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ホラーテラー作品群保管庫
68
:
なつのさんシリーズ「道連れ岬」4
:2014/06/06(金) 12:29:30 ID:bXavpRb60
結局警察は呼ばなかった。誰も死んでない。俺らは何も見てない。Sがそう言ったからだ。
帰り道。後部座席で色々と騒いでいたKが、いつの間にか寝ているのに気づいた後、僕はそっとSに訊いてみた。
「なあ。Sは、どうしてあれがKじゃないって分かったん?」
「あれってどれだ」
「僕らの目の前で飛んだ、Kそっくりな奴」
「ああ」
「……顔も、服装も、体格も、絶対あれはKだったと思う。どこで見分けたんかなあ、って思ってさ」
するとSはハンドルを握っている自分の左手首を指差し、
「あいつの時計がな、左手にしてあったんだ」と言った。
「いつもKは右手に時計をつける。今日もそうだった」
「はあ」
「だから、おかしいと思って注意して見てみた。そしたら、文字盤が逆さだった。一時二十分。そんだけだ」
十一時四十分。一時二十分。鏡合わせ。
「そうか。だから鏡を割ったんだ」
「……ん?ああ、いや。ありゃただの鬱憤晴らしだ。やなモン見たしな」
「はああー……」
Sは鬱憤晴らしなどする様な奴ではないが、まあそれはいいとしよう。
しかしまあSよ。お前は一体どんな観察力してんだ、と僕は思う。
普通だったら気づかない。そんなところには目もいかない。絶対に。
その証拠に、僕はあいつがKじゃないと分からなかった。
「でも、本当に警察呼ばなくて良かったんかな?」と僕が言うと、Sは首を横に振った。
「俺らは何も見なかった。Kは死んでない。それでいいだろ」
確かに、それでいいのかもしれない。Sに言われると、そんな気がしてくるから不思議だ。
それに、きっと死体は出ない気がする。あくまで僕のカンだけれど。
「しかしなあ。もしかすると、あのまま手を伸ばしていたら、お前。逆に引っ張り込まれてたかもな」
何気ない口調でSは恐ろしいことを言う。僕は一気に背筋が凍りついた。
「道連れ岬とはよく言ったもんだ」
そう言ってSは大きなあくびをした。
後ろでKが何か意味不明な寝言を言った。僕はぶるっと一回体を震わした。
生きててよかった。
「……そういや、俺今めっちゃ眠いんだけどよ。これ事故って道連れになったらごめんな」とSが言った。
たぶん冗談だろうが、僕はうまく笑えなかった。
Sの運転する車は僕らの住む町を目指して、深夜、人気のない道を少しばかり蛇行しながら走るのだった。
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