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白書さん
:2009/11/07(土) 17:47:41 HOST:wcache2.waseda.ac.jp
(ニューケインジアン型フィリップス曲線に何が欠けているか?)
中央銀行が、マクロ経済の安定と金融システムの安定を両立させるには、経済主体のリスク認識に関する内生的変化のメカニズムだけではなく、インフレ変動の動学的特性についても一層理解を深める必要がある。今次金融危機も含めて、多くの危機に共通している
ことは、「金融危機は、高成長のもとで低インフレ環境が続いた後に発生する」ということである。それでは、バブル生成期に、インフレ率が低位安定する傾向があるのは何故だろうか。Great Moderation当時において、フィリップス曲線のフラット化が議論されたが、そこでは、ニューケインジアン・フィリップス曲線を前提に、名目硬直性の高まり(インフレ率の傾向的低下に伴う価格改定頻度の低下)や実質硬直性の高まり(企業間競争の激化に伴う需要の価格弾性値の上昇)などが原因として指摘され、多くの実証研究がなされてきた。しかし、いずれも決め手に欠けるものであったし、そもそも名目硬直性や実質硬直性の変化が、金融危機のマグマを溜め込む要因になっていたとは考えにくい。おそらく、ニューケインジアン・モデルは、バブル生成期における企業の価格設定行動を正しく描写できていないと考えられる。そこで、本報告では、金融危機発生前の信用拡張期にみられる「企業の潤沢な資金流動性」――これはニューケインジアン・モデルから抜け落ちている変数である――が、価格決定に大きな影響を与えている可能性を、実証分析をもとに紹介する。
基礎となる理論は、顧客市場理論(Customer Market Theory)である。顧客市場では、各々の企業は顧客ストックを有している。顧客は、他企業へのスイッチング・コストや不完全情報(企業間の価格比較の困難さ)などから、他企業が低価格を提示しても、すぐには財・サービスの購入先を変更せず、同一企業からの購入を続ける傾向がある。このため、企業は、新規購入者(first-time buyer)をできるだけ低価格で引き付け、マーケットシェアを拡大させた後は、既購入者に対して、高い価格を維持し利益を得るという価格戦略をとる。(例えば、身近な例でいうと、量販店のポイント制は、割引を付与することで、顧客の囲い込みを行おうというものであり、不況期に値下げをしなくても、顧客はポイントを当てにして製品の購入を続ける。) つまり、企業は、将来の不況期に値下げをしなくても直ぐには逃げ出すことのない顧客ストックを増加させる――より多くの顧客を囲い込む――ために、今期は、当期利益を最大化する価格水準よりも、低い価格に設定することが望ましい。このように、価格設定が、将来収益に影響を与える顧客ストックへの投資戦略であることを踏まえれば、価格決定は、設備投資の決定と同様に、金融要因から影響を受けることになる。すなわち、好況期には、潤沢な流動性を背景に、企業の資金繰りは緩和されるため、企業は低めの価格を提示し、顧客ストックへの投資を増やす。一方、不況期には、資金調達環境が悪化し、資金制約に直面することから、企業は顧客ストックへの投資を抑制するかわりに、囲い込んだ顧客に対して高めの価格を課し、利益を維持するようにする。
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