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機動戦士ガンダム ブラックアウト
2
:
スコール
:2008/11/12(水) 01:34:17
夢から覚めたような気分だった。いや、今まで見てきたのが悪夢の反対、いい夢だったのだ。
俺は数学の授業を受けていた。
ぼんやりと窓から外を眺め、いつこの退屈な時間は終わるのかと片手間で板書を書いていた時だった。
光が広がった。
閃光で視界からすべての景色が消える。
次に真ん中から色が変わる。赤と黒が中間の地点で混ざったちょうどいい色。爆炎だった。
そして、音と振動がやってくる。
天を焦がすかのように燃え上がった爆炎と耳栓をしたって聞こえそうな爆音。そして、振動とその衝撃で椅子から転げ落ち、夢から覚めた。
動揺が広がる。女子たちの悲鳴。
先生まで窓の外を見て硬直していた。
クラスメイトの一人が、自分と休憩時間中よく話をしていた友人「ネビル=セラブロ」が席を立ち、教室を出て行った。
俺はそれを追いかけた。
無我夢中だった。
校舎を出て、郊外へ足を向けるネビル。
彼の足取りは恐怖なんかじゃない。最初から気づいていた。だから追いかけたのだ。
そして、彼は足を止めた。
そこは人間の生活圏すべてでその影を見ることができるといわれるほどの大企業「アナハイム」の倉庫。
ネビルが振り返り、こちらを見る。
責めるような目つきだった。
俺から視線を外し空を見上げるネビル。
いや、正確には空を見上げたのではない。
彼の視線の先には物体が二つ、浮かんでいた。逆光で黒く見えるそれ。
目が慣れてきた。それは人型だった。
直感するMSだ。それも地球連邦側じゃない。
視線を戻すとネビルがいなくなっていた。必死で彼を探す。
……居た。
倉庫の敷地内に入っていた。
俺も急いで塀をよじ登りネビルを追う。
倉庫の中に姿を消すネビル。
追って入ると中は真っ暗だった。
「なんでついてきたんだ」
暗がりから声が聞こえる。聞きなれたネビルの声だ。
「……」
理由なんて無い。お前が教室を出たから、と言いそうになったがのど元で止めた。
明かりがつく。
一瞬、爆発の時のように何も見えなくなった。
そして、また赤だった。
しかし、今度の赤は違う。動いてなかった。
「MS、ガンダムだ」
聞いたことがある。連邦が開発した新主戦力だと。
「これは連邦が開発したものじゃない。それに、広告塔じゃガンダムが主戦力になるとか言っていたけど、連邦は統率が取れないから作れて5機だろうな」
ネビルは左斜め後ろの電気パネルの前になっていた。
「驚くのも無理は無い。でもソール、君は冷静でいたいんだろう?じゃあ、その口をあけた間抜けな顔はよしたほうがいい」
自分の手で自分の顔を触って確かめた。確かに口が開いていた。
また足元がゆれた。
「連邦の基地は破壊された。戦力が残っていたとしても制圧されるだろう。じきにね」
歩み寄ってくるネビル。
「だけど、これはチャンスなんだ。僕は自由になりたいんだ。力を貸してくれ。頼む」
ネビルは深く頭を下げた。
「き、急になんだよ。どうなってるんだよ。くそっ、いまさらパニックになってきやがった」
ネビルが手に持っていた分厚い本を投げてきた。
表紙にはG・U・N・D・A・Mの文字とよくわからない英数字の羅列。そしてゼフェロキアの文字。
「マニュアルか……つまり……」
ネビルの頬が緩む。
「冷静になってきたようだね。その通りだ、こいつを動かす」
ネビルは俺に背を向けると動いてない赤の方へ駆け出す。階段を駆け上がり、向こうへ走っていく。
俺はそれについていく。ここまできたんだ、と自分に言い聞かせて。
時々足元を襲う振動で階段から落ちそうになった。手すりにすがり、時々マニュアルに目を通しながら進んだ。
ゼフェロキアはガンダムについた名前のようだった。
ガンダムゼフェロキア。アナハイム・エレクトロニクス、つまりアナハイムグループの会社が開発、製造したガンダム1号機。
複座と書いてあった。
ネビルが振動に耐えるため姿勢を低くして俺を待っていた。
「さあ、行こう」
「……いつか、戻れるのか?」
ネビルの頬がまた緩んだ。しかし、目は冷たい感情を帯びていた。
「僕はもどらない。君は僕に力を貸してくれ」
それが答えだった。
後戻りはできない。
だけど、それなら簡単に踏ん切りがつく。
思考の時間なんていらなかった。
「わかった」
それは過ち。
しかし、自分で選んだ選択。
俺の戦乱が始まった。
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