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それは連鎖する物語Season2 ♯2
21
:
西口
:2014/09/08(月) 16:59:58 ID:LJRlUVYg0
稀口の茶菓子は、昔と変わらぬ味であった。
両親に連れられ、劔兄さん、聡里と共にこの店に訪れていた頃を、鮮明に思い出せるほどに。
きっと一人だったなら、食べている間に涙ぐんでいたことだろう。真川さんと、あの三人組には感謝しなくてはなるまい。
三人組に関しては、その後のエロ本云々の話さえなければ親しくなりたいと思っていたことだろう。
逆説的に言えばもう親しくなりたいとは思わないが。何だ、伝説のエロ本って。
この上なく無駄な時間を過ごしたような虚脱感を背負い、稀口甘味処を後にした俺は、真川と連れたって兄・劔との待ち合わせ場所に向かっている。
目に映る町並みは、本当に変化が無い。
まるで過去にタイムスリップをしたかのような錯覚を覚えるが、当然そんなものは幻覚だ。
死人は死んだまま。生き返ることは決してありえない。その姿を再び拝むことなど出来ようはずもない。
あの日と変わらぬ怒りと後悔と希望と絶望とを背負って、俺はこれからも生きていくのだろう。この数年後の未来さえ見通せない不安定な世界を。
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