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ホラーテラー作品群保管庫
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なつのさんシリーズ「夜泣き峠」1
:2014/06/03(火) 17:43:46 ID:j2Iwz4NM0
その峠は『夜泣き峠』と呼ばれていた。
僕の住んでいる地域では有名な心霊スポットで、
この峠の正式な名称は知らなくても、『夜泣き峠』と言えば地元の人間なら誰でも知っているようだ。
その日の夜、十一時ごろ。僕は友人のKとSと三人で、その問題の峠に向かって車を走らせていた。
「県道って言うから覚悟してのにさー、中々いい道じゃねーか」
そう言ったのはKだ。
確かに、元々は地元民でない僕はこの道を使ったことが無かったのだが、
アスファルトも比較的新しく、ずっと二車線の道路は、心霊スポットに続く山道としては拍子抜けするものだった。
「ユウレイ出るって聞いたから、どんだけ寂れた道なのか!ってドキドキワクワクしちゃってたのにさコッチはよ〜。
あー残念だ。ザンネン。ザ・ン・ネ・ンだあ!」
「うわっ、馬鹿。やめろ」
横を見れば、Kが後部座席から運転席のシートを掴んで揺らしている。
運転しているのはSだった。助手席には僕が座っている。
Sの父親の車だという軽自動車が、フラフラ対向車線にはみ出す。対向車は無い。あったら死んでたかもしれない。
「ここで事故ったら、僕らも幽霊になって化けて出ような。そしたらここ、全国的な心霊スポットになるかもしれんし」
と僕が言うと、「そらいいな」とKが笑う。
騒ぐ僕らの横でSは大きく溜息をついていた。
ちなみにその時のKは酔っていた。僕も酔っていた。
そもそも、宅飲みで酔っぱらった僕とKが、酒の勢いで『何処か怖いとこ行こうぜ!』となり、
運転役として急遽呼ばれたのがSだったのだ。
「……っていうか、道路整備は当たり前だ。そんだけ需要があるんだよ、この道には。
うちの街から○○(街の地名)に行くのにも、この道使えば早いしな」
この車内で一人だけ酔ってないSは冷静だ。というかぶすっとしてる。
その表情からは、早くこの馬鹿二人から解放されたいと言う気持ちがにじみ出ていた。ごめんなS。
それでも、嫌々ながらも付き合ってくれるのが、こいつの良いところなのだが。
「おれの携帯さ、録音できっから。これで赤ん坊の声取れねーかな?」
「携帯の音質じゃ無理だって。よほど近くで泣いてもらわんと。ってかそんな声録音して何に使うんだよ」
僕がそう言うと、Kはニヤリと笑い、
「んなもん……」
「うん?」
「んなもん、女の子驚かすために使うに決まってんじゃねえかお前ぇ!」
Kのシャウトが車内に響く。
「……お前が子供泣かしたと思われて終いだボケ」
隣でSがぽつりと呟いた。Kはガハハと笑って聞いてなかった。
ところで、Kが言う『赤ん坊の声』とは、僕らがこれから行く予定の廃車峠にまつわる話だ。
『深夜、夜泣き峠を通ると、赤ん坊の泣き声が聞こえる』とは結構有名な話。
周りにも聞いたという人間はちらほらいる。嘘かまことか、聞き違いか幻聴かは置いといて。
峠まではすぐそこだった。僕らの会話は自然と、昔峠で起こったとされる事件が話題の焦点になっていた。
僕が聞いた話によると、ある日、家族が乗った一台の車がこの峠を越えようとした。
そして峠に差し掛かった時、エンジンの故障かなにかで車が炎上した。
男と女は車から逃げたのだが、一人だけ赤ん坊が車内に残された。
その事故以降この峠を通ると、赤ん坊の声を聞こえるようになったという。
しかも、その声が聞こえた者は、絶対に車関連の事故に遭うという。
「おいおいおい!だってよS、帰りは気をつけろよ」
Kの言葉にSが大きなあくびで返した。
そう言えば、電話でSを呼び出した時、彼の声は幾分寝ボケていたのだが、眠たいのだろうか。
「怪談ってのは……、尾ひれしか残ってないもんだ」
あくびの後でSが言う。Sの方を見て「何だソレ?」とKと僕。
「ここで事故が起きれば、ユウレイのせい。あれもユウレイのせい。これもユウレイのせい」
そこで切って、Sはもう一度あくびをする。
「尾ひれだけ……。つまり、身のない話ってことだ。覚えとけ。てかさっきからうるさいよお前ら」
僕とKは顔を見合わせた。二人とも酔いの残った頭ではイマイチ理解できなかったようだ。
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