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それは連鎖する物語Season2 ♯2
23
:
西口
:2014/09/08(月) 17:00:43 ID:LJRlUVYg0
「そういう事じゃなくて。兄さんって凄い奥手って言うか、初心って言うか……。女性慣れしてないんだ」
言うなればそう、筋金入りの童貞。女性を前にした伏神劔は、まるきりのでくの坊になってしまうのだ。
10代の少女であったり、身内であった場合はそうはならないのだが、電話で聞いた相手の年齢は24歳。4つしか変わらない。
そんな女性と一対一で相対する兄が、ソウジには一切想像できなかった。
「お見合い戦績50戦50敗。何度か様子を見たことがあるけど、相手の女の人がどれだけ盛り上げようとしても、兄さんは一言もまともに返せていなかった」
「……確かにそれならば、結婚すると聞いて驚くのも無理はないですね」
「でしょう」
未だに信じられないわけはそこにある。
何か性質の悪い詐欺に引っかかっていると考えるべきか。
いや、流石にそれは考えすぎだろう。自分の知る伏神劔は、飽くまで家を出るまでの彼でしかない。
この4年間は、彼を変えるにも十分な時間だったに違いない。
あの事件で傷ついたのは、変わらざるをえなかったのは、自分だけではないということだ。
……ダメだ。シリアスに思考しようとしてもどうしても違和感が拭えない。
(会話すら出来なかったのに、結婚? 結納? 挙式? ……いや、いやいやいや。無いわ)
兄の結婚を全否定する弟。何たる非情さか。
「ところで、待ち合わせ場所とは一体どのような場所なんです?」
疑念を振り払えずにうんうん唸っているソウジを横目に微笑し、救いの手を差し伸べるように真川が再び質問を口にする。
堂々巡りに陥りかけた思考を中断し、その質問に答えたソウジは、気遣いの出来る人だなぁ、と幾度めかの関心をするのだった。
「町の中央に、講和の証として記念碑が建ってるんだよ。そこで待ってるってさ。
造型は悪趣味だけど、使われてる金属に自然光を吸収して微発光する性質があるから、まあそれなりに綺麗だよ。そろそろ見えてくるはずだ」
「微発光する記念碑……。あ、もしやアレですか」
真川が指差した先には、開けた広場があり、その中央に特徴的なモニュメントが鎮座していた。
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