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ホラーテラー作品群保管庫

61なつのさんシリーズ「あんたがたどこさ」2:2014/06/06(金) 12:05:30 ID:bXavpRb60
Kの説明によると、田んぼの田の形に区切られた四つのスペースの内、
まず二人がそれぞれ左ナナメに相手が居る様にして立つ。
それから目を瞑り、暗闇の中で『あんたがたどこさ』を唄いながら飛ぶ。スタートは左に。
全てを唄い終わり、『ちょいとかーくーす』の『す』で前に飛んで終了、そこで目を開ける。
何が起こるかはお楽しみ。
注意事項として、歌を間違える、飛び方を誤る、相手にぶつかる、目を開けた時に田んぼの田からはみ出したら失敗。

「んじゃ。行くぞ」
「ちょっと待って」
「何だよ?」
「いや、ちょっと気になったんだけど。
 『あんどこ』が成功してさ。その、Kが言う妙な世界にもし行けたら、……帰ってこれんの?」
するとKは「うはは」と笑い、「シラネ」と言った。
「おいおい……」
「まあいいじゃねーか。さ、はじめっか……。目を瞑れーっ!」
まあいいのか?と思いつつも、僕は目を瞑った。
せーの。
あんたがったどっこさ……。
「イテっ!」「あたっ」
いきなり間違えた。慣れないと意外に難しいのかもしれない。
「おいおいお前、ちゃんとやれって!」
「あははのは。ごめんごめん。次は、さ?」
「ったくよー」

頭の中でシュミレーションする。交互に交互に……さ、で飛ぶ。

いっせーの。
「……いてっ」
正面衝突。一瞬間違えたのかと思って謝りかけたが、よく考えてみると、僕は間違っていない。
目を開けて見ると、Kが手刀をかざして「わりーわりー」。
「次は本気で行くからよ」
僕は何だか急に馬鹿らしくなってきたが、あと一回くらいはやってみようかと思う。

いっせーのっせ。
あんたがったどっこさ、ひーごさ、ひーごどっこさ、くーまもっとさ、くーまもっとどっこさ、せんばさ……、
せんーばやーまには、たーぬきーがおってさ、それーをりょーしがてっぽでうってさ、にーてさ、やいてさ、くってさ……、
……それーをこーのはでちょいとかーくー
「――せっ――」
前へとんで、僕は目を開いた。
四角の中に居た。成功だ。
ちょっと誇らしい気持ちになって、僕はKはどうかなと思い振り返った。
そこにKの姿は無かった。
「……え?」
右を見て、左を見て、もう一度右を見て。
僕は、ははあ、と思う。全てはこのためだったのだ。
『目を瞑ったままのあんどこ』などという凝ったことをさせておいて、Kは唄の途中でこっそり抜け出し、
僕がおろおろするのを隠れて見て楽しむつもりなのだ。
Kの奴め。
僕は何とかしてKを見つけてやろうと思い、そこら中を注意深く見渡した。


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