したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

それは連鎖する物語Season2 ♯2

293数を持たない奇数頁:2015/01/04(日) 23:07:42 ID:Vo0LwshY0
「劔!!!!!」

 夕霧であったか。おそらくは結界の異変を察し駆けつけてくれたのだろう。
 そして、俺は迂闊であった。
 右下腹部より伸びる萎れた腕からは、骨とは違う硬さが感じ取れた。障壁ごと貫かれた筋骨と内蔵が悲鳴をあげる。血液などは激しい勢いで飛び散っていた。
 これか、この機界の腕が、結界を、会堂を、障壁を打ち破ったのか。

「謀を成すときにこそ、重きものを犠牲にせねばなりませぬ。劔様、貴方様は楯一郎様ごと我々を討つべきでしたな……」

 振り向くと、崩れ落ちる障壁の向こうに、昏いものを宿す鋭い眼光があった。細く、今にも枯れ落ちる枝のような肢体があった。そして、左腕が無かった。
「貴様……その隻腕、赤津五郎兵衛佐……!残った腕まで捨てていたか……!!」
 五郎兵衛佐は嗤う。
「それが謀るということにございますゆえ。残った片腕だからこそ捨てる価値があり、破った檻だからこそ潜む意味があり申す……」
 今にして思えば、爆発した死体、それを放り投げられたときに想像するべきだったのだ。それを可能にした力の存在を。
 蒙昧な己を恥よ、劔。

 二十秒。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板