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それは連鎖する物語Season2 ♯2
672
:
エクリエル 1/4
:2015/07/11(土) 17:28:02 ID:v1jyJ5Ek0
別段、空席だった風紀委員長の席に戻る事は難しい話ではなかった。
元々は高等部への進学時に、乱層区画の調査及び研究が主となり、作業量的に過負荷傾向となる為に学院側が行った処置だ。本来ならば副委員長であった真川敦を委員長とし、適当な人材を補佐として、副委員長に宛がうという話だった。しかし真川敦本人が委員長となる事を拒み、空席としたいという意見を出した為、審議の結果に委員長を空席とする事になったのだ。
当時は二進も三進も行かなかった為に承諾したのだが、現在ではある程度の余裕が出来た事。そして戻らねばならない程に、学院内での面倒事が増えてきた事から、一学期の後半からは仮として、風紀委員長へと戻っていた。二学期からは、正式に学院側から任命されるに違いない。
各学区から上がってきていた先日の巡回報告の書類から視線を起こしたエクリエルは、風紀委員長室の壁に掛けられた時計へと視線を向ける。
時刻は午後二時過ぎ。冷房が効いている空間である為に涼しいのだが、外の暑さは最高潮に達している頃であろう。窓の外を見やれば、雲一つない蒼穹に、太陽が燦々と輝いている。地表では陽炎が揺らめき、遠くの景色は歪んで見えた。
幸い――いや、ある意味不幸ではあるのだが、まだ帰る訳には行かなかった。巡回報告で発見された施設や備品の破損に対する改善の提案書、来週の巡回人員と経路の指示書、室内の新設備の検証報告書という風紀委員長として作成しなければならない書類を作っていない。学生である為にしなければならない課題類も、少量ずつでもやらないと後半に苦しくなる。挙句、学院から指示されている乱層区画の調査報告書も作らなければならない。
普段ならばそれだけで良いのだが、夏季休暇中の折り返す頃には、夏季執行部会が行われる。一学期の報告、二学期に執り行われる行事が議題となるが、それに対する資料や、事前に来ている質問等に対する回答の準備もしなければならない。
具体的には各行事の警備体制案だったり、有事の対処マニュアルだったりだ。多くは例年の物から、人名や規模を調整するだけで済むのだが、一部は一から作り直す必要のある物もある。
寮の自室でやらないのは、単に幾つかの書類が委員会室から持ち出し不可能な事と、冷房や照明の利用費が、委員長室では経費で落とせる事が大きな理由だ。もっと言えば、自室に備えている機材を使うよりも、委員長室に備えられた機材の方が性能が良いというのもある。紙類も、経費で落とせる。
一般生徒からすれば職権乱用だと指摘されそうではあるが、相応の仕事はしている心算なので、苦情などは言わせない。苦情を言う者は、まずは仕事を一通りこなし、それでも苦情があれば言って欲しいものだ。勿論、そうした上で苦情があれば改善はする。尤も、風紀委員長……書類仕事の嫌いな副委員長も含めた、風紀委員会の上層部の仕事をこなした上で苦情を言える者がいれば、の話なのだが。
学院は広い。苦情を言う余裕がある者は幾人かはいるだろう。ただそういう者達は、十中八九何らかの集団の上層部にいる者だ。指摘すれば自身の首を絞める事にもなる。
そんな下らない事を考えながら、エクリエルは書類を作ろうとパソコンに向かう。キーボードへと手を乗せると同時、机上に置かれていた電話機から電子音が響き始めた。
小さく息を吐き出し、画面の表示を見る。図書文化委員長室と表示されたそれを見れば、極々自然に眉間に皺が寄る。
出来れば出たくはないのだが、出なければ、恐らく私用の携帯電話の方に掛けられる。無論、嫌がらせの為か一瞬だけだろう。それを此方からでは電話出来ないように連続して続けられる。非常に煩わしい。
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