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ホラーテラー作品群保管庫
63
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なつのさんシリーズ「あんたがたどこさ」4
:2014/06/06(金) 12:07:34 ID:bXavpRb60
学校の校庭。赤錆びた鉄棒、シーソー、回転塔。
グランドの中央あたりに、Kが描いた図形。僕はその中に入って、再びへたり込んだ。
何をしていいか分からない。Kを探そうか。でも無駄な気がする。
「わっ!」
意味も無く叫ぶ。こだまする。一体何なんだこの反響音は。
僕はもっともっと、遮二無二叫びたい衝動を懸命に押し殺した。
駄目だ。冷静になれ。
人は考えに考えた末、壁をよけて通ることを覚える。これはたしか友人のSが気に入っていた言葉だ。
考えなければ、アイデアは生まれない。考えろ、僕。
そこで一つ思い至る。僕が今座りこんでいるこの地面の図形。
僕はこの図形からここに来たのだ。『あんたがたどこさ』によって。
では、同じことを繰り返せば、元の世界に戻れるのではないか。
俄然元気になった僕は、図形の中に立つ。眼を瞑る。
せーの。
飛ぶ。唄う。間違えない様に、慎重に。
「かーくー、……っせ!」
どうだ。目を開く。
風景に変わりは無い。しかし、静かだ。どうだ、僕は戻れたのか?
「……わっ」
……わっ、わ、わ……
こだました。僕は戻れなかったようだ。
それから何度かパターンを変えて試してみた。
スタートの位置を変えてみたり、飛び方を変えてみたり、Kの様に音痴に唄ってみたり。
けれども、いずれも効果は無かった。
もしかして、二人でなくては駄目なのか。一人では駄目なのか。
一人。無音。暗闇。怖い。
いかんいかん、冷静になれ。後頭部を叩く。考えろ考えろ僕の頭。
もしもだ、僕が『あんたがたどこさ』によってここに来たとする。
そうだとしたら、その歌詞に何かヒントが隠されていないだろうか。
僕は『あんたがたどこさ』の歌詞を頭の中でなぞってみた。
肥後……熊本……せんば山。そこで僕はふと思い至る。
あの歌詞の中で隠されたのはタヌキだ。鉄砲で撃たれて、煮られて、焼かれて、木の葉で隠される。
もしかして僕はタヌキ?だったらKは猟師だろうか。
しかし、そんなことに気付いてもどうにもならないのだった。
足元からじわじわ上って来る恐怖が膝を越えた。足が小刻みに震えだす。
まずい、正気の僕に残された時間は割と少ないらしい。
勘弁してくれ。僕だって怖がりなのだ。
一人は怖い。いつもはどんな心霊スポットに行ってもそれほど怖くは無い。何故なら僕の隣にはSとKが居るからだ。
そう言えば今日は三人じゃなかった。それがいけなかったのかもしれない。
Sが今日来れなかった。急にバイトが入ったと言った。
けれど先程、僕とKが学校の探索をしている時にメールが来ていた。
その時の僕は廃校探索に夢中で、Sからだと知っただけでメール自体は見てなかった。
それを思い出した僕は、ポケットから相変わらず圏外で役に立たない携帯を取りだした。
操作してメール受信画面を開く。
『今何処にいる?』
それがSからのメールだった。それが分かれば苦労しない、と僕は思う。
そうして僕は、足の震えと共に少しだけ笑った。
このメール内容。あんたがたどこさ、じゃないか。
「あんたがったどこさ。ひごさ、ひごどこさ……」
僕は無意識の内に唄い出していた。そろそろ正気がやばい。立っていられなくなりそうだった。
唄いながら、この足では毬を跨ぐことも出来ないな、と思った。
「……くま……え?」
足の震えが止まった。
僕は気がついたのだ。その瞬間、堰を切った様に走り出していた。
そうだ。
あんたがたどこさ。
そうだった。
僕は走る。誰も居ない学校に向かって。走りながら呟く。
「あんたがたどこさ。ひごさ、ひごどこさ……」
そうだよ。あの唄は、元々……。
「……手毬唄じゃないか!」
可能性は見当もつかなかった。客観的に見て、まるで高く無いとは思う。何をどうすればいいかも分からなかった。
けれど、何故か確信できた。これが元の世界に戻るやり方だと。
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