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ホラーテラー作品群保管庫

96なつのさんシリーズ「Kとの出会い」4:2014/06/14(土) 01:17:09 ID:Hpd3syqU0
「え、え〜……?」
そのままKは、箱の蓋をジャムの瓶からフタを取るがごとくくるくると回す。数回転するとフタは箱から外れた。
途端に箱の中から何かが飛び出した。が、それはバネによって飛び出してきた白い紙人形だった。
紙人形は人魂のような形をしていて、足が無く、両手にプラカードを持っている。そこにはこう書かれていた。
『Welcome to Occult World!!』
「オカルトの世界へようこそ〜!」と親切にもKが訳してくれる。
見ると蓋の方に蝶番が二つともくっついていた。あれは最初から箱の方には固定されてなかったのだ。
やられた、僕は騙されたのだ。
「……ハナから嘘だと思ってるよーな奴に、ホンモンは見えねーんだよ。
 ……あ、ちなみに箱の中で音出してたのは石コロな」
そう言ってKは「うはは」と笑う。けれど、そこには嫌味だとかそういった感情は何一つ見えなかった。
再び蓋を閉じ、箱を元に戻したKが右手を僕の方に差し出す。
「握手」
僕はたっぷり躊躇って、恐る恐るその手を握った。上下左右に振り回される。痛い痛い。
「……お前、あの最初の挨拶で、学長のナナメ後ろに居た奴、……見えたろ。一人だけ全然違う方向見てたからよ」
手を握ったままKがぽつりと呟いた。
その言葉に、ああそうかと納得する。だからKは僕なんかに話しかけたのだ。
僕が、話をする学長の後ろ、ここのホールに居る『気配』 に気付いていたから。
「見えては無いよ。……なんか居るなー、くらい」
「上等上等。うはは、ま、そんなわけでさ。これからよろしくな。なんかお前とは長い付き合いになりそうだし」
何時の間にか『○○君』 から『お前』 になっているのはまあ良いとして、それにしてもと僕は思う。
小中高と友達が居なかった一番の『原因』 が、大学生になってすぐ友達が出来るきっかけになるとは。
世の中と言うものは分からないものだ。
「ところでよ、週末、街の北西にあるって言う廃病院行くんだけど、来るよな」
「え?……いや、僕、まだ足が無いから……」
「大丈夫だって。今日は『面倒臭え』 つって来てないけど、Sっていう俺のマブダチが車持ってっからよ。な、行こうぜ」
後にこのSとも僕は強烈な出会いをすることになるのだが、それはまた別の話。
気がつくと僕は廃病院行きを了承していた。

この日うっかりKの友人になってしまったことがきっかけで、僕は大学生活の中で様々な体験をすることになる。
まあその時はそんなこと知る由も無いのだがけども。
ただ、何だか面白いことになりそうだな、という漠然とした予感があったことだけは、はっきり覚えている。
それは、僕にとって今までに感じたことのない光。
やはりKは嘘つきだった。鍵はちゃんとあの箱の中に入っていたのだ。
『Welcome to Occult World!!』

「Kとの出会い」終わり


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