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生贄の祭壇
17
:
黒渕さんの妹
:2015/07/05(日) 21:56:01
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ミスター解説がそこまで語ったところでぱちぱち、と乾いた音が二重に聞こえた。
それは冬の枯葉を踏みしめるような冷たい拍手の音、心なしか胸元が膨らんでいるようにも見えた。
「……仮定に仮定を重ねたつまらん推論だな。それに私は探偵は嫌いだと言っただろう――」
クビ――、冷徹な言葉のままに言い放った。
呆然と立ち尽くすミスター解説を余所に糺礼は歩き出した。
そう言えば、なんで私は黒渕にさん付けしていたんだ? と言う割と根源的な疑問を抱きながら。
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その頃、黒渕さんの妹は――!
魔人警察の追跡をかわして、熱海にまで来ていたのである!
ここ、熱海は名古屋の次には四国に近い温泉地として名を轟かせていた!
そして、今彼女は熱海・高知海にてズワイガニを供物に捧げ、邪神の眷属を喚び出そうとしていたのである。
「ズーワ、ズーワ、イー・ガ=ニー……」
おお、なんたる難解で禍々しき呪詛であろうか。
片手にはテディベア、名付けてクマのまーくん。愛する恋熊の現身であった。
片手にはズワイガニ、名前はまだない。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
――!
「ギョギョオオォォオオオー!!」
魚はカツオで人は武士、よくよく聞く言葉であるが、そこに立っていたのは二足歩行のカツオ。
……つまりはカツオ武士であった!
「このカツオ武士にお姉ちゃんの太刀魚を武器として、私のズワイガニを甲冑として装備させれば……!」
すなわち、死をも恐れず邪神様にお仕えする最強の武士団が完成する!
なんと恐ろしい計画であろうか、黒渕さんの妹は知力6によって本戦の裏でこのような暗躍をしていたのである!
「行くよ、金蔵寺スコット!」
名のある武士であろう――、黒渕さんの妹は彼を引き連れ走り出した!
終
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