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それは連鎖する物語Season2 ♯2

58タタリ 3/2:2014/10/22(水) 01:10:37 ID:smnMc0lo0
「幸いと言うか何と言うか、劔さんと姉さんは元々知り合いだったらしいから、形だけでも結婚という体裁を執る事で御意見役たちの意見を通したらしい。姉さんは今や伏神の本家で生活してるって話だが、少しは待遇も緩和されてるんじゃないかな」
「兄さんらしいや」
 困った人を見捨てられなかったり、理不尽な権力を嫌ったりするところは相変わらずらしく、かつての記憶と変わらぬ兄の姿にほっとため息を吐く。
 しかし、これで合点がいった。初対面の朝霞は俺にやたらと辛辣な態度を取っていたが、あれは俺がどうという問題だけではなかったのだろう。いや、第一印象が最悪だったからこそ原因は全く別とは思わないが、あれはたぶん……人間界そのものへの憎悪があったのだろう。
「ま、あたしがこの辺の事情を知ったのは、つい昨日の事なんだけどな」
「そういや、先にここに来てたって事は、俺より早く出たって事だもんな。俺は兄さんから連絡を受けた翌日に都内を出たが、お前は休日前に出立してたのか」
「あぁ。伏神ってのは少なからず嫌いだが、劔さんとは少し話して、悪意がない事は分かった。テメェは未だにいけ好かねぇが、劔さんの面子もあるし、まぁ少しくらい認めてやらんでもない」
「どんだけ上から目線だよお前」
 いやまぁ、別にいいんだけどな。ゴミ屑からゴミにランクアップしたところで実数値的な差はなかろうて。
 そんな事情を聞き終わった頃、織守と話を終えた大人組二人が帰ってきた。手には風呂敷を抱えている。おそらく織守さんち秘伝のおはぎだろう。あれは昔から美味いんだ。
「仲良さそうだな、二人とも」
「「いや、全く良くねぇよ」」
 くつくつと笑いながら歩み寄ってくる夕霧さんに向かって、顔の前でパタパタと手を振る俺と朝霞。コイツと仲がいいなんて死んでもゴメンだ。アシュリーとよろしくやってる方が百倍マシってもんだよ。

 さて。だいぶ時間を食ってしまったが、いよいよ本家に足を踏み入れる事になってしまった。
 ああ嫌だ。覚悟は決めていた筈なのに、いざ帰るとなると本当に憂鬱だ。当初の予定であった兄さんの結婚報告は聞いたのだし、もう帰っても問題ないと言うのに。
 ……って言うか。その前にもう千五百段ほど階段登らなくちゃならないってのが一番イヤなんだが。


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