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ホラーテラー作品群保管庫
251
:
女の存在を知らせること
:2020/04/16(木) 05:21:08 ID:o.Sh1KJQ0
しかし、Hだけは、自宅にもどり、今回の事件のことを話さないでいたとのことです。目を覚ましてから2日後、Hが僕の病室を訪れました。
「○野(僕の名前)お前に話しておきたいことがあるんやけど・・・。」Hは第一声にこう切り出した後、「とりあえず、助かってよかった。」といいました。
Hのどの言葉がカンに触ったのかはよく分かりませんが、一気に頭に血が上りました。「おんまえ!なにがよかったじゃボケが!てめえがさそわんけりゃこんなことにならんかじゃこのだぼが!」他にも汚い言葉をHにぶつけたような気がします。Hは黙って聞いていて僕が1通り言い終えると「実は。」と言い出しました。
ここからはHがいったことを簡単にまとめたことを書いていきます。
実はHはあの場所に行くのは2回目だということ。
高校に入る前に地元の先輩に誘われて、社交辞令的な感じでいき、同じように景色が変わり始めたこと。
「篠原」という家に連れて行かれ、同じようにナタを持った女に襲われたこと。
そして先輩の1人が止めようとして腹を切られてしまったこと。
残りの先輩たちと命からがら逃げたこと。
252
:
女の存在を知らせること
:2020/04/16(木) 05:21:46 ID:o.Sh1KJQ0
そしてこの肝試しを考えた先輩がこういってきたこと。
「あの女からは絶対に生き延びられない。女は自分を知っている奴らの四肢を少しずつあの世界から奪いに来る。そしていつかは手足の無くなった俺の首を落としに来るだろう。」
「ただ、あの女から殺される時間を少しだけ延ばす方法がある。それはあの女の存在を知らない奴にあの女のことを記憶させること。」
「女は自分のことを知っている奴らを無差別に殺して回っている。裏を返せば、あの女の存在を1人でも多くの人間に記憶させれば、自分が四肢をもがれる可能性が少なくなる。」
「俺は前にも同じ目に会ってあの女の存在を知らされてしまった。俺は少しでも死ぬ可能性を低くするため、お前らにあの女を記憶させた。お前らも少しでも生きたかったら、あの女の存在を他の誰かに知らせてくれ。」
253
:
女の存在を知らせること
:2020/04/16(木) 05:22:34 ID:o.Sh1KJQ0
そしてその4ヶ月後、Hはバイク事故という形で右足をもがれたこと。
事故にあったときその女が視界の端にみえたこと。
そしてあの女が自分の右足を掴んで笑っていたこと。
そのことに恐怖を覚えたHは仲間である俺たちにもあの女の存在を知らせようと思ったこと。
僕はただ唖然としていました。Hは「すまん。」と短くいうと席を立ち静かに去っていきました。外では鶯がないていました。
この話は上でも話したとおり、9年近く前の話です。あのときから僕は今までのことは忘れようと考え、生活してきました。退院してからなんとか学校にはいこうとしたのですが、休みがちになり、結局、中退という形をとりました。
そのあと、通信制の学校に入り直し、弁当屋を手伝いながら、勉強していました。1年前僕は階段から落ち、打ち所が悪かったのか左足を骨折しました。
そして階段から落ちるさなか、階段の上から異常な程に唇をつりあがらせたあの女がいました。入院を余儀なくされた僕は左足にギプスをつけ、通信制の高校の勉強をしていました。
254
:
女の存在を知らせること
:2020/04/16(木) 05:23:23 ID:o.Sh1KJQ0
入院してから左足が熱を持ち始めて痛みを持ち始めたため、医師に頼んでギプスを外して診てもらうと僕の左足はすねから下が腐っていました。切断を余儀なくされました。あの女に左足を持っていかれた。そう思いました。そして、Hと同じ考えを持つようになりました。誰かにあの女の存在を教えてやろうと。
ここで一番上の「お願い」について話していきたいと思います。
左足と左薬指、中指は僕があの女に「持っていかれた」部位です。やってくださった方はこれで僕がどこを切断したかを確認していただけたと思います。
次に、僕はこの話をできるだけ「細かく」「詳しく」書きました。それは少しでも読者の方々にあのときの描写を想像してもらおうと思ったからです。
つまり、皆さんにもぼくの「あの女についての記憶」を共有してもらい、僕が次に四肢を失う確立を少しでも下げようということです。本当に申し訳ありません。
身の保身のためだけに今回書かせていただきました。
しかし、これを書いていて安心している僕もいます。せめてもということで皆さんのところにあの女がくることが無いように祈っています。
255
:
霊柩車
:2020/05/04(月) 03:07:13 ID:I8iUchik0
Kさんという若い女性が、
両親そしておばあちゃんと一緒に住んでいました。
おばあちゃんは
もともとはとても気だてのよい人だったらしいのですが、
数年前から寝たきりになり、
だんだん偏屈になってしまい、
介護をする母親に向かってねちねちと愚痴や嫌味をいうばかりでなく
「あんたたちは私が早く死ねばいいと思っているんだろう」
などと繰り返したりしたため、
愛想がつかされて本当にそう思われるようになりました。
介護は雑になり、
運動も満足にさせて貰えず、
食事の質も落ちたために、
加速度的に身体が弱っていきました。
最後には布団から起き出すどころか、
身体も動かせず口すらもきけず、
ただ布団の中で息をしているだけ
というような状態になりました。
はたから見ていても
命が長くないだろうことは明らかでした。
256
:
霊柩車
:2020/05/04(月) 03:07:47 ID:I8iUchik0
さてKさんの部屋は2階にあり、
ある晩彼女が寝ていると、
不意に外でクラクションの音が響きました。
Kさんはそのまま気にせず寝ていたのですが、
しばらくするとまた音がします。
何回も何回も鳴るので、時間が時間ですし、
あまりの非常識さに腹を立ててカーテンをめくって外を見ました。
Kさんはぞっとしました。
家の前に止まっていたのは
大きな一台の霊柩車だったのです。
はたして人が乗っているのかいないのか、
エンジンをかけている様子もなく、
ひっそりとしています。
Kさんは恐くなって布団を頭から被りました。
ガタガタとふるえていましたが、
その後は何の音もすることなく、
実に静かなものでした。
朝になってKさんは、
両親に昨日の夜クラクションの音を聞かなかったかどうか尋ねました。
二人は知らないといいます。
あれだけの音を出していて気づかないわけはありませんが、
両親が嘘をついているようにも見えないし、
またつく理由もないように思われました。
257
:
霊柩車
:2020/05/04(月) 03:10:02 ID:I8iUchik0
朝になって多少は冷静な思考を取り戻したのでしょう、
Kさんは、あれはもしかして
おばあちゃんを迎えに来たのではないかという結論に至りました。
彼女にはそれ以外考えられなかったのです。
しかし、おばあちゃんは相変わらず「元気」なままでした。
翌日の夜にも霊柩車はやって来ました。
次の夜もです。
Kさんは無視しようとしたのですが、
不思議なことにKさんが2階から車を見下ろさない限り、
クラクションの音は絶対に鳴りやまないのでした。
恐怖でまんじりともしない夜が続いたため、
Kさんは次第にノイローゼ気味になっていきました。
7日目のことです。
両親がある用事で
親戚の家に出かけなくてはならなくなりました。
本当はKさんも行くのが望ましく、
また本人も他人には言えない理由でそう希望したのですが、
おばあちゃんがいるので誰かが必ずそばにいなくてはなりません。
Kさんはご存じのようにノイローゼで
精神状態がすぐれなかったために、
両親はなかば強制的に留守番を命じつつ、
二人揃って車で出ていきました。
Kさんは恐怖を紛らわそうとして
出来るだけ楽しいTV番組を見るように努めました。
おばあちゃんの部屋には恐くて近寄りもせず、
食べさせなくてはいけない昼食もそのままにして
放っておきました。
さて両親は夕方には帰ると言い残して行きましたが、
約束の時間になっても帰って来る気配がありません。
258
:
霊柩車
:2020/05/04(月) 03:11:14 ID:I8iUchik0
時刻は夜9時を回り、やがて12時が過ぎ、
いつも霊柩車がやって来る時間が刻一刻と迫ってきても、
連絡の電話一本すらないありさまなのでした。
はたして、その日もクラクションは鳴りました。
Kさんはそのとき1階にいたのですが、
間近で見るのはあまりにも嫌だったので、
いつもの通りに2階の窓から外を見下ろしました。
ところがどうでしょう。
いつもはひっそりとしていた車から、
何人もの黒い服を着た人達が下りてきて、
門を開けて入ってくるではありませんか。
Kさんはすっかり恐ろしくなってしまいました。
そのうちに階下でチャイムの鳴る音が聞こえました。
しつこく鳴り続けています。
チャイムは軽いノックの音になり、
しまいにはもの凄い勢いでドアが
「ドンドンドンドンドンドン!」
と叩かれ始めました。
Kさんはもう生きた心地もしません。
ところがKさんの頭の中に、
「もしかして玄関のドアを閉め忘れてはいないか」
という不安が浮かびました。
考えれば考えるほど閉め忘れたような気がします。
Kさんは跳び上がり、
ものすごい勢いで階段をかけ下りると
玄関に向かいました。
259
:
霊柩車
:2020/05/04(月) 03:12:50 ID:I8iUchik0
ところがドアに到達するその瞬間、
玄関脇の電話機がけたたましく鳴り始めたのです。
激しくドアを叩く音は続いています。
Kさんの足はピタリととまり動けなくなり、
両耳をおさえて叫び出したくなる衝動を我慢しながら、
勢いよく受話器を取りました。
「もしもし!もしもし!もしもし!」
「○○さんのお宅ですか」
意外なことに、
やわらかい男の人の声でした。
「こちら警察です。
実は落ち着いて聞いていただきたいんですが、
先ほどご両親が交通事故で亡くなられたんです。
あのう、娘さんですよね?
もしもし、もしもし・・・」
Kさんは呆然と立ちすくみました。
不思議なことに
さっきまでやかましく叩かれていたドアは、
何事もなかったかのようにひっそりと静まり返っていました。
Kさんは考えました。
もしかしてあの霊柩車は両親を乗せに来たのでしょうか?
おばあちゃんを連れに来たのでなく?
そういえば、
おばあちゃんはどうなったのだろう?
その時後ろから肩を叩かれ、
Kさんが振り返ると、
動けない筈のおばあちゃんが立っていて、
Kさんに向かって笑いながらこう言いました。
「お前も乗るんだよ」
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