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それは連鎖する物語Season2 ♯2

364どあにん:2015/01/29(木) 20:29:39 ID:ZIeM9lgg0
体調が変だと感じ始めたので投下
三馬鹿編は必ず終わらせる故ご容赦を……



「劔様……儂は長きに渡って夢想しておりました、この手で貴方様を葬る事を。
 貴方様は我らの理想の障害、無視できぬ壁……故に貴方様は此処で永遠にお眠りを」

劔に突き刺さった機界の腕を捻り、臓器を破壊しようと五郎兵衛佐は目論む。
最新鋭の機界の腕は人間では覆せぬ圧倒的な力、そう思っていた。
モーターが作動を始め、筋繊維を破壊しながら回転を始めた刹那、劔はその下腹部に突き刺さる意志無き殺意を掴み止めた。
聞いた事の無いような音が辺りに響き渡る、五郎兵衛佐は危機を感じてその手を引き抜こうとしても微動させる事すら出来なかった。

「ご老人、玩具で遊ぶには少し歳を食い過ぎでは無いか……なぁ!」

震脚、発勁……大地の力と己の膂力を組み合わせた渾身の手刀。
タンパク質とカルシウムの塊は刃となって機界の腕を、派手な音と共に断ち切った
切断面から溢れだすドス黒い液体が劔の身体に振りかかるよりに疾く、五郎兵衛佐の懐に潜り込んだ。

息を吐き出し、大地を蹴った力をそのまま攻撃へと転じる、五郎兵衛佐が残った腕で防御を図るもあまりにも遅い。
地を蹴った脚は音すらも置き去りにして老人の皺が刻まれた顔の中央を捉えた。
骨が砕ける感触、水分が押し出される感触、付与した衝撃が頭部を強制的に運動させる。
人体の可動域を超えて首が回る、1回転、3回転、8回転、13回転。
15回転目前してズタズタになった筋繊維と極限まで捻れた皮膚の細胞が限界を迎えて千切れ飛ぶ。
そこでようやく音が耳に入る、人の頭部を宙を舞って結界にぶつかり砕け、血に塗れた脂肪塊がボタリと落ちた。

「次に死にたいのは、どいつだ?」

残る老害達を睨みつけた刹那、何かが空から急降下する音。
圧倒的な質量を誇る何かが、空から落ちてくる。
何か不味い事になったと、劔は咄嗟に空いた穴から結界の外へと飛び出した刹那
地震が起きたかのような凄まじい揺れ、まるで風船の如く割れる結界、舞い上がる砂埃。
哀れにも逃げ遅れた老人達も数人宙を舞い、無慈悲に地面へと叩き付けられた。

だが、そんな者達をも気にせず声を漏らす老人達は一斉にそれを向かって頭を地面へと付けてひれ伏した。
無駄にプライドばかりが大きい老害があそこまでひれ伏す存在、劔の腕が疼く。
自分を開放しろと言わんばかりの鼓動、皮膚が裂ける程爪を立ててその鼓動を抑えこむ。

「なるほど、これこそが老害が増長した原因か」
「おお、おお……竜よ、竜よ……!」

蒼色の鱗、巨大な羽、地を抉る強靭な爪、劔の腕に封じたそれと似たような物、竜が目の前に居る。
竜はそんな老人達を汚物を見るかのような冷たい目で一瞥した後、劔に瞳を向ける。
宝石の如く澄んだ青色の瞳、瞳孔が目まぐるしく収縮を繰り返すした後、視線だけを足元の老人達へ向ける。

「……頭首が見当たらぬようだが」
「賢しくも劔様の機転により取り逃がしまして……しかし貴方様の力を持っ」

言い切るよりも早く爪が地を抉り、足元に居た哀れな老人達は無残な挽肉へ変わり果てる。
守手四十七氏、長きに渡って伏神を支えつつも腐らせてきた老人達の終わりは、あまりに呆気無い最期。
劔は哀れな老人達だった物に対して、何の感慨も湧かなかった。

「与えられし役割も果たせぬ癖に強請る豚に生きる価値は、無い」
「成程、老害共が増長した理由はコレか……大凡ロクでも無い事を願ったのだ、ろうッ!」

反撃する間も与えずに倒しきる、抉られた腹部の傷も浅くは無い。
出血多量で動けなくなる前に戦いを終わらせる、吠えながら飛びかかる、悠然と佇まう竜目掛けて。


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