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不定期更新系ラブコメ「もうそうっ!」きのミー版
8
:
きのなめこ
:2010/07/21(水) 01:50:54
3
家路に着いた俺は、裏の納屋に愛車を収納した。
親は両親共働きの上、父は単身赴任の身なので半日で学校が終わった時は大体、家には俺しかいない。
当然今まで昼食も自分で調達せざるを得なかった。
まぁ、基本的にコンビニ弁当かカップラーメンなんだが。
「正直言って、体に悪いよなあ…」
そうぼやきながら玄関のドアを開くと、台所の方からだろうか、甘辛い香りが漂ってくる。
「あれ、母さん帰ってたのか」
ん?でも駐車場に車は無かったぞ…
「あ、賢にぃお帰りなさい!」
「えっ?若葉お前料理できたんだ!すげーな…」
なんて出来のいい小学生なんだ…。
「昨日の夕食で余った豚肉をちょっと焼いただけなんですけどね」
彼女ははにかみながら、焼肉に千切りにしたキャベツを添えて、食卓の上に運ぶ
「お義母さんに、賢にぃがいつもインスタント食品で昼食を済ませているって聞いたので作ってみました。朝の残りですけどご飯とお味噌汁もあります」
「そうか、わりぃな手間かけさせちまって」
「いえいえ、そんなこと無いです」
Yシャツを洗濯機に入れ、Tシャツを着替え終わるころに料理は完成した。
「おいしいかったですか?」
若葉は不安そうに俺の表情を伺う。
「うん、すげえうまかった!!」
それを聞いた彼女は、「やったぁ!」と子供らしい笑顔を見せた。
今までほめられる事が全く無かっただろう彼女が見せる笑顔で、俺の気持ちも和らいだ。
俺の貧相な舌では軒並みな回答しか出来なかったが、塩加減がとてもいい具合で飯が進んだ。
「でも料理なんてどこで覚えたんだ?」
「昔、お母さんのお手伝いをしているときにいろいろ教えてくれたんです」
「楽しかったなぁ」そう言って、若葉は天井を仰ぎ見る。
そんな彼女に、俺は何も言うことができなかった
皿洗いが一通り終わると、若葉は自室(元々は母の個室だった)に戻った。どうやら勉強をしに行ったらしい。
憂さ晴らしにテレビをつけるが、大して面白い内容ではなかった。
テレビの電源を切ると、ふと脳裏に若葉の言葉がよぎる。
楽しかったあの頃、でも、もう戻れないあの頃。
自分が同い年の頃は何してたっけ。
智樹や邦久とバカやってたな…
辛いことなんて何一つ無かった。
「ふぅ…」
両親が死に、親戚からは除け者扱い、
とても11歳の子供に耐えられる事ではない。
俺だったら自殺しているだろう。
「強いんだな、若葉は」
俺が何かあの娘にしてやれることは無いのだろうか。
すぐに結論が出るはずも無く、仕方が無いので俺は自室に戻り、忌まわしい宿題を終わらせることにした。
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