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ホラーテラー作品群保管庫

62なつのさんシリーズ「あんたがたどこさ」3:2014/06/06(金) 12:06:52 ID:bXavpRb60
グランドに身を隠せるような場所は少ない。しかし、Kは見つからなかった。うまく隠れたものだ。
そうして僕は、持っていた懐中電灯で地面を照らした。グランドにKの足跡が残っているかも、と思ったのだ。
しかし、足跡は無かった。
おかしい。
その時だ、違和感を覚えた。
僕らはさっき前後左右に飛び跳ねてたはずだ。
足跡はともかく、その飛んで着地した痕跡までない。地面に見えるのは、Kが描いた図形だけ。
僕は二歩三歩と歩いてみた。足跡はつく。これはおかしくないだろうか。
辺りをもう一度見回す。誰も居ない。
風の音もしない。さっきまでは吹いてたはずだ。そう言えば、虫の声も聞こえなくなった。
「おーい……」
おーい……、おーい、おーい……
僕はその場に飛び上がった。
Kを呼ぼうと叫んだ瞬間だった。まるでトンネルの中に居るかのように、僕の声が周囲にこだましたのだ。
やまびこでは無い。ここは広いグラウンド。後ろに学校はあるが、何度も音が反響するなんて絶対におかしい。
僕は途端に怖くなった。
「なあっ、おーいっ!」
二度目。返事は無い。僕の声だけが辺りにしつこくこだまする。
ふと思い至って、ポケットの中の携帯電話を取りだした。
圏外。確かにさっきまでは使えたのだ。学校の中でSからのメールも受信した。
『別の世界』
Kが言った言葉がふと頭をよぎる。
ここは、もしかして、そうなのか。
あんたがたどこさ。
ここは、どこだ。
小学校の入口に目を向けた僕は、『それ』に気がついてぎょっとする。
発作的に走りだしていた。学校の外には車が停めてあったが、鍵は持っていない。
それよりも、この小学校は山を少し上った位置にある。
ここに来る時、小学校に入るすぐ前の道からは、下の街の夜景が一望できたのだが。
そこは街を見下ろせる場所。
絶句する。
街が無かった。
いや、正確に言えば、遠目ではあったがそこに街はあった。
ただしその街には、明かりがただの一粒も灯っていなかった。街が黒い。いくら深夜でもあり得ない光景だ。
僕はその場にへたり込んでしまった。
ようやく確信する。僕は異世界への扉を開けてしまったのだ。
帰る手段は知らない。
ぞわぞわと、ゆっくり、足元から恐怖が這いあがって来る。
どうしよう。
僕は立ちあがって学校へと戻った。
とりあえず何か考えがあったわけではない。あのままじっとしていて正気が保てるかどうか怪しかったのだ。


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