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ホラーテラー作品群保管庫

223鴨南そばさんシリーズ「四角い部屋」5ラスト:2014/10/07(火) 13:46:01 ID:N5E6U.uY0
『答えられないのか?教えてやるよ。それが四角い部屋の謎だ。
 俺はガクト派になった覚えはねえ。入店してからずっとシュンさん派だ。
 だけど、今の俺は何故かガクト派だ。説明できる理由がねえ。それを誰も不思議に思わねえ。
 矛盾だらけなんだよ。シュンさんが四角い部屋に向かってから。
 だから俺も行く。行って四角い部屋の謎を解く。
 おい、聞いてるか?リョウ?今八階だ。もうすぐシュンさんを助けられる。よっと、これであと一階』
「待て、言ってる意味が分からない。取り合えず戻れ、もっとちゃんと説明してくれないと分からない。
 シュンって誰だ?何でその人が四角い部屋に行くことになったんだ?
 何でシュンって人が四角い部屋に行ったこと知ってるんだ?」
『もうちょっと待ってろ、もう着く。よし』
「おい!?止めろ!!」
『……くそ、完全ってこういうことかよ。確かにカンゼ――』
「おい!?返事しろ!冗談にしてはタチがわりぃぞ!!!」
ユウキの電話が切れた。いや、切れていない。
電話を掛けてすらいない。音がなくなっただけだ。
通信が切れた後の音や、通話時間を示すものもない。ただの待ち受け画面になっている。
リダイヤルのページを開いても、僕が最後に電話を掛けたのはガクトさんになっている。掛かってきたのもガクトさん。
電話帳にもメール受信・送信欄にもユウキの名前はなかった。
何だこれは。

マンションに到着する。急いでボタンを押す。
チンと音を立てドアが開くと、中の蛍光灯が点いた。エレベーターには誰も乗っていなかった。
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ガクトさんだ。
「はい」
『おう、ついでに箱ティッシュとペリエ買ってきてよ』
「すいません。ユウキと連絡が取れなくなってしまって」
『ん?ユウキ?誰?』
「え……。いや、今日一緒に……」
『何?遅いと思ってたら知り合いにでも会ったのか。いーよいーよ。友達は大切にしな。
 だけど上司にもちょっぴり優しくしてくれると、睡眠時間と共に君への感謝が増える』
「ガクトさん、あの、シュンって人知ってますか?」
『誰?同業?』
「いや、知らないならいいです」
『じゃ、頼んだ』
「すいません!あと一つ!四角い部屋って知ってますかっ!?」
『おいうるせぇって。眠いんだから耳元で叫ばないでくれよ。
 四角い部屋?はあ?部屋なんて大概四角だろ?なぞなぞ?』
「いや、完全に四角い部屋です」
『何だよ、その完全な四角って。意味わかんねえ。いいから早く来いよ、お待ちかねだぞお姉さま方』
その声と共に、リョウちゃ〜ん、と甘い声が複数響く。
しかし心は躍らなかった。

終わり


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