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ホラーテラー作品群保管庫

220鴨南そばさんシリーズ「四角い部屋」2:2014/10/07(火) 13:43:44 ID:N5E6U.uY0
肝試しをするのに集まる仲間など、多くても十人いないくらいだろう。
一人10話も話せないから、百話も話せない。結局、百物語は終われない。
秒速で落下する流れ星に三回も願い事を唱えられないのと同じだ。
肝試し用の心霊スポットは、随分前から放置されている廃ホテルだった。
経営苦で自殺した社長が出るそうだが、
恐ろしいのはむしろ、壁に落書きに来る暴走族や、風雨に晒されたビルの耐久性だろう。
いっそう仲良くなった様子のガクトさんとお客様たちを、彼のマンションに送る。
どうか明日からウチの店に通ってくれますように×3。
流れ星ではないが、一応願っておく。念のため。

僕たちも帰路に向かっているときに、ユウキが切り出した。
「なあ。さっきの四角い部屋の話なんだけど」
「ああ、あれは良くねえな。何なのお前、空気読めよ。分かってるだろ?」
「いや、ガクトさんなら大丈夫かと思ったんだよ。ダメだったけど。
 で、四角い部屋の謎解きに攻め込もうぜ、今から。チャレンジだ!リベンジだ!」
あっついなあ。リベンジって意味分かってるのだろうか?
「何お前、マジネタなのかよ?ガキじゃねえんだからさ」
「マジネタも何も。まさかお前も?四角い部屋知ってるだろ?」
「ガクトさんが知らないネタ、僕が知ってるわけないだろ。有名なのかそれ」

ユウキが話した四角い部屋のルールはこうだった。
エレベーターで直結部屋に行った者しか『完全な四角』の意味は分からないのだが、
『完全』の意味が分かると意味が分からなくなる。
四角い部屋に行くことは誰でも出来るのだが、エレベーターの最大積載量を越えることは出来ない。
必ず一階からスタート。
エレベーターのボタンを下から上まで順に押す。
点灯を確認して、その後上に向かう。
止まる直前に非常ボタンを押す、そうするとランプが点灯したまま次の階に向かう。
それを最上階まで繰り返す。全てのボタンが点灯した状態で最上階へ。
最上階まで行けると、そこは『完全な四角い部屋』だという。
途中で人が乗るなどの邪魔が入ったり、階数のランプが全て光っていなければ失敗らしい。

「エレベーターに非常ボタンなんてあるの?」
「ははっ、俺も似たようなこと聞いたわ。
 非常ボタンってよりも非常マイクって言った方がよかったな。あれで管理人に繋がるんだよ」
「ああ、あれのことか。緊急停止用のボタンかと思った」
「エレベーター緊急停止して何の得があるんだよ。むしろ何かあったら急ぐだろ。面白いこと言うな」
非常ボタンを押すと、外部のメンテナンス会社に繋がるものと、ビル内の管理人に繋がるものがある。
今回行くビルは、管理人に繋がるタイプのものらしい。やけに詳しい。こいつ。
「お前、既に下見済みかよ」
「まあ、そんな感じ。途中で帰ってきたけどな」


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