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それは連鎖する物語Season2 ♯2
236
:
Kの人
◆0Dte0ep.fg
:2014/12/17(水) 18:17:08 ID:Tv2mUhQc0
劔が目を覚ましたのは、空がまだ漆黒から群青色へと移ろいつつある、夜とも朝とも区別がつかない時間であった。
普段であれば空が群青色に染まりきり、山の稜線から朝日が顔を覗かせる寸前が劔の起床時間であったが、今日だけはそうではなかった。
今日の事を想い、神経系が鋭敏になっていたという訳ではない。
ただ単に伏神山に響いた爆音――それが、劔の耳朶を打ち据えたからに他ならなかった。
反射的に飛び起きれば既に、閨を共にしていた夕霧は窓際に寄り、伏神山の方角を眺めている。
「何があった」
何にせよ普段通りの朝ではないと、出来る限り声を荒げずに問い掛けながら、劔は夕霧の傍らに立ち、山の方を見やる。
伏神山の一角では濛々と煙が立ち昇っていた。宛ら、何かが爆発したかのように。
思わず間の抜けた表情を浮かべそうになった劔だったが、脛から響いた痛みにはっと我に戻る。
ちらりと視線を横に向ければ、鋭く目を細めた夕霧がおり、先ほどの痛みは夕霧が蹴っ飛ばした為の物らしい。
何にせよ冷静に戻った劔は、状況把握の為に思考を廻らせる。
どう考えても山中に仕掛けていた指向性対人符術が作動した規模の爆発であり、つまり誰かが伏神山へと立ち入ったという事に他ならない。
誰が、というのは分からない。
麓には人払いの結界がある為、何も知らない部外者が迷い込んだという事はなさそうではある。
ならば魔界人集落から誰かが逃亡したのか、とも考えたのだが、それもなさそうであった。
場所が明らかに集落からは離れており、そこへ辿り着くにしても幾つかは絶対に解除しなければ辿り着けない場所だ。
符術に精通している者がいれば話は別だが、山中に仕掛けられた物は別として、集落周囲は忌々しくも、本来の出入り口以外には複雑な物が仕掛けられているはずなのだ。
そうなってくれば、可能性は必然的に絞られてくる。
「まさか――」
「――劔様っ!」
脳裏に過ぎった想像を口にしようとする寸前、転がり込むように侍従の老人が部屋に飛び込んで来る。
普段であればありえないような行動を見て、劔は、自身の表情が思わず歪んでしまったのを感じ取っていた。
「急ぎでも来室の知らせは欲しいところだが」
「申し訳ございません! しかし、早急に知らせねばならない事故にっ」
侍従が叫ぶ様に告げたのは、屋敷のどこにも、聡治の姿が見当たらないという事であった。
また、伏神山への侵入者に関しての緊急会議が開かれる為、そこへ急いで欲しいというのは、考えてはなかったが、十分に予想出来る事であった。
想像通りの出来事が起きている事に、劔は思わず顔に手を当てて仰天する。
その体勢のままで大きな溜息を吐き出すと、ゆっくりと開いた目を細め、目先に迫った決断に対する思考を廻らせる。
――本来であれば、神前式の際に行動を起こすべく、計画を練ってきたのだ。
しかし、伏神山に侵入者が現れたとなれば、御意見番の者達は確実に集まる事であろう。
表向きには心配を装って。
本音では、本家の勢力を口論にて削ぐ為に。
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