したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

それは連鎖する物語Season2 ♯2

291数を持たない奇数頁:2015/01/04(日) 23:06:23 ID:Vo0LwshY0
「我は青女、我は白魔、六花の衣を纏いて、現世の穢れをここに雪がん。淡く舞い降りよ……『晶結界・風花』」

 会堂内の気配が朧になった直後、夕霧は極限まで高めた集中力を注ぎ込み、究極の完成度で結界を張った。
 楯一郎の入堂にも心を乱されることなく、凍てついているかのような不動の冷静さで劔を信じた。
 合議を外に漏らさぬよう守手四十七氏が張った結界、その紙一枚ほど内側に、繊細な処刑場を拵えた。その性質は空間隔離。その特性は隠密。魔法耐性の優れたその結界はあらゆる魔法の突破を拒絶する。そして発動が早く、何より静かに展開される。変化は体感気温が0.5度前後下がるのみであり、感覚器官の衰えた老人などにはわかるはずもない。欠点は強度であるが、魔法が効かぬのであるから、劔並みの膂力でなければ破れはしない。だがタイムリミットは1分。1分後、全てが融解する。
 夕霧はもはや中の様子を窺い知れない。二重の結界が全てを覆い隠している。きっとそこは地獄となり、一つの暴力が狂奔しているのだろう。

「どうか、劔……」

 夕霧が天を仰ぐ。伏神の山に、雨が落ちた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板