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ホラーテラー作品群保管庫

81なつのさんシリーズ「狐狗狸さん」3:2014/06/08(日) 20:11:20 ID:BgaWrcjA0
「えーと……こっくりさん、こっくりさん。今十円玉を動かしたのは、あなたですか?」
その瞬間、十円玉が滑った。『はい』 の上。こんなに滑らかに動くものとは思いもしなかった。
「……あなたは、本当にこっくりさんですか?」
すると十円玉は、『はい』の上をぐるぐると円を描く様に動く。
「うおおおおお!SSSー、ちょっと来てみろよおい」
興奮したKが大声で呼んで、本から顔を上げたSが面倒くさそうにこっちに寄って来る。
「何だようるせーな」
「動いた動いた。動いてんだよ今!」
興奮して「動いた」しか言わないKの代わりに、僕が一通り今起きた流れを説明する。
Sは大して驚きもせず、「ふうん」と鼻から声を出した。
「あ、それとさ。このヴィジャ盤って言うの?この紙にもさ、言われがあるそうで。
 何か昔、コレでこっくりさんした中学生が集団自殺したとか」
それを聞いたSは、ふと何かを思い出すような仕草をして。
「ん……?こっくりさんの文字盤は、確か、一度使った後は、燃やすか破るかしないといけないんじゃなかったか?」
「え?」
そんな情報僕は知らない。Kを見やる。しかしKが答える前に、十円玉が『はい』の回りをまた何度も周回する。
それを見てKが「うっはっは」とヤケ気味に笑った。
「その通りらしい。二度同じものを使うとヤバいらしい。
 具体的に言うと、こっくりさんが帰ってくれなくなることがあるらしい」
「えっ、え、……はあ!?」
まさか、先程オプションと言ったのはそれのことか。
こっくりさんが帰ってくれないとどうなるのか。僕は怖々考えてみる。
そのまま取り憑かれるのか?その後は、まさか、話の中で自殺した中学生の様に……。
その思考の間も、十円玉は絶えず『はい』の回りをぐりぐり回っていた。しかも、徐々に動くスピードが速くなる。
それでも僕の人差し指は、十円玉に吸いつけられたように離れない。何なのだこれは。
その内、十円玉は『はい』を離れて、不規則に動き出した。そこら辺を素早く這いまわる害虫の様に。
いや、よく見るとその動きは不規則では無かった。何度も何度も繰り返し。それは言葉だった。
『ど、う、し、て、な、に、も、き、か、な、い、の』
Kの額に脂汗が滲んでいる。たぶん僕の額にも。どうしよう。どうしよう。
その時だった。Sが長い長い溜息を一つ吐いた。
「こっくりさんこっくりさん。365×785は、いくつだ?」
その言葉は、まるで砂漠に咲く一輪の花のように、不自然でかつ井然としていて。
ぴたり、と十円玉の動きが止まった。
「……時間切れだ。正解は286525。ちゃんと答えてくれないと困るな。まあ、いい。じゃあ、次の質問だ」
僕とKは両方ぽかんと口をあけてSを見ていた。
「ああ、その前に、お前ら二人。目え閉じろ。開けるなよ。薄目も駄目だ」
Sは一体何をする気なのか。分からないが、とりあえず僕は言われた通り目を瞑る。
「こっくりさんは、不覚筋動って言葉を知ってるか?」
暗闇の中で腕が動く感覚。
「そうか、じゃあ、その言葉を文字でなぞってみてくれ」
十円玉は動いている。それは分かる。でも、つい先程に比べると、非常にゆっくりとしたペースだった。
「分かった。ああ、お前らも目開けていいぞ」
僕は目を開く。十円玉は、か行の『く』の場所で停まっていた。もう動かない。
見ると、いつの間にかSがテーブルの端に置いてあったビデオカメラを手に持っている。
「見てみろ」
撮影モードを一端止め、Kは今しがたまで撮っていた映像を僕らに見せる。
最初の部分は早送りで、場面はあれよあれよという間に、Sが僕らに目を瞑る様に指示したところまで進んだ。
『そうか、じゃあ、その言葉を文字でなぞってくれ』
ビデオ中のSの指示通り十円玉は動き出す。
けれどもその移動はめちゃくちゃで、『ふかくきんどう』 の中のどの文字の上も通過することは無かった。
「これで分かっただろ」
ビデオカメラを止めてSが言う。


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