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ホラーテラー作品群保管庫

69なつのさんシリーズ「公衆電話の夜」1:2014/06/08(日) 15:51:47 ID:BgaWrcjA0
ことの始まりは、ある夏の夜。深夜十一時を過ぎた頃に突然来た、友人Kからの一通のメールだった。
――これから電話来ると思うけど。それ、俺だから――
僕はその時、自宅のベッドの上で大学の図書館から借りてきた本を読んでいた。
Kがこんな時間に電話してくること自体は、まあそれほど珍しいことではないのだけど、
いちいちメールで事前告知をしてくるのが気になった。一体、何の話だろう?
そんなことをぼんやり考えていたら、ぶうーん、と蜂の飛行音の様な音を立てて携帯が振動した。Kからだな。
しかし携帯の画面には、Kの名前の代わりに『公衆電話』と書かれていた。
はて、と思った。これがKからの電話だとして、どうしてKはわざわざ公衆電話から僕に電話を掛けてきているのだろうか。
先程メールが来たのだから、携帯は持っているはずなのに。
しかしまあ、考えても分からないので、僕は読みかけの本を置いて電話に出た。
「……もしもし?」
『おせえ。早く出ろよおめーよ』
確かにそれはKの声だった。
「こんな夜中にどうしたのさ。それに、そこって電話ボックスの中?」
『ゴメーイトゥ』
「何でそんなとこから掛けてきてんのさ?」と訊いてみるは良いが、実は僕にはその答えが半ば予想できていた。
Kがこういうことをする時は、必ずオカルトがらみのあれこれなのだ。
『実はよー、この電話ボックスがよ。有名な心霊スポットだって噂を聞いてだな。
 昔ここで事故があったようでよ。
 なんか、こうやって電話掛けてると、いつの間にか男が、外からこっちをジーっと、見つめてるんだとよ』
「あーはいはい。そんなことだろうと思ったよ」

…そして、その男の霊はまだ生きていた頃、仕事帰りにいつもそこの公衆電話を使用していた。
携帯のまだ普及してなかった時代。家族に『もうすぐ帰るよ』 と連絡していたのだ。
が、しかし。ある日、仕事が終わって電話を掛ける前に、よそ見運転の車に轢かれて死んでしまった……。

Kの話を聞いた瞬間。そんな悲しいストーリーが、僕の頭の中では展開されていた。
先程まで読んでいた小説の影響だろうか。
けれども、僕は不思議に思う。オカルト好きにして怖がりなKが、よくそんなスポットに一人で行けたものだ。
「で、そこに男の人は居るの?」
『あ、違う違う。男の霊が出るのはこっちじゃなくて。電話かけられた方だとよ』
「……は?」
『窓の方に出るらしいからよ。出たら、実況してくれ』
僕は窓の方を見た。反射的な行動だった。
カーテンがふわりと揺れていた。窓は閉めていたから、今日の暑さに我慢できずにつけたエアコンのせいだろう。
ここはアパートの二階、窓に映るのは闇夜の景色だけのはず。
しかし。
僕の喉から、ひゅっ、と息が漏れた。
そいつは身体全体をガラスに押し付ける様に、ぴったりと窓にはりついていた。
腕も足も九十度近く曲げ、その目は何処を向いているのか分からない。
服は着ておらず全裸。その身体はぞっとする程白かった。
ヤモリだった。


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