- 1 : ◆vjke6TKyHk :2017/01/29(日) 03:12:53
- あなたはふと目を覚ますと、見知らぬ町に佇んでいました。
何故自分がここにいるのかと記憶を巡らせれば、最後に記憶していた光景は、もしかすれば日常を謳歌していたかもしれませんし、もしかすれば死闘を繰り広げていたかもしれませんし、もしかすれば死の間際だったかもしれません。
それらいずれにせよ、少なくとも自分がここに立っている理由にはなりません。
あなたがそう思案していると、電子音が鳴り響きます。
音源を探すと、いつ持たされたのか、スマートフォンのようなタブレットを持っており、そこから音がしているのがわかります。
中を見てみると、こう書かれていました。
『おまえたちのせかいは ほろびました』
『ざんねんなことに かみにみすてられました』
『でも めがさめたということは かみにおもいだしてもらえたということです』
『おまえたちは しにません』
『おまえたちは かみにあきられるまで しにません』
あなたはそのような怪文書を読み、はたしてここからどうするかを思案するのでした。
オープン前のテストロールスレです。
このまましたらば出続けるか、それともパー速に乗り換えるかはさておき、まずはここで手応えを確かめましょう。
- 54 :鬼灯 緋那子 ◆NaNYuYafv2 :2017/02/12(日) 04:34:33 ID:bf1w8ffU
- >>53
「はあっ……もう、便利なカラダをお持ちなことで……羨ましいですね、血を増やせるなんて」
こっちはただでさえ貧血なのに。そう独り言ちながら、刀を支えにしてなんとか立ち上がる。 びちゃびちゃと、血の海を踏みしめて歩き、倒れ伏すアルルを見下ろせる位置まで来た。 刀の切っ先を、アルルの胸――心臓の真上に向けて。
「……この世界では、私たち……『しにません』だそうですよ。貴女も、そうかもしれませんね。 生き返れたなら、またお相手してあげますから。今はもう、お休みなさいな」
戦って、刃を振るって相手を斬るということは、即ち相手を殺すことに繋がる行為だ。 その覚悟をしていないわけはない。緋那子は正常/清浄な人間ではない。ただの戦狂いの、人殺し。 だから、その切っ先をアルルの心臓へ――まっすぐ落とすことに、なんの躊躇も抱かなかった。
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- 55 :アルル・ルージュ ◆vjke6TKyHk :2017/02/12(日) 04:50:41 ID:FtkW6Y52
- >>54
心臓は、まずい。
快楽から意識を取り戻した彼女は、それだけは判断がついた。
途端、全身の傷を瞬時に回復。その場で転がることにより、回避を試みる。
トドメを刺すつもりであった相手の意表をつくことはできるだろうが、この危機的状況を脱することができるか。
できなければそれまでのこと。心臓を貫かれて、彼女は死を迎えるだろう。
果たして、どちらに転ぶか。まさしくそれは、かみのみぞしる。
- 56 :鬼灯 緋那子 ◆NaNYuYafv2 :2017/02/12(日) 05:04:17 ID:bf1w8ffU
- >>55
「ッ!?」
瞬きをした次の瞬間、何事もなかったかのように修復された傷。 その光景に目を見開いて――コンマ以下の秒数の話、けれどもそれで十分になるのが、戦場だ。 転がったアルルの肌に幾許かの傷は与えられただろうが、心臓を貫くことは叶わなかった。
(く、っそ……拙い、拙すぎるなこの状況……よりにもよって、傷、治しやがった……! ふざけんなよ、こっちはもうこれ以上やってる気力も――ああもうっ)
舌打ち交じりに荒れる思考、けれどこれ以上狼狽えているヒマもない。 刀を握り直し、どうすればいいかを考えて――――
「――――――“徒花”っ!」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 57 :アルル・ルージュ ◆vjke6TKyHk :2017/02/12(日) 05:23:43 ID:FtkW6Y52
- >>56
「すっっっごい、痛かったよ!」
心臓への攻撃を避け、転がった先で立ち上がり、開口一番、アルルは素直な自分の感想を告げた。
「やっぱりギブだけじゃつまらないよね。ギブアンドテイク、与えて、もらう。それが一番ハッピーな形だよね!」
血まみれで、彼女は笑う。避ける時に受けた傷も、たちどころに治ってしまう。
その余裕の現れか、弾ける血しぶきは避けようともしない。
しかし、頭に降りかかろうとした飛沫だけは片方の腕で防いだ。
「それで、今度はこの飛び散った血で何してくれるのかな? もしかしてこのまま黒ひげさんみたいになるのかな?」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 58 :鬼灯 緋那子 ◆NaNYuYafv2 :2017/02/12(日) 05:41:55 ID:bf1w8ffU
- >>57
「ふざけないでくださいよ、あなたギブされたって、そうやって治しちゃうじゃないですか。 こっちはテイクされた分だけ、そのまま残っちゃうんですよ、ええもう……」
はーっと大きく大きく溜息をついて、やれやれと言うように肩を竦める。 緋那子自身も血を浴びて、二人とも全身真っ赤どころの話ではない。
「さあどうでしょう。黒ひげ、こま切り、何でもできちゃいますけどねえ。 ひとつだけ奥の手があるので、それを貴女に使ってあげようかと思いまして」
――――ふつり。互いに互いの血を浴び合った少女たちの体に、わずかな熱が燈る。 気付くだろうか、先程辺り一面に振り撒いた緋那子の血が――沸々と泡立ち、だんだん熱くなっていくことに。
「……さっきも言いましたけど、私たち、この世界では『しにません』だそうで。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 59 :アルル・ルージュ ◆vjke6TKyHk :2017/02/12(日) 06:03:31 ID:FtkW6Y52
- >>58
「アァァァ!!」
身を焦がす膨大な熱は、回復したそばから身を焦がしていく。
さらに、この身を傷つけるのは熱。破壊された体組織を元に戻しても、蓄積されていく熱をゼロにすることはできない。
熱は皮膚を焼き、脂肪を溶かし、筋肉を焦がし、脳へとやがて浸透する。
手に集められていた血液も、放たれることなく蒸発してしまう。
「あ、アァ……ふ、ふふふ、さい、こう……!」
黒い人型となった彼女は、そう呟きその場に倒れ伏した。
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- 60 :鬼灯 緋那子 ◆NaNYuYafv2 :2017/02/12(日) 06:10:50 ID:bf1w8ffU
- >>59
「――――――――」
熱に呑まれていくのは此方も同じ。青白い肌を黒く焦がし、悲鳴すら焼き尽くされて、 ヒトとしての形すら失って尚――口元だけは、最期まで笑みの形を保ったまま。 緋那子もまた、光の粒子となって、辺り一面が焦土と化した路地裏から消え去った。
同じく、ニュータウンゾーンの何処か。 緋那子の「家」として設定されている、学生向けの安アパートのベッドの上。 何事もなかったかのように朝日は昇り、タブレット端末のアラーム機能で叩き起こされる。
「……まるで夢でも見た、みたいな感覚。いやもう、夢だったら逆にそっちのが嬉しいんですけど」
がしがし。うんざりしたような表情で頭を掻きながらベッドから降り、 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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