキー君の体調もよさそうだよ!!楽しみだね!トソンちゃん!!」
(゚、゚トソン 「ええ、試合内容が楽しみなコンビですね!」
409
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:36:38 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「その輝きはまさに太陽の如し、マスターは本校1のイケメン!!ですがその人気は決してマスターの顔の良さだけが理由ではありません!!」
( ,,^Д^) 「…その騎士道精神に基づいた華麗なるファイトスタイルは見るものを魅了します!!!!」
( ,,^Д^) 「…悔しいことに老若男女問わずにファンが多いぞ!!エントリー№2『聖騎士』ジャック&モララーだああああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「今回も来ました!!ジャック&モララー!!場内には割れんばかりの黄色い声援が響いています!!」
(゚、゚トソン 「ジャックはオウゴンオニクワガタという種類です。黄金色に輝く体と他種のオスに比べて短いアゴが特徴の個体ですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「なんかぐにっと曲がってて面白い形だよね」
(゚、゚トソン 「元々は挟む力が弱いの種類なのですが、彼らはその攻撃面の弱さを卓越した防御テクニックを活かした交叉法を主とした戦い方をすることで補っています」
ミセ*゚ー゚)リ 「トソンちゃん」
(゚、゚トソン 「なんですか?ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ 「交叉法ってなあに?」
(゚、゚トソン 「後の先を取ることと言うとわかりやすいでしょうか?」
ミセ*゚〜゚)リ 「ん〜?後の先って、とどのつまりは後なんじゃない?」
(゚、゚;トソン 「とどのつまりを知っていて、なんで理解できないんですか」
(゚、゚トソン 「まあ、カウンターみたいなものです」
ミセ*゚ー゚)リ 「そっか〜。なるほどね!」
(゚、゚トソン 「彼らの堅実なファイトスタイルには年々磨きがかかり、今期は絶好調です。今日に合わせてかなり仕上げてきていますね」
410
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:37:24 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「圧倒的な実力とタフネスで、常に真っ正面から殴り合う漢らしいファイトスタイルは数々のドラマを生み出してきました!!」
( ,,^Д^) 「避けぬ!下がらぬ!背は向けぬ!!その底知れぬ体力と規格外のサイズ、そして圧倒的な攻撃力からこの異名がつけられました!!」
( ,,^Д^) 「紅の瞳に映るのは、頂点の輝きだ!!エントリー№3『片角の魔王』くわやん&ロマネスクぅぅぅううう!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「……なんという威圧感でしょうか!?他の選手達より一回りも二回りも大きく見えますね!!」
(゚、゚トソン 「くわやんはエフラスミヤマクワガタという種類です。彼は同種の中でもかなり赤味が強い個体で、その赤い体色の正体は敵の返り血とも噂されています」
(゚、゚トソン 「実際は、兄貴肌の気のいい人で下級生達にも人気です。先日はミセリの『やっぱり体が赤いってことは他のクワガタの三倍速いんですか!!?』というアホな質問に『いや、俺はライデンの方だからよ!』と笑顔で優しく返していました」
ミセ*゚ー゚)リ 「もー…またその話する〜」
( 、 *トソン (ムスッとしてるミセリもかわいいですね)
Σ(゚、゚トソン ハッ
(゚、゚トソン 「ちなみにロマネスク選手は無類の甘党で、自室はかわいいぬいぐるみが並んでいるとの情報です」
411
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:38:14 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「次はこの二人ぃ!!可憐で可愛らしい外見ですが侮ることなかれ!!」
( ,,^Д^) 「胸に秘めしは地獄の業火!!!!何度倒れても立ち上がり喰らいつく超攻撃型のファイトスタイルもあって人気急上昇中!!」
( ,,^Д^) 「メラメラと燃え滾るその闘志は、果たして帝に届くのか!!!?エントリー№4『炎鬼』アトラ&ツンデレだあああぁぁぁ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「今期一番の注目株の登場です!!実は私もツンちゃんファンクラブに入っていたりしますが、実況はしっかりフェアにやっていきたいと思います!!」
( 、 #)トソン 「…ミセリには私がいるじゃないですか」
ミセ*゚―゚)リ 「…え?なんて…?」
(-、‐トソン 「ふぅ……」
(゚、゚トソン 「アトラはアトラスオオカブトという種類です。非常に気性が荒く、攻撃的な性格をした個体が多かったりするのですが、彼…いえ、彼女自身は乙女心にも理解があり、非常に繊細な心遣いのできる方です」
(゚、゚トソン 「そんな彼女がツン選手からパソコンを借りて運営している手芸と詩のブログは非常に人気があります。ツン選手自身もかなり器用で、多趣味なことから、実はツン選手がアトラ名義でやってるんじゃ…という噂もあります。」
(゚、゚トソン 「そんなところも彼女の魅力の一つなんだとか……」
( 、#トソン 「…誰ですか?私が書いた放送原稿とコレを入れ替えたりしたのは?」
(゚Д゚#トソン 「出てきなさい!!」
ミセ;゚―゚)リ 「…わ、わたしじゃないよ…?」
(^、^#トソン 「……別に怒ってませんよ?」
(゚、゚トソン 「ただし…この件は後で追及させてもらいますからね?」
ミセ;゚―゚)リ 「……ひ、ひえぇぇ」
412
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:38:40 ID:GGk7J/rg0
( ,;^Д^) (………ミセリちゃん…ごめん!)
( ,,^Д^) 「意外性で言うならこの男を忘れちゃあいけない!!ノービスに落ちるかどうかの瀬戸際にあった遅咲きの才能は、見事に開花しました!!!!」
( ,,^Д^) 「瞬く間に勝利を重ね、そのランクは一気に9位まで上昇!!非常に素早く地上、空中においても速さで右の出る者はいません!!!!」
( ,,^Д^) 「スロー再生でも追いきれぬその速さは、まさに幻の如く!!対戦相手に影すら踏ませずノックダウンした試合動画は今なお再生回数が伸び続け、そのコンボ数が議論されています」
( ,,^Д^) 「視認不可能の不可避の連撃が相手を砕く!!!!エントリー№5『無影』ポチ&ドクオだああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「この一ヵ月足らずで、なんと97位から9位という驚異的なまでの急成長を見せましたこのコンビ!!今大会の注目のダークホースです!!」
(゚、゚トソン 「ポチは角的にカブトムシっぽいとの情報なのですが、映像はその素早さ故に移らず、写真はブレッブレという状態でして……」
(゚、゚トソン 「現在はカメラマン達の間で彼を綺麗に取ることができれば、カメラマンとして大成するという都市伝説にまでなっています」
(゚、゚トソン 「非常に謎の多い選手です。……今大会ではその秘密のベールを暴く者は現れるのでしょうか?」
413
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:41:06 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「その甘いルックスと紳士的で物腰柔らかな態度からは想像もつかぬ、残虐で芸術性が高いファイトスタイルは一部で熱狂的なファンがいます!!」
(#,,^Д^) 「僕の方が絶対にいい筋肉してますけどね!!!!」
( ,,^Д^) 「前大会で披露したその『個性』は非常に強力!!その後は棄権者が続出し、なかなか試合でお目にかかることはできませんでした!!」
( ,,^Д^) 「そのため彼が出る試合のチケットの価格が高騰し、ファンの女性達による『オサム狩り』というチケットを強奪する行為が校内で問題になりました!!」
( ,,^Д^) 「今日もその力をもって闘技場を真っ赤に染め上げるのか!!?エントリー№6『真祖』ヴラド&オサムだあああああ!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「なかなかお目にかかれないコンビが登場しました!!ファンの皆さん!!この機会をお見逃しなく!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「……でも無理やり最前列の席を取ったりするようなマナー違反はしないようにお願いしますね!!」
( 、 *トソン 「ktkr!!!!はぁぁぁ………オサム様ぁぁ…!……ムリ!…ムリムリムリムリムリ!!…やばいやばいやばいやばい!!!!…あぁぁ……尊い…!!」
ミセ ゚-゚)リ 「……むぅ〜…」
Σ(゚、゚トソン 「…ミッ、ミセリ!?……違いますよ!?違うんですよ!!?……こ、これには訳があって!!!!」
ミセ ゚―゚)リ 「…早く解説したら?」
(゚、゚;トソン 「……え、えぇ〜、と…です…ね。ヴラドはギラファノコギリクワガタという種類です。…あ、あの、あ…っと、え〜……長くて大きいアゴが特徴です」
(゚、゚;トソン 「その『個性』はまさに吸血鬼そのものです。っと、です…ねグロテスクなものが苦手な方はご注意ください」
(-、-;トソン 「……あの、ミセリ?…すみませんでした。」
ミセ*゚―゚)リ 「わかればよろしい!」
(゚、゚*トソン 「ミ、ミセリ!!」
414
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:42:03 ID:GGk7J/rg0
( ,,*^Д^) (…はぁ〜……ムリ…尊い)
( ,,^Д^) 「ついに時は来た!!!!私達は君を待っていた!!前々回大会から忽然と姿を消していた元チャンピオン!!」
( ,,^Д^) 「その実力は歴代の『蟲帝』達の中でも随一と言われています!!……そう言えば………私が山籠もりしていた…しろg〜……なんだったっけな?山の一番奥の洞窟の中で見かけたような?」
( ,,^Д^) 「その美しく輝く白銀の頭髪と陶器のような白い肌が印象的な彼は、その悪魔的なまでの美しさと圧倒的すぎる戦闘力から『白い悪魔』と呼ばれているぞ!!」
( ,,^Д^) 「ギアなしでどんな虫とも心を通わせてしまうという伝説のチャンピオンが闘技場に殴り込みだああああ!!!!エントリー№7『白い悪魔』ゼロ&ハイン!!!!!!」
ミセ*゚―゚)リ 「創作小学校と言えばこの選手です!!この選手無くしてビートルを語ることはできません!!!!」
(゚、゚*トソン 「…ついに闘技場で再び、彼を見ることができますね!…果たしてどこまで成長しているのか……全く予想が付きませんね」
(゚、゚トソン 「ゼロはグラントシロカブトという種類です。その『個性』は氷と雪を操るという、まさに虫たちにとって脅威と言えるものです」
(゚、゚トソン 「………果たして彼を打ち破る者は現れるのでしょうか?」
415
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:42:31 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「お次はルーキーの登場だ!!!!」
( ,,^Д^) 「初心者にも関わらず、まさに破竹の勢いの快進撃を見せました!!!!」
( ,,^Д^) 「その『個性』はなんとも特殊な固有結界を創るというもの!!」
( ,,^Д^) 「はたして、どこまで勝ち進むことができるのでしょうか!?決勝トーナメントじゃビギナーズラックは通用しないぜ!!!?」
( ,,^Д^) 「戦いたいからここに来た!!!!エントリー№8『無垢』ベルボス&モナーだああああ!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「でましたね!!ベルボス&モナー」
(゚、゚トソン 「今期は、このコンビを筆頭に、急激に実力をつけた方が多いですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「たしかに〜。皆頑張ったんだね」
(゚、゚トソン 「ベルボスはオオツノメンガタカブトという種類です。バットやこん棒のような形状の角が特徴的ですね」
(゚、゚トソン 「その『個性』は非常に特殊で、モナー選手の世界に対戦相手を引きずり込むというものです」
ミセ*゚ー゚)リ 「モナー君の世界?」
(゚、゚トソン 「まあ、見ればわかりますよ」
(-、-;トソン (能力の規模や詳細が不明過ぎて、解説者泣かせなんですよね)
ミセ*゚ー゚)リ 「今日も勝利の風は吹くのでしょうか!?」
416
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:43:03 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「風といったらこいつを忘れちゃいけないぞ!!!!」
( ,,^Д^) 「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!!悪を倒せとオレを呼ぶ!!」
( ,,^Д^) 「胸に宿すは正義の心!!真っ赤に燃える!!」
( ,,^Д^) 「赤いマフラーは正義の証!!エントリー№9『半熟ヒーロー』ほんごう&エクストだあああああ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「エクスト君って、いっつもお掃除とか手伝ってくれて優しいんだよね」
(゚、゚トソン 「あ〜…。荷物も持ってくれたりしますしね」
ミセ*゚ー゚)リ 「暑苦しいけどいい人だよね」
(゚、゚トソン 「ええまあ。」
(゚、゚トソン 「ほんごうはトノサマバッタです。近年は甲虫主体となりつつあるビートル界においてバッタと組む選手は非常に稀です」
ミセ*゚ー゚)リ 「たしかにね。頑張ってほしいなあ」
(゚、゚トソン 「今後のビートルの可能性を広げていくコンビとして注目していきたいところです」
(゚、゚トソン 「その『個性』はこれまた特殊。通称『ヒーローハート』と呼ばれるものです」
(゚、゚トソン 「ヒーローっぽい状況になるとパワーアップしたり…まあ、、とにかく謎が多い能力です」
(゚、゚トソン
ミセ*゚ー゚)リ (あ…トソンちゃんが遠い目をしてる)
417
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:43:35 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) (…頑張れ!トソンちゃん)
( ,,^Д^) 「いよいよこいつらのお出ましだぁ!!!!」
( ,,^Д^) 「数々のライバルを沈めてきたその凶悪な『個性』は非常に強力です」
( ,,^Д^) 「オサムファンクラブ会員№2の彼女は、その一声で千人を超えるファンが動くと言われています!!!!」
( ,,^Д^) 「血に飢えたその視線は、今日も獲物を求めて煌々としています!!エントリー№10『狂信者』ヴァン&ワタナベ!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「ワタナベちゃん、今日も白と黒のフリフリでかわいい服だね」
(゚、゚トソン 「今回のファッションはコウモリをイメージしているんだそうです。似合ってますね」
(゚、゚トソン (ちなみに、会員№1は私です!!このトソンです!!)
( 、 *トソン フンス (へっへーん!!)
ミセ*゚ー゚)リ (トソンちゃん。なんか得意げだなあ)
(゚、゚トソン 「ヴァンは、ギラファノコギリクワガタです。なんと『個性』を二つ持っているという非常にレアな個体です」
(゚、゚トソン 「『個性』は再生と自分が受けたダメージを相手にも与えるというものです」
ミセ*;-〜-)リ 「いっつも痛そうで心配なんだよね」
(゚、゚トソン 「たしかに。グロテスクなものが苦手な方は要注意です」
418
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:44:01 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「さて、お次は謎のベールに包まれたこの選手!!」
( ,,^Д^) 「今年、初参加にも関らず無敗のまま一気に予選を勝ち上がりました」
( ,,^Д^) 「負けたらマスクを脱いでもいいと自信たっぷりにいう彼は、これまでそのマスクを剥ぎに来た多くの選手を返り討ちにしました!!」
( ,,^Д^) 「オールドスタイルのその戦術は、果たして現代のビートル・トップランカー達にどこまで通用するのでしょうか!!!!」
( ,,^Д^) 「エントリー№11『マスクマン』バルケン&ジャスティスカイザーだあぁぁぁぁああああ!!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「おー!!バルケン&ジャスティスカイザー!」
(゚、゚トソン 「彼らは本戦まで挙がってくるだろうと思っていました」
ミセ*゚ー゚)リ 「戦い方が地味なんて言われるけど、私はこんなビートルも好きだな」
(゚、゚トソン 「バルケンは創作原産のカブトムシです。『個性』はオールドファッション。相手の『個性』を無効化するというものです」
(゚、゚トソン 「相手の『個性』を封じ込めることで、強制的に虫相撲の形に持ち込みます」
(゚、゚トソン 「今大会、注目すべき選手の一人です」
419
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:46:44 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「お次は我がマッスルメイトの一人!!その鍛え上げた肩は大きくたくましいぞ!!!!」
(#,,^Д^) 「いよっ!!!!腹筋ちぎりパン!!!!」
( ,,^Д^) 「肩にダンプカーでも乗せてんのかい!!!!?」
(#,,^Д^) 「そこまで絞るには眠れない夜もあったろう!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「タカラくーん」
( ,,^Д^)そ
( ,,^Д^) 「相棒と共に鍛え上げたその肉体は、今日もキレッキレだぁ!!!!!!」
( ,,^Д^) 「エントリー№12『鉄人』バルク&ギコ!!!!!!」
420
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:47:09 ID:GGk7J/rg0
ミセ*゚ー゚)リ 「タカラくん、とっても嬉しそうだねえ」
(゚、゚*トソン 「…お〜、これはなかなかのキレですよ」
(゚、゚*トソン 「ギコ選手は脚までしっかりと鍛えられていますね。いいバランスです」
ミセ*゚ー゚)リ 「タカラくんとギコくんが並んで歩いてると廊下が狭く見えるよね」
(゚、゚*トソン 「ええ眼福です」
(゚、゚*トソン 「…あの腹斜筋で大根をすりおろしたい」
ミセ*゚ー゚)リ 「トソンちゃ―ん?」
(゚、゚トソン 「あ、はいはい」
(゚、゚トソン 「バルクはヘラクレスオオカブトです。『個性』は硬化」
(゚、゚トソン 「自らだけでなく、周囲の環境の硬さまで自在に操ります。単純ですが非常に強力ですよ」
(゚、゚トソン 「ちなみにギコ選手は、絵を描くのが趣味だそうで、先日のコンクールでは銀賞を受賞しています」
421
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:47:36 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「ここで、トリックスターのお出ましだぁ!!!!」
( ,,^Д^) 「敵も観客も欺くその個性は、まさに一級品!!」
( ,,^Д^) 「穏やかな笑顔の裏に、渦巻く戦術と狂気は計り知れません!!!!」
( ,,^Д^) 「一体、我々にどんなショーを見せてくれるのでしょう!!??」
( ,,^Д^) 「エントリー№13『道化』ロキ&フォックス!!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「きました。前回大会三位入賞の実力者です!!」
(゚、゚トソン 「やはり今回も上がってきましたか」
ミセ*゚ー゚)リ 「今回こそはと優勝を望む声も多いのではないでしょうか?」
(゚、゚トソン 「そうですね」
(゚、゚トソン 「ロキはニジイロクワガタという種類です。やや緑がかった玉虫のような体色と短めのアゴが特徴ですね」
(゚、゚トソン 「『個性』は実体を持つ幻影を生み出すというものです」
(゚、゚トソン 「『個性』の強さとフォックス選手の戦術が合わさり、まさに鬼に金棒といったところです」
ミセ*゚ー゚)リ 「試合が楽しみですね!」
422
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:49:01 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「先日の試合での怪我も完治し、調整もばっちりとのことです!!!」
( ,,^Д^) 「突き進む光の矢は『蟲帝』を打ち倒し、雪辱を果たすことができるのでしょうか!!!!」
( ,,^Д^) 「エントリー№14『雷光』トール&ショボン!!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「無事に復帰できて本当に良かったです!」
(゚、゚トソン 「名選手が引退することなく復活したというのは、本当に嬉しいことですね」
(゚、゚トソン 「トールはちょっとややこしいですがネプチューンオオカブトです」
ミセ*゚ー゚)リ 「ややこしいかなあ?」
(゚、゚トソン 「今度、一緒にお勉強しましょうね?」
ミセ*゚ー゚)リ 「うん」
(゚、゚トソン 「『個性』は雷です」
ミセ*゚ー゚)リ 「なんかザクっとしてない?」
(゚、゚トソン 「仕方ないんです。雷に変化したり、雷で物を創り出したり、雷を纏ったり……」
(;、;トソン 「ザクっと…ザクっというしかないじゃない!!」
ミセ;*゚Д゚)リ 「あ、ご…ごめんね!!?」
(゚、゚トソン 「なーんちゃって」
(゚、゚トソン 「さあ、次に行きましょうか」
423
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:49:30 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「そのファイトスタイルは、本人の性格とは真逆の超攻撃型!!!!!」
( ,,^Д^) 「計算されつくした怒涛の連続攻撃は、正に彼女の二つ名の如く相手を飲み込みます!!!!」
( ,,^Д^) 「雨の日の野良試合では負け知らずの彼女が、この闘技場でどのような戦いを見せてくれるのか!!!!?」
( ,,^Д^) 「エントリー№15『濁流』アープ&クールゥゥゥウウウ!!!!!!」
ミセ*゚ー゚)リ 「クールちゃん、気合十分ですね」
(゚、゚トソン 「前回大会では、ハイン選手と初戦から当たったことで惜敗を喫した彼女ですが、今大会では何やら秘策があるそうですよ」
(゚、゚トソン 「アープはクラヴィゲールタテヅノカブトという種類です。胸角の先端が菱形のヘラ状に広がっているのが特徴です」
(゚、゚トソン 「また、サーベルのような頭角を用いた戦闘方法も得意としています」
ミセ*゚ー゚)リ 「…秘策、楽しみですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「…こっそり訊いたら、教えてくれないかな」
(゚、゚トソン 「秘策の意味がなくなるじゃないですか……」
ミセ*>〜゚)リ テヘ
424
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:50:03 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「前回の公式試合にて、まさかの敗戦。学校から姿を消していたあの男が返ってきました」
( ,,^Д^) 「伝説となった相棒の『ノイジービート』を喪い、それでもなお足を止めなかったのは自身のプライド故か…亡き相棒にその勇姿を見せるためなのか…!!!!」
( ,,^Д^) 「……全身の傷が修行の激しさを物語っています!!!!!」
( ,,^Д^) 「一度全てを失った男は果たして再び、栄光を掴むことができるのか!!!!?」
( ,,^Д^)そ
( ;;^Д^) 「…………おいおい?本当にこれ読めって?」
( ∵)о=ニニフミセ;;゚―゚)リ(゚、゚;トソン 「ちょ!ちょっと!!?なんなんですか!!!?あなた!!!?」
( *^ν^)‘e’) 「「おいおいww早くしろよーwwwwww」」
( #;^Д^) 「…チッ!小物が……好き勝手しやがって…」
( ,,^Д^) 「……ランキング100位のびりっけつエントリー№16『おもらし帝』カブト丸&ブーン!!!!」
ミセ;゚―゚)リ 「な、な、なんだったんでしょうか……」
(-、-;トソン 「すみませんお騒がせいたしました。えー…カブト丸は創作原産のカブトムシになります」
(゚、゚トソン 「新たな相棒と共に闘技場に舞い戻った元『蟲帝』は一体どのようなファイトを見せるのか………期待ですね」
425
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 01:52:48 ID:GGk7J/rg0
( ,,^Д^) 「以上の16名が戦い、決勝まで進んだ者に『蟲帝』への挑戦権が与えられます!」
ミセ*゚ー゚)リ 「皆!!!!頑張ってね!!!!」
(゚、゚トソン 「今回は誰が『蟲帝』と対戦するのでしょう」
(゚、゚トソン 「非常に楽しみですね!」
ミセ*゚ー゚)リ 「というわけで、さっそくくじを引いていくよ〜!!」
(゚、゚トソン 「よーし!!引いちゃいますよ!!」
426
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/16(火) 02:06:03 ID:GGk7J/rg0
o川*゚ー゚)o 「やあ!!みんな久しぶり!!」
o川*>ー<)o 「かわいいかわいいキューちゃんだよ!!」
o川*゚ー゚)o 「本当は全部の組み合わせを見せてあげたいところなんだけど…」
o川*゚ー゚)o 「私の力も残り少なくなってきててさ」
o川* ー )o 「………難しいみたいなんだよね」
o川*゚ー゚)o 「あっ!ごめんね」
o川*゚ー゚)o 「この世界では、皆の選択がすっごく大事になってくるみたい」
o川*゚ー゚)o 「……少しだけ、少しだけキューちゃんに力を貸してくれると嬉しいな!!」
1回戦 第1試合
>>428
第2試合
>>429
第3試合
>>430
第4試合
>>431
第5試合
>>432
第6試合
>>433
第7試合
>>434
第8試合
>>435
o川*゚ー゚)o 「見たい組み合わせを書いてね」
o川*゚ー゚)o 「○○対××みたいな感じで、選手名を書いてくれると嬉しいな!!」
427
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:16:55 ID:DHa5.wV.0
慣れない、安価などするものではなかったです。
ええ。
428
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:17:20 ID:DHa5.wV.0
(@^ω^) ビート・イット!!のようです。Яeboot
第12話
429
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:18:00 ID:DHa5.wV.0
――――――特設闘技場・控室
.
430
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:19:17 ID:DHa5.wV.0
創作の夏は暑い。
額から垂れる汗が、また地面に吸い込まれた。
控室にあるのは、相当に年季の入った扇風機くらいだ。
こんな時にはゼロの『個性』が少し羨ましくも感じる。
目の前には、ノリノリでラジオ体操をしているカブト丸。
動きのキレを見るに、調子は良さそうだ。
( ^ω^) (関節の作り的に無理がないかお?)
431
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:19:57 ID:DHa5.wV.0
ボクも雨象の里から帰ってきてからは、ゆっくり休むことができた。
体調も良い。今朝も、納豆でご飯を三杯は食べた。
( ^ω^) (不思議と緊張はないお)
【○I○】 (ブーン?マジか?)
【*○I○】 (流石!!試合慣れしてやがるぜ!)
カブト丸は、横曲げの運動をしながら、こちらを茶化すように言った。
あれでいて、緊張してソワソワしているのだろう。
なんたって今日の試合が、カブト丸の観客の前で行う初めての試合なのだから。
( ^ω^) 「頭の中の独り言に、勝手に割り込んで来るのは君の悪い癖だと思うお?」
【○I○】 「いいじゃねえか〜…」
432
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:20:25 ID:DHa5.wV.0
【○I○】 「お前、試合前になった途端に全然話さないから、オレも暇なんだよ〜」
【○I○】 「さっきっから、何してんのさ?」
( ^ω^) 「場内にバリアが張られるその瞬間まで、鼓動とあそこにある蛇口の水滴の音を数えるっていうか…自分とリンクさせていくっていうか……」
このルーティーンは、少しでも『蟲帝』らしく振る舞いたいと思って考えたものだ。
改めて説明をすると、なんだがこっ恥ずかしい気分になってきた。
これが、シャキンさんが言っていた黒歴史とかいうやつなのだろうか。
( ^ω^) 「まあ、とにかくノイジーがいた頃からのルーティーンなんだお」
【○I○】 「なるほど、ようは精神統一してたってわけか…」
【;○I○】 「……邪魔して悪かったよ」
わざとらしく前胸背板を落として見せる相棒。こいつめ。
ちょっと恥ずかしかったから、仕返ししてやろう。
433
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:20:51 ID:DHa5.wV.0
( ^ω^) 「いや、いいお。逆に良い感じに緊張も解れた感じがするし」
( ^ω^) 「さ、そんじゃ僕らもウォーミングアップといきますかお?」
にこやかにそう告げた。
心は静かに、波一つ立てず。
であれば、その波紋を読むこともかなわぬっつってね。
【*○I○】 「おっ!型でもやっとくか!?」
( ^ω^) 「お!…ついでに長の教えの復習とルールの確認もしながらやるお!」
カブト丸は一切気が付いていないようだ。
イケる。
434
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:21:20 ID:DHa5.wV.0
【○I○】 「へっへっへwwルールなら、もうバッチリここに入ってるぜ?」
会話をしながら、身体を解すようにプラプラと振る。
脱力した右腕。俄かに重みを感じる。
( ^ω^) 「おっおっおっwwほんとかどうか確かめてやるお!」
バッ( #゚ω゚)つ三Σ【○I○;】
間合いもタイミングも完璧だった。
【;○I○】 「あっぶねえ!!?」
リードストレートをカブト丸は、脛節で逸らす。
【;○I○】 「お、おい!不意打ちはダメだろ!!?」
(#^ω^) 「何のためのテレパシーだお?」
435
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:22:18 ID:DHa5.wV.0
ちっ!外したか。
だけど次は外さない。
左右の足を素早く入れ替えながら、間合いを詰める。
( ^ω^) 「今の君なら、僕の動作を瞬時にトレースする位、寝ててもできるお?」
そう言うのと同時に、左足でサイドキックを連発。
【;○I○】 「うぉっ!!はっ!?とっ!!」
上段、中段、下段と散らしながら蹴ったが、カブト丸は防ぎきった。やりよる。
でも、これは布石だ。
436
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:22:48 ID:DHa5.wV.0
( ^ω^) (ここだ!!)
軸足を切り替え、跳びながら上段回し蹴りを放つ。
【;○I○】 「うおお!?」
カブト丸は上体を反らして、避けた。
この上段の回し蹴りはフェイント。
本命は、跳び後ろ回し蹴りだ!!
( #゚ω゚) 「殺ったぁぁぁああああ!!!」
たしかな手応えがあった。
蹴りが中胸腹板を貫く。
カブト丸は、そのまま控室の奥の方まで飛んでいき、段ボールの山に激突した。
437
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:23:15 ID:DHa5.wV.0
(;^ω^) (仕返しにしては…ちょっとやり過ぎたかもしれないお)
段ボールの山はピクリとも動かない。
ボクが様子を見に行こうと、一歩踏み出した瞬間、視界が急激に反転した。
( ;゚ω゚)ガクン
よく見ると室内の埃を媒介にした手がボクの足をガッチリ掴んでいる。
(;^ω^) (やば!!?)
段ボールの山が爆発して、カブト丸が躍り出る。
そのままの勢いで、ボクに突進してきた。
頭角が腹筋に衝突する。
同時に念力の手が解け、僕は控室の壁に叩きつけられた。
438
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:24:00 ID:DHa5.wV.0
【○I○】 「どおりで思考が読めねえなと思ったらよお」
【#○I○】 「覚悟しろよお!!!?相棒!!!!」
カブト丸は、一切の躊躇なく全力で念力の拳を振るう。
攻撃はやや単調だが、拳のサイズが大きいため、避けるのも難しい。
( ;゚ω゚) 「はっ!!?おまっ!!?普通は生身の人間相手に念力の手とか使わねえお!?」
【#○I○】 「うるせえ!!せいぜい避けろ!!」
ブーン達が控え室でアップを始めた頃、闘技場の方では第一回戦の抽選が行われていた。
439
:
◆HJSTJA2nos
:2020/06/29(月) 00:40:08 ID:DHa5.wV.0
今日は、ここまでです。
試合の抽選に関しては、書いてもらえれば反映していきます。
440
:
名無しさん
:2020/06/29(月) 03:17:38 ID:/TXNqoNg0
オツ
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