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機動戦士ガンダム0.5

48きんけ:2015/02/24(火) 03:15:03
 降下部隊の中でも比較的早い段階で地上に降り立ったドラウロはトレントの北東に位置するモンテカリシオ山の稜線上に陣を取ると、アルダの索敵能力とビームスナイパーライフルの射撃性能を活かして定点射撃を敢行していた。トレント基地は山々に囲まれたアディジェ渓谷にあるため、ドラウロの位置からは基地中心部を見下ろす形となり絶好の狙撃ポイントであった。
ドラウロが息を吐きながら接眼スコープを覗くと、落ち着いて冷静に獲物を撃ち抜いていく。光条は長く細く伸びるとマキスの脇腹へと直撃。装甲は穿たれ核融合炉を貫通したのか瞬く間もなく、その場で火球となった。
 一機、また一機と確実に無力化していくドラウロであったがこの働きは戦況に大きな影響を与えてはいなかった。彼が一つのターゲットを狙っている間にもトレント基地のモビルスーツ部隊がスクランブル。そして連邦宇宙軍の降下部隊が壁を作っていた。
 プレイオスの降下部隊も基地中心部への侵攻を試みるが広範囲に散らばって降下してしまい一箇所に戦力を集中出来ていないこととプレイオス地上部隊の到着が遅れていることもあり、攻略できずにいた。
 防衛線を破れずに倒されていくセーメイの姿に見かねてドラウロが接眼スコープから顔を話さず通信を開いた。
 「こちらドラウロ。ロイスはどこにいった?」
 <こちらロイス。予定降下ポイントよりも南に降りてしまった。もう少し待ってくれ>
 「この状況を打破出来るなら、いくらでも待ちますとも…!」
 とは言ったものの、これ以上トレント基地防衛線を突破出来ずに被害を出し続ければ先に瓦解するのはプレイオスである。座して待つような時間は大して残っていなかった。
 とにかく今は一機でも多く落とす…!
 ドラウロは不吉な考えを中断させると再び狙撃に集中した。

 大気圏突入直前までエヴンスと戦闘を繰り広げていたアンドレのマキスであったが無事に基地の中心へと降下を果たした。しかし、その機体の状態はまさに満身創痍という言葉がピッタリであった。
 「ぐうう!機体の調子せいだっ!」
 逆噴射をかけながら着陸を試みるが減速しきれず機体が滑走路上を滑る。悪態をついてもマキスの勢いは止まらずついに機体は転倒。アンドレはコクピットの中で激しい衝撃に襲われながら200メートルほど滑走路をオーバーランするとようやく静止した。
 モニターの半分以上は死んだマキスのコクピットからアンドレが倒れた機体の隙間を縫うように出てくると、共に地球へと降り立った機体を尻目に彼は全力疾走でその場から離れようとしていた。
 「こっちに来るな!爆発する!」
 アンドレを迎えよう駆け寄ってきた整備兵に対して叫ぶ。マキスの腰部から黒煙が吐出され、今にも爆発を待っているような状態であった。
 アンドレと整備兵は最寄りの格納庫に駆け込む。ほどなくしてマキスの爆発による轟音と衝撃に格納庫の側壁全体が揺れた。
 「よ、よくご無事で」
 「無事?無事だって!?…俺の機体は!」
 「ですが、アナタは無事に生きています」
 「お、俺は!…いや…あぁ、機体は吹っ飛んだが俺は傷ひとつ負ってない。確かに無事だ…」
 整備兵からの言葉にアンドレは徐々にであるが冷静さを取り戻し始めた。張り詰めていた緊張の糸が緩み、頭のなかがスーッとクリアになっていく。


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