経済理論
特定のテキストは用いないが、主要な参考図書は以下の通りである。
・ Olivier Blanchard and Stanley Fischer, Lectures on Macroeconomics, MIT Press, 1989.
・ Roger A. Farmer, Macroeconomics of Self-Fulfilling Prophecies (2nd edition), MIT Press,
1999.
・ Lars Ljungqvist and Thomas J. Sargent, Recursive Macroeconomic Theory, MIT Press,
2000.
マクロ経済学では、ミクロ経済学のMas-Colell, Whinston and Green のように1冊でほとんど全て
の主要トピックスをカバーするテキストは存在しない。上記の3冊はそれぞれ持ち味も力点の置
き方も違う。Blanchard and Fischer は出版後14年が経ち、最近のトピックスをカバーして
いないが、基本モデルの説明(特に2−5章)の手際の良さは抜きんでている。Farmer のテキ
ストは、均衡の不決定性とサンスポット理論の説明に重点を置いているが、マクロ動学モデルの
一般均衡論的解釈や、離散時間の動学システムの扱い方についても簡潔に分かりやすく説明して
いる。Ljungqvist and Sargent は、講義ノートをそのまま本にしたようなところが残っており、
基礎知識を得るためのテキストとしては必ずしも使いやすくない。しかし、不確実性を含むマク
ロ動学分析の考え方とテクニックを学ぶためには非常に有益であり、マクロ経済学を専門にしよ
うとする人には必携であろう。なおPart B については、以下のテキストも参考になる。
・ Carl Walsh, Monetary Theory and Policy, (2nd edition), MIT Press, 2003.
この本は、マクロ的な貨幣経済理論をていねいに解説しており、実証研究にも目配りをしている。
標準的な貨幣的マクロ経済学のテキストとしては、現在のところ最良の本だと思われる。
数学的手法
この講義では、マクロ経済I で学んだ最適制御理論(最大値原理)に加え、ダイナミック・プ
ログラミング(DP)を利用する。経済学者が書いたDP のテキストとしては
3
・Nancy L. Stokey and Robert Lucas with E. Presscott,, Recursive Methods in Economic
Dynamics, Harvard University Press, 1989
が定番であるが、数学的に厳密に書かれているため一般的な入門書とは言い難い。経済学におけ
るDP の入門書としては、
・Jerome Adda and Russell Cooper, Dynamic Economics: Quantities Methods and
Applications, MIT Press, 2003
がある。この本は、直観的な理論の説明をすると共に、数値解析の手法についても解説しており
実用的である。またDP と最大値原理の関係については
・西村清彦 「経済学における最適化問題」、東京大学出版会(第3章)
が分かりやすい説明をしている。
成績
・Lars Ljungqvist and Thomas J. Sargent, Recursive Macroeconomic Theory, 2nd Edition,
MIT Press, 2004.
本書は、いわゆるDynamic Stochastic General Equilibrium (DSGE) アプローチに基づくマク
ロ経済理論の代表的なテキストである。大部な書物であり、広範な問題を扱っているが、限られ
た講義時間で主要なトピックの全てを論じるのは難しい。この講義では、むしろ少数の基本モデ
を重点的に説明し、それらの応用や最近の展開については、簡単な解説と文献紹介にとどめる。
講義はテキストの構成にほぼ従って進めるが、テキストそのものの解説ではない。いくつかのト
ピックについては、担当者が作成した講義ノートを利用する。ただしこれらのノートは、講義や
テキストの内容を忠実にまとめたものではない。講義、テキスト、および講義ノートは、相互補
完的である。