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ホラーテラー作品群保管庫
167
:
2なつのさんシリーズ「異界」2
:2014/06/16(月) 23:31:04 ID:mn6OmNt.0
来た道を逆に、分かれ道まで戻る。
さて、どうしようか。結局、僕は来た道は選ばず、まだ行ってない方の道へと進むことにした。
小さな山だ。きっとどこか知った道に合流するだろうと、そう思っていた。
この時、僕はまだ好奇心に支配されていた。
それから少し歩くと、道のすぐ傍らに一匹の痩せた犬が横たわっていた。
歩を止める。
ぴくりとも動かない。しばらく見やって、死んでいるのだと知った。
小バエが数匹、辺りを飛び回っていた。毛並みは茶色。
腐敗はそこまで進んでいないようだったが、耳の根元が黒ずんでおり、眼球がなくなっていているのが分かった。
そこからハエが体内に出たり入ったりしている。
どうしてこんなところで死んでいるのだろう。
野良犬自体なら、この公園近辺には多くいる。観光客がくれる餌を求めてやって来ているのだ。
けれど、目の前で横たわる犬は首輪をしているように見えた。
そのまま犬の傍を通り過ぎ前へと進むか、そうでなければこのまま引き返して来た道を戻るか。
僕は選ばなければならなかった。
少しばかり迷う。
そうしてから、僕はゆっくりと足を前に踏み出した。
正直、死骸は怖かった。いや、怖いというよりは、ただの毛嫌いだったのかもしれない。
ドラマなどで見る安っぽい死ではなく、目の前の犬の肉体は限りなくリアルだった。
そうして、だからこそ、気持ち悪いから逃げ帰るなんて失礼だと思った。
死骸の様子を間近で見る。途端に一つ心臓が跳ねた。
首輪だと思っていたものは傷口だった。
喉元がばっくり開いていて、そこから染み出した血が黒く固まり、首輪のように見えたのだ。
犬同士の喧嘩の末にこうなったのだろうか。
しかし、傷口は噛み痕には見えず、何か刃物で切られたようにまっすぐ喉を裂いていた。
注視したせいか吐き気を覚える。やっぱり引き返した方が良かっただろうか。
白い歯が覗く半開きの口は、僕に何かを訴えているようにも見え、
頭が勝手に、目の前の死骸がいきなり喋り出す様を想像した。
ただの穴となった眼窩から蠅が飛び出して、僕の胸にとまる。不安と一緒に払いのけて、犬に向かって手を合わせた。
そうして僕は犬の死骸を背に、その先へと進んだ。
先程も書いたが、僕はこの道は、
どこか住宅地から寺や公園へ上がるいくつかの道のどれかに合流するんだと、勝手に思いこんでいた。
犬の死骸のあった場所からもう少し進むと、足元に道は無くなり、閑散と木の生えた場所に出た。
見たところ、行き止まりのようだった。
目の前の木の枝に、キャップ帽とトレーナーが一着引っかかっていた。二つとも色が落ちくすんでいる。
その木の根元には、蓋の取っ手が取れたやかんがあった。
やかんの向こうには、トタン板と木材が妙な具合に重なり合って置かれていて、
傍にコンクリートブロックで出来た竈のようなものがある。火を起こした跡もあった。
その他にも、辺りには金色の鍋や、茶色い水の溜まったペットボトル、ボロボロの布切れ、重ねて置いてある食器類、
何故か鳥籠もあった。中には鳥ではなく、白い棒きれのようなものが何本か入っていた。
一瞬それが骨に見えて、ギョッとする。でも鳥の骨にしては大きい。だったら骨じゃない。
けれどもじゃあ何なのかと問われると、僕には答えられなかった。
いずれにせよ、それらは確かにこの場所で人が暮らしていたという痕跡だった。
崩れたトタン板や木材は家の名残だろうか。
そこにある品々の古さや具合から、今もここに人が寝泊まりしているとは考えにくかったが、
林の中で忽然と漂ってきた生活臭は、あまり気持ちの良いものではなかった。
すでに冒険心は小さくしぼんで、代わりに不安という風船が大きく膨らんできていた。
ホームレスだろうか。
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