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ホラーテラー作品群保管庫

76なつのさんシリーズ「河童井戸」4:2014/06/08(日) 16:22:58 ID:BgaWrcjA0
ライトの光が照らす。井戸。蓋は開いている。
僕は辺りを見回す。まるで井戸の中の暗闇が、そのまま吹きだして辺りを包んだ様に暗い。
「……さてさて!果たして水はあるのでしょうか!?」
場の雰囲気を盛り上げようとしてか、井戸の傍でKがわざと大きな声を出す。
僕は少し笑う。ちょっとだけ和んだ。
「ではではー。ここに石コロがひとつございまして、今から投げ入れて確かめてみま、しょう、や!」
最後の『や!』でKは井戸の中に石を投げ入れた。
――とぷん――
「……え?」
反射的に声をあげてしまっていた。
音がした。
とぷん。
それは井戸の底にあるものからの返事だった。
今、井戸の中には水がある。昼間は確かに無かった。
水があるのだ。
「……うわ、マジかよ。すげえ!」
僕は固まっていた。石を投げ込んだ本人のKすら驚いてる。
僕ら三人の中で一番冷静なはずのSでは、この結果を受け俯き、何やらぶつぶつと呟き始めた。Sが怖い。
「潮汐は……、関係無いな。いくら新月つっても、地下水面押し上げるほどの影響は無いし、この辺りには海も湖も無い。
 地球の自転が加速したか?……はっ、そんな馬鹿な。しかしだ、となれば……、」
僕はSを見やった。Sが顔を上げる。
「最初から、水は、あった」
ぶつ切りにそういうと、Sは地面に落ちていた石を方手で二つ拾い、その手を井戸の上にかざした。
何をする気か疑問がわくよりも早く、ひとつ石を落す。
――ちゃぽん――
水に落ちる音。Sはすぐに手の位置をずらし、二つ目を落とした。
――かつん――
これは違う。違う音だ。 
何だろう。これはどういうことだ。Sは何をした。
「……おそらく石か何か、硬いものが積りに積もって、水面から顔を出してんだろ」
唖然としている僕に向かってSが言う。
「昼間Kが石を投げた時は、たまたまその硬いものの上に落ちたってことだ。深すぎて中は見えなかったしな。
 先に、もう枯れてるって情報があったもんだから、一度で確認を止めた」
僕はもう何が何だか分からなくて、
頭に浮かぶのは、Sはこんな状況でも馬鹿みたいに冷静なのだなあ、と言う感想くらいだった。
「はあー……、何と言うか。よくまあそこまで考え抜けれるもんだねえ」
それは本当に感心したからこその言葉だった。Kも同じ気持ちだったに違いない。でもSは浮かない顔をしていた。
「当たって欲しくなかった」
「は、え?何が?」
「おい、K」
僕の質問には答えず、SはKを呼ぶ。
「お前、そのバッグの中に色々入ってんだろ?ロープとバケツ、無いか?」
「ん、あ、あー、あるぜ。つるべは無いって、前もって聞いてたからよ。え?出すのか?」
「ああ」


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