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それは連鎖する物語Season2 ♯2

441タタリ 2/3:2015/02/26(木) 13:43:41 ID:9qe1ssXs0
「本家はすぐそこだし、重要なイベントが盛りだくさんで進む前に、ここらでいったん総集編(セーブ)しとくぞ! ここから先はノーリターンポイントっぽいしね!」
「え、あ、うぇ?」
 オロオロする少女。思考はほどよくフリーズしかけてる模様。よし、俺とクロガネの華麗な機転で、便利なイベント進行係を獲得できた。いや半分くらいは本音だが、もうこの際、利用できるもんは出涸らしになるまで利用してやろう。俺もワルよのう。
「はい、それじゃまず、君の名前と所属は?」
「う、あ、……露払衆の一振り、の……祢々、です」
 ようやく自分でも理解できる言語での話になったと思ったら、いつの間にか尋問されてる現状に脳が追い付いておらず、しどろもどろに答える事しか出来ない少女・祢々。嗚呼おいたわしや。でもそんなん俺にはカンケーないもんね! こちとら帰省途中から今の今までトラブル続きで八つ当たりできるなら何でもいいわ!
「そっか、祢々ちゃんね。……女だよな? 俺らはこれから伏神の家のゴタゴタにクビ突っ込もうと思ってるが、あんたはいったい何しに来たんだ? つーか味方なのか?」
「は、……はっ! 劔様の指示により、ソウジ様を筆頭に、伏神本家に残っていた非戦闘員を安全な場所まで誘導する任を仰せつかっております!」
「やっぱり兄さんの関係者か。しかし、何だね。君の受けた任務を完全に無視する形になって申し訳ないんだが、俺は本家に行こうと思うんだ」
「なりません! 現在、劔様は蜥蜴の様な奇怪な物の怪と交戦しております! ソウジ様は事態が収拾するまで御身の安全を最優先すべきです! その為に私が参りました!」
 ここに来てようやく理性を取り戻した祢々ちゃんが、膝を突いて頭(こうべ)を垂れながら、真摯に意見を述べる。うぅん、もうちょっと混乱してくれてた方がこちらとしても話が早くて助かるんだが。
 しかしトカゲの化け物ときたか。これでクロガネと祢々ちゃんの双方から、異なる経路で竜の情報が出てきたとなれば、もう疑いの余地はないな。非常に不本意だが、竜の恐ろしさは身を持って理解している。仮に今回出現した竜がドネルクラルと遜色ない暴威であるとするなら、それを屠るには同じく竜でなければ叶わぬだろう。
 その予測を力業でなんとかしてしまいしうな理外の埒外の存外な化け物は、さっきすれ違ってしまったところだ。
 祢々ちゃんの剣幕に圧倒されてしまい、話の取っ掛かりを見失ってしまった感は否めない。服従のポーズのまま微動だにしない祢々ちゃんをどうしたものか、アギョー・スタチューに視線を送る。無言のまま、チュインチュインとアイカメラが明滅する。俺の判断に任せる、って意味と受け取ろう。
「とりあえず、現在の戦況を整理しよう。まず家の方では兄さんが竜と交戦中、俺とクロガネ──そこの機界の傀儡は俺の仲間だ──で竜退治に参戦しようと思ってて、爺ちゃんは魔界人集落の調査、夕霧さんや朝霞は露払衆とやらに避難誘導されてると。……伏神の老害連中はどうしてる?」
「劔様の手により」
「なるほど。邪魔だてはないって事ね。……魔界人集落の集団失踪と、集落に安置されてたノーパソの謎が残ってる訳で……そうだクロガネ、アギョー・スタチューでこのノーパソを解析できたりしないか?」
『戦闘機能に重点を置いた機体ですので、高度な電脳魔法(ハッキング)は行えませんが、一応の申し訳程度の機能なら備わっております』
「構わない。謎を謎のままにしておくのはどうも性に合わなくてな。一歩でも前進できるきっかけになるならそれに越した事はない」
 手荷物になっていたノーパソをアギョー・スタチューに投げ渡す。巨体のずんぐりした指で器用にノーパソをキャッチしたアギョー・スタチューは、腹部のコンソールを開いてノーパソを繋ぎ、そのまま収納した。放電しきっていたし、まずはアギョー・スタチューからある程度電力を供給しなくては起動すらできないだろう。
 さて、ここからが本番だ。


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