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それは連鎖する物語Season2 ♯2

455どあにん ◆kCddW1pw9Q:2015/03/12(木) 17:30:28 ID:9irJEW5o0


フィルに降りかかった災いが転じて福を成した。
未踏の地にて獲物を待ち受けるかのように拓けた洞穴を、3人は躊躇いなく突き進む。
……と言えど、3人が期待したようなシチュエーションなど用意されてなどいない、
様々な殺人的罠、突如崖が崩れてしまい、落ちそうになった仲間を二人がかりで救出する等所詮物語だけのシチュエーション。
奥に突き進むにつれ、明らかに人の手が加わった掘り方へ変わっていくだけにとどまったのだ。
心底つまらなさそうに歩みを進める三人の目の前に、錆びた鉄の門が姿を現したので三人は一瞬だけ顔を見合わせ、一切の躊躇いも無く門を開いた。
待ち構えているのは秘宝を護る守護者か、それとも罠かと期待するもそれすらも無く、だだっ広い広間の中央に灰色の台座が存在するだけの場所だった。

「おいおい、此処まで何のイベントも無いとかつまんねぇぞ!?」
「まー物語のように宝を護るドラゴンとかそういうのが無いだけラッキーじゃね?」

ジョエルをリョタが宥める間、フィルだけは一人中央の台座へと歩み寄って確認する、台座に安置されているのは一冊の分厚い本。
表紙の文字は掠れて読み取れないものの触っただけでも理解出来る、これこそが伏神山に眠る秘宝、賢者の書物なのだと。

「これが……賢者の書……!」

フィルの心臓が高鳴る、一体どのような内容なのか。
ジョエルとリョタも駆け寄って来たので、三人で本を持ってページを開こうとした、その時だった。
部屋が揺れる、それも尋常じゃない揺れ、まるで山全体が揺れているかのような強烈なそれ。
立っていられず転ぶ三人に襲いかかる不幸、それは来た道が崩落してしまい、道を完全に塞がれてしまった事。

「おい、やべぇぞ!帰れなくなっちまった!」
「マジかよ!?クッソォ!こういうタイプの罠かよ!?」

慌てるジョエルとリョタ、フィルは賢者の書物をバッグの中へ仕舞いこんだ。
フィルとて帰れずこのままこの洞窟で朽ち果ててしまう恐怖に駆られたが、だからこそ冷静になるべきと踏んでいた。
呪詛魔法:振動断絶を展開、ジョエルとリョタの口周りの空気から振動を伝える能力を奪う……即ち、声を発しても音が伝わらない状態へと変化させたのだ。

「慌てないで、静かにして……こういう時こそ冷静にならなきゃいけないよ。
 確かに僕達は閉じ込められてしまった、けど……耳を澄ませてみなよ、何かが……聞こえないか?」

不気味なほどの静けさが包み込む空間の中に混じる、微かな風の音。
フィルはその微かな風の音が発せられる場所へとゆっくりと近づき、手を触れた時だった。
緑色の紋章が一瞬浮かび上がったかと思った刹那、岩肌と思われた場所に人一人がやっとくぐれる程度の大きさの扉が、姿を現した。

「ほらね、何か微かな魔力を感じると思った……きっとこの扉の先が、外に繋がってると思う」

フィルが扉を開けると同時に呪文を解除、ジョエルとリョタがその後を追って走りだした。


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