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それは連鎖する物語Season2 ♯2
233
:
Kの人
◆0Dte0ep.fg
:2014/12/17(水) 18:16:18 ID:Tv2mUhQc0
月が淡い微笑みを湛える夜天の下、聡治と朝霞は屋敷を抜け出す。
攻略とは要するに、朝霞は正規の道以外――つまり監視の目を潜り抜けて、魔界人の集落へと潜り込みたいのだと、聡治は受け取っていた。
夕暮れ時に集落の規模を確認した限りは、あの領域だけで全ての食料を賄う事は出来ないのだ。
詳細こそ不明ながら、少なくとも物資の遣り取りの為に安全な道が存在する事は確かであろう。
勿論その道がどの道かは聡治には分からないし、仮に知っていたとしても、監視の目を潜り抜けたいのなら使う道理はない。
ただその場合確実に言えるのは、そんな道は間違いなく関係者か、あるいは魔法的に監視されている為、通れば露見する。
故に地雷原とも呼称出来る立入禁止区画……正確に言えば、伏神家の屋敷とそこへ到る為の道、一部の登山道を除いた場所を、攻略する必要があるのだ。
聡治がその地雷原を攻略する必要性は一切ない。
精々朝霞からの評価が良くなる程度の利点しかなく、その利点も大きな物ではない。
零が百になれば心が動くかもしれないが、零が一になる程度では、大した動機にはならない。
むしろ欠点の方が大きい、というよりも大き過ぎる為、本音を言えば申し出を断り、久方振りの実家での安眠を満喫したいのだ。
それでも聡治が動いてしまったのは、多大な好奇心故の事だ。
四年という歳月の間に、伏神家は大きく変化している事は、聡治も理解している。
表面的な部分では懐かしさを感じるのだが、一歩踏み込んでしまえば、何とも言えない不気味さを容易に感じ取る事が出来る。
それに……と、聡治は自身の左腕へと視線を向けた。
――妙に疼くのだ。
意識を向けなければ気にならない程度なのだが、それでも、伏神山に近付くに連れて、違和感が徐々に増してきているように、聡治は感じていた。
左腕と言えば夏季休暇の前、禁書事件の際に真川敦……ではなく、彼を殺めたドネルクラルによって一度切断された。
その事件の際に白龍の左腕が一時顕現し、あれ以降一切の反応がなかったのだが、今はこうして違和感を訴えている。
ならば左腕が疼く原因はと考えるが、流石に、近くに竜がいるからという安易な事ではないだろうと、聡治は考える。
聡治に分かるのは左腕が違和感を訴えている事と、その違和感は伏神山へ近付くに連れて増してきているという事だけだ。
黙々と考えながら敷地を抜け出し、暫く歩けば文字通りの意味での伏神山であり、ここから先は、例えるならば地雷原だ。
考え事をしながら踏み抜いて死ぬのは馬鹿馬鹿しいと、溜息と共に思考を入れ替えた聡治は、改めて眼前の光景に意識を向ける。
――確かに、朝霞が言う通りに、異常な密度での警戒が行われているらしかった。
ぱっと視界に映っただけでも、両手では数え切れないだけの札が樹の幹に貼り付けられている。
通りからでも見える場所である為か、流石に朝霞が言っていたような殺害を目的とした物は構築されていないようだ。
精々、近付きたくないと感じる程度の畏れを芽生えさせる程度の物であり、それにしても、その結界が張られていると知っていれば、意味を持たない程度である。
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