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それは連鎖する物語Season2 ♯2
617
:
数を持たない奇数頁
:2015/06/23(火) 21:47:48 ID:ss5gHwv.0
黴臭い神輿殿から退去一行は、今は神社の敷地内に建てられた織守邸の居間に場所を移している。分家とはいえ伏神の聖地にその居を構えているだけあり、見事な枯山水を望める大きな中庭を擁した、立派な邸宅であった。
真夏の山中にありながら、心地よい涼しさに包まれた居間で茶を啜りながら、リョタ達は数時間にも及ぶ大冒険を、不純な動機と不適切なまでに卑猥な表現を織り交ぜつつ、何とも情感たっぷりに、織守と夕霧に語って聞かせていた。
「伝説のエロ本、ですか。何というか、それはまた随分と君らしい」
拓人は何とも楽しげに笑っているが、夕霧はと言えば、彼らと卓を囲む事すら嫌だと言わんばかりに、開け放たれた中庭側の障子戸に寄りかかりつつ、渋面を浮かべていた。
指貫と狩衣という、何とも時代錯誤な装いながらも、拓人のある種超然とした雰囲気はそこに違和感を差し挟ませない。眼鏡が光る涼やかな目元は、何とも理知的である。
彼が「ドエロス師匠」などという直球の罵倒に不快感を表さないのは、何もその温厚な気性が全てという訳ではない。全ては彼が、リョタ・マレグチに師匠と呼ばれて然るべき薫陶を授けたが故である。
その詳細な内容は今回は省くが、少なくともリョタの、延いては彼の友人二人の信頼を勝ち得る程度には、親密な関係であるという事は明記しておこう。
「しかし残念ながら、君達が手に入れた『賢者の書』は、その手の素晴らしい書籍ではないですよ。もしそうならば、あのような穴倉に保管なんてせずに、私が自宅の書庫で独占しています」
「なんて説得力なんだ……!」
「畜生! 女体と体液と豊富な語彙が飛び交うドエロイ本だと思ってたのに……!」
「オノマトペを巧に交えた軽妙洒脱な文章で紡ぎだされる、めくるめく肌色の世界があると思っていたのに……!」
「然るべき場所に訴えたら、私は貴方達から慰謝料を毟り取れると思うの」
眉間を押さえる夕霧とは裏腹に、拓人は実に楽しそうに、カラカラと笑う。リョタたちから受け取った『賢者の書』の表紙を撫ぜると、それが一体どういったものなのかを、簡単にだが説明し始める。
「まあ要するに、これは伏神の歴史書兼奥義書の様な物でしてね。彼の家が数千年の時間を掛けて築き上げた全てが、詰まっています。
持ち出しはもとより、閲覧も厳禁です。直系である聡治くんや劔……様はともかく、臣下の家であったマレグチくんでも、この事が本家の偉い人に露見すれば、まあ良くて記憶が、悪ければ存在を消されかねませんよ」
「――触手で!?」
「馬鹿野郎、スライム娘にだろ!」
「人間の処理を担当していた女の子が、何故か僕に一目ぼれ。そして始まる肉欲に塗れた学園ラブコメ。……ふふ、素敵だね」
「オーソドックスではありますが、女性だけで構成された暗殺者集団に、新たな遺伝子を取り込むために種馬として飼われるというのも、中々に心が躍りませんか?」
眼鏡のブリッジをくいと押し上げ、眼を細めた拓人の言葉が、三人の鼓膜を揺すぶった。
こいつ出来る、というジョエルとフィルの視線。衰えは無いようだと安堵するリョタの視線。そしてさっさと死ねばいいのにという夕霧の視線。その全てを笑って受け流しながら、拓人は話を続ける。
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