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それは連鎖する物語Season2 ♯2

25西口:2014/09/08(月) 17:01:24 ID:LJRlUVYg0
見れば、たしかに劔とその女性とはなにやら言い争いをしているようだ。
別に大声を上げているわけではないため、話している内容はまるで分からないが、ソウジが衝撃を受けるには十分だった。
言うまでも無い事だが、口喧嘩となれば普通に会話を交わすよりも、その押収量は増大する。
「女の人が視界に入るだけで、図体がデカい分デク人形より邪魔臭くなる兄さんが、口論だなんて。やっぱり、兄さんは竜に憑かれているんじゃ……!」
「伏神くん、お兄さんの事嫌いなんですか?」
「兄さんにとり憑くなんて、何て卑劣な竜だ! 出来る限りむごたらしくぶっ殺してやる!」
「躊躇いが無い!?」
真川の声も右から左に、ソウジは駆け出した。彼の懸念は心の底からのものであったのだ。酷い話だな。
俄かに膨れ上がる殺意。だが、その距離が近付いて徐々にその声が聞こえてくるにつれ、針をつき立てられた風船めいて、それも萎んでいく。
だが、竜は殺さなければならない。
あふれ出そうな涙をこらえ、エクリエルからの贈り物を片手に忍ばせたソウジは、劔に擬態するドラゴン(事実無根)に向かってビシリと人差し指を突きつける。
「兄さん! 兄さんの意志がまだ残っているなら聞いてくれ! 今、楽にしてやるから! 出来るだけ惨たらしく!」
「……何故、俺は数年ぶりに再会した弟に殺害を仄めかされているんだ?」
「日頃の行いじゃない?」
口論を止めたという意味では、彼の行動はファインプレーと言えただろう。
遅れてやってきた真川の取り成しによってなんとか落ち着きをとり戻したソウジは、とりあえず兄に詫びた後、促されるままにその後についていく。
その足の向く先は、上伏町の最奥にてその威容を誇る伏神山。その中腹にある伏神本家だ。


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