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ホラーテラー作品群保管庫
180
:
くらげシリーズ「死口内海」4
:2014/06/26(木) 16:26:58 ID:TrdgkZJA0
その後しばらくして、病室に飴玉の袋が届けられた。
看護師さんが言うには、くらげが下の売店で買って、私に渡してくれと言ったのだそうだ。
唾液のせいで塩味の強い飴玉は美味しくは無かったが、他と比べれば何とか食べることが出来た。
その夜、私は今までで一番の吐き気に襲われた。
眠っている最中だったが、反射的に傍に置いてあるバケツを引き寄せ、中にぶちまけた。
それは、滝のような、という表現が一番ぴったりくる。出しても出しても収まらなかった。
ようやく収まると、私はベッドに倒れ込んだ。
気がつくと、病室の明かりがついており、ベッドの周りに看護師と医者と母が居た。
私は無意識にナースコールを押していたらしい。
見ると、五リットルは軽く入りそうなバケツが、半分程吐しゃ物で埋まっていた。
とはいえ、胃の中に何も入っていなかったからか、それは恐ろしく透明な液体だった。
自分の体にまだこんなに水分が残っていたのかと驚くほどに。
看護師と医者は難しい顔をして何か話し合っていて、母は疲れ切った笑顔で私の頭をそっと撫でた。
「寝てていいんよ」
母にそう言われ、私は目を閉じた。
しかし、その内、私は口の中に違和感を感じた。
いや、違和感が無いことによる違和感、といった方がいいだろうか。
とにかくどういうわけか、すっきりしていたのだ。今までは吐いた後も不快感しか残らなかったのに。
まるで、先程の嘔吐で悪いものを何もかも吐きつくしてしまったようだった。
唾を呑みこもうとしたが、口の中が渇いてしまっていた。
私は起き上がって、昼間くらげに貰った飴玉を一粒頬ばった。
甘い。それは何に邪魔されることもなく純粋に甘かった。
私は母に頼んで水を持ってきてもらった。
恐る恐る口を付ける。一口、舌先で確かめるように。二口、軽く口の中に含んで、それから一気に飲んだ。
その時の水の味は一生忘れない。ただの水がこんなに美味しいと思ったことは無かった。
自然と涙がこぼれた。今思えば、入院生活はとても辛かったが、泣いたのはあの時だけだった。
ようやく取れた水分を涙に使うなんてもったいないと思ったが、止まらなかった。
泣きながら、医者と母に症状が治ったことを告げた。
医者がそんな馬鹿なという顔をする横で、母も私と一緒に泣いてくれた。
頬を伝い口の中に入って来た涙は、やはり、ちょっとしょっぱかった。
それから私は、自分で言うのも何だが、すさまじい勢いで回復した。
入院自体は短期間だったこともあり、体力もすぐに取り戻した。
一学期の終業式には出られなかったが、夏休みは十分エンジョイできそうだった。
その終業式の日、くらげが再度見舞いに来た。
おそらくもう退院しても良かったのだろうが、しばらく経過を見るということだったので、
入院はしているものの、もう点滴は外し、病院内をうろちょろする元気も戻っていた。
「ああ、もう大丈夫みたいだね。良かった良かった」
病室に入って来たくらげはそう言った。
ホッとした様子ぐらい見せてもいいのに、彼はまるで読めないあの表情で、口調も淡々としていた。
くらげはプリントの山をベッドの上に置いた。夏休みの宿題。どうやら、これを届けるために来たらしい。
さっぱりしている。らしいと言えばらしいが。
「いつ退院できそう?」
「そうだなー。来週くらいには帰れるんじゃないか?」
「ふーん」
それからしばらく他愛もない話をした。
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