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不定期更新系ラブコメ「もうそうっ!」きのミー版
5
:
木の実@俺
:2010/02/18(木) 14:46:25
「やあ君!どうしたんだいっ!」
俺はいつも通りのクールな口調で目の前の泣き虫女神に話しかけた。
「あ…!お兄ちゃん!」
「ああ!君の優しい笑顔を取り戻しに来たぞ!」
少女はすぐさま笑顔を取り戻し、そして俺に抱きついてくる。
「お兄ちゃーん!!!」
「はっはっは!!」
―うむ、いつ思い返しても完璧だ。
授業中、いつも不時の事態に少女に出会う。というシチュで妄想をしていた俺にとって
この現状を目の前にしても特に臆することも無かった。
これはシナリオ156『泣く少女を慰める』に該当するケースであると判断した俺は
何を疑う事もなく少女に話かける。
「やあ君!どうしたんだいっ!」
…
…えー!?
余計泣き出しちゃったよ!?
(自称)完璧と呼ばれる俺の妄想神話崩壊の瞬間だった。
「ちょっ!ごめっ…えぶっ!」
驚きのあまり思わず舌を噛んだ。
口内に血の匂いが広がる。
「ちょっと…あれ何?」
「うわあ…女の子泣かせた…最低…」
「あーっ!違いますッ!違いますってば!」
必死の身の潔白の証明も空しく、段々と野次馬が増えていくばかりだ。
少女も泣き止む気配を見せない。
「だから違うんだってばぁぁぁぁ!!!」
「で、どうして泣いてたん?」
2階談話室…ここなら誰も来ないだろうと踏んだ俺は
少女の手を引いてここまで逃げおおせた。
どうやら俺の読みは当たったらしく、平日の談話室は誰もいなかった。
しばらくして少女もどうやら落ち着いたらしく、少しずつ俺の質問に答えてくれた。
――先週、この近辺で死亡事故が起こった。
飲酒運転のトラックが対向車線をはみ出し乗用車と正面衝突、
乗用車の乗員二人は即死だったという。
「その二人が、私の両親でした…」
少女は嗚咽まじりに淡々と話し続ける。
虚ろな瞳に惹かれた俺は気づいたら真剣に話を聞いていた。
一度に両親を失った彼女は
近所に住んでいる父方の姉夫婦に引き取らた。
最初は姉夫婦も彼女を優しく受け入れたのだが、彼女の両親の保険金がとても少ない事を知った姉夫婦はいきなり彼女を呼び出し、暴力を振るった。
それからというもの、事あるごとに彼女を呼び出しては蹴る、殴るの暴行を行い、最近では飯もまともに食べさせなかったらしい。
「…私ったら、馬鹿ですよね…こんな事話したって何も変わるわけじゃないのに…」
腕には生傷を負い、痩せこけた彼女はそれでも笑って見せた。
まるで自分を皮肉るように。
「しょうもない愚痴を聞いて頂いてありがとうございました。少し気が楽になりました」
「それでは…」と彼女は言い残し席を立つ。
「待てよ!」
思わず俺は彼女の細い腕を掴む。
もはや自分でも何をしているか分からないくらいの勢いだった。
「行くとこ無いんだろ!」
「え…?」
だが一つだけ分かる事がある。
彼女は誰かに助けて欲しかったのだ。
だったら…。
「俺んちに来い!」
―その時、少しだったか
彼女の目に光が戻ったような気がした。
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