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ホラーテラー作品群保管庫
66
:
なつのさんシリーズ「道連れ岬」2
:2014/06/06(金) 12:28:17 ID:bXavpRb60
しばらくして、じろじろと海を覗き込んでいたKが立ち上がった。
「うーん、何もねーなー。なあ、ところでお前らさ、今、死にたくなったりしてるか?」
どんな質問だよと思いながらも、僕は「別に」と首を横に振る。
SはKに背を向けたままで、「死ぬほど帰りてえ」と言った。
Kが自分の右手にしている腕時計で時間を確認する。
「えーでもよー。ここまで来て何も起こらないまま帰るってのもなー。……なあ、もうちょっと粘ってみようぜ」
「一人で粘っとけよ」
「冷たいこと言うなよSー。俺とお前の仲じゃんかー、ほら、暇なら星でも見てろよ」
「死にたくなれ」
漫才コンビは今日も冴えている。
と言うわけで。僕らは二十分という条件付で、もう少しだけここで起きるかもしれない『何か』を待つことになった。
それから僕ら三人は並んでガードレールに腰掛け、崖側に足を伸ばして座っていた。
僕はボケーっと空を見上げ、Sは腕を組んで目を瞑り、Kはせわしなく周りを見回している。
「やべ……、俺ちょっくらトイレ行ってくるわ」
十分くらいたったとき、Kがそう言って立ち上がり、車を停めた休憩所に向かって歩いていった。
隣を見ると、Sは先ほどから目を閉じたままピクリとも動かない。
僕はまた空を見上げた。先ほどKが言っていた、この崖にまつわる話をふと思い出す。
この崖に来ると無性に死にたくなると言うのは本当だろうか。今のところ自分の精神に変わりはない。
「『道連れ岬』って言うんだろ……ここ」
突然隣から声がしたので、Sの声だとはわかっていても僕は驚いて実際腰が浮いた。
「何?いきなりどうしたん?」
「いや、ちょっとな」
近くにある外灯の光が、Sの表情をわずかに照らす。Sはいまだ目を開いてなかった。
「さっきKが言ってたろ。一人が飛ぼうとして、二人が落ちて、一人が死んで……、なんかしっくりこなくてな。考えてた」
「で、分かった?」
「さあ、分からん。
ただの尾ひれのついた噂話か……。そもそも、全部が超常現象の仕業っつーなら、俺が考えなくとも良いんだがな」
「うん」
Sが何に引っかかっているのか分からなかったので、適当に返事をする。
Sはそれ以降何も言わなくなった。本当に眠ってしまったのかも知れない。
しばらくたって、誰かの足音に僕は振り返った。Kだ。Kが坂の下からこちらに歩いてきていた。
大分長いトイレだったような気がする。僕はKが来たら『もうそろそろ帰ろう?』 と提案する気でいた。
しかし、歩いてくるKの様子に、僕は、おや、と思う。
Kはふらふらとおぼつかない足取りだった。どことなく様子がおかしい。僕は立ち上がった。
「おーい、K、どうした?」
僕の声にもKは反応しない。俯いて、左右に揺れながら歩いてくる。
「お、おい……」
Kは僕らのそばまで来ると、黙ってガードレールを跨ぎ、僕とSの横を通り過ぎた。
表情はうつろで、その目は前しか見ていない。
三角定規の形をした崖の先端。そこから先は何もない。
Kは振り向かない。悪ふざけをしているのか。Kの背中。崖の先に続く暗闇。海。
何かがおかしい。その瞬間、体中から脂汗が吹き出た。
「おいKっ!」
僕はKを引き戻そうと手を伸ばした。けれど、Kに近寄ろうとした僕の肩を誰かが強くつかんだ。
振り返る。Sだった。
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