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二題噺スレ。

13泥がささやく。:2007/02/07(水) 18:55:51
白秦遠雷は糧食を食べ終えると、座っていた円形の石から腰を上げた。
その石はきれいに加工されており、人工物であることがわかる。
見れば遠雷の周囲には白石の石柱やその他の建材が朽ちたまま転がっている。
これらはかつて僧院だった。遠雷の傍らに倒れた碑には
「アレは問う神、アルセスは答える神。二柱は一なる双子。
交わされる言葉ががふたりを繋ぐ。
アレが問わなければアルセスは答えず、
アルセスが答えなければアレは問いを発しない。」
という文が刻まれている。アレ(在零)とアルセス(在世主)は
汎言音系神話の神々であり、遠雷の向かうサイクロン(災駆龍)では異教の邪神とされる。
なぜなら汎言音の神はサイクロンの敵であるグレンテルヒ(紅蓮照日)族が信奉する神々であるからだ。
とくにアルセスは名前が似ているというかなりいい加減な理由で真鍮魔人アロセスと結び付けられた過去がある。
この真鍮魔人はかなり古い時代から紅蓮照日に関わり、様々な援助をしていたらしい。
アロセスはサイクロンの英雄・熊沢丈児に倒されたが、その直前に恐ろしい呪いをかけ彼を殺してしまった。
不幸なことにそれと同一の存在とされるアルセスは災駆龍人にとって英雄殺しの大悪魔ということになる。
先の戦争で災駆龍人はアレとアルセスに捧げられた神殿や寺院を我先にと破壊し、略奪していった。
もし戦乱がなければ、この僧院も美しい姿で旅人を迎えたのかもしれない。
頼めば異教徒の自分だって宿を借りることができたかもしれない……そう思うと
災駆龍の所業が憎くたらしくなる。白秦遠雷はここ何週間もまともな寝床を得ていない。
進むべき旅路に目を向けると、そこは見渡す限りの平原だった。
住居も無く田畑もなく、まばらに木が生えているだけの光景。だが見飽きた風景の先には
昨日までとは違うきらめきがある。ずっと先にある川が太陽の光を反射しているのだ。
一度深呼吸すると遠雷は歩み出した。


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