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ホラーテラー作品群保管庫

48なつのさんシリーズ「ウサギ穴」2:2014/06/03(火) 17:37:25 ID:j2Iwz4NM0
僕の通っていた学校では、ウサギを飼育していた。
そして学年には一人ずつ(※クラスは無いよ。全校生徒八十人くらいだったから)飼育委員というのがいて、
昼休みになるとウサギに餌をやったりするのだ。
そして何と、その時の五年生の飼育委員が、僕だったのだ。

決行されたのは次の日だった。
昼休み、僕は『チャーボー』と名札の貼られた檻を開けて、茶色い毛がボーボーの可愛い兎を一匹抱えて、
『ウサギ穴』へと向かった。
到着すると、もう友達の一人は穴で待機していて、反対の県道側の穴の方にも数人スタンバっているらしい。
友達が運動場の倉庫から持ってきた五十メートルの巻き尺の紐を、チャーボーの身体に結んだ。命綱のつもりだ。
「チャーボー。ほれ、いけ」
穴の中にチャーボーの頭を突っ込む。チャーボーは嫌がって足をパタパタさせた。無理やり押し込む。
それほどきつくはなさそうだけど、無理しないと方向転換は出来ないだろうな。
「はよういけ。帰ってきたら餌やるから」
棒で尻をつつくと、チャーボーは嫌々そうに穴の奥へと進んで行った。
途中で途切れているだなんて考えはなかった。二つの穴は、当然つながっているものだと思っていたのだ。
「よんメートル」
隣で友達が、チャーボーが進む動きに合わせて巻き尺を引っ張り出しながら、一メートルごとにいちいち報告する。
「はちメートル」
当時は、小さな山だったので、学校側の穴から県道側の穴まで五十メートルも無いだろうと思っていた。
今考えると、もう少し距離はあっただろうけど。

僕がふと疑問を覚えたのは、十メートルを過ぎてからだった。
友達が数えるメーター表示の速度がおかしい。
「じゅうさん、……じゅうよん。じゅう……、ああもう早いよちょっと待って!」
ものすごい速さで巻き尺を回す取っ手が回転して、しゅごおおお、と音がしていた。僕は友達と顔を見合わせた。
「うわ」と友達が叫んだ。
その手から巻き尺が離れて、穴の縁にぶつかった。
巻き尺は穴より大きかったので、持っていかれることは無かったけど、
一度二度びくんびくんとのたうってから、巻き尺は力尽きた様にその場に崩れ落ちた。
呆気にとられるという言葉があるけれど、僕はそれまでの人生でたぶん初めてだった。本当に呆気にとられたのは。
友達は無言のうちに、再び手にした巻き尺を巻き戻していた。

そのうち「うがにゃああ!」と猫の様な情けない悲鳴が聞こえた。
そうして、しばらくもしないうちに県道側の穴でスタンバってた友達数人が走って来て、
一人は足が絡まってこけて転んで転がっていった。僕の横を。
もう一人降りてきた奴の服の袖を掴んで僕は訊いた。
「チャーボーは!?」
「知らん!放せ!」
「話せば放す」
「だあもう!穴がものすごい勢いで骨吹いた!」
それだけ言うと、そいつは校舎に向かって駆け降りて行った。
何が何だか分からなかった僕は、とりあえず巻き尺の友達と一緒に県道側の穴まで行ってみた。

確かにそこには、何らかの動物の骨が穴を起点に放射状に散らばっていた。
小動物の骨だろうか。何もこびりついていない。白くて綺麗な、百点満点文句なしの骨だった。
チャーボーのかなと僕は思った。それなら悪いことをしたなあとも思った。

その日は当然、先生に怒られたけれど、僕はいつもと違って幾分本気で謝った。
「ごめんなさい。もうしません」
もちろん、チャーボーに対して。


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