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それは連鎖する物語Season2 ♯2
289
:
数を持たない奇数頁
:2015/01/04(日) 23:02:42 ID:Vo0LwshY0
お祖父様が何故ここに。
いや、その巨躯の奥に守手四十七氏の付き人が見える。唆されたか。だが何のために。四十七氏にさとられたか。いやそれならば奴らはのこのこ出てきはしない。
しかし、奴らの狙いが何にせよ、これでは討てぬ。人質になるほど耄碌されてはおられぬだろうが、必ず死角を生む。老害共がそれを利用しないはずがない。
無論、それでもお祖父様を傷付けずに誅すことは出来る。自負もある。だが時間はかけられない。時間がかかれば、逃がしてしまうこともあるやもしれぬ。老いたとは言え守手四十七氏に手練れは多い。おそらくは一瞬の隙で虚を衝かれよう。
「ささ、楯一郎様はこちらに」
守手四十七氏のどいつかが言った。このまま流されてなるものか。切り札はこちらにあるのだ。
「ここではあまり口を開かぬのがしきたりではございますが、お祖父様に、今この場でお聞きしたいことが一つございます」
四十七氏の誰もが眉をしかめる。
「……手短にな」
異を唱える者もいたが、お祖父様がそれを制止した。
「お祖父様、此度の侵入者に心当たりがおありでしょうか?」
その問に対し、お祖父様は呆れたように息を吐き、即答する。
「無論ない。今この場ではあったとして言えるわけもないが、事実として心当たりはない」
当然の反応だ。そして、これでここにはいられぬはず。
「聡治が屋敷に見当たりません」
お祖父様はみるみるうちに表情を強張らせ、拳を強く握った。それはそうであろう。あれほど聡治を溺愛しているお祖父様だ。杞憂であろうと思っていても確かめずにはいられないと読んだが、的中したようだ。
「…………失礼する!」
そう言い残し、足早に会堂を後にするお祖父様を止めるものは誰もいなかった。やはり、お祖父様は聡治が屋敷にいないことを知らなかった。守手四十七氏が裏で情報を操作していたことが容易に想像できる。目的はまだわからない。こちらの動きが掴まれているやもしれぬ。だがこれで問題ない。合議が始まってしまえばこちらのものなのだ。
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