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それは連鎖する物語Season2 ♯2
481
:
数を持たない奇数頁
:2015/03/23(月) 15:26:58 ID:wPzqGEho0
一閃。
空間を抉るかのごとき漆黒の一撃は、容易く蒼竜の巨大な尾を両断してみせた。
バランスを崩し、墜落していく竜。伏神劔は蒼竜のその巨大な背を蹴って空中に躍り、着地する。
その眼前に落ちる巨体。撒き散る粉塵を黒刀の一振りにて払い、走る。
蒼竜は接近に気づき、その右前肢の爪にて迎撃を試みるが、寝そべったような状態での苦し紛れの攻撃だ。あたるわけが無い。
その範囲に入る前に急停止。虚しく空を切る爪がその前を通過するのにタイミングをあわせ、急加速する。
その程度の負荷をかけた程度で筋肉が不調を訴えるほど、伏神劔はヤワな鍛え方はしていない。
蒼竜は焦る。せめて跳ね飛ばそうと右前肢を往復させようとするが、当然間に合わない。
黒刀が翻る。右前肢の付け根に朱線が走ったかと思うと、冗談のようにズレ、ぼとりと音を立てて右前肢が地面に落下した。
それだけでは終わらない。蒼穹に屹立するかのように振り上げた黒刀を、劔はまを置かずに振り下ろした。
人の体でいえばわき腹部分に当たるだろうか。全身の筋肉を引き絞るかのような全力の一撃が、その箇所を轟音と共に抉り取った。
――これ以上は危険か。
斬撃の余波が、地面を抉り取った瞬間には劔はそう判じており、全力で飛び退っていた。
整った体勢であったとはどうにも言いがたい状態だったため、着地が少々不恰好になってしまっていた。が、その判断は正解だった。
竜の体がわずかに浮き、土ぼこりを上げてすぐに沈む。出来損ないの突進、といった動きだった。
事実、それは突進と言えた。蒼竜がまだ損傷していない左半身の二足で、地面を蹴り飛ばしたのだ。
その射程内には、一瞬前まで劔のいた地点も当然含まれていた。だが、無駄だった。
もしも体当たりをせず、再び飛翔する事を優先していたのなら、もしかしたらまだ勝ち目はあったかもしれない。
だが、現実はそうとはいかなかった。
吶喊。斬撃。斬撃、斬撃、斬撃。
右後肢が。表皮が。羽根が。竜鱗が。顎が。裂ける、砕ける、抉れる、断裂する。
嵐の如き連撃。蒼竜にそれに抗する術など既に無い。
――どうした。どうした、どうした、どうした。
ただの動物が相手なら、既に幾度も絶命しているであろう攻撃を何度も繰り返しながら、劔は少し焦る。
どうした、このままでは死ぬぞ。なにをされるがままになっているのだ。
スムーズに、事が運びすぎている。手応えというものが無さすぎる。
、、、、、、、、、
あまりにも弱すぎる。
劔は警戒していた。恐れていたと言ってもいい。竜の持つ埒外の能力を。
だから、様子見のつもりの攻撃を続けていた。
攻撃と攻撃の間に、あえて隙を幾つか挿入してみた。だが、蒼竜は動かない。まるで木偶の坊のように、倒れ伏したままだ。
劔は焦れた末、術中に嵌る覚悟で打って出た。
斬撃。
奔った黒い閃光は、まるで水面でも切り裂くかのように、蒼竜の太い頸に難なく入り込んで行き、苦も無く両断。
――ほら、どうした。死んだぞ。
気構えを整える。全神経を集中して全天を監視する。どのような微細な異変さえも見逃さぬぞ、と。
だが――
斬り飛ばされた劔の後方十数メートルの位置にぐしゃりと落ち、残された巨体は深く深く沈みこみ、停止した。
そこに、生命の波動は感じ取れない。
死んでいた。何の疑い様も無く。
「…………ッ!?」
伏神劔は絶句した。
掛け値なしの圧勝。身体、精神、内奥の竜、複合術式「悪路王」。全てに異常なし。
だからこその、拭いがたい違和感が、そこにはあった。
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