したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

オークションの理論と実際: 金融市場への応用

16白書さん:2015/06/22(月) 00:11:26 HOST:i153-144-186-116.s61.a027.ap.plala.or.jp
ハ.その他各論

取引財が共通価値財なのか私的価値財なのかに関して、Bindseil, Nyborg andStrebulaev [2004]は、ユーロ圏における期間1 週間のレポオペ(MRO)の結果を分析し、短期市場金利のボラティリティが高くなるほど、高い価格を入札する傾向が高いことを見出している
勝者の呪いを懸念するのであれば、ボラティリティが高くなるほど、入札価格は低くなることが予想されるので、彼等の実証結果は、公開市場操作における財は、私的価値財の性格が強いことを示唆している。
※短期金融市場におけるボラティリティの高まりが、市場の不安定化、資金流動性リスクの高まりを示唆しているとすれば、金融機関が予備的な動機から流動性需要を高めると考えられる。この結果、中央銀行が供給する流動性についても、私的財としての側面が生じると推測される。

同じユーロ圏ではあるが、期間のより長い3 ヵ月以上のレポオペ(LTRO)について、Linzert, Nautz and Bindseil [2007]は、取引財は共通価値財の特性を持ち勝者の呪いの問題が生じていることを報告している。
これらの結果は、1 ヵ月の準備預金積み期間の範囲では、金融機関は個々の準備預金積み立ての進捗状況をみながら、積み期間を超える期間では、先行きの政策金利等のマクロの見通しをもとにして、資金の調達・運用を行っていることを示唆している。
ただし、Bruno, Ordine and Scalia [2005]は、入札の参加決定をコントロールした推計を実施し、期間1 週間のMRO においても勝者の呪いの問題が生じていると報告している。

金融機関の特性が入札行動にどのような影響を与えているのかに関して、Breitung and Nautz [2001]は、大規模金融機関は中小金融機関よりも、先行きの金利について多くの情報を有し、より洗練された入札行動を採っていると報告している。
Bindseil, Nyborg and Strebulaev [2004]は、大規模金融機関は中小金融機関よりも低い価格でオペ資金を調達していることを示し、その理由として、大規模金融機関の方がより賢明な戦略を採っていること、より広範な担保を保有していることを挙げている。
Bruno, Ordine and Scalia [2005]は、大規模金融機関は、担保を効率的に管理しているほか、定期的に入札に参加しその他金融市場においてディーラーとしての役割を果たしているが、ボラティリティが大きくなったときには、入札から手を引き、別の金融市場で資金を調達しようとしていると論じている。


Bindseil, Ulrich, Kjell G. Nyborg and Ilya Strebulaev, “Bidding and Performance in Repo Auctions: Evidence from ECB Open Market Operations,” CEPRDiscussion Paper Series 4367, 2004

Linzert, Tobias, Dieter Nautz and Ulrich Bindseil, “Bidding Behavior in the Longer Term Refinancing Operations of the European Central Bank: Evidence from aPanel Sample Selection Model,” Journal of Banking and Finance, 31,pp.1521–1543.

Bruno, Giuseppe, Maurizio Ordine and Antonio Scalia, “Banks’ Participation in theEurosystem Auctions and Money Market Integration,” Bank of Italy WorkingPaper, 562, 2005.


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板