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ホラーテラー作品群保管庫
168
:
2なつのさんシリーズ「異界」3
:2014/06/16(月) 23:31:39 ID:mn6OmNt.0
つい先程見た犬の死骸を思い出す。関連があるとは思いたくないが。
いずれにせよ、こんなところでこんなところの住人と対面するのは極力遠慮したかった。
ただそうは言っても、来た道を引き返し、またあの犬の死骸の脇を通るというのも気が進まない。
辺りは徐々に暗くなり始めていた。時刻は午後の六時を過ぎている。
他に道はないかと、僕は周囲を見回した。
すると、行き止まりかと思っていた箇所に、辛うじてそれと分かる上へと続く道があった。
戻るか進むか天秤にかける。僕は迷っていた。
この道が本当にどこか知っている道に合流している、という自信は霞みかけていたし、
犬の死骸を踏み越えても元来た道を戻るのが正解に思えた。
その時だった。
気配を感じる。微かに枝を踏む音。僕がやって来た方の道から聞こえた。誰かがこちらへやって来る。
新たな重りが加わり天秤が傾く。僕は咄嗟に新しく見つけた道へと進んでいた。
僕のような好奇心でやって来た者か。もしくはここに住むホームレスか。どっちにせよ、遭遇はしたくない。
急な道だった。
道の途中にはもう数ヶ所、人の寝床と思しき箇所があった。
それは大きく突き出た岩の下に造ってあったり、小型車程の大きさの廃材を使ったあばら家だったり、
ある程度密集したそれらは、まるで集落のように見えた。
上って行くにつれて道は霧散し、もうケモノ道とも呼べないただの斜面になっていた。
それでもしばらく上ると、たたみ二畳ほどの広さで地面が水平になっている場所に出た。
そこにも人の生活の気配がうかがえた。
灰の詰まった一斗缶。黒い液体が溜まった鍋。木の根もとに並べられたビールの缶。枝に吊るされたビニール傘。
先の欠けた包丁。そして小さなテント。
僕は足を止めてそのテントを見やった。異様だったからだ。
三脚のように木材を三本縦に組み合わせて縛り、その周りをブルーシートで覆っている。
高さは僕のみぞおち辺りで、人が入れる大きさではなかった。
一体、何のためのテントなのか。テントの周りにはハエが飛んでいた。
虫の羽音。
そして、羽音とはまた別の音が聞こえる。
タ。
タ。
タ。
それは、閉め忘れた蛇口から落ちた水滴が、シンクを叩く音に似ていた。
地面と僅かにできた数センチの隙間。覗くと、銀色をした何かがテントの中に置かれていた。
鍋のようだった。おそらく鍋は受け皿で、あの中に水滴が落ちている。
ハエが飛ぶ。僕の心臓がやけに早く動く。
異臭。
僅かに風向きが変わったのか。
生臭い匂いだった。以前にも嗅いだ事がある。確か小さな頃、目の前で交通事故が起こった時だ。
匂いの質は同じだけれど、あの時よりももっと酷い匂い。
鼓動が骨を伝わり、足が震えだした。
どこか遠くで犬の鳴き声がした。公園に住みつく野良犬だろうか。首を切られ、横たわって死んでいた犬を思い出す。
現在、テントの外に置いてある鍋の中には、なみなみと黒い液体。赤黒い液体。いや違う。血だ。血の匂い。
タ。
タ。
タ。
水滴がシンクを叩く音。
僕は混乱していた。
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