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それは連鎖する物語Season2 ♯2

115どあにん:2014/11/04(火) 06:32:21 ID:d02w3gSM0
ようやく1500段を登り切って後ろを振り向くと空は橙色に染まり、麓の村々がまるで宝石をまき散らしたかのように輝いている。
幼い頃に幾度と無く見てきた光景は、今も変わらないままそこにあった事に、つい涙腺が緩みかける。
本当に泣きたくなるのは、これからだと言うのに。

「お帰りなさいませ、聡治様」

開けた瞬間、音の波がソウジの鼓膜を叩く。
屋敷中の女中全員が石道の脇で頭を深く下げている、そんな事など一切望んで居ないのに。
だからソウジは心を殺して無心になる、脇にいるのは全員石なのだ……そう考えていなければ居心地の悪さに押し潰されそうだから。
最も、玄関の前に佇んでいるのはその居心地の悪さの発生源とも言うべきか。

「……戻ったか、聡治」

伏神家27代目頭首、伏神楯一郎。
御年80を超える肉体は大きな隆起が彫り込まれている為老いによる衰えを一切感じさせない。
着物から見える肌からは勿論、顔にも巨大な傷痕が刻み込まれている事から、歴戦の強者だと言う事を認識させられる。
ソウジは幼い頃から自分の祖父はあまり好きになれなかった、なぜならば。

「……ただいま、爺ちゃん」
「ぬわぁぁあああああん!!!会いたかったよぉぉおおおお!そうじぃぃぃいいいい!!」

……超が千個付いても足りないくらいの孫LOVEだからだ。


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