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サチモス
75
:
名無しの茅ヶ崎さん
:2019/08/10(土) 15:08:52
茅ヶ崎中央公園でセミの抜け殻を捕っている人がいた。
ケヤキの木の下のバケツを見たらぎっしりと抜け殻が詰まっていた。
いったい何に使うのだろう。
漢方薬の材料にするのかな、それとも切り絵の素材か、
お兄さんに訊いてみた。
「こんなに抜け殻を集めてどうするんですか」
「あ、これは研究材料です、調査なんです」
「調査といえば地球温暖化とかですか」
「ま、いろいろです」
なんか、はぐらかされたような、バカにされたような気がした。
あなたに説明する暇はないよ、そんな印象を受けた。
理科系の人であまり熱く語る人ではないらしい。
俺はなぜか今日は熱く語りたかった。
「みんみんゼミの鳴き声はなんかゴネた鼻にかかった声ですよね」
と
その理系先生にふってみた。
「・・・」
かまわず俺はつづけた
「みんみん蝉の句でこうゆうのがあるんですよ」
「みんみんの声の円盤回りけり」
俺いつもみんみんゼミの声を聴くといつもなるほどな
とおもいます。
「みんみんの声の円盤回りけり」これ覚えておいて下さい。
たしか作者は「有働 亨」という俳人です。
ではさようなら、おげんきで。
と言って公園を後にしかけたら。
そのお兄さんがちょっと待て、私も作りましたよ。オリジナル。
「垂直に水吸ひ上げてゐる蝉しぐれ」
俺「・・・・」
お兄さん「どうよ、オリジナルないの、逃げるの」
俺「・・・・」
お兄さん「まだ〜、オリジナルだしてよ」
その時、俺に何かが囁いた。
俺「いかせてもらいます」
「炎天に潰れて翅のひらきけり」
仰向けにつぶれた油蝉を指さして俺はそこをたち去った。
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