フランス語の政治学の本、ジャンマリ・ゲーノの『La fin de la démocratie民主主義の終わり』の下訳をしてほしいと先輩を通じて頼まれたのは1994年、東大大学院生の時だった。しかし、現実には、舛添要一氏は翻訳作業をなんら、しなかった。朱筆をもらって訂正することも一度もないまま、私は出版社の一室で缶詰になり、編集者と二人きりで手書きや口頭で修正を繰り返し、翻訳を完成させた。 にもかかわらず、私には何の知らせもなく、同著は舛添要一訳として発売された。売り上げのための出版社の戦略を考慮しても、舛添の仕事量がゼロである以上、せめて、舛添要一監訳・イザンベール真美訳とするのが筋だと今も思う。この件を訴えようにも、舛添要一氏は既に退職していたので、教授会で問題にしてもらうわけにもいかなかった。