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○○を無事に卒業させる

6司法権の独立:2005/01/20(木) 17:17
1 司法権の独立には,2つの意味があり,1つは,司法府が他の2権から独立していること,もう1つは,個々の裁判官の職務が独立していることである。そして,司法府の独立は,裁判官の職権行使の独立を支える基礎たる制度であることを考えると,司法権の独立の中核をなすのは,裁判官の職権行使の独立である。
  このような司法権の独立が要求されている理由は,司法権が非政治的権力であり,政治性の強い立法府,行政府から侵害される危険が大きいが,司法権は,裁判を通じて国民の権利を保護することを職責にしているので,政治的権力の干渉を排除し,とくに,少数者の保護を図ることが必要だからである。
2 司法権の独立の1つ目の意味である司法府の独立とは,全体としての裁判所が,立法府,行政府といった政治部門からの介入を受けず,独立して自主的に活動できることを意味する。
 司法府の独立の具体化として,最高裁判所の規則制定権(77条1項),下級裁判所裁判官の指名権(80条1項),司法行政権(裁判所法80条)がある。
 司法府の独立が問題となったものとして,浦和充子事件,吹田黙祷事件等がある。
3 司法権の独立のもう1つの意味である裁判官の職権行使の独立とは,個々の裁判が何人の介入も受けずに独立して行われることを意味し,憲法76条3項はこの原則を示すものである。
  同項の「良心」の意義のついては争いがあるが,私は,同項の「良心」は憲法19条の「良心」とは異なり,裁判官としての客観的良心ないし裁判官の職業倫理を意味するものと考える。近代私法では,裁判官の主観的良心は法源たりえないし,裁判官はあくまでも法体系の客観的原理を探求すべきだからである。
 個々の裁判の独立を保障するためには,個々の裁判官の身分が十分に保障されていることが不可欠である。そこで,憲法は,罷免される場合を限定したり(78条前段,79条2項,3項,5項,80条1項),行政機関による懲戒を禁止したり(78条後段),報酬を保障する(79条6項,80条2項)などの規定を定めている。
 このうち,憲法80条1項に定める下級裁判所裁判官の再任について,その解釈に争いがあるが,私は,下級裁判所の裁判官は原則として再任されるのであり,例外的に再任を拒否するためには合理 的な理由を要するものと考える。なぜなら,最高裁判所に再任決定 について全くの自由裁量を保障したと解するのでは,下級裁判所の裁判官の独立を著しく害することになるからである。
4 司法権の独立にも限界がある。なぜなら,裁判の公正確保のためには,かえって,一定程度の外部からのコントロールにより,裁判官や 裁判所の独善化,官僚化を防ぐ必要があるし,司法権が「無の権力」から脱却し法令審査権を含む(81条)とされるにいたった以上,国民の信託に基づく(前文)ものとして,国民の民主的コントロールに 服する必要があるからである。
  そこで,内閣は,一定の裁判官の指名権,任命権を有し(6条2項,79条,80条),弾劾裁判所は裁判官の罷免の裁判をなすもの(64条)とされる。
 さらに,国民も,国民審査(79条)に参画する他,表現の自由(21条)の範囲内で裁判批判を成すことが認められなければならない。


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