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オークションの理論と実際: 金融市場への応用

12白書さん:2015/06/21(日) 23:34:43 HOST:i153-144-186-116.s61.a027.ap.plala.or.jp
価格(金利)の決定方式をみると、オークションによって価格を決定する場合(変動価格方式)が多いが、例外として固定価格(金利)方式を採用している場合もある。固定価格方式の中には、固定金額供給方式と全額供給方式がある。
固定金額供給方式は、固定金額を固定価格で資金を供給するもので、各金融機関へ配分する資金供給量は需要量に応じて割当て(pro-rating)られる。この方式は、英国における短期微調整(fine-tuning)のレポオペで採用されている。
この方式の採用理由として、Bank of England [2008]は、変動価格方式のもとでは、落札金利の政策金利からの乖離から、市場が、政策的なシグナルを間違って読み取ろうとしてしまうことがあり、市場にストレスがかかった状況では、その問題は潜在的に大きいと説明している

ユーロ圏でも、ユーロ導入当初の1999年1 月から2000 年6 月までは、金融市場への金融政策のシグナリングをより効果的にするために、固定価格・固定金額供給方式を採用していた(Hartmann,Manna and Manzanares [2001])。

さらに、最近では、国際金融市場の混乱を受けた危機対応として、固定価格・全額供給方式を時限措置として採用する事例がみられる。
日本、英国、ユーロ圏などと米国が協調して実施する米ドル資金供給では、担保の範囲内であれば、固定価格で無制限に資金供給が行われる。ユーロ圏におけるレポオペでも、2008年10 月以降、時限措置として、固定価格の1 年物までの無制限資金供給が行われている。
また、わが国でも、2008 年12 月に企業金融支援特別オペが導入され、企業向け債務を担保として、固定価格・無制限の資金供給が行われている


変動価格(金利)方式の中には、国債発行オークションと同様に、主に複数価格方式と単一価格方式が存在する。日本では、複数価格方式のみが採用されている。英国でも、長期のレポオペと国債買入では、複数価格方式が採用されている。
ユーロ圏も、2000 年6 月から2008 年10 月の間、変動価格方式、そのうち複数価格方式でレポオペを実施していた。米国でも、従来から存在するレポオペは複数価格方式を採用している。しかし、最近(2007〜08 年)になって
導入されたTSLF(term securities lending facility)とTAF(term auction facility)では単一価格方式が採用されている。

Daripa [2001]は、公開市場操作の入札参加者数は、国債発行の入札参加者数よりもかなり多いことを指摘し、共謀が困難になると論じている。
もっとも、彼の指摘はユーロ圏については成立するが、他国では成立しない。むしろ米国では、2007 年12 月導入されたTAF を除いて、公開市場操作の入札参加者数の方が少なくなっている。

Bank of England, “The Development of the Bank of England’s Market Operations: A Consultative Paper by the Bank of England,” October, 2008.
Hartmann, Philipp, Michele Manna and Andrés Manzanares, “The Microstructure of theEuro Money Market,” Journal of International Money and Finance, 20, 2001,pp.895–948.
Daripa, Arupratan, “A Theory of Treasury Auctions,” Journal of International Money and Finance, 20, 2001, pp.743–767.


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