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それは連鎖する物語Season2 ♯2

22西口:2014/09/08(月) 17:00:25 ID:LJRlUVYg0
「ところで伏神くん。一つ聞きたい事があるのですが」
待ち合わせ場所に向かう道中、真川がソウジに尋ねる。
人の姿形をしているとはいえ、今の真川は普通の人とは明らかに異質な存在だ。
他世界との交流が少ない人間界の中でも、とりわけド田舎で他世界人の往来が無いに等しい上伏町では、当然ジロジロと無遠慮な視線がその姿に注がれてしまう。
それにハハ、と苦笑を漏らすだけで、さして気分を害した様でもない真川の姿に、ソウジは改めて尊敬の念を抱いた。
ルカが懐くのも当然といえる。
人の上に立つ人間とはこの人のようなことを言うのだろう。
「聞きたい事?」
「はい。何故、帰郷をしようと思ったのでしょう。確か貴方は入学以来、長期休暇とはいえ、こちらに帰ったことは無かったはずですが」
これでも四拾七氏の末席に名を連ねていますからね。嫌でも耳に入ってくるのです。
少し申し訳なさそうにそう付け加えて、真川は質問を投げかけた。
旅の間のソウジの様子を見て、そう深刻な理由ではないと判断した上での質問なのだろう。言ってしまえばただの世間話だ。
そして、確かにソウジが帰郷した理由は深刻なものではない。ないのだが……ソウジにはどうにも、その「理由」が未だに信じられない。
もしかしたらあれは白昼夢やいたずらの類で、自分は担がれているのではないかと、半ば本気で疑っているくらいだ。
数日前、電話口で劔が何気なく言ったその内容は、それほどまでに衝撃的だったのだ。
前後の事情も含めて説明するべきか。いや、流石にそれはプライバシーの問題で兄さんに失礼か。
どう伝えるべきか考えあぐねているソウジを見て、何を勘違いしたのか真川が謝罪の言葉を呟いた。
「すみません。無神経な事を聞いてしまいましたか?」
「え、あ、いや。全然、全然。そういうんじゃないから」
どうやら変に気を遣ってしまう性質らしい。これは包み隠さずに言った方がいいだろう。
そう判断したソウジは、渋々と言った様子でポツリと語りだした。
「実は、さ。兄が一人いるんだけど、どうやら……祝言、挙げるらしくて。神前式に参加してくれって連絡があったんだ」
「それはそれは、めでたい事ですね」
真川は笑顔で言祝いだ。
めでたい。そう、めでたいのだ。
妻を娶り、跡取りを作ってようやく一人前、という旧態依然の古臭い価値観が当然のようにまかり通っているこのド田舎においては、尚の事だ。
だから、真川の反応は正しい。理想的とさえ言える。弟たるソウジが最優先で吐くべき台詞だ。
そんな事分かりきっているほどに分かっているつもりなのだが……ソウジにはそれがどうにも「信じられない」。
「兄さんが女の人と結婚って言うのがなあ……。尋常じゃない違和感を覚えずにいられない」
「……まさか、男色の気が?」
「なにとんでもない事を言ってんの!?」
しかも至極真面目腐った顔で。


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